Backlogの日程表を引き継ぐ|手で組み直さずに済ませる
「backlog ガントチャート 移行」で調べている人が本当に困っているのは、図をどうやって運ぶかではありません。何十本も引いた線を、また一から引き直すことになるのではないか、という不安です。結論を先に書きます。ガントチャートという図そのものは持ち出せませんが、その図を組み立てている材料は持ち出せます。材料さえ運べれば、線は自動で引き直されます。この記事では、その材料が何なのか、どの順番で運ぶのか、運んだ先で日程表がまた放置されないためにどうするかを、公式の記載に沿って整理します。
日程表を移すとは、実際には何を移すことなのか
最初にここを押さえないと、作業の見積りが丸ごとずれます。
ガントチャートは課題の日付から自動で描かれている
Backlogのガントチャートは、独立した図として保存されているものではありません。課題に入っている開始日と期限日をもとに、表示のたびに組み立てられています。線を1本ずつ手で引いているわけではないので、線そのものを書き出す必要もありません。
同じ考え方は他の道具にも共通しています。たとえばRedmineの公式ドキュメントには、次のように書かれています。
The gantt chart displays issues that have a start date and a due date or are assigned to a version with a date. 出典: redmine.org
開始日と期限日が入っている課題、または日付を持つバージョンに紐づいた課題が、自動で並ぶ。この作りである以上、移すべきものは図ではなく日付です。
運ぶべき材料は5つに絞られる
日程表を再現するために必要な情報は、次の5つです。
1つ目は開始日です。2つ目は期限日です。3つ目は担当者で、これがないと誰の行に並ぶかが決まりません。4つ目は親子関係で、まとまりの単位を作ります。5つ目はマイルストーンやバージョンで、節目の線を引くために使います。この5つがそろえば、移した先で見た目の近い日程表が組み上がります。
逆に言うと、この5つが欠けている課題は、移した先の日程表にも出てきません。期限日が空のまま放置されている課題が半分あるなら、移す前後どちらでも日程表は半分しか埋まりません。移行の作業とは別に、日付を入れ直す作業が必要になります。
線を手で引き直す作業が、どれくらいの負担か
引き直しの負担を数えておくと、移行の判断が具体的になります。表計算ソフトで日程表を作っているチームでは、1本の帯を引くのにセルの結合と色づけで30秒前後かかります。100本の作業がある案件なら、最初に引くだけで50分です。
問題は、引き直しのほうです。期限が1週間ずれると、後ろに並んでいる帯を全部ずらすことになります。手作業でずらすと、ずらし忘れが必ず出ます。これが月に2回起きるチームでは、年間で20時間近くが線の引き直しに消えます。
課題の日付から自動で描く仕組みなら、この作業はゼロになります。日付を1つ直せば、表示は次に開いたときに更新されます。移行を検討するときは、この差を時間として計算に入れてください。月額の差より大きくなることがあります。
図の見た目は同じにならない
正直に書いておきます。移した先で、Backlogとまったく同じ見た目にはなりません。行の並び順、色の付き方、進捗の帯の描き方は道具ごとに違います。同じ見た目を求めると、いつまでも移行が終わりません。求めるべきは「誰が、いつまでに、何をやるかが、同じ精度で分かること」です。この基準に切り替えると、作業は数日で終わります。
2027年1月1日の改定で、日程表まわりに何が起きるか
移行を調べている人の多くは、料金改定の告知を見てここに来ています。日程表に関係する部分だけを取り出して整理します。
4プランが3プランに統合される
株式会社ヌーラボは2026年6月17日、Backlogのプランを2027年1月1日から変更すると告知しました。現行のスターター、スタンダード、プレミアム、プラチナが、エコノミー、ビジネス、プロフェッショナルの3つに統合されます。既存の契約者に新料金が当たるのは、2027年1月1日以降に到来する最初の契約更新日からで、この日を「適用開始日」と呼びます。スペースごとに違います。
