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アロー形ネットワーク工程表とは|矢印が表す作業と順序

2026年9月27日 ・ Pinateca編集部

アロー形ネットワーク工程表とは、作業を矢印で、作業の区切りを丸で表して、どの作業がどの作業の後でしか始められないかを図にした工程表です。施工管理技士の試験では必ず出てくるのに、現場に出てみると誰も描いていない。この落差に戸惑っている人が多い形式です。

先に結論を書きます。アロー形は「順序と余裕を計算するための道具」で、「日々の進捗を共有するための道具」ではありません。この2つの役目を1枚で兼ねようとすると、どちらも中途半端になります。計算が要る局面でアロー形を使い、共有が要る局面ではバーチャートや板の形に置き換える。この使い分けが分かると、試験のための知識が現場でも使えるものに変わります。この記事では、記号の読み方、ADMとPDMの違い、クリティカルパスを出す手順、書くときの6つのルール、メリットとデメリット、そして現場でどう使い分けるかまでを順に扱います。

アロー形ネットワーク工程表とは、何を表している図か

アロー形ネットワーク工程表は、作業と作業のつながりを2種類の記号だけで表します。矢印と丸です。

矢印は1つの作業を表します。矢印の上に作業名を書き、下に所要日数を書きます。矢印の長さは日数と関係ありません。ここが最初の引っかかりどころで、バーチャートに慣れた目には長さが日数に見えてしまいます。丸はイベントと呼ばれ、作業の区切り、つまり「ここまでが終わった状態」を表します。丸の中には番号を入れ、矢印は必ず番号の小さい丸から大きい丸へ向かいます。

この2つの記号だけで表現できるのは、順序の関係です。基礎が終わらないと躯体は始められない、躯体が終わらないと内装は始められない、という前後の縛りが図の形そのものになります。バーチャートでは、棒を横に並べても「なぜこの日から始まるのか」は図から読み取れません。担当者の頭の中にだけ理由があります。アロー形は、その理由を線として描く形式です。

もう1つ重要な記号があります。点線の矢印で、ダミーと呼ばれます。日数はゼロで、作業の実体はありません。順序の縛りだけを表したいとき、あるいは同じ丸と丸の間に2つの作業が並んでしまって区別できないときに使います。ダミーを使う場面を理解していないと、図が描けない場所に必ず当たります。

この形式が「暗号のよう」と感じられる理由については、次のような指摘があります。

ネットワーク工程表と聞いて、「まるで暗号のよう」と感じた経験はないか?多くの施工管理技士がそう思うのも無理はない。試験では毎年必ず出題される必須項目なのに、実際の現場では「バーチャートがほとんど」というのが実態だからだ。 出典: sekokan-job.com

暗号に見えるのは、記号の意味を1つずつ確かめる前に、計算の解き方から入ってしまうためです。矢印が作業、丸が区切り、点線が順序だけ。この3つを先に頭に入れると、後の計算は足し算と引き算に落ちます。

ADMとPDMの違いを、先にはっきりさせる

ネットワーク工程表には2つの描き方があり、混ぜて覚えると必ず混乱します。

1つめがADM、アロー形です。Arrow Diagramming Methodの略で、作業を矢印に、区切りを丸に割り当てます。日本の施工管理の試験で出てくるのは、ほぼこちらです。矢印が作業なので、作業の数だけ矢印が増えます。

2つめがPDM、ノード形です。Precedence Diagramming Methodの略で、作業を四角い箱に、つながりを矢印に割り当てます。ADMとは役割が逆です。世界的なプロジェクト管理の道具で使われているのはこちらで、パソコンの工程管理ソフトが内部で持っているのもPDMの形です。

この2つの違いは、覚えやすさの差ではなく、表現できることの差です。ADMは「前の作業が完全に終わってから次が始まる」という関係しか素直に表せません。PDMは4種類の関係を表せます。前が終わったら次が始まる、前が始まったら次も始まる、前が終わったら次も終わる、前が始まったら次が終わる。さらに「前の作業が終わってから3日待つ」という待ち時間も線に付けられます。

