書き出した課題を別の場所へ入れる|対応づけの決め方
「backlog 課題 インポート」で調べている人の多くは、課題を移す作業そのものより、移したあとに何が欠けるのかを知りたがっています。件名と詳細は運べます。担当者も日付も、書式さえ合わせれば運べます。落ちるのはたいてい、状態とコメントと添付ファイルです。この記事では、Backlogの公式ヘルプに書かれている仕様だけを土台にして、書き出しから取り込みまでの列の対応づけをどう決めるかを、順番に組み立てます。乗り換えを勧める記事ではありません。移さないという判断も含めて、自分で決められる材料をそろえるための記事です。
いま「課題のインポート」を調べる人が増えている理由
課題の書き出しと取り込みは、本来なら日常の業務ではほとんど使わない機能です。それがここ数か月で検索されるようになった背景には、はっきりした出来事があります。
2027年1月1日の料金改定が告知された
株式会社ヌーラボは2026年6月17日、Backlogのプランを2027年1月1日から変更すると告知しました。同日付で東証グロース市場向けの適時開示も出ています。現行の4プラン(スターター、スタンダード、プレミアム、プラチナ)が、3プラン(エコノミー、ビジネス、プロフェッショナル)に統合されます。
現行の4プラン構成を3プランに統合し、下表の通り料金改定を行います。 出典: backlog.com
日付の整理をしておきます。現行プランの新規契約の受付が終わるのは2026年12月31日です。新プランの提供開始は2027年1月1日です。ただし、いま契約している人に新料金が当たるのは2027年1月1日ちょうどではありません。「2027年1月1日以降に到来する最初の契約更新日」からです。ヌーラボはこの日を「適用開始日」と呼んでおり、スペースごとに違います。
金額の変わり方が、いまのプランで大きく違う
改定前後の金額は次のとおりです。Backlogが公表している金額は改定前も改定後もすべて税抜です。料金ページに「価格は全て税抜表示です。別途消費税がかかります。」と明記されています。
| プラン(現行) | 月払い(税抜) | 移行先 | 移行後の月払い(税抜) |
|---|---|---|---|
| スターター | 2,700円 | 受け皿なし。自分で選ぶ | エコノミー 21,000円から |
| スタンダード(15名以下かつ30プロジェクト以下) | 16,000円 | エコノミー | 21,000円 |
| スタンダード(16名以上または31プロジェクト以上) | 16,000円 | ビジネス以上を予約 | 36,300円 |
| プレミアム | 27,000円 | ビジネス | 36,300円 |
| プラチナ | 75,000円 | プロフェッショナル | 100,000円 |
いちばん揺れるのはスタータープランを使っている組織です。新プランに同格の受け皿がないため、月額2,700円から最低でも21,000円になります。倍率にすると7.78倍です。次に大きいのが、スタンダードプランを16名以上、または31プロジェクト以上で使っている組織で、16,000円から36,300円へ、2倍を超えます。
一方でプレミアムとプラチナの利用者は自動で移り、上げ幅は3割台に収まります。ストレージの上限も据え置きです。つまり「Backlogが値上げする」という一言でまとめてしまうと、自分に当てはまるかどうかが分かりません。まず自分の位置を確かめるのが先です。
調べる目的は3つに分かれる
課題のインポートを調べている人の目的は、実際には次の3つのどれかです。
1つ目は、他のツールからBacklogへ課題を持ち込みたい場合です。この場合に使うのは「一括登録」という機能です。2つ目は、Backlogから別の場所へ課題を持ち出したい場合です。この場合に使うのは課題検索結果の書き出しです。3つ目は、Backlogのなかでプロジェクトを組み替えたい場合です。この記事は主に2つ目を軸にしますが、1つ目の仕様は対応づけを決めるときの手本になるので、あわせて扱います。
Backlogから何を、どの形で持ち出せるのか
公式ヘルプに書かれている範囲を、そのまま並べます。ここに無いものは「公開資料では確認できませんでした」と書きます。
課題とコメントはCSVまたはExcelで出せる