金額は改定前後ともすべて税抜です。料金ページに「価格は全て税抜表示です。別途消費税がかかります。」と明記されています。
| プラン | 月払い(税抜) | ユーザー数 | プロジェクト数 |
|---|---|---|---|
| エコノミー | 21,000円 | 15 | 30 |
| ビジネス | 36,300円 | 無制限(推奨10,000人まで) | 無制限 |
| プロフェッショナル | 100,000円 | 無制限(推奨10,000人まで) | 無制限 |
長期間の表示とプロジェクト横断の表示が、上位プランに移る
日程表を使っている人にとって、いちばん効くのはここです。公式ヘルプは、ビジネスプランとプロフェッショナルプランでのみ利用できる機能として、ガントチャートの「6か月以上の期間の表示」と「プロジェクトを横断した表示」を挙げています。プロジェクト横断の表示については、2026年秋ごろのリリースを予定している、と案内されています。
つまり、いまスタンダードプランでガントチャートを使っていて、エコノミーへ自動移行する条件(15名以下かつ30プロジェクト以下、Nulab Pass無し)に当てはまる組織では、2027年以降に6か月を超える範囲を1枚で見ることができなくなります。現行のスタンダードプランのガントチャートは表示範囲が6か月分と案内されているので、いまの範囲は保たれる形ですが、それより長い工程を1枚で見たい場合はビジネスプラン以上が必要になります。年単位の計画を1枚で引いているチームには、実質的な条件変更です。
そもそもガントが使えないプランもある
現行プランでの対応状況も整理しておきます。スタータープランにはガントチャートがありません。フリープランも同じく使えません。スタンダードは6か月分の表示、プレミアムとプラチナは利用可能です。
新プランのエコノミーで使えないものとして、公式資料は孫課題(3階層)、ガントチャートの長期間表示、プロジェクト横断ガントチャート、カスタム属性などを挙げています。日程表を細かく組んでいるチームほど、エコノミーに落ちたときの制約が効いてきます。
どの型に当てはまるかで、急ぎ方が変わる
移行の対応関係を整理すると、次のようになります。スタータープランには新プランに受け皿が無いため、自分でエコノミー以上を選ぶ必要があります。スタンダードで15名以下かつ30プロジェクト以下なら、エコノミーへ自動で移ります。スタンダードで16名以上、または31プロジェクト以上、あるいはNulab Passを契約している場合は、自動では移らず、ビジネスまたはプロフェッショナルを自分で予約します。プレミアムはビジネスへ、プラチナはプロフェッショナルへ、いずれも自動で移ります。
予約が必要な組織については、公式のよくある質問が「予約がない場合、適用開始日以降にBacklogを利用できなくなる可能性があります」と明記しています。日程表の移行を考える前に、まずこの手続きの有無を確かめてください。
そのまま残るという判断も十分ありうる
ここまで改定の内容を並べましたが、移ることを勧める趣旨ではありません。残ったほうがよい場合ははっきりしています。
Gitリポジトリを日常的に使っていて、課題と変更の履歴が結びついているチームは、そのまま残るほうが安全です。Backlogは全プランでGitとSubversionが使えると公式に記載されており、この結びつきを別の場所で作り直すのは、日程表の移行よりはるかに手間がかかります。
カスタム属性を業務の記録に使っている場合も同じです。社内の申請番号や顧客の識別子を課題の属性として持たせている運用は、移した先で同じ形を作れるとは限りません。ただし新プランのエコノミーではカスタム属性が使えないとされているため、この機能を使い続けたい場合はビジネス以上を選ぶ必要があります。
プレミアムとプラチナからの自動移行のように、上げ幅が3割台に収まる組織では、移行の手間のほうが高くつくことがよくあります。日程表の引き継ぎに7時間かかるとして、その7時間を別の仕事に使ったほうが利益が出るなら、残るのが正解です。判断の軸は金額の大小ではなく、手間と金額を並べたときの比です。
引き継ぐ材料を、どう書き出すか
ここから実際の作業です。
課題の検索結果をCSVで書き出す
