Backlogから移る手順|止める前に決めておくこと
「backlog 移行」で検索している人の多くは、まだ移ると決めていません。決めるための材料を探している段階です。2026年6月17日に料金改定が告知されて以降、この検索が増えました。
この記事は、移行の作業手順書ではありません。移るか、残るか、縮めるかを決めるための手順です。作業の手順書は移ると決めてから要るものであって、その前に決めなければならないことが5つあります。順番を間違えると、必要のない作業に何十時間も使うことになります。
先に立場をはっきりさせておきます。この記事は「値上げだから乗り換えろ」とは言いません。プランによっては上げ幅が3割台に収まり、移行にかかる人の時間のほうが高くつきます。Backlogは長く使われてきた製品で、日本語のサポートがあり、課題管理とGit / Subversionを1つのスペースで扱えます。移らない判断が正解になる組織のほうが、おそらく多数派です。記載はすべて2026年9月2日時点で公式サイトに掲載されていた内容にもとづいており、金額はすべて税抜です。
決めることは5つある
順番を先に置きます。この順番でないと、感情で決めることになります。
第1に、自分のスペースの適用開始日を確定させる。第2に、人数とプロジェクト数を数えて、新プランのどこに着地するかを確定させる。第3に、その金額差を出す。第4に、移行にかかる人の時間を見積もる。第5に、差額と移行コストを並べて比べる。
多くの人は第3から始めます。ニュースで見た金額を自分に当てはめて「2倍になる」と思い込み、そこから乗り換え先を探し始めます。しかし第1と第2を飛ばすと、そもそも自分がどの型に当たるのかが分かりません。7.78倍になる組織と、33%増で済む組織が、同じ告知を見ています。
第1に決めること:いつから変わるのか
料金改定の日付は3つあり、混同すると計画が狂います。
| 日付 | 何が起きるか |
|---|---|
| 2026年12月31日 | 現行4プランの新規契約の受付が終了する |
| 2027年1月1日 | 新3プランの提供が始まる |
| 適用開始日 | 既存の契約が新プランへ切り替わる。スペースごとに異なる |
いま契約している組織にとって効くのは3つ目です。適時開示には「既に現行プランをご利用中のお客様については、プラン改定日以降最初に到来する契約更新日より、順次新プランへ移行のうえ改定後のプランが適用されます」と書かれています。全社一律で2027年1月1日から上がるのではありません。
自分のスペースの適用開始日は、契約管理者または管理者が「組織設定」の「プラン」画面で確認できます。トライアル中、プラン停止中、フリープランの場合は、この案内が表示されません。またプランを停止している場合、2027年1月1日以降に再開すると新プランでの再開になります。
年払いで契約している組織なら、更新日によっては1年近い猶予があることになります。逆に月払いなら、2027年1月から数えて最初の更新日にすぐ来ます。この差は、移行の計画をまるごと変えます。1年あるなら急ぐ必要はありませんし、1か月なら今週中に方針を決める必要があります。
予約が必須になる組織がある
もう1つ、期限のある作業があります。新プランの予約です。2026年8月5日に提供開始が告知されました。
予約が必須になるのは、次の3つのいずれかに当たる場合です。スタータープランを使っている場合。スタンダードプランでユーザー16名以上またはプロジェクト30超の場合。スタンダードプランでNulab Passを契約している場合。
公式FAQは「予約がない場合、適用開始日以降にBacklogを利用できなくなる可能性があります」と明記しています。ここは移行の検討とは切り離して、先に手を打っておく必要があります。予約の期限の目安は、銀行振込が適用開始日の64日前まで(請求書が発行されるまで)、クレジットカードが適用開始日の2日前までです。
移行先を選んでいる最中に利用できなくなる、というのが最悪の展開です。検討する時間を買うために、いったん予約を入れておくという判断も十分に合理的です。
第2に決めること:どのプランに着地するのか
新プランは3つです。エコノミー、ビジネス、プロフェッショナル。現行の4プランからの対応関係は、公式に示されています。
| 現行 | 2027年1月1日以降 | 自動か手動か |
|---|---|---|
| スターター | 受け皿なし。エコノミー以上を自分で選ぶ | 手動。予約が必須 |
| スタンダード(15名以下かつ30プロジェクト以下、Nulab Pass無し) | エコノミー | 自動 |