課題の検索結果は、CSV形式またはExcel形式で書き出せます。ヘルプには「課題の検索結果をExcel形式やCSVなどで出力できます。」と書かれており、シンプルな検索、高度な検索、キーワード検索のいずれの結果画面からでも、一覧の右上または右下のアイコンから操作できます。印刷用ページの表示も同じ場所から行えます。
ここで最初の制約が出てきます。コメントの取得上限です。ヘルプに「課題のコメントの取得上限数は200件です。」と明記されています。1つの課題に長い議論が積まれている場合、201件目から先は書き出しに乗りません。設計の議論や不具合の再現手順が、コメント欄に積み上がっているチームでは、ここが最初の分かれ目になります。
もうひとつ、形式の選び方にも公式の推奨があります。Excel形式は「セルが含むことができる合計文字数」の制限を受けるため、文字数が大きい場合はCSV形式を推奨する、と案内されています。課題の詳細欄に長文を書く習慣があるチームは、迷わずCSVを選んでください。
共有ファイル、Git、Subversionはそれぞれ別の手順になる
添付ファイルや共有ファイルは、課題のCSVには含まれません。共有ファイルはWebフォルダやFinderからダウンロードする、という案内になっています。Gitリポジトリは、Backlogに保管されているものをすべて git clone する形で手元に持ってきます。Subversionは、ヘルプの「Subversionのリポジトリのエクスポートサービスはありますか?」の手順に沿ってエクスポートします。
つまり、持ち出しは1回の操作では終わりません。課題、共有ファイル、リポジトリの3系統を別々に扱う必要があります。作業の見積りを立てるときは、この3つを別の工程として数えてください。
スペース全体のバックアップは有料オプションで、しかも戻せない
スペース全体をまとめて出す手段もあります。有料オプションの「スペースデータのバックアップ」で、金額は50,000円(税抜、別途消費税)です。課題やWikiなどのデータをCSV形式のファイルにし、共有ファイルや添付ファイルと一緒にGoogleドライブで提供する、というサービス内容になっています。
ここに重要な注記があります。
バックアップしたデータは、Backlogにインポートできません。 出典: support-ja.backlog.com
このバックアップは、あくまで手元に控えを残すためのものです。同じスペースに戻すことも、別のスペースへ入れ直すこともできません。「とりあえずバックアップを取っておけば、あとでどうにでもなる」という想定は、ここで崩れます。移す先が決まっていない段階でバックアップを買うと、CSVの山だけが手元に残ります。
出せるかどうかが公開資料で確認できないもの
ガントチャートそのものの書き出し、課題の変更履歴、通知の設定、プロジェクトの権限設定については、公式ヘルプに書き出しの手順の記載が見当たりません。これらは「持ち出せない」と断定できるものではなく、「公開資料では確認できませんでした」というのが正確なところです。移行の計画に組み込むときは、ヌーラボの窓口に直接確認してください。
取り込み側の決まりを先に読むと、対応づけが決まる
Backlogへ課題を取り込む機能は「一括登録」という名前です。この仕様は、他のツールへ移すときにも役に立ちます。課題管理ツールが一般に何を必須とし、何を諦めているかが、ここに凝縮されているからです。
専用テンプレートでなければ受け付けない
一括登録に使うCSVは、専用のテンプレートをダウンロードして使う必要があります。公式ヘルプは「課題検索結果一覧の出力」機能で出力したCSVでは一括登録はできない、と明記しています。つまり、書き出したCSVをそのまま別のスペースへ流し込むことはできません。列の並びも、想定されている項目も違うためです。
CSVの1行目は登録処理に必要な情報が入っているので削除してはいけません。入力は2行目から始めます。この作法を知らずに1行目を消してしまい、取り込みが通らないという詰まり方は、しばしば起きます。
入力できる項目は決まっている
一括登録で入力できる項目は次のとおりです。件名(必須)、詳細、種別、担当者、開始日、期限日、予定時間、実働時間、カテゴリー、発生バージョン、マイルストーン、優先度、親課題。日付はハイフン区切りで書きます(例として 2025-07-31 という形が示されています)。複数の値を入れる欄はカンマ区切りです。