Backlogでは、課題の検索結果をCSV形式またはExcel形式で書き出せます。シンプルな検索、高度な検索、キーワード検索のいずれの結果画面でも、一覧の右上または右下のアイコンから操作できます。日程表の材料を集める目的なら、高度な検索で対象を絞ってから書き出すのが確実です。
絞り込みの条件は、期限日の範囲で切るのが分かりやすい方法です。過去に完了した課題まで含めると、件数が膨らむわりに日程表には出てきません。これから先の日付を持つ課題だけを対象にすれば、扱う件数は大きく減ります。
書式はCSVを選んでください。Excel形式はセルが含むことのできる合計文字数の制限を受けるため、文字数が大きい場合はCSV形式を推奨する、と公式ヘルプに書かれています。課題の詳細欄に長文が入っているチームでは、この違いが効いてきます。
日付の書式を壊さない
書き出したCSVを表計算ソフトで開くと、日付の列が勝手に別の形式へ変換されることがあります。「2027-01-15」が「2027/1/15」になったり、地域設定によっては月と日が入れ替わったりします。日程表を移す作業では、日付が唯一の材料と言ってよいので、ここが壊れると全部やり直しになります。
対策は単純です。CSVを表計算ソフトで開くときに、日付の列を文字列として読み込む設定にします。あるいは、表計算ソフトを経由せず、そのまま取り込む側に渡します。Backlogの一括登録では、日付はハイフン区切り(例として 2025-07-31 という形)で入力する決まりになっています。他の道具でもハイフン区切りを受け付けるものが多いので、この形のまま触らずに運ぶのが安全です。
親子関係は順番を守って運ぶ
日程表のまとまりを作っているのは、たいてい親子関係です。親の課題が大きな帯になり、子の課題がその中に並びます。これを運ぶときは、親を先に登録し、子をあとから登録します。同時に流し込むと、親がまだ存在しない状態で子が登録され、関係が付きません。
なお、Backlogの一括登録では、1回に登録できる課題は最大250件です。分割するときに親と子が別のファイルに分かれると、関係が崩れます。件数で機械的に切らず、親の単位で切ってください。
Googleスプレッドシートを使った一括登録の案内もありますが、こちらでは孫課題を登録できない、と公式ヘルプに記載があります。3階層で日程表を組んでいる場合は、CSVでの一括登録を選ぶことになります。
状態は運べないことを前提に組む
日程表の見た目に効いてくる情報のうち、状態だけは扱いが違います。Backlogの一括登録について、公式ヘルプは次のように書いています。
課題の「状態」は入力できません。すべて「未対応」で登録されます 出典: support-ja.backlog.com
進捗の帯が付く道具では、状態が全部「未対応」だと、日程表がまっさらな状態で並びます。これを避けるには、移す対象を未完了の課題に絞り、完了済みは書き出したCSVを控えとして残す方法が現実的です。移した先で状態を手で直す作業は、100件を超えると1時間以上かかります。
進捗率と依存関係は、期待しすぎない
日程表に付いている情報のうち、運べるかどうかがはっきりしないものが2つあります。進捗率と、課題どうしの依存関係(この作業が終わらないと次が始められない、という繋がり)です。
Backlogの一括登録で入力できる項目として公式ヘルプが挙げているのは、件名(必須)、詳細、種別、担当者、開始日、期限日、予定時間、実働時間、カテゴリー、発生バージョン、マイルストーン、優先度、親課題です。この一覧に進捗率と依存関係は入っていません。書き出し側でこれらがどう出るかについても、公式資料では確認できませんでした。
現実的な扱い方は、進捗率を運ばないと決めることです。移した先で全件を0%から始め、次の更新のときに担当者が自分で入れる形にします。もともと進捗率は、入れる人によって基準がばらつきやすい数字です。移行を機に、入れる意味があるかどうかを問い直してもよい項目です。
依存関係は、親子関係とマイルストーンで代用できることが多くあります。「設計が終わってから実装」という順番は、期限日の並びで表現できます。厳密な先行後続の線が業務上どうしても必要なら、それを扱える道具かどうかを、移す先を決める段階で確かめてください。
マイルストーンは、節目の日付を先に決める
マイルストーンやバージョンは、日程表に縦の節目を作ります。ここが運べるかどうかで、日程表の読みやすさが変わります。