| スタンダード(16名以上、または31プロジェクト以上、またはNulab Pass契約中) | ビジネスまたはプロフェッショナル | 手動。予約が必須 |
| プレミアム | ビジネス | 自動 |
| プラチナ | プロフェッショナル | 自動 |
| フリー | 新フリープラン | 自動 |
スタンダードを使っている組織は、この表のどこに入るかで金額が大きく変わります。エコノミーなら月21,000円、ビジネスなら月36,300円。15,300円の差です。年額では183,600円の差になります。だから数えることに意味があります。
ユーザー数の数え方
エコノミーの上限は15名です。数えるときに見落とされるのは次の3つです。
1つ目は、退職した人のアカウントです。無効にしただけで残っている場合、数に入っている可能性があります。2つ目は、外部パートナーや取引先のアカウントです。案件が終わったのに残っていることがよくあります。3つ目は、共有アカウントや通知専用のアカウントです。人ではないアカウントも1つは1つです。
17名と15名の差が、年額183,600円の差になります。棚卸しの1時間は、その金額に見合います。
プロジェクト数の数え方
エコノミーの上限は30です。ここに大きな落とし穴があります。公式FAQは、アーカイブ済みのプロジェクトも上限に加算されると明記しています。
「使っていないものはアーカイブしてあるから大丈夫」と考えている組織は、必ず数え直してください。アーカイブは片付けであって、削除ではありません。数から外すには削除が要ります。そして削除すれば、その中の課題も見られなくなります。アーカイブと削除の違いが、そのまま金額の差になります。
削除する前に、そのプロジェクトの課題を書き出して保管しておくのが安全な進め方です。課題の検索結果は、CSVまたはExcel形式でダウンロードできます。書き出してから削除すれば、記録は手元に残ります。
容量も同じ日に確かめておく
人数とプロジェクト数の陰に隠れますが、容量は移行先を選ぶときに効きます。先に見ておいてください。
新プランの容量は、エコノミーが30GB、ビジネスが100GB、プロフェッショナルが300GBです。現行のスタンダード、プレミアム、プラチナと同じ数字なので、自動で移る組織は容量について何もしなくて構いません。むしろ増える組織があります。スタータープランは現行が1GBなので、エコノミーに上がると30倍になります。容量が理由で添付を我慢していたチームにとっては、金額と引き換えに制約が1つ消えることになります。
逆に、費用を抑えるために無料枠へ逃げる案を考えているなら、ここが壁になります。フリープランの総容量は100MBです。設計図や動画の書き出しを日常的にやり取りしているチームでは、数か月で埋まります。ユーザー5名という上限より先に、容量のほうが効く場合があります。
容量を確かめる意味は、残っている枠を知ることだけではありません。いま何GB入っているかは、そのまま移行作業の重さです。25GBの添付ファイルを別の場所へ運ぶには、落とす時間と上げる時間の両方がかかります。移行先の容量上限がそれを下回っていれば、その時点で候補から外れます。金額の比較表を作る前に、この1行を確かめてください。
現行のプラン別の変化幅
金額の変化を、移行の型ごとに並べます。いずれも月払いの税抜金額です。
| 移行の型 | 変化 |
|---|---|
| スターターからエコノミー | 2,700円から21,000円。7.78倍 |
| スタンダード(15名以下かつ30プロジェクト以下)からエコノミー | 16,000円から21,000円。31.2%増 |
| スタンダード(16名以上または31プロジェクト以上)からビジネス | 16,000円から36,300円。2.27倍 |
| プレミアムからビジネス | 27,000円から36,300円。34.4%増 |
| プラチナからプロフェッショナル | 75,000円から100,000円。33.3%増 |
この表の読み方は1つです。7.78倍の行と、33.3%の行は、まったく違う状況です。前者は本気で乗り換えを検討する理由があり、後者はほとんどの場合、移行にかかる人の時間のほうが高くつきます。自分がどの行にいるかを確定させないまま、移行の話を進めないでください。
金額だけでなく、機能の線も動く
見落とされがちですが、プランが統合されると機能の割り当ても変わります。スタンダードからエコノミーへ自動で移る組織は、金額だけを見て安心していると、使えなくなるものに後から気づくことになります。
公式には「基本的に現在ご利用の機能と同等の機能が利用できます」とされており、加えてエコノミーでは2段階認証の必須化が使えるようになります。ただし新プランの資料には、エコノミーで使えないものとして次が挙げられています。
