Backlogの新プラン|4つが3つに変わると何が起きるか
「backlog 料金改定」で調べている人が本当に知りたいのは、金額の一覧ではなく「プランの中身がどう組み替わるのか」だと思います。値段だけなら表を見れば済みますが、今回の改定はプランの数そのものが4つから3つに減るので、いま使っている機能がどのプランに引き継がれるのかが分からないと、金額を見ても判断できません。
株式会社ヌーラボが2026年6月17日に公開した告知と、同日付で東証グロース市場向けに出された適時開示によると、現行の4プラン(スターター、スタンダード、プレミアム、プラチナ)が3プラン(エコノミー、ビジネス、プロフェッショナル)に統合され、2027年1月1日から新しい体系が始まります。適時開示の本文には「現行の4プラン構成を3プランに統合し、下表の通り料金改定を行います」と書かれています。
この記事では、統合後の3プランの中身、現行プランからの対応関係、そして上限と機能の割り当てがどう引き直されたのかを、公式に公開されている資料の記載どおりに並べます。金額はすべて税抜です。乗り換えを勧める記事ではありません。プランの組み替えを正確に把握して、自分たちがどこに着地するのかを自分で判定できるようにするのが目的です。
4つが3つになるとは、具体的に何が起きることか
プランの統合と聞くと、「4つのうち1つが無くなって、その利用者が近いプランへ吸収される」という絵を思い浮かべます。今回もおおむねそのとおりですが、対応関係は素直な1対1ではありません。
現行の4プランのうち、いちばん下のスターターには受け皿がありません。公式の比較表でも、スターターに対応する新プランの欄は「ー」になっています。つまり4つのうち1つが消えて3つになる、という形です。
そして残りの3つは、それぞれ名前を変えつつ、上限と金額が引き直されています。スタンダードに近いのがエコノミー、プレミアムに近いのがビジネス、プラチナに近いのがプロフェッショナルです。ただし「近い」であって「同じ」ではありません。とくにスタンダードからエコノミーへの対応は、上限が2か所で縮んでいます。
もうひとつ、フリープランも同時に作り替えられます。ユーザー上限が10名から5名へ減ります。有料プランの統合に隠れがちですが、無料枠で回している小さなチームには直接効く変更です。
整理すると、今回の改定で動いているのは次の4つです。プランの数(4から3)、各プランの金額、各プランの上限(人数、プロジェクト数、ストレージ)、そして機能の割り当て。このうち利用者が見落としやすいのは3つ目と4つ目です。金額の表だけを見て「3割増か」と判断すると、上限の縮小に後から気づくことになります。
新しい3プランの中身
まず数字を置きます。ヌーラボが公表しているBacklogの金額は改定の前後ともすべて税抜で、料金ページには「価格は全て税抜表示です。別途消費税がかかります。」と明記されています。税込金額は公式には掲示されていません。
| プラン | 月払い(税抜) | 年払い月換算(税抜) | 年額(税抜) | ユーザー数 | プロジェクト数 | ストレージ |
|---|---|---|---|---|---|---|
| エコノミー | 21,000円 | 19,950円 | 239,400円 | 15 | 30 | 30GB |
| ビジネス | 36,300円 | 34,485円 | 413,820円 | 無制限(推奨10,000人まで) | 無制限 | 100GB |
| プロフェッショナル | 100,000円 | 95,000円 | 1,140,000円 | 無制限(同上) | 無制限 | 300GB |
年払いが月払いに比べて5%オフである点は、改定の前後で変わりません。2023年1月の改定のときに年払い割引率が16%から5%へ引き下げられていますが、今回はその5%が維持されています。
新しいフリープランは、ユーザー数5、プロジェクト数1、ストレージ100MBです。現行のフリープランはユーザー数10だったので、ここが半分になります。
プロフェッショナルには容量追加オプションがあり、新料金も公開されています。500GBが月払い120,000円、年払い月換算114,000円。1TBが月払い155,000円、年払い月換算147,250円。いずれも税抜で、1TBを超える場合は問い合わせ対応です。