Backlogの一括登録では、マイルストーンと発生バージョンを列として入力できます。ただし、登録する前にマイルストーン自体が移す先に存在している必要があります。課題より先にマイルストーンを作る、という順番を守ってください。数は多くても十数個でしょうから、手で作っても10分程度です。
移す先にマイルストーンという入れ物が無い場合は、ラベルやタグに寄せるか、期限日の同じ課題をまとめる形で代用します。どちらにするかを先に決めておかないと、人によって置き場所が変わり、あとから節目を絞り込めなくなります。
今日できる確認手順
読んだだけで終わらせないために、今日中に終わる作業を並べます。どれも15分から30分で終わります。
自分のスペースの適用開始日を確かめる
契約管理者または管理者が「組織設定」の「プラン」画面を開くと、自分のスペースの適用開始日が表示されます。ここが分からないと、いつまでに何を決めればよいかが決まりません。ただし、トライアル中、プラン停止中、フリープランの場合は、この案内が表示されません。
予約の期限もあわせて確かめます。銀行振込の場合は適用開始日の64日前まで(請求書が発行されるまで)、クレジットカードの場合は適用開始日の2日前までが目安として案内されています。請求書は次回の契約開始日の63日前に発行されます。逆算すると、適用開始日が2027年3月なら、動き始める期限は2026年内ということになります。
人数とプロジェクト数を数える
エコノミープランの上限は、ユーザー数15とプロジェクト数30です。ここを超えるとビジネスになり、月額が21,000円から36,300円へ変わります。数えるときの注意が2つあります。
1つは、退職者や外部の協力者のアカウントが残っていないかです。使っていないアカウントが人数に乗っていると、上限を超えた判定になります。もう1つは、アーカイブ済みのプロジェクトの扱いです。公式のよくある質問では、アーカイブ済みのプロジェクトも上限に数えると案内されています。寝ているプロジェクトを整理するかどうかで、月額が変わる可能性があります。
期限日が空の課題を数える
日程表の移行に固有の確認がこれです。高度な検索で期限日が未設定の課題を絞り込み、件数を数えてください。全体に対する割合を出します。3割を超えているなら、道具を変える前に、日付を入れる運用を立て直すほうが効きます。
同時に、期限日が過去のまま完了していない課題も数えます。これは日程表を汚す最大の原因です。移す前に片付けておくと、移した先の日程表が最初から読める状態になります。
6か月を超える範囲を実際に見ているか確かめる
新プランで長期間の表示が上位プランに移るという話は、全員に効くわけではありません。実際に6か月を超える範囲を1枚で見ているかどうかを、自分たちの使い方で確かめてください。案件の単位が3か月で回っているなら、この制約は関係がありません。年単位の計画を1枚で管理しているなら、ビジネスプランに上げるか、別の場所へ移すかの判断が要ります。
移した先で、日程表がまた放置されないようにする
引き継ぎが終わったあとの話です。ここを設計しないと、数週間で日程表が嘘になります。
更新されない日程表は、道具を変えても更新されない
日程表が古くなる原因は、道具の性能ではありません。更新する人が1人に固定されていることです。とりまとめる立場の人が全員の進捗を聞いて回り、日程表に反映する形になっていると、その人が忙しい週は日程表が止まります。しかも、その人が引き直している間、他の人はその表を見られません。
現場では、2週間で誰も見なくなると言われています。見なくなると更新もされず、更新されないから余計に見なくなる、という循環に入ります。移行は、この循環を切る数少ない機会です。
日付を入れる人を分散する
引き継ぎの直後に決めておくとよいのは、誰が日付を入れるかです。担当者本人が自分の課題の期限日を入れる形にすると、更新の負荷が人数分に割れます。とりまとめる人の仕事は、日付を入れることではなく、入っていない課題を見つけて声をかけることに変わります。
この切り替えを移行と同時にやると、抵抗が少なくて済みます。道具が変わったタイミングなら、やり方が変わることに納得が得られやすいからです。移行が終わって落ち着いてから運用を変えようとすると、たいてい変わりません。
更新の頻度を決めて、それ以外は見に行かない