・孫課題(3階層) ・ガントチャートの長期間表示 ・プロジェクト横断ガントチャート ・カスタム属性 ・Backlog AIアシスタント ・Nulab Flowbase ・アクセスログ ・SAML認証、監査ログ、ユーザープロビジョニング(いずれもNulab Pass) ・ストレージ容量追加オプション
このうち、多くの組織にとって効くのはガントチャートの表示範囲です。現行のスタンダードでは表示範囲が6か月分と案内されていました。新プランでは、6か月以上の期間の表示とプロジェクトを横断した表示が、ビジネスプランとプロフェッショナルプランでのみ利用できる機能として挙げられています。年単位の工程表を引いているチームは、ここが線になります。プロジェクト横断ガントチャートについては、2026年秋ごろのリリース予定と案内されています。
上限まわりも変わります。IPアドレス制限の上限は、エコノミー50、ビジネス100、プロフェッショナルは無制限です。課題1件あたりの添付ファイル数は、エコノミー30、ビジネスとプロフェッショナルは50です。セキュリティシートは、エコノミーは対象外、ビジネスは有料、プロフェッショナルは年1回無料と案内されています。取引先の情報セキュリティの確認に対応する必要がある組織は、ここを先に確かめてください。
一方で据え置きのものもあります。Gitリポジトリ数は全プラン無制限で、1リポジトリあたり10GBです。ドキュメントの同時共同編集は全プラン12人です。ストレージも現行と同じ数字が据え置かれています。
フリープランを使っている組織は、人の出入りの計画を先に立てる
無料で使ってきた組織にも変更があります。新しいフリープランでは、ユーザー上限が10名から5名に減ります。
段階を正確に押さえておきます。2026年12月31日までに追加済みの10名までは、引き続き使えます。ただし2027年1月1日以降は新規のユーザー追加ができません。そして、6名以上で使っていた組織が2027年1月1日以降にユーザーを減らすと、5名を超える人数には戻せません。
これは、人の出入りがあるチームには重い制約です。8名で使っている状態で1人抜けて7名になり、その後に新しい人が入ろうとしても、追加できません。減らすのは一方通行だと考えて計画を立ててください。2026年内に入る予定の人がいるなら、年内にアカウントを作っておくかどうかの判断が要ります。
第3に決めること:本当に移らなければいけないのか
差額が出たら、次は移らずに済ませる道を先に潰します。移行は最後の手段です。
縮めて、上限の手前に着地する
エコノミーの上限は15名と30プロジェクトです。いま18名で35プロジェクトなら、この手前に着地させることで年額183,600円が変わります。使っていないアカウントを外し、終わったプロジェクトを書き出してから削除する。この作業に半日かけて年額18万円が変わるなら、時給の計算としては悪くありません。
ただし無理に縮めるのは危険です。人数を減らすために、必要な人をツールから締め出すと、その人の作業が別の場所(チャットやメール)へ逃げます。進捗の表はすぐ嘘になります。金額のために運用を壊すなら、本末転倒です。
支払い方法を選び直す
2027年1月1日以降、銀行振込で選べる支払い期間は年払いのみになります。現在の3か月と6か月は廃止され、銀行振込で3か月や6か月を選んでいる場合は、適用開始日から自動的に年払いに変更されます。クレジットカード払いなら、月払いと年払いを引き続き選べます。
エコノミーの年払いは年額239,400円(税抜)です。この一括請求が資金繰りに響くなら、クレジットカード払いに切り替えて月払いを維持するという選択肢があります。年払いは月払いに比べて5%オフなので、月払いを選ぶとその分だけ割高になりますが、資金繰りとの兼ね合いで決める話です。この割引率は改定の前後で変わりません。
待つという選択
過去に一度、延期の前例があります。クラシックプランの提供終了は、当初2024年5月31日の予定でしたが、2024年3月6日に延期が告知され、2025年5月31日へ1年延ばされました。理由は、移行に不安を感じる利用者へのサポートを厚くするためと説明されています。
今回の改定が延期されると断言はできません。適時開示まで出ている話なので、前回と性質が違うとも言えます。ただ「一度そういうことがあった」という事実は、慌てて決めない材料にはなります。適用開始日まで半年以上あるなら、数か月様子を見てから動いても間に合います。