実務では、この差が効いてきます。コンクリートの養生のように「終わってから何日か置く」必要がある工程は、ADMでは日数ゼロではないダミーのような扱いが必要になり、描き方が苦しくなります。PDMなら待ち時間として線に書けます。試験ではADMを解けるようにしておき、実務のソフトを触るときはPDMの考え方で組む。この二本立てが現実的です。どちらの形式で描いていても、前後関係を持つ工程を扱う道具かどうかは事前に確かめる必要があります。カードを並べる板の形でも、日付の前後関係を線で見られるかどうかは製品によって分かれるため、できることのように表示形式が列挙されているページで、カンバンとガントの両方を同じ内容で見られるかを確かめてから選ぶと外しません。

用語を5つだけ覚える

計算に入る前に必要な用語は5つです。これ以上を先に覚えようとすると止まります。

1つめは最早開始時刻です。その作業を最も早く始められる日で、前の作業が全部終わる日のうち最も遅いものになります。ここで「最も遅いもの」を取るのが要点で、平均でも最短でもありません。2つめは最早完了時刻で、最早開始時刻に所要日数を足した日です。

3つめは最遅完了時刻です。全体の工期を延ばさないために、その作業が遅くとも終わっていなければならない日を指します。4つめは最遅開始時刻で、最遅完了時刻から所要日数を引いた日です。

5つめが余裕、いわゆるフロートです。最遅開始時刻から最早開始時刻を引いた日数で、その作業が何日遅れても全体に影響しないかを表します。この余裕がゼロの作業をつないだ経路が、クリティカルパスです。

ここまでを実際の数字で追うと腑に落ちます。作業Aが3日、作業Bが5日、作業Cが2日で、AとBが並行して進み、両方が終わってからCが始まるとします。Cの最早開始時刻は、Aの完了日3日目ではなく、Bの完了日5日目です。全体の工期は7日になります。Aには2日の余裕があり、Bの余裕はゼロです。つまりクリティカルパスはBからCへの経路で、Aが2日遅れても工期は動きません。逆にBが1日遅れると、工期はそのまま1日延びます。

この計算の実用的な意味は1つです。どこに人を足し、どこは放っておいてよいかが分かることです。余裕がある作業に応援を入れても工期は1日も縮みません。工期を縮めたいなら、余裕ゼロの経路に手を入れる。この判断はバーチャートからは読み取れません。

クリティカルパスを出す手順は4ステップ

手順は決まっています。順番を守れば、複雑な図でも機械的に解けます。

ステップ1は、図を左から右へ進んで最早開始時刻を埋める作業です。前進計算と呼ばれます。開始の丸をゼロとして、矢印をたどりながら足し算をします。矢印が複数入ってくる丸では、入ってくる値のうち最大を取ります。ここで最小を取る間違いが最も多いです。

ステップ2は、右端の丸に出た数字を工期として確定させる作業です。この数字が全体の所要日数になります。

ステップ3は、右から左へ戻って最遅完了時刻を埋める作業です。後退計算と呼ばれます。右端の丸に工期の数字を入れ、矢印を逆にたどって引き算をします。矢印が複数出ていく丸では、出ていく先から計算した値のうち最小を取ります。前進計算とは逆であることを押さえてください。

ステップ4は、各丸で最遅完了時刻から最早開始時刻を引き、ゼロになった丸をつなぐ作業です。この経路がクリティカルパスです。図の中に2本以上ある場合もあり、両方が本物です。

計算のコツは3つあります。1つめは、丸の脇に数字を書く位置を決めておくことです。左上に最早、右下に最遅と決めておけば、見間違いが消えます。2つめは、ダミーを飛ばさないことです。日数ゼロでも順序の縛りなので、計算には必ず入れます。3つめは、前進計算で最大、後退計算で最小と声に出して確かめることです。試験で手が止まる原因の大半はここです。