3プランの金額の並び方を見ると、いちばん下のエコノミーが月21,000円からになっています。現行の体系ではいちばん下の有料プランがスターターの2,700円だったので、有料の入口の高さが大きく変わります。少人数で使う組織にとっては、この入口の位置が今回の改定でいちばん大きい変化です。
現行プランからの対応表:自動で移るものと、自分で選ぶもの
対応関係を、自動移行か手動かまで含めて並べます。
| 現行 | 2027年1月1日以降 | 自動か手動か |
|---|---|---|
| スターター | 受け皿なし。エコノミー以上を自分で選ぶ | 手動。予約が必須 |
| スタンダード(15名以下かつ30プロジェクト以下、Nulab Pass無し) | エコノミー | 自動 |
| スタンダード(16名以上、または31プロジェクト以上、またはNulab Pass契約中) | ビジネスまたはプロフェッショナル | 手動。予約が必須 |
| プレミアム | ビジネス | 自動 |
| プラチナ | プロフェッショナル | 自動 |
| フリー | 新しいフリープラン | 自動 |
| エンタープライズ(オンプレミス) | 同じ内容のまま新料金を適用 | 機能と利用環境の変更なし |
| エデュケーション、NPO | 新料金を基準に引き続き半額 | 割引率の変更なし |
この表でいちばん重要なのは、右端の列です。自動と書かれている行の組織は、何もしなくても次の更新日に移行します。手動と書かれている行の組織は、自分で予約する必要があります。
予約しないままだとどうなるかについて、公式のFAQは「予約がない場合、適用開始日以降にBacklogを利用できなくなる可能性があります」と明記しています。予約の期限の目安は、銀行振込が適用開始日の64日前まで(請求書が発行されるまで)、クレジットカードが適用開始日の2日前までです。銀行振込の場合は2か月以上前が期限なので、余裕があるように見えて実は短いです。
新プランの予約機能は2026年8月5日に提供開始が告知されました。それ以前は「移行先は分かったが手続きができない」という状態でしたが、いまは予約まで進められます。
なお、登録済みのデータ(課題、Wiki、ドキュメント、ファイル)は新プランでも引き続き利用でき、移行作業は不要とされています。プランが変わってもデータが消えるわけではない、という点は安心してよいところです。
エコノミーで使えなくなるもの
スタンダードからエコノミーへ自動で移る組織にとって、いちばん気になるのは機能です。公式は「基本的に現在ご利用の機能と同等の機能が利用できます」としており、加えてエコノミーでは2段階認証の必須化が使えるようになります。
一方で、新プランの資料にはエコノミーで使えないものが列挙されています。挙げられているのは次のとおりです。
・孫課題(3階層) ・ガントチャートの長期間表示 ・プロジェクト横断ガントチャート ・カスタム属性 ・Backlog AIアシスタント ・Nulab Flowbase ・アクセスログ ・SAML認証、監査ログ、ユーザープロビジョニング(いずれもNulab Pass) ・ストレージ容量追加オプション
ここに並んでいるもののうち、現行のスタンダードでもともと使えなかったものと、新しく線が引かれたものが混ざっています。カスタム属性(公式の呼称は「属性のカスタマイズ」)は、現行の体系でもプレミアム以上の機能なので、スタンダードの利用者にとっては元から使えていません。一方、孫課題は2026年8月18日に提供開始が発表された新しい機能で、プロジェクト横断ガントチャートは2026年秋ごろのリリース予定と告知されています。つまりこれらは「取り上げられた」のではなく「上の段にだけ足された」ものです。
判断に効くのはガントチャートの扱いです。現行のスタンダードでは、ガントチャートが使えて表示範囲は6か月分と記載されています。新プランでは、6か月以上の期間の表示と、プロジェクトを横断した表示が、ビジネスとプロフェッショナルでのみ利用できる機能として挙げられています。半年を超える工程を1枚で見たい組織や、複数案件の工程をまとめて見たい組織は、ビジネスの36,300円を検討することになります。
上限の引き直し:人数の線が新しく引かれた
今回の改定で構造的にいちばん大きい変化は、人数の上限が引き直されたことです。
現行の体系では、スタンダード、プレミアム、プラチナのユーザー数がいずれも無制限(安定運用のため最大10,000人までを推奨との注記あり)でした。人数で区切られていたのはスターターの30人だけです。プランを分けていたのは、主にプロジェクト数、ストレージ容量、そして機能でした。