カスタム属性を登録している場合は、CSVファイルにカスタム属性の項目が追加されます。必須のカスタム属性は、CSVファイルへの入力が必須になります。
状態は入力できない。ここが一番の落とし穴
公式ヘルプの一文が、対応づけの設計を決定づけます。
課題の「状態」は入力できません。すべて「未対応」で登録されます 出典: support-ja.backlog.com
進行中のものも、完了したものも、取り込んだ直後はすべて「未対応」に並びます。数百件を移したあとで、一件ずつ状態を直すという作業が発生します。この一点だけで、移行の計画は変わります。移すのは未完了の課題だけにして、完了済みの課題は書き出したCSVを読み取り用の保管庫として残す、という判断が現実的になるからです。
1回に登録できるのは250件まで
「一度に一括登録できる課題は、最大250件です」と明記されています。1,000件の課題があるなら、少なくとも4回に分けることになります。分けるときは、プロジェクト単位か、マイルストーン単位か、期限日の範囲で切るのが分かりやすい方法です。件数だけで機械的に切ると、親課題と子課題が別のファイルに分かれて、親子関係が壊れます。
なお、Googleスプレッドシートを使った一括登録の案内もあります。CSVによる一括登録との違いとして、Googleスプレッドシートでは孫課題を登録できない、と公式ヘルプに記載されています。3階層で課題を組んでいる場合は、この違いが効いてきます。
列の対応づけを、どの順番で決めるか
ここからが本題です。書き出したCSVを前にして、どの列をどこへ入れるかを決める作業を、迷わない順番に並べます。
件名と詳細から決める
件名は、どのツールにも必ずある項目です。ほぼ機械的に対応します。注意するのは、件名に「【至急】」「[2次]」のような接頭辞を入れる運用をしている場合です。移した先で優先度やラベルの機能を使うなら、接頭辞を外して別の列に移すか、そのまま残すかを先に決めます。中途半端に混ざると、あとから絞り込めなくなります。
詳細は、書式が崩れる可能性を織り込んでおきます。Backlogの詳細欄はMarkdownまたはBacklog独自の記法で書かれていることが多く、移した先の記法と一致するとは限りません。表や画像の埋め込みが多い課題は、崩れたまま移ることを前提に、数件を先に試して見た目を確かめます。
担当者は「誰の名前で照合するか」を決める
担当者の列は、名前をそのまま入れても照合されないことがあります。移す先が電子メールアドレスで人を識別しているなら、書き出したCSVの担当者名をアドレスに置き換える作業が要ります。この置き換えは、人数が少ないうちは手作業で足りますが、20人を超えると対応表を作ったほうが早くなります。
もうひとつ、退職者の扱いを決めます。すでに組織を離れた人が担当者に残っている課題は、移す前に現任者へ付け替えるか、担当者を空にするかを決めておきます。移した先で存在しないアカウントを指すと、取り込みが行ごと弾かれることがあります。
日付は書式をそろえてから触る
開始日と期限日は、日程表の土台になります。書式は取り込む側の作法に合わせます。Backlogの一括登録はハイフン区切りです。他のツールでもハイフン区切りを受け付けるものが多いですが、表計算ソフトで開いた瞬間に「2025/7/31」のような形式へ勝手に変換されることがあります。CSVを表計算ソフトで開くなら、日付の列を文字列として読み込む設定にしてから開いてください。ここで壊れた日付を、あとから見つけるのは骨が折れます。
期限日が入っていない課題がどれくらいあるかも、この段階で数えておきます。日付が入っていない課題は、移した先の日程表にも出てきません。移行を機に日付を入れ直すのか、日付なしのまま運ぶのかを決めます。
状態、優先度、種別は語彙の対応表を作る
ここがいちばん時間を使うところです。Backlogの状態は「未対応」「処理中」「処理済み」「完了」が基本で、プランによっては状態の追加や変更ができます。移す先の語彙がこれと一致することは、まずありません。3列でも4列でもよいので、次の形の表を作ってから作業に入ります。
| 移す前の値 | 移した後の値 | 判断のメモ |
|---|---|---|
| 未対応 | 未着手 | そのまま |
| 処理中 | 進行中 | そのまま |
| 処理済み | レビュー待ち | 確認する人がいる場合のみ使う |