学習にかかる時間の感覚も、次のように語られています。

Yahoo!知恵袋では「どこの業者でも、上場会社でも使用せず、バーチャートがほとんどとの回答を得ました」という声がある一方で、X上では「足し算と引き算レベルだが、解き方を知らないと手が止まる」「30分〜1時間で攻略可能」という学習者の声も聞こえてくる。この理論と実践のギャップこそが、ネットワーク工程表の本質を物語っている。 出典: sekokan-job.com

描くときに守る6つのルール

アロー形の図には、守らないと計算が成立しなくなる決まりがあります。6つに整理できます。

1つめは、矢印は必ず番号の小さい丸から大きい丸へ向かうことです。この向きが逆になると、前進計算の順序が決まらなくなります。

2つめは、同じ丸と丸の間に2本以上の矢印を置かないことです。AとBの2つの作業が同じ区切りの間で並行する場合、どちらか一方にダミーを足して丸を1つ増やします。これをしないと、どちらの作業を指しているのか図から判別できません。

3つめは、閉じた輪を作らないことです。矢印をたどって出発点に戻る経路ができると、その作業は永遠に始められない状態になります。図が複雑になったときに、無意識にこれをやってしまいます。

4つめは、開始と終了の丸をそれぞれ1つにすることです。入口が2つある図、出口が2つある図は、工期が定まりません。宙に浮いた矢印が残っていないかを最後に確かめます。

5つめは、矢印の長さと日数を対応させないことです。対応させようとすると図が描けなくなります。日数は数字で書きます。

6つめは、作業の分け方を統一することです。ある部分は「内装工事」とひとまとめにして、別の部分は「壁下地」「ボード張り」「クロス」と細かく分けると、余裕の計算が実態から離れます。分ける単位は、日数の見積もりが立つ最小の塊にそろえます。

このルールで実際に手を動かすときの注意点が1つあります。紙で描いた図は、1つの作業の日数が変わるだけで全部の数字を書き直すことになります。20作業の図で数字を全部引き直すと30分から1時間かかります。だから紙で描くのは、工期の見通しを立てる最初の1回と、大きな変更があったときに限るのが現実的な運用です。

エクセルで作るときの手順と、その限界

専用のソフトを入れずにアロー形を作りたいという要望は多く、実際にExcelで描いている現場もあります。手順は6つに分けられます。

1つめは作業の洗い出しです。1つの列に作業名、隣の列に所要日数を並べます。この段階で分ける単位をそろえておかないと、後で余裕の数字が実態から離れます。2つめは先行作業の指定です。各作業の行に「この作業の前に終わっていなければならない作業」の番号を書きます。ここが図の骨組みになります。3つめは丸の番号付けです。作業のつながりから区切りを拾い出し、左から順に番号を振ります。番号は必ず矢印の向きと同じ順に増えるようにします。4つめは図形の描画です。矢印と丸を図形として置き、矢印の上に作業名、下に日数を書きます。5つめは前進計算と後退計算で、セルの計算式として組むか、図の脇に手で書き込みます。6つめはクリティカルパスの色付けで、余裕ゼロの経路を太い線や赤で強調します。

この手順で作ると、20作業の図におおよそ2時間から3時間かかります。問題は作った後です。日数が1つ変わると、図形の位置と計算の両方を直すことになり、1回の修正に30分前後かかります。工期の変更が月に3回起きる現場では、修正だけで月1時間半が消えます。

限界は3つあります。1つめは、図形を手で動かすため、作業を1つ挿入すると全体のレイアウトが崩れることです。2つめは、計算式を組んでも矢印の図形と連動しないため、数字と絵がずれる事故が起きることです。3つめは、ファイルが1人の手元にあるため、同時に見ることも直すこともできない点です。メールで送り合う運用にすると、どれが最新か分からなくなります。