なお、Backlog自体の提供終了の告知はどこにも出ていません。2026年に入ってからもBacklog AIアシスタント(2026年3月)、関連課題(2026年7月28日)、AIレビュー(2026年8月7日)、孫課題(2026年8月18日)と機能追加の発表が続いており、2026年6月22日には中期経営計画も開示されています。サービスが無くなるから移らなければならない、という状況ではありません。
第4に決めること:移るとしたら、何時間かかるのか
ここが判断の核心です。差額は請求書に出ますが、移行の時間は請求書に出ません。だから軽く見積もられます。
移行の作業量を決めるのは、持ち出せるものと持ち出せないものの境目です。公式ヘルプに書かれている内容から、境目を整理します。
持ち出せるもの
課題とコメントは、課題の検索結果からCSVまたはExcel形式でダウンロードできます。公式ヘルプには次のように書かれています。
課題の検索結果をExcel形式やCSVなどで出力できます。 出典: support-ja.backlog.com
公式ヘルプは、Excel形式にはセルが含むことができる合計文字数の制限があるため、文字数が大きい場合はCSV形式を推奨しています。移行が目的ならCSVを選んでください。
共有ファイルはWebフォルダやFinderからダウンロードできます。GitリポジトリはBacklogに保管されているものをすべてGitのcloneで取得します。Subversionは公式ヘルプの手順でエクスポートします。課題やWikiなどのデータを一括で受け取りたい場合は、有料オプションの「スペースデータのバックアップ 50,000円(税抜+消費税)」があり、共有ファイルや添付ファイルと一緒にGoogleドライブで提供されます。
持ち出せるが欠けるもの
コメントには上限があります。公式ヘルプに「課題のコメントの取得上限数は200件です。」と明記されています。200件を超えるコメントが付いた課題では、超えた分が書き出しに含まれません。長く運用しているチームほど当たります。
添付ファイルは、課題との結び付きが切れる
共有ファイルはWebフォルダやFinderからダウンロードできます。ただし手元に落ちてくるのはファイルそのものであって、「どの課題に付いていた添付か」という結び付きが一緒に落ちてくるとは限りません。課題の書き出しはCSVで、ファイルの取り出しはフォルダです。この2つを突き合わせて結び直す作業は、人の手になります。
現実的かどうかは、10件のファイル名を見れば判断できます。「見積書_20260415_A社.pdf」のように中身が分かる名前が並んでいるなら、後から結び直せます。「image001.png」「スクリーンショット 2026-04-15 14.32.10.png」が並んでいるなら、結び直すのは無理だと考えてください。その場合は、動いている課題の添付だけを人の手で貼り直し、完了した課題の添付はフォルダのまま保管する、という割り切りになります。
まとめて受け取る道もあります。有料オプションの「スペースデータのバックアップ」を使うと、課題やWikiなどのデータのCSVと、共有ファイル・添付ファイルが一緒にGoogleドライブで提供されます。50,000円(税抜)です。人が数日かけて落として整理する作業と比べれば、この金額が高いとは限りません。ただし後述のとおり、受け取ったデータをBacklogに戻すことはできません。
Wikiは、まとめて出す手段が限られる
課題と違い、Wikiだけを画面から一括で書き出す手段は、公開資料では確認できませんでした。確認できたのは、有料オプションのスペースデータのバックアップの説明に「課題やWikiなどのデータをCSV形式ファイルにし」と書かれていることだけです。
とはいえ、Wikiを全部運ぶ必要がある組織はほとんどありません。中身の性質が2つに分かれるからです。手順書、運用ルール、環境の設定メモのように今も読まれているページは移す価値があります。過去の議事録、終わった案件の仕様、もう使っていないサービスの手順は、移す必要がありません。ページ数を数えて、そのうち直近1年で開いたものが何ページあるかを見てください。ここを分けないまま「Wikiが持ち出せないから移れない」と結論を出すのは早すぎます。
移すと決めたページが30ページ以下なら、画面からコピーして貼り直すのが早いです。それを大きく超えるなら、有料オプションを使うか、Wikiだけは移さずに旧環境を読む場所として残す判断のほうが安く付きます。
親子の関係と、担当者の対応づけ