| 完了 | 完了 | 完了分は移さず控えだけ残す案もある |
この表を作らずに始めると、人によって訳し方が変わり、移した先で「処理済み」と「レビュー中」と「確認待ち」が並ぶことになります。1度の作業で終わるはずのものが、半年かけて散らかります。
種別(タスク、バグ、要望など)と優先度(高、中、低)も同じ考え方です。移す先に同じ数の段階が無ければ、段階を減らす方向で寄せます。増やす方向に寄せると、判断がその場任せになります。
親子課題とマイルストーンは、順番を守れば運べる
親子関係のある課題を移すときは、親を先に登録して、子をあとから登録します。同時に流し込むと、親がまだ存在しない状態で子が登録され、関係が付きません。Backlogの一括登録では、親課題の列に指定する形で関係を作ります。
マイルストーン、カテゴリー、発生バージョンは、移す先に同じ考え方の入れ物があるかどうかで扱いが変わります。入れ物が無ければ、ラベルやタグに寄せるか、件名の接頭辞に落とすかの二択です。落とし先が決まっていない情報を、とりあえず詳細欄の末尾に貼り付けるのは避けてください。あとで絞り込めない形になります。
コメントと添付ファイルは、別枠で計画する
課題の書き出しにはコメントが含まれますが、上限は200件です。そして取り込む側の一括登録には、コメントを入れる項目がありません。つまりコメントは、多くの場合そのままの形では運べません。
現実的な扱い方は3つです。1つは、コメントを詳細欄の末尾に日付と発言者つきで連結して運ぶ方法です。読み返しはできますが、あとから返信を追加する形にはなりません。2つは、書き出したCSVを共有ドライブに置き、読み取り専用の記録として保管する方法です。3つは、コメントを運ばず、必要になったときだけ元のスペースを参照する方法です。この3つ目を選ぶなら、元の契約をいつまで残すかを先に決めておく必要があります。
添付ファイルも同じです。CSVにはファイルの実体が入りません。共有ファイルとしてまとめてダウンロードし、フォルダ構成を課題の番号に合わせて並べ直すのが、いちばん手戻りの少ないやり方です。
今日できる確認手順
読んで終わりにしないために、今日中に終わる作業を並べます。所要時間はいずれも15分から30分程度です。
自分のスペースの適用開始日を確かめる
契約管理者または管理者が、「組織設定」の「プラン」画面を開くと、自分のスペースの適用開始日が表示されます。ここが分からないと、いつまでに何を決めればよいかが決まりません。ただし、トライアル中、プラン停止中、フリープランの場合は、この案内が表示されません。
あわせて予約の期限も確かめます。銀行振込の場合は適用開始日の64日前まで(請求書が発行されるまで)、クレジットカードの場合は適用開始日の2日前までが目安として案内されています。請求書は次回の契約開始日の63日前に発行されます。
人数とプロジェクト数を数える
新プランのエコノミーは、ユーザー数15、プロジェクト数30が上限です。ここを超えるとビジネスになり、月額が21,000円から36,300円へ変わります。数えるときの注意が2つあります。
1つは、退職者や外部の協力者のアカウントが残っていないかです。使っていないアカウントが人数に乗っていると、上限を超えた判定になります。もう1つは、アーカイブ済みのプロジェクトの扱いです。公式のよくある質問では、アーカイブ済みのプロジェクトも上限に数えると案内されています。寝ているプロジェクトを整理するかどうかで、月額が変わる可能性があります。
1プロジェクトだけ試しに書き出す
いちばん課題の少ないプロジェクトを1つ選び、高度な検索で条件を絞ってからCSVに書き出します。開いてみて、列がいくつあるか、日付がどの書式で出るか、コメントがどの列に入るかを目で確かめます。この15分で、移行にかかる時間の見積りがだいたい立ちます。
移さないものを先に決める
移す計画より先に、移さないものを決めるほうが早く進みます。1年以上更新されていない課題、完了して振り返りも終わった課題、テスト用に作った課題は、移す対象から外します。移す件数が3割減れば、作業時間も3割減ります。
取り込みでつまずく5つの型
作業の途中で止まる原因は、だいたい決まっています。先に知っておけば避けられるものばかりです。
文字コードで文字化けする