現実的な落としどころは2つです。1つは、Excelで描くのは着工前の1回だけと決めて、以後は更新しないことです。工期の根拠として保存し、日々の進捗は別の形で追います。もう1つは、図を描かずに表だけで済ませることです。作業名、先行作業、日数、最早開始、最遅完了、余裕の6列を並べた表でも、クリティカルパスの判定はできます。図の見た目が要らない場面では、この表のほうが更新に強くなります。

試験で出る形と、解く順番の練習方法

施工管理技士の試験では、図が与えられて工期やクリティカルパスを答える形と、日数を変えたときに工期がどう動くかを答える形が出ます。どちらも計算の手順は同じで、練習すべきなのは速さと確実さです。

練習の方法は3つあります。1つめは、同じ図を3回解くことです。1回目は手順を確かめながら、2回目は数字を書く位置を決めながら、3回目は時間を計って解きます。別の図に移る前に同じ図で3回やるほうが、手順が体に入ります。2つめは、前進計算だけを10問続けて解くことです。最大を取る動作だけを繰り返すと、後退計算で最小を取る切り替えが混ざらなくなります。3つめは、答えを見た後に「なぜこの経路がクリティカルパスなのか」を一言で書くことです。書けなければ、まだ手順を追っているだけの状態です。

つまずきやすい出題の形が3つあります。1つめは、ダミーが複数入っている図です。日数ゼロの点線を計算に入れ忘れると、工期が短く出ます。2つめは、クリティカルパスが2本ある図です。片方だけを答えると減点されるため、余裕ゼロの経路を全部確かめる必要があります。3つめは、特定の作業の日数を2日縮めたときに工期が何日縮むかを問う形です。ここは縮めた分だけ工期が縮むとは限りません。クリティカルパスが別の経路に移ることがあり、移った時点でそれ以上は縮みません。

時間配分の目安を置いておきます。20作業程度の図であれば、前進計算に3分、後退計算に3分、余裕の計算とパスの確定に2分で、合計8分前後で解けるようになります。最初は20分かかっても構いません。手順を飛ばさずに解ける状態を作るほうが先です。

覚え方のコツが1つあります。前進は「早く始めたいが、遅い方に合わせざるを得ない」ので最大。後退は「遅くまで待ちたいが、早い方に合わせざるを得ない」ので最小。この言い方で覚えると、試験中に迷いません。

メリットとデメリットを、同じ重さで並べる

アロー形の利点は4つあります。1つめは、遅れが工期に響くかどうかを計算で判定できることです。2つめは、どの作業を先に手配すべきかが順序から分かることです。3つめは、人や機械の応援をどこに入れると効くかが余裕の数字で決まることです。4つめは、発注者や元請に対して工期の根拠を示せることです。工期を1週間短縮してほしいという依頼に対し、どの工程をどう詰めれば成立するかを図で説明できます。

デメリットも4つあります。1つめは、図を読める人が限られることです。作成した本人以外が見ても、どの作業が今どこまで進んでいるかは分かりません。2つめは、更新の手間が重いことです。日数が1つ変わるたびに全体を引き直します。3つめは、進捗の表現ができないことです。矢印は順序を表す記号なので、「30%終わった」という状態を図に載せる場所がありません。4つめは、作業の数が増えると図が読めなくなることです。50作業を超えたあたりで、紙1枚に収まらなくなります。

この4つのデメリットは、いずれも「共有と更新」の側に集まっています。逆にメリットは「計算と説明」の側に集まっています。だから、計算はアロー形で、共有は別の形で、という分担になるのが自然です。現場でバーチャートが使われ続けているのは、バーチャートが優れているからではなく、共有と更新の側の要求が日々発生するからです。

この分担を考えるとき、共有側の道具に何を求めるかがはっきりします。求めるのは、線を引き直す作業が1人に集中しないこと、そして更新した内容が見る人の画面に同時に反映されることです。工程表を1人が引き直している間、他の人はその表を見られません。この待ち時間が消えるかどうかが、道具を替える理由になります。