課題の階層は、条件付きで運べます。Backlogの一括登録用CSVには「親課題」の項目があるので、親子の関係そのものは入力できます。ただしGoogleスプレッドシートを使う登録方法では孫課題を登録できないと公式ヘルプに書かれており、3階層で運用しているなら手段が限られます。そもそも孫課題は新プランのエコノミーでは使えないものとして挙げられているので、階層を前提にした運用をしているチームは、移る移らない以前にここを確かめる必要があります。移行先が親子をどう扱うかは候補ごとに違うため、個別に見てください。
担当者は、もっと単純ですが見落とされます。一括登録用CSVには「担当者」の項目がありますが、そこに書いた名前が通るのは、移行先に同じ人のアカウントが先に作られている場合だけです。つまり15人のチームなら、課題を入れる前に全員分のアカウントを作り、書き出したCSVの担当者名を移行先の表記に合わせて置き換えておく必要があります。ここを飛ばすと、担当者の欄が空の課題が並びます。自分の名前が入っていない課題を、人は自分の仕事だと思いません。移行の翌日に誰も動かないとしたら、原因はたいていここです。
戻せないもの
公式ヘルプには「バックアップしたデータは、Backlogにインポートできません。」と明記されています。有料オプションで受け取ったデータで、Backlogの状態を復元することはできません。
作り直しになるもの
プロジェクトの構成、ユーザーの権限、カスタム属性の定義、状態の並び、種別の一覧といった設定については、書き出しの手段が公開資料では確認できませんでした。移行するなら手で作り直す前提で見積もってください。ここが移行の見積もりで最も見落とされる工数です。
取り込み側の制約
書き出したCSVを、そのまま別の場所へ入れられるとは限りません。Backlog自身の一括登録ですら、公式ヘルプに、専用テンプレートをダウンロードして使う必要があり、「課題検索結果一覧の出力」機能で出力したCSVでは一括登録はできないと書かれています。さらに課題の「状態」は入力できず、すべて「未対応」で登録されます。一度に登録できるのは最大250件です。
公式ヘルプの記載は次のとおりです。
課題の「状態」は入力できません。すべて「未対応」で登録されます 出典: support-ja.backlog.com
状態が落ちる影響は大きいものです。過去3年ぶんの課題を移した先で、完了済みのものも全部が「未対応」で並びます。この状態でチームに使わせようとすると定着しません。多くの組織は、完了済みの課題は移さず記録として保管し、動いている課題だけを移すという割り切りを選びます。
時間の見積もりに使う4つの数字
以上を踏まえて、次の4つを数字にしてください。これが移行の見積もりの土台になります。
コメントが200件を超える課題が何件あるか。動いている課題が何件あって、それを250件ずつ分けると何回になるか。添付ファイルを課題に結び直す作業が現実的かどうか(ファイル名を10件見れば判断できます)。カスタム属性と状態と種別の定義を作り直すのに何日かかるか。
この4つが出たら、差額と並べます。年額18万円の差のために100時間を使うなら、判断は明確です。逆にスタータープランから7.78倍になる組織なら、年額21万円以上の差なので、計算が変わります。
何を移して、何を移さないか
移行が途中で止まる原因は、ほぼ1つです。全部を移そうとすることです。
過去3年ぶんの完了案件まで含めて運ぼうとすると、書き出しの回数、コメントの取りこぼしの確認、添付の結び直し、状態の入れ直しが、その全部に乗ります。そして移した先で、そのほとんどは二度と開かれません。作業の大半が、誰も見ないデータのために使われることになります。移行を「データの引っ越し」として設計すると、必ずここで止まります。
線引きの案を置きます。移すのは、いま動いている課題、今後3か月以内に着手が決まっている課題、現在も参照されている手順書とルール、そして期限がまだ来ていない契約や請求に関わる記録です。移さないのは、完了した課題、中止になった案件、過去の議事録、寝ているプロジェクト、担当者が抜けたまま引き継がれていない課題です。
移さないと決めたものは、消すのではなく書き出して保管します。課題の検索結果をCSVで落とし、案件ごとにフォルダを分けて、共有のドライブに置く。それだけで「あのときどう決めたか」は追えます。検索の速さは落ちますが、年に数回しか開かない情報のために移行の工数を倍にする理由はありません。
移す対象が何件あるかを数える
線引きを決めたら、件数にしてください。課題の検索で、状態が完了以外のものだけを絞り込みます。その件数が、移行の作業量そのものです。
多くのチームで、動いている課題は全体の1割から2割に収まります。5,000件の課題があっても、移す対象は500件から1,000件です。一括登録は一度に最大250件なので、2回から4回で終わります。全部を移す前提だと20回になり、そこで気持ちが折れます。同じデータでも、線を引くかどうかで作業量は10分の1になります。