CSVを表計算ソフトで開いて保存し直したときに、文字コードが変わってしまうことがあります。日本語の件名が記号の並びになって取り込まれ、数百件分をやり直す羽目になります。CSVは編集用のソフトで文字コードを指定して開くか、表計算ソフトで開くならインポート時に文字コードを明示してください。編集したあとに、必ず数行を目で見て日本語が読めることを確かめます。
改行を含むセルで行がずれる
課題の詳細欄には改行が入ります。CSVでは改行を含む値を引用符で囲む決まりですが、途中で引用符が閉じられていないと、そこから先の行が丸ごとずれます。ずれた状態で取り込むと、件名の欄に詳細の続きが入った課題が大量にできます。取り込む前に、行数がもとの件数と一致しているかを数えてください。数が合わなければ、どこかで行がずれています。
担当者が見つからず行ごと弾かれる
担当者の欄に、移した先に存在しない名前やアドレスが入っていると、その行だけが登録されないことがあります。エラーの一覧が出るタイプのツールならまだ気づけますが、静かに飛ばされる場合もあります。取り込んだ件数と、もとの件数を突き合わせる作業を必ず入れてください。差が出たら、その差分がどの行かを特定します。
必須の項目が空で止まる
件名は必須です。カスタム属性を必須にしている場合は、その欄も必須になります。もとのデータで空欄が許されていた項目が、移した先では必須になっていることがあります。取り込みが最初の数行で止まるときは、たいていこれです。空欄の行を先に抜き出し、埋めるか除くかを決めてから流し直します。
一度に全部を流し込もうとする
いちばん多いのがこれです。250件の上限があるかどうかにかかわらず、最初は10件だけ流して結果を見る、という手順を必ず踏んでください。10件で列の対応が正しいことを確かめてから、残りを流します。この10件を惜しんだために、300件を消して取り直すという作業が発生します。取り込んだ課題をまとめて削除できるかどうかは、移した先のツールによって違います。やり直しの手段があるかどうかも、最初の10件のときに確かめておきます。
移し先によって、対応づけの手間はどう変わるか
移す先の設計思想によって、対応づけの難しさは変わります。大きく3つの型があります。
1つ目は、Backlogと同じく課題を軸にしたツールです。項目の名前が近いので、対応づけは素直に進みます。ただし自前でサーバーを用意する形のものは、動かし始めるまでの作業が別途かかります。
2つ目は、ボードとカードで進行を見るツールです。カードに情報を集める作り方なので、Backlogの細かい属性をどこに落とすかを決める必要があります。逆に、状態の管理は列の移動で済むため、語彙の対応表は短くなります。ボード型の考え方が自分たちに合うかどうかは、できることで扱っている範囲を先に見ておくと判断が早くなります。
3つ目は、表計算ソフトに戻す形です。費用はかかりませんが、同時編集と履歴で必ず詰まります。件数が少なく、関わる人が3人までなら選択肢に入ります。
移す先の候補を並べて比べるときは、料金の形が人数で決まるのか、機能で決まるのかを最初に見ます。人数で決まる形なら、社外の協力者を何人巻き込むかで月額が動きます。機能で決まる形なら、いま使っている機能のうちどれが上位プランに置かれているかを確かめます。課金の軸と上限の考え方を整理したものがBacklogとの比較にあり、ボード型に寄せたときに情報をどこへ落とすかはTrelloとの比較で確かめられます。どちらも、いま使っている道具を貶すためのページではなく、どういう使い方なら移る理由が無いのかを先に置いた作りになっています。移らない判断をするための材料としても読めます。
自動で取り込める仕組みがあるかどうかも、作業量に直結します。CSVを手で整える工程がまるごと消えるかどうかの差です。取り込みの対応状況はTrelloからの移行に書かれている範囲で確かめてください。対応していない組み合わせでは、この記事で説明した手作業が必要になります。
料金の考え方をそろえて比べたい場合は料金を見て、人数とボードの数のどちらで区切られているかを確かめてから、いまの人数を当てはめてください。
移行の手間を数字にしてから決める
ここまで並べた作業を、時間に換算しておきます。金額の差だけで判断すると、移したあとに残る作業を見落とします。