他の工程表の形式と、役目がどう分かれるか

工程表には4つの形式があり、それぞれ答えられる問いが違います。混同したまま「どれが優れているか」を議論すると結論が出ません。

バーチャートは、横軸に日付、縦軸に作業を並べて棒で表す形式です。答えられる問いは「いつ誰が何をするか」です。誰でも読めるのが最大の利点で、現場に張り出す掲示物として使われ続けています。答えられないのは「この作業が遅れたら工期は延びるか」です。

ガントチャートは、バーチャートに進捗と前後関係を足した形式です。棒の中を塗って進み具合を示し、線で作業と作業をつなげます。答えられる問いは「いつ誰が何をどこまで終えたか」で、道具の上で動かせば線の引き直しが自動になります。答えられないのは、余裕の日数を計算で出すところです。

ネットワーク工程表は、これまで見てきた通り順序と余裕を答える形式です。日付を答えるには向きません。

4つめが出来高累計曲線、いわゆるSカーブです。縦軸に工事の出来高の累計、横軸に日付を取り、予定と実績を2本の曲線で描きます。答えられる問いは「全体として予定より進んでいるか遅れているか」です。個々の作業のことは分かりませんが、発注者への報告では最も伝わる形式になります。

実務では、この4つのうち2つか3つを併用することになります。組み合わせとして多いのは、着工前にネットワークで工期の根拠を作り、日々の運用はガントかバーチャートで回し、月次の報告にSカーブを使う形です。同じ内容を3回書き写すのではなく、日付と進捗を1か所で持ったうえで表示の形を切り替えられる道具を選べば、書き写す作業そのものが消えます。カードを並べる板の形とガントの形を同じ内容で切り替えられるかどうかは、選定の段階で必ず確かめる項目です。

実務での使い分けを、3つの場面に分けて決める

試験の知識を現場で使うには、使う場面を先に決めておくのが確実です。3つに分かれます。

1つめは、工期を見積もる場面です。着工前、あるいは見積もりの段階で、どの順序で進めれば何日で終わるかを出す必要があります。ここはアロー形の出番です。紙かホワイトボードで20から30作業の図を描き、クリティカルパスを1回出します。この1回の計算で、工期の根拠と、絶対に遅らせてはいけない工程が確定します。

2つめは、日々の進捗を共有する場面です。ここでアロー形を使うと更新で潰れます。バーチャートか、作業をカードにして状態別に並べる板の形が向きます。カードの形にすると、誰が担当していて今どの状態かが一目で分かり、写真やメモも同じ場所にまとめられます。この用途で道具を選ぶなら、日付の前後関係を持たせられるかを確かめてください。既にカードを並べる運用が回っている会社はTrelloとの比較で工程の表示形式と上限を確かめ、課題の細かい管理を重視する会社はBacklogとの比較を見ると判断が早くなります。なお前後関係を線で見る機能は有料側に置かれていることが多く、たとえばBacklogでは2026年9月26日時点の公開情報で、ガントチャートはスターターには記載がなく、スタンダード(月額16,000円、税抜)で6か月分の表示という区切りになっています。

3つめは、遅れが出た後に立て直す場面です。ここは計算が必要なのでアロー形に戻ります。遅れた作業がクリティカルパス上かどうかで、打つ手がまったく変わります。パス上なら応援か並行化か工法の変更、パス外なら余裕の日数を確かめて放置してよいかを決めます。この判定を勘でやると、余裕のある工程に人を足して工期が縮まらないという徒労が起きます。

3つの場面で道具を替えることに抵抗を感じるかもしれませんが、紙の図とチャットとExcelを併用している現状も、すでに3つの道具を使い分けている状態です。違いは、どこに何があるか決まっているかどうかだけです。文書と台帳を同じ場所にまとめたい場合はNotionとの比較、社外の協力会社を含めた共有の条件を確かめたい場合は安全性の考え方のページで、誰がどこまで見られるかを先に確かめておくと運用の設計が決まります。