プロジェクト単位でも同じことをしてください。35プロジェクトあっても、この半年で課題が1件も追加されていないものは、移す対象ではありません。移行を機に、寝ているプロジェクトを書き出して片付けるなら、その作業はエコノミーの上限30に収めるための棚卸しと同じものです。移っても残っても、どちらの道でも無駄にならない作業は、この棚卸しだけです。だから真っ先に手を付けてください。
移らないほうが安く済む場面
差額と工数を並べたときに、残るほうが正しくなる組織があります。ここを先に潰しておかないと、移行の検討そのものが無駄な時間になります。
Git / Subversionが業務の中心にある
Backlogでは、Git / Subversionが無料のフリープランを含む全プランで使えると公式に記載されています。新プランでもリポジトリ数は全プラン無制限、1リポジトリあたり10GBで共通です。課題とコードの置き場が1つのスペースに入っている状態は、他のツールにあまりありません。
ここが業務の中心なら、移る理由はかなり薄くなります。課題管理だけを別の場所へ移すと、コードの置き場を別に用意することになり、その費用と管理の手間がそのまま移行コストに乗ります。しかも課題とコミットの結び付きは切れます。差額が年額で18万円だとしても、コードの置き場を別に契約すれば、その差はすぐ埋まります。
上げ幅が3割台に収まる層
プレミアムからビジネスは34.4%増、プラチナからプロフェッショナルは33.3%増、スタンダードのうち上限内に収まる組織はエコノミーへ31.2%増です。しかも自動で移るので、契約の手続きも要りません。
この層にとって、移行は割に合いません。プレミアムからビジネスなら、月9,300円、年111,600円の増加です。移行に人を2人、それぞれ40時間かければ、その年の差額は初年度で消えます。加えて、切り替え直後の数週間はチーム全体の作業が遅くなります。そこまで含めると、上げ幅3割台で移る判断は、よほど別の不満がない限り成立しません。
数字より、使い続けられるかで決める場面
金額と工数を並べても差が小さいときは、道具を毎日開く人の側で決めてください。進行を預かる立場から見て、いまの道具で困っているのが「金額」だけなら、残るのが正解です。困っているのが「入力する人が増えない」「工程表を1人で引き直している」であれば、金額とは別の理由で見直す価値があります。
料金改定は、あくまできっかけです。値上げされたから移る、という理由だけで動いた移行は、たいてい定着しません。移った先でも同じ人しか入力しないなら、払う金額が下がっただけで、進捗の表は相変わらず嘘のままです。
第5に決めること:移るとしたら、どこへ
移ると決めた場合の候補の選び方です。ここで大事なのは、Backlogと同じものを探さないことです。同じものは存在しないので、探すと必ず不満が残ります。決めるべきは、何を諦めて何を取るかです。
性格の違うものを並べて比べるのが確実です。カード中心の軽い運用に寄せたいならTrelloとの比較、部署をまたぐ規模の運用ならAsanaとの比較、文書とタスクを同じ場所に置きたいならNotionとの比較を見ると、自分たちが何を優先しているのかがはっきりします。Backlogとの考え方の違いを正面から整理したものはBacklogとの比較に、他の候補も含めた一覧は比較の一覧にまとめてあります。
こちら側の制約もはっきり書いておきます。このサイトが案内しているツールは、進行を1つの板にまとめることに寄せた作りで、自動化や外部サービスとの連携の多さでは勝負していません。リポジトリの機能は持っていないので、Git / SubversionをBacklog内で使っている組織は、コードの置き場を別に決める必要があります。画面は日本語のみです。そして自動の取り込みはTrelloからのものだけで、Backlogからの自動移行の仕組みは用意していません。仕組みの内容はTrelloからの移行に書いてあるとおりで、Backlogから移る場合は書き出したCSVを整えて手で入れ直す前提になります。
移行先を決めるときに、必ず確かめてほしい点が2つあります。1つは、取り込みの手段が何で、どの形式を受け付けるのか。もう1つは、その先で自分たちが出ていきたくなったときに、書き出せるのかどうかです。入れる話ばかりを聞いて、出す話を確かめないまま決めると、同じことをもう一度やる羽目になります。
社内で説明するときに必要になるもの
移るにせよ残るにせよ、この判断は自分ひとりでは完結しません。決裁する人、経理の担当者、そして毎日その道具を使うチームの3方向に説明が要ります。それぞれ聞きたいことが違います。