課題が300件、プロジェクトが5つ、人数が10人という規模を仮に置くと、内訳はおおよそ次のようになります。書き出しに30分。語彙の対応表づくりに1時間。日付と担当者の置き換えに1時間から2時間。取り込みと確認に2時間。状態の付け直しに、300件のうち未完了が100件あるとして1時間から2時間。添付ファイルの並べ直しに2時間。合計で8時間前後です。1人で1日、2人でやれば半日です。
この8時間を、月額の差と並べて見ます。月額が15,000円上がるなら、8時間の作業は半月ぶんの差額で回収できる計算になります。逆に月額の差が2,000円なら、回収に4か月かかります。加えて、移した先でチームが慣れるまでの時間があります。この慣れの期間は、件数ではなく人数に比例します。10人のチームなら、全員が新しい場所で更新するようになるまで2週間から1か月を見ておくのが安全です。
数字にしてみると、判断が変わることがあります。プレミアムやプラチナからの自動移行のように上げ幅が3割台に収まる組織では、移行の手間のほうが高くつく場合があります。逆にスタータープランのように月額が7.78倍になる組織では、早い段階で計算が逆転します。どちらの側にいるかは、この記事の表と自分の契約を突き合わせれば分かります。
もうひとつ、移行の判断を鈍らせる要素があります。過去に一度、ヌーラボはクラシックプランの提供終了を延期したことがあります。2023年8月24日に告知された終了予定日は2024年5月31日でしたが、2024年3月6日に延期が告知され、終了日は2025年5月31日へ移りました。延期の理由は、移行に不安を感じる利用者へのサポートを厚くするため、と説明されています。これは事実として過去に前例があるというだけの話で、今回の改定が延期されるという予測ではありません。予定どおり進む前提で準備し、延期があれば余裕が増えた、と受け取るのが実務的です。
書き出しと取り込みの作業は、判断のあとに来るものではありません。試しに1プロジェクトだけ書き出してみる作業は、判断そのものの材料になります。手を動かしてみて初めて、コメントが200件で切れることも、状態が全部「未対応」になることも、実感として分かります。判断に迷っているなら、悩む時間を1時間削って、書き出しを1回やってみるほうが早く決まります。細かい条件の確認先はよくある質問にまとめてあります。
Q1. Backlogから書き出したCSVを、そのまま別のBacklogスペースに取り込めますか?
できません。公式ヘルプは、課題検索結果一覧の出力機能で出したCSVでは一括登録はできない、と明記しています。一括登録には専用のテンプレートをダウンロードして使う必要があります。書き出したCSVは、テンプレートの列に手で写し替えることになります。1行目は削除せず、2行目から入力してください。
Q2. 課題のコメントは全部持ち出せますか?
1つの課題につき200件が上限です。公式ヘルプに「課題のコメントの取得上限数は200件です。」と書かれています。それを超える分は書き出しに乗りません。また、取り込む側の一括登録にはコメントを入れる項目がないため、コメントは詳細欄に連結する、読み取り用のCSVとして残す、元のスペースを参照する、のいずれかで扱うことになります。
Q3. 課題の状態(未対応や完了)は移せますか?
一括登録では入力できません。公式ヘルプに「課題の『状態』は入力できません。すべて『未対応』で登録されます」と明記されています。取り込んだ直後は全件が未対応で並ぶため、あとから手で直す作業が発生します。この手間を避けるなら、未完了の課題だけを移し、完了済みは書き出したCSVを控えとして残す方法が現実的です。
Q4. 一度にどれくらいの件数を取り込めますか?
一括登録の上限は1回あたり250件です。それを超える場合は分割します。分けるときは件数で機械的に切らず、プロジェクト単位やマイルストーン単位で切ってください。親課題と子課題が別のファイルに分かれると、親子関係が付かなくなります。親を先に登録し、子をあとから登録する順番も守る必要があります。
Q5. 2027年1月1日の改定は、いま契約している人にいつから当たりますか?
2027年1月1日ちょうどではありません。「2027年1月1日以降に到来する最初の契約更新日」からで、ヌーラボはこれを適用開始日と呼んでいます。スペースごとに違うため、契約管理者が「組織設定」の「プラン」画面で確認してください。トライアル中、プラン停止中、フリープランの場合は、この案内が表示されません。