日程表が信用されるかどうかは、精度ではなく更新の周期がはっきりしているかで決まります。毎週月曜の朝に更新する、と決めれば、月曜の昼以降に見た表は正しいという合意ができます。周期が決まっていない表は、いつの情報か分からないので、結局それぞれが担当者に直接聞くことになります。
移行の直後は、この周期を決め直す絶好の機会です。前の場所で守られていなかった周期を、そのまま持ち込まないでください。人数が10人なら、1人あたりの更新は週に数分で済みます。負担が小さいことを最初に体感してもらうと、続きます。
見る場所を1つに絞る
日程表を移したあとに起きがちなのが、古い場所と新しい場所の両方が生きたままになることです。どちらが正しいか分からない状態が続くと、両方とも信用されなくなります。移行の計画には、古い場所をいつ読み取り専用にするか、いつ契約を止めるかまで書き込んでください。
契約を止める日を決めるときは、書き出しの済んでいない情報が無いかを先に確かめます。共有ファイルやリポジトリは課題のCSVには含まれません。共有ファイルはWebフォルダやFinderからダウンロードし、Gitリポジトリは git clone で手元に持ってくる、というのが公式に案内されている手順です。
移す先ごとの、日程表の出方の違い
引き継ぎ先によって、日程表の再現のしやすさは変わります。
課題を軸にした道具に移す場合
開始日と期限日から自動でガントを描く仕組みを持つ道具なら、材料を運ぶだけで日程表が復元されます。Redmineは主な機能の一覧に「Gantt chart and calendar」が入っており、標準機能として使えます。PNG画像への書き出しにはImageMagickという追加のソフトが必要で、管理画面には「Maximum number of items displayed on the gantt chart」という表示件数の設定項目があります。自分でサーバーを用意して動かす形なので、動かし始めるまでの作業は別に見積もります。
ボードで進行を見る道具に移す場合
カードを列で動かして進行を見る作りの道具では、日程表の見え方が変わります。日付を持つカードを時系列で並べる表示を持つものもありますし、期限の近いものを絞り込んで見せる作りのものもあります。どちらにせよ、線を引く作業からは解放されます。この考え方に合うかどうかは、できることで扱っている範囲を見てから判断してください。
ボード型に寄せると、細かい属性の落とし先を決める必要が出てきます。その整理の仕方はTrelloとの比較にまとめてあります。いま使っている道具のままでよい場合を先に置いた作りにしてあるので、移らない判断の材料としても読めます。
日程表を持たない道具に移す場合
期限の一覧とカレンダーはあるが、帯で期間を見せる表示は持たない、という道具もあります。この場合、日程表という形は失われますが、失って困るかどうかは使い方によります。
帯の表示が本当に要るのは、作業と作業の重なりを見たいときです。同じ人に2つの作業が同じ週に乗っていないか、外注先の稼働が特定の月に集中していないか、といった判断は、帯で見ないと分かりません。逆に「今週やることが分かればよい」という使い方なら、期限の一覧で足ります。
移す前に、日程表を実際に何のために開いているかを、開く人に聞いてみてください。重なりを見るために開いている人が半分いるなら、帯の表示は必要です。「今週の締切を確認するため」しか出てこないなら、日程表の移行そのものが不要かもしれません。
表計算ソフトに戻す場合
費用はかかりませんが、日程表を引く作業が完全に手作業に戻ります。線を1本ずつ引き、日付が変わるたびに引き直すことになります。関わる人が3人までで、期間が3か月以内なら成り立ちますが、それを超えると引き直しの時間が積み上がります。移行の目的が費用の削減なら、この時間も費用として数えてください。
料金の形で比べる
移す先を選ぶときは、料金が何で決まるかを見ます。人数で決まるのか、機能で決まるのか、定額なのかで、増員したときの負担が変わります。Backlogはスペース単位の定額制で、公式ヘルプに「スペースにプロジェクトやユーザーを追加されるごとに追加料金が発生することはありません。」と書かれています。ただしプランごとに人数とプロジェクト数の上限があり、新プランではエコノミーが15名と30プロジェクトです。この考え方の違いはBacklogとの比較と料金で確かめられます。