決裁する人に出すもの
必要なのは3つの数字だけです。適用開始日、いまの年額と改定後の年額、そしてその差額。ここに「移った場合の初期の手間」を時間で添えます。ツールの機能の比較表を持っていっても読まれません。判断に要るのは、いつ、いくら増えるのか、それを避ける道があるのか、の3点です。
差額を出すときは、消費税を足した金額で出してください。Backlogの公表金額はすべて税抜です。税抜のまま稟議に出すと、あとで金額が合わず差し戻されます。
経理の担当者に伝えるもの
伝えるべきは金額よりも、支払いの形が変わることです。銀行振込の3か月と6か月が廃止されて年払いのみになる点、クレジットカードなら月払いを維持できる点、そして請求書は次回の契約開始日の63日前に発行される点です。発行後の調整は問い合わせ扱いになるため、支払い方法を変えるなら発行前に決める必要があります。
年払いへ自動的に切り替わる組織にとっては、その年度の資金繰りに直接効きます。金額の増減より先に、この話を通しておくほうが揉めません。
チームに伝えるもの
チームが気にするのは金額ではありません。「明日から画面が変わるのか」「過去の課題は見られるのか」「自分のやりかけの作業はどうなるのか」の3つです。
残ると決めた場合でも、ガントチャートの表示範囲など、使えるものが変わる可能性があります。何が変わって何が変わらないのかを先に伝えておけば、当日の混乱は起きません。移ると決めた場合は、完了済みの課題を移さない方針なら、そのことを必ず先に伝えてください。「過去の課題が新しい場所に無い」ことを事前に知らされているのと、切り替えた日に気づくのとでは、受け止め方がまったく違います。移行で失敗する原因の多くは、データの問題ではなく説明の不足のほうにあります。
並行して動かす期間を、いつまでにするか
移ると決めたあとで、最も定着を左右するのがここです。作業手順そのものより、切り替えの設計のほうが結果を決めます。
「しばらく両方に書く」は運用として成立しない
まず押さえるべきは、両方に書く期間を長く取らないことです。「しばらくは両方に入れましょう」という運用は、必ずどちらかが更新されなくなります。そしてどちらが正しいのか分からなくなり、結局どちらも信用されなくなります。二重入力は、慣れの問題ではなく、単純に手間が2倍だから続きません。
代わりに使うのが、書く場所と読む場所を分ける考え方です。ある日を境に、新しく書くのは新しい場所だけにする。古い場所は読むためだけに残す。書き込みは1か所、参照先は2か所という状態にすれば、二重入力は起きません。並行運用とは、両方に書くことではなく、片方を読む専用にすることです。
旧環境を読み取り専用にする日を決める
読む専用に切り替える日は、移行の作業が終わった日ではありません。移す対象の課題を新しい場所に入れ終えた日です。この2つは違います。添付の整理やWikiの片付けは、読む専用にしたあとでも続けられます。
運用として止める方法は2つあります。1つは、チームに「この日から旧環境に新しい課題を作らない」と伝えて、周知で止めるやり方です。もう1つは、使い終わったプロジェクトをアーカイブして、日常の一覧から外すやり方です。ただしアーカイブしたプロジェクトも新プランのプロジェクト数の上限に加算されるので、上限に近い組織は、この操作が金額に効く点だけ忘れないでください。
日付の目安を出します。移す対象の課題を入れ終えた日を起点に、2週間は旧環境を普通に見られる状態で残します。ここで「あれが無い」という声が出ます。その声が止まったら読む専用に切り替え、さらに契約が切れる日まで残す。この形なら、移し漏れが出ても取り返せます。
契約を切る日は、いちばん最後に決める
元のスペースは急いで閉じないでください。移し漏れは必ず出ます。そして持ち出せるかどうかは、契約を切ってからでは確かめられません。
適用開始日が2027年の後半にあるなら、そこまでは旧料金のまま使えます。慌てて解約する理由はありません。契約期間中に解約しても返金の対応は無いと公式ページに書かれているので、途中で切ること自体に金銭上の得もありません。移行が終わったあとも、契約期間が終わる日まで置いておくのが最も安全です。
切り替えの日は、忙しくない週を選ぶ
締切が重なっている週に道具が変わると、探す時間が増えます。そしてその分だけ、新しい道具への印象が悪くなります。道具が定着するかどうかは、最初の1週間の体験でかなり決まります。
無料で試せる期間も、この設計に組み込めます。Backlogの無料トライアルはどのプランも30日間です。移行先の候補にも同種の期間があるのが普通なので、本番の切り替えの前に、動いている課題を20件だけ入れて1週間回してみてください。20件で使いにくいものは、500件入れても使いやすくなりません。全部を移してから合わないと気づくのが、いちばん高くつきます。