新しい体系では、いちばん下のエコノミーにユーザー数15という上限が入りました。ビジネスとプロフェッショナルは無制限のままです。つまり有料プランの分かれ目に「人数」という軸が新しく加わったことになります。
プロジェクト数のほうも動いています。現行のスタンダードは100でしたが、エコノミーは30です。70減っています。ストレージは30GBで据え置きです。
この2つの上限の引き直しが意味するのは、いま「上限に余裕があるから大丈夫」と思っているスタンダードのチームでも、更新日を境に判定が変わりうるということです。20人で使っていてプロジェクトが10しかない組織は、いまはスタンダードで何の問題もありませんが、改定後はエコノミーの人数上限を超えるのでビジネスになります。逆に、8人で使っていてプロジェクトが50ある組織は、人数では収まってもプロジェクト数で外れます。
プロジェクト数の数え方には注意点があります。公式のFAQには、アーカイブ済みのプロジェクトも上限に加算されると書かれています。終わった案件をアーカイブして残しているだけで、30の枠を消費しています。エコノミーに収まるかどうかを判定するときは、アーカイブを含めた数で数えてください。
ビジネスとプロフェッショナルの間には、人数とプロジェクト数の差がありません。両方とも無制限です。違うのはストレージ(100GBと300GB)と、セキュリティまわりの一部、そして容量追加オプションの有無です。この2つのプランの選び分けは、実質的に容量とセキュリティ要件で決まります。
セキュリティと管理まわりの線
金額と上限の陰に隠れていますが、セキュリティ機能の割り当ても変わります。
IPアドレス制限の上限は、エコノミーが50、ビジネスが100、プロフェッショナルが無制限です。拠点や在宅勤務のIPを登録している組織では、50という数字が効いてくる場合があります。
セキュリティシートの対応は、エコノミーが対象外、ビジネスが有料、プロフェッショナルが年1回無料です。取引先からセキュリティチェックシートの提出を求められる立場の組織にとっては、これは実務に直結します。エコノミーでは対応してもらえない、という点は事前に把握しておく必要があります。
2段階認証の必須化については、新しいフリープランとエコノミープランで使えるようになります。現行では×だったものが◯に変わる項目です。組織として2段階認証を全員に強制したい場合、下位プランでもそれができるようになるのは前進です。
課題の添付ファイル数は、エコノミーが30、ビジネスとプロフェッショナルが50です。ドキュメントの同時共同編集は全プラン12人で共通です。Gitリポジトリ数は全プラン無制限、1リポジトリあたり10GBで共通です。リポジトリまわりの条件が全プラン共通である点は、開発チームにとっては見ておく価値があります。
フリープランの再設計と、一方通行の仕様
フリープランのユーザー上限が10名から5名に減ります。ここには、知らないと事故になる仕様があります。
まず、2026年12月31日までに追加済みの10名までは、引き続き使えます。いきなり5人に切り詰められるわけではありません。変わるのは、2027年1月1日以降に新規のユーザー追加ができなくなる点です。
問題はその先です。6名以上で使っていた組織が2027年1月1日以降にユーザーを減らすと、5名を超える人数には戻せません。一度減らすと戻れない、一方通行の仕様です。人の入れ替わりがあるチームでフリープランを使っている場合、退職者のアカウントを消した瞬間に枠が縮むことになります。
フリープランの他の上限も確認しておきます。プロジェクト数1、ストレージ100MB、ドキュメント数5です。Git / Subversionとファイル共有は使えます。アクセス制限、ガントチャート、バーンダウンチャート、属性のカスタマイズ、状態の追加と変更、親子課題はいずれも使えません。「こちらのプランをご利用の場合、一部の技術的なご質問にはお答えできないことがあります。」という注記もついています。
有料プランの金額が上がったことで、無料枠へ避難するという選択肢を考える組織は出てきます。ただしプロジェクトが1つしか持てない点と、この一方通行の仕様を踏まえると、複数の案件を並行して回しているチームには現実的ではありません。
Nulab Passの位置づけが変わる