取り込みが自動でできるかどうかも作業量に直結します。対応している組み合わせなら、CSVを整える工程がまるごと消えます。対応状況はTrelloからの移行に書かれている範囲で確かめてください。
引き継ぎにかかる時間を、先に数字にする
判断の材料として、作業時間の目安を出しておきます。課題が300件、プロジェクトが5つ、人数が10人という規模を仮に置きます。
書き出しと絞り込みに30分。日付の書式の確認と修正に1時間。担当者の対応表づくりに30分。親子関係の並べ替えに1時間。取り込みと確認に2時間。日付の入っていない課題の洗い出しと補完に2時間。合計でおおよそ7時間です。1人で1日弱の作業になります。
このうち、いちばん時間が読めないのは最後の「日付の入っていない課題の補完」です。ここは移行の作業というより、日程表の品質そのものの問題です。移行の前に一度、期限日が空の課題が何件あるかを数えてください。全体の3割を超えているなら、移行の是非より先に、日付を入れる運用を立て直すほうが効きます。道具を変えても、日付が入らない状態は変わりません。
費用の側も並べておきます。プレミアムからビジネスへの自動移行なら、月額は27,000円から36,300円へ、上げ幅は34.4%です。年間で見ると税抜で111,600円の増加です。7時間の作業と、移した先の年間費用を並べて、どちらが自分たちにとって重いかを見ます。上げ幅が3割台に収まる組織では、引き継ぎの手間のほうが高くつくこともあります。
一方、スタータープランを使っていて、そもそもガントチャートが使えていなかった組織は事情が違います。月額2,700円から最低21,000円になるうえ、いま使えていない機能のために払うことになります。この層は、日程表を新しく引き始める場所を選ぶ、という考え方のほうが素直です。
判断に迷ったら、いちばん課題の少ないプロジェクトを1つだけ選んで、書き出しから取り込みまでを通しでやってみてください。1時間で終わります。実際に手を動かすと、日付の書式が壊れるかどうかも、親子関係が付くかどうかも、その場で分かります。頭の中で3日悩むより、この1時間のほうが判断を進めます。細かい条件はよくある質問にまとめてあります。
Q1. Backlogのガントチャートを画像やファイルとして書き出せますか?
ガントチャートそのものを書き出す手順は、公式ヘルプでは確認できませんでした。ただし移行の目的なら、図を書き出す必要はありません。ガントチャートは課題の開始日と期限日から自動で組み立てられているため、その日付を課題のCSVとして書き出して運べば、移した先で同じ材料から日程表が組み直されます。
Q2. 2027年からガントチャートの使い方は変わりますか?
公式ヘルプは、ビジネスプランとプロフェッショナルプランでのみ利用できる機能として、ガントチャートの6か月以上の期間の表示とプロジェクト横断の表示を挙げています。エコノミープランへ移る組織では、6か月を超える範囲を1枚で見ることができなくなります。プロジェクト横断の表示は2026年秋ごろのリリース予定と案内されています。
Q3. 日程表を移すために、最低限どの情報を運べばよいですか?
開始日、期限日、担当者、親子関係、マイルストーンの5つです。この5つがそろえば、移した先で日程表が自動的に組み上がります。逆にこれらが空の課題は、移す前も後も日程表に出てきません。移行の前に、期限日が入っていない課題が何件あるかを数えておくと、作業量の見積りが正確になります。
Q4. 親子で組んだ課題の関係は、そのまま移せますか?
順番を守れば移せます。親を先に登録し、子をあとから登録してください。同時に流し込むと、親がまだ無い状態で子が登録されて関係が付きません。Backlogの一括登録は1回あたり250件が上限なので、分割するときは件数で切らず、親の単位で切ります。Googleスプレッドシートでの一括登録では孫課題を登録できない点にも注意が要ります。
Q5. 移行にどれくらいの時間がかかりますか?
課題300件、プロジェクト5つ、10人規模で、書き出しから確認までおおよそ7時間が目安です。内訳は書き出し30分、日付の確認と修正1時間、担当者の対応表30分、親子の並べ替え1時間、取り込みと確認2時間、日付が空の課題の補完2時間です。最後の補完は元の状態次第で大きく変わります。