今日できる確認手順
最後に、今日のうちに終わる手順を並べます。ここまでの判断は、全部この7つの数字の上に載っています。逆に言えば、この7つが埋まるまでは移行の話を進める意味がありません。所要はおおむね15分から30分です。
1つ目。「組織設定」の「プラン」画面を開いて、適用開始日を控える。ここが全部の起点です。トライアル中、プラン停止中、フリープランでは表示されないので、その場合は次に進みます。
2つ目。ユーザーの一覧を開いて人数を数える。退職者、案件が終わった外部パートナー、通知専用のアカウントを分けて数えます。エコノミーの上限15名に対して、いくつ余っているか、いくつ超えているかを出します。
3つ目。プロジェクトの一覧を、アーカイブ済みも含めて数える。上限30との差を出します。ここが自動移行かどうかの分かれ目になります。
4つ目。Nulab Passを契約しているかどうかを確かめる。契約している場合、スタンダードプランからの自動移行の対象から外れ、ビジネス以上を自分で選ぶことになります。
5つ目。支払い方法と支払い期間を確かめる。銀行振込で3か月または6か月を選んでいるなら、適用開始日から自動的に年払いへ変わります。ここは経理の担当者に先に伝える必要がある項目です。
6つ目。1から5の結果から、予約が必須に当たるかどうかを判定する。スタータープラン、スタンダードでユーザー16名以上またはプロジェクト30超、スタンダードでNulab Pass契約中、のいずれかなら必須です。当たっていれば、検討の結論を待たずに予約だけ先に入れておきます。銀行振込は適用開始日の64日前まで、クレジットカードは2日前までが目安です。
7つ目。課題の検索で、状態が完了以外のものを絞り込んで件数を出す。これが、移るとした場合の作業量の目安になります。
この7つが揃えば、移るか、残るか、縮めるかの判断に必要な材料は出そろいます。材料が出そろっていない段階で乗り換え先を探し始めるのが、いちばん時間を失う進め方です。金額の話は請求書が教えてくれますが、この7つは自分で数えないと誰も教えてくれません。
Q1. Backlogの料金はいつから変わりますか?
2027年1月1日から新しい3プランが始まりますが、既に契約している組織への適用は一律ではありません。適時開示には、現行プランを利用中の場合はプラン改定日以降最初に到来する契約更新日から新プランが適用されると書かれています。この日をヌーラボは適用開始日と呼んでおり、スペースごとに違います。契約管理者または管理者が「組織設定」の「プラン」画面で確認してください。
Q2. 移行しないとBacklogが使えなくなりますか?
サービス自体の提供終了の告知は出ていません。ただし新プランの予約が必須になる組織があり、公式FAQは「予約がない場合、適用開始日以降にBacklogを利用できなくなる可能性があります」と明記しています。対象は、スタータープラン利用中、スタンダードでユーザー16名以上またはプロジェクト30超、スタンダードでNulab Pass契約中のいずれかです。検討中でも予約は先に入れておくのが安全です。
Q3. プロジェクトをアーカイブすれば上限に入りませんか?
入ります。公式FAQは、アーカイブ済みのプロジェクトもプロジェクト数の上限に加算されると明記しています。エコノミーの上限は30プロジェクトなので、アーカイブしたものを数え漏らすとビジネスプランに着地して、月額で15,300円の差が出ます。数から外すには削除が必要ですが、削除すると中の課題も見られなくなるため、先に課題をCSVで書き出して保管してください。
Q4. 移行にどれくらいの時間がかかりますか?
4つの数字で見積もります。コメントが200件を超える課題の件数、動いている課題の件数を250で割った回数、添付ファイルを課題に結び直せるかどうか、そしてカスタム属性や状態の定義を作り直す日数です。一括登録では状態がすべて「未対応」で登録されるため、完了済みの課題は移さず記録として保管する割り切りを選ぶ組織が多く、その場合は対象が大きく減ります。
Q5. 移らずに費用を抑える方法はありますか?
上限の手前に着地させる方法があります。エコノミーの上限はユーザー15名とプロジェクト30です。退職者や案件が終わった外部パートナーのアカウントを外し、終わったプロジェクトを書き出してから削除すれば、ビジネスプランとの年額183,600円の差を回避できる場合があります。ただし必要な人を締め出すと作業がチャットやメールへ逃げるため、運用を壊さない範囲で行ってください。