Nulab Pass自体は継続しており、終了の告知はありません。料金やプランの内容の変更もありません。変わるのは、Backlog側でどのプランなら契約できるかです。
2027年1月1日以降、Nulab Passはビジネスプランとプロフェッショナルプランでのみ利用できます。フリープランやエコノミープラン相当の組織では、契約更新できなくなります。
この変更が効いてくるのは、スタンダードプランでNulab Passを契約している組織です。人数が15名以下でプロジェクト数が30以下でも、Nulab Passを使っている時点で自動移行の対象から外れます。ビジネス以上を自分で予約する必要があります。エコノミーの21,000円ではなく、ビジネスの36,300円が下限になるということです。
Nulab PassでSAML認証、監査ログ、ユーザープロビジョニングを使っている組織は、認証基盤の側と結びついているので、外すという判断がそもそも取りにくいはずです。この場合、プランを上げる以外の選択肢は実質的にありません。予約が必須の条件に「スタンダードプランでNulab Passを契約中」が明示されているのは、そのためです。
参考として、Nulab Passのライセンス数は2026年5月15日に100,000件を突破したと発表されています。それなりの数の組織がこの条件に該当することになります。
支払い期間の選択肢が減る
プランの統合と同時に、支払い期間の選択肢も整理されます。
2027年1月1日以降、銀行振込で選べる支払い期間は年払い(12か月)のみになります。現在の3か月払いと6か月払いは廃止です。銀行振込で3か月または6か月を選んでいる場合、適用開始日から自動的に年払いへ変更されます。クレジットカード払いは、引き続き月払い(1か月)と年払い(12か月)を選べます。
適時開示は同じ内容を「月払いはクレジットカード払いのみとなります。3ヶ月払い・6ヶ月払いは廃止となります」と表現しています。この支払い期間の変更は、CacooとNulab Passにも適用されます。
金額の上げ幅より、こちらのほうが先に効く組織があります。銀行振込で3か月ごとに払っていたスタンダードの組織なら、これまでは16,000円の3か月分ずつでした。改定後はエコノミーの年額239,400円(年払い税抜)の一括請求になります。上げ幅は31%でも、1回に出ていく現金は大きく変わります。
クレジットカードに切り替えれば月払いを維持できます。ただし法人カードの限度額や、経理の締めの都合で簡単に切り替えられない組織もあります。請求書は次回の契約開始日の63日前に発行され、発行後の調整は問い合わせ扱いになります。支払い方法の決定は、逆算すると早めに社内へ回す必要があります。
なお、現在の契約期間中の扱いについては公式FAQに明記があります。
現在の契約期間について、契約期間の途中でアップグレード(上位プランへの変更)をしない場合、追加の費用はかかりません。 出典: support-ja.backlog.com
旧料金を継続できる特別枠や、経過措置としての割引は公表されていません。用意されているのは、今の契約期間はそのまま走り切れるという一点です。加えて、次の利用期間が2027年1月1日以降になる場合は、現行プラン内でのダウングレードができないとされています。プランを下げて費用を抑えるという手は、この時期には使えません。
同時に足されている新機能と、関連サービスの状況
料金改定の告知には、機能追加の話も並んで書かれています。改定の背景として示されているものなので、あわせて見ておく価値があります。
挙げられているのは、孫課題(3階層。2026年夏頃リリース予定と告知され、実際には2026年8月18日に提供開始が発表されました)、プロジェクト横断ガントチャート(2026年秋頃予定)、Backlog AIアシスタント(2026年3月リリース)、ワークフロー自動化ツールのNulab Flowbase(2026年6月16日リリース)です。このうち孫課題とプロジェクト横断ガントチャート、Backlog AIアシスタント、Nulab Flowbaseは、いずれもエコノミーでは使えないものとして資料に列挙されています。