工程を扱う道具の側から見えること

工程の前後関係を扱う道具を提供する側から検索語を並べると、アロー形を調べている人の関心は2つに割れています。1つは試験のための計算の解き方、もう1つは現場で工程を共有する手段です。この2つが同じ言葉で検索されているため、読んでいる記事が自分の目的と合わないという状態が起きます。

道具の側から言えることは3つあります。1つめは、アロー形と同じ計算を画面上でやる機能は、多くの汎用ツールには入っていないということです。前後関係を線でつなぐところまでは持っていても、余裕の日数を自動で出す機能は建設向けの専用ソフトや工程管理の専用製品に寄っています。汎用の板で工程を扱う場合は、クリティカルパスの計算は別で行い、板には確定した日付を載せる形になります。

2つめは、共有側で詰まる原因が機能ではなく人数の上限であることです。自社が5人でも、協力会社と発注者を入れた瞬間に15人を超えます。見るだけの相手を人数に数える仕組みだと、そこで金額が跳ねます。機能で絞らず、区切るのは人数とボードの数だけという料金の作り方が工程の共有と相性がよいのは、閲覧だけの相手に配るアカウントで金額が動かないためです。人数とボードの数で金額が決まる形は料金のページで確かめられます。

3つめは、移行の順番です。既存の全現場の工程表を移そうとすると、打ち直しの量に潰れて止まります。次に始まる1現場だけを新しい形で回し、既存の現場は今の方法で終わらせる。この順番なら失敗しても損失は1現場です。既にカードで管理しているものがあるならTrelloからの移行のように自動で取り込める経路があるかを確かめ、無ければ新しい現場から始める判断でかまいません。導入の前に人数の数え方や解約時のデータの扱いを確かめたい場合は、よくある質問に目を通しておくと社内で聞かれる項目を先に潰せます。

最後に、試験対策として学んだことの使い道を1つ挙げておきます。クリティカルパスの考え方は、工程表を描かない場面でも効きます。複数の作業が並行している状況で、どれが全体の完了日を決めているかを見つける思考そのものが、余裕のない1本を守るという判断につながります。図を描かなくても、頭の中でこの1本を探す癖がつけば、応援を入れる場所を間違えなくなります。

Q1. アロー形ネットワーク工程表とバーチャートは、どちらを使うべきですか?

目的で分けます。工期の根拠を出す、遅れが工期に響くかを判定する、応援を入れる場所を決める、といった計算が必要な場面はアロー形です。日々の進捗を共有し、担当と状態を全員が見る場面はバーチャートやカードを並べる板の形が向きます。1枚で両方を兼ねようとすると、更新の手間で続かなくなります。

Q2. ADMとPDMは何が違いますか?

ADMはアロー形で、作業を矢印、区切りを丸で表します。日本の施工管理の試験で出てくるのはこちらです。PDMはノード形で、作業を四角い箱、つながりを矢印で表します。PDMは前後関係を4種類表せて待ち時間も線に書けるため、パソコンの工程管理ソフトが内部で使っているのはこちらです。

Q3. クリティカルパスはどう求めますか?

4つのステップで求めます。左から右へ足し算して最早開始時刻を埋め(入ってくる矢印が複数なら最大を取る)、右端の数字を工期として確定し、右から左へ引き算して最遅完了時刻を埋め(出ていく矢印が複数なら最小を取る)、両者の差がゼロになった丸をつなぎます。経路が2本以上になることもあり、どちらも本物です。

Q4. アロー形を書くときに最も間違えやすい点はどこですか?

前進計算で最大を取るべきところで最小を取る間違いが最も多いです。次に多いのが、同じ丸と丸の間に2本の矢印を置いてしまう形で、ここはダミーの点線を足して丸を1つ増やします。日数ゼロのダミーを計算から飛ばす間違いもよく起きます。矢印の長さは日数と関係しないことも押さえてください。

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