関連サービスの状況も整理しておきます。ヌーラボのビジネスチャット「Typetalk」は終了済みです。2023年11月14日に終了の告知が出され、2023年11月15日に無料トライアルとフリープランの新規申し込みを停止、2024年12月1日にプラン更新を停止、2025年12月1日にサービス終了、2025年12月31日に投稿データをバックアップも含めて削除、というスケジュールでした。Backlog本体の機能としての「チャット」は、料金ページの機能一覧に項目が見当たりません。課題ごとのコメントは全プランで使えます。
オンラインホワイトボードのCacooは継続中で、終了の告知はありません。ただしプランの再編があり、2026年4月27日から新プラン「スペースプラン」の提供が始まり、同時に2026年4月26日をもってプロプランとチームプランの新規受付が終了しています。既存のプロとチームの利用者は引き続き現行プランを使えますが、2026年4月27日以降の新規契約とプラン変更ではスペースプランしか選べません。
2027年1月1日のBacklog改定に伴うCacooの料金やプラン内容の変更はありません。公式FAQが「Cacoo、Nulab Passの料金やプランの内容に変更はありません」と明言しています。変わるのは支払い期間の選択肢だけです。
統合で割を食う層と、影響が小さい層
プランの数が減るとき、割を食うのはたいてい端のほうにいた利用者です。今回もそうなっています。
割を食うのはスタータープランの利用者です。受け皿が無く、有料を続けるならエコノミー以上を自分で選ぶことになります。月額2,700円が最低でも21,000円です。しかも人数が16人以上いる場合は、エコノミーの上限にも収まりません。
次に影響が大きいのは、スタンダードを16人以上で使っている組織です。16,000円が36,300円になり、2倍を超えます。この層は、乗り換えのコストと増加額を並べて比べる価値があります。
影響が小さいのはプレミアムとプラチナの利用者です。自動移行で、上げ幅は3割台。ストレージ上限も据え置きで、人数とプロジェクト数はもともと無制限です。数十人から数百人が使っているスペースを別の道具へ移す手間を考えれば、動かないという判断は十分に合理的です。
エデュケーションプランとNPOプランは、新料金を基準に引き続き半額です。割引率の変更はないので、上げ幅は他と同じ比率になります。
業績への影響について、適時開示は「2027年3月期の連結業績に与える影響は現時点において軽微と判断しております」としています。会社側の見立てとしても、大きな解約の波を織り込んだ数字にはなっていないということです。
独自データ考察:プランの数が減るとき、選ぶ側は何を見ればよいのか
プランの統合という出来事は、道具を選ぶ側にとって、実は金額の変化より意味のある情報を含んでいます。
プランを分けるということは、提供する側が「どこで線を引くか」を決めるということです。線の引き方には型があります。機能で引く型、人数で引く型、プロジェクト数や容量といった量で引く型。今回の改定でBacklogが動かしたのは、この線の位置と種類でした。人数という線を新しく入れ、プロジェクト数の線を100から30へ下げ、機能の線は上位プランに新機能を足す形で強化した。結果として、下位プランの守備範囲が狭くなり、上位プランの価値が上がる構成になっています。
道具を選ぶ側から見ると、確認すべきなのは「自分たちが最初にまたぐ線はどれか」です。線は3種類あります。人数の線、プロジェクト数の線、機能の線です。この3つのうち、自分たちがどれに最初に届くかが分かれば、必要なプランは自動的に決まります。金額はその結果として付いてきます。
そして今回のように線が引き直されると、判定そのものがやり直しになります。いま余裕があると思っていても、新しい上限表に当て直すまでは分かりません。手順としては、まず人数を数え(退職者のアカウントと外部パートナー分を含めて)、次にプロジェクト数を数え(アーカイブ済みを含めて)、最後に使用容量を確認します。この3つを新しい上限表に当てるだけで、着地するプランは決まります。人数15とプロジェクト数30の線をまたぐかどうかで、月額は21,000円と36,300円に分かれます。差は月15,300円、年183,600円です。棚卸しをして線の手前に収められるなら、その作業はそのまま費用の差になります。
機能の束を段で売る作り方には、良し悪しの両面があります。多機能を求めるチームには効率がよく、必要な機能が増えるほど1つの契約で完結します。一方で、必要な機能が1つだけのチームには噛み合いません。工程表だけが欲しいのに、AIアシスタントも監査ログも一緒に付いてくる形になるからです。段を上がる判断は、使わない機能ごと引き上げる判断になります。
板の形をとる道具の中には、機能でプランを分けない作り方をしているものもあります。区切るのは人数とボードの数だけ、という形です。段を上がる判断が要らない代わりに、できることの幅そのものが絞られています。どちらが優れているという話ではなく、線をどこに引いているかの違いです。料金の考え方そのものは料金に、できることの範囲はできることに整理してあります。
そのうえで、板の形の道具に共通する弱点も正直に書いておきます。リポジトリの機能は持ちません。自動化と外部サービスとの連携で勝負する作りでもありません。画面が日本語のみのものもあり、自動で取り込めるのが特定のツールからだけ、という制限がついていることもあります。Git / Subversionを課題と紐づけて開発を回している組織や、外部サービスとの連携を前提に工程を組んでいる組織には向きません。Backlogとの機能面の対応関係はBacklogとの比較に、カードを列で動かす形との違いはTrelloとの比較にまとめてあります。
最後に、判断の順番だけ整理します。プランの統合の知らせを見て最初にやることは、他社の料金ページを開くことではありません。自分のスペースの契約更新日を確認し、人数とプロジェクト数を数え、新しい上限表に当てる。ここまでで、動く必要があるかどうかは判定できます。判定が変わらないなら、当面は何もしなくてよい話です。判定が変わるなら、変わる月までに、上のプランへ上がるか、運用を絞って下の枠に収めるか、別の道具を併用するかを決めることになります。
そして道具を替えるかどうかは、機能の一覧を突き合わせるより、「入力する人が増えるかどうか」で判断したほうが外しません。進捗の表は、書く人が増えなければ必ず古くなります。工程表を1人が引き直している間、他の人はその表を見られません。料金改定は動くきっかけにはなりますが、動く理由そのものにはなりません。
なお、この記事に書いた日付、金額、上限、機能の割り当ては、いずれも2026年9月2日時点で公式サイト、公式ヘルプ、および適時開示に掲載されていた内容です。金額はすべて税抜です。契約や社内の稟議に使う際は、必ずそのときの公式ページで最新の表記を確認してください。判断に迷いやすい点はよくある質問にも整理してあります。
Q1. 新しい3プランの金額はいくらですか?
月払い税抜で、エコノミーが21,000円、ビジネスが36,300円、プロフェッショナルが100,000円です。年払いは月払いに比べて5%オフで、月換算だとそれぞれ19,950円、34,485円、95,000円になります。年額では239,400円、413,820円、1,140,000円です。公式の料金ページは税抜表示で、税込金額は掲示されていません。
Q2. いま使っているプランはどこへ移りますか?
プレミアムはビジネスへ、プラチナはプロフェッショナルへ自動で移ります。スタンダードは、15名以下かつ30プロジェクト以下でNulab Pass未契約ならエコノミーへ自動移行、そのいずれかを外れる場合はビジネス以上を自分で予約します。スターターは受け皿が無く、エコノミー以上を自分で選ぶ必要があります。
Q3. エコノミーでは何が使えなくなりますか?
公式資料には、孫課題(3階層)、ガントチャートの長期間表示、プロジェクト横断ガントチャート、カスタム属性、Backlog AIアシスタント、Nulab Flowbase、アクセスログ、Nulab Pass関連のSAML認証と監査ログとユーザープロビジョニング、ストレージ容量追加オプションが挙げられています。IPアドレス制限は50までです。
Q4. プロジェクト数の30には、アーカイブ済みも含まれますか?
含まれます。公式FAQに、アーカイブ済みのプロジェクトも上限に加算されると明記されています。終わった案件をアーカイブして残しているだけで枠を消費するので、エコノミーに収まるかを判定するときは、アーカイブを含めた数で数えてください。数え直しで30以下に収まれば、月額15,300円の差になります。
Q5. 無料プランはどう変わりますか?
ユーザー上限が10名から5名に減ります。2026年12月31日までに追加済みの10名までは引き続き使えますが、2027年1月1日以降は新規のユーザー追加ができません。さらに、6名以上で使っていた組織が2027年1月1日以降にユーザーを減らすと、5名を超える人数には戻せない一方通行の仕様になっています。