Backlogのスターターを使っている人へ|移り先の考え方
Backlogのスタータープランを使っている人にとって、2027年1月1日からの改定は、他のプランの利用者とはまったく意味が違います。新しいプラン体系に、スターターに対応する受け皿が用意されていないからです。公式の比較表でも、スターターに対応する新プランの欄は「ー」になっています。
月額2,700円(税抜)で使えていたものが、有料を続けるなら最低でもエコノミーの21,000円(税抜)になります。約7.78倍です。しかも移行は自動ではなく、自分で予約する必要があります。
この記事では、まずスタータープランがどういう枠だったのかを確認し、そのうえで残された選択肢を3つに整理して、それぞれの実務コストまで含めて比べます。公式に公開されている資料に書かれていることだけを使います。金額はすべて税抜です。乗り換えを勧める記事ではありません。無料枠に収める判断も、エコノミーへ上がる判断も、十分にありうる前提で材料を置きます。
スタータープランはどういう枠だったのか
判断の前に、いま何を使っているのかをはっきりさせます。2026年9月2日時点の公式料金ページによると、スタータープランの中身は次のとおりです。
| 項目 | スターター |
|---|---|
| 月払い(税抜) | 2,700円 |
| 年払い月換算(税抜) | 2,565円 |
| 年額(年払い・税抜) | 30,780円 |
| ユーザー数 | 30 |
| プロジェクト数 | 5 |
| ストレージ | 1GB |
| ガントチャート | なし |
| 属性のカスタマイズ | なし |
| Git / Subversion | あり |
| 課題ごとのコメント | あり |
この構成を見ると、スターターが何のための枠だったのかが分かります。人数は30まで入れられるのに、プロジェクトは5つまで、容量は1GBまで。工程表は引けず、属性も足せない。つまり「少数の案件を、それなりの人数で、課題のやりとりとリポジトリを中心に回す」ための枠です。
課金の単位を確認しておくと、Backlogはスペース単位の定額制です。
プランと料金ページの料金は登録したスペース1つ分の金額です。スペースにプロジェクトやユーザーを追加されるごとに追加料金が発生することはありません。 出典: support-ja.backlog.com
人を1人増やすたびに請求が増える形ではないので、スターターは「30人まで月2,700円」という、1人あたりで見ると非常に安い枠でした。制作会社が協力会社の担当者を巻き込んで使ったり、社内の小さなチームが開発と課題管理を1か所にまとめたりするのに、ちょうど収まる作りでした。
そしてGit / Subversionが使えます。これは全プラン共通で、フリープランでも使えます。スターターを選んでいた組織の多くは、この点を理由にしていたはずです。課題とコミットを紐づけられて、月2,700円。同じことを他の組み合わせでやろうとすると、たいてい複数のサービスを契約することになります。
2027年1月1日以降、スターターはどうなるのか
告知は2026年6月17日に公開されました。現行の4プラン(スターター、スタンダード、プレミアム、プラチナ)が3プラン(エコノミー、ビジネス、プロフェッショナル)に統合され、スターターだけが受け皿を持ちません。
日付は3つあります。2026年12月31日が現行プランの新規契約の受付終了日。2027年1月1日が新プランの開始日。そして適用開始日が、既存の契約者に新料金が適用される日で、これは「2027年1月1日以降に到来する最初の契約更新日」です。スペースごとに違います。
自分の適用開始日は、契約管理者または管理者が「組織設定」の「プラン」画面で確認できます。トライアル中、プラン停止中、フリープランの場合は案内が表示されません。プランを停止している場合は、2027年1月1日以降に再開すると新プランでの再開になります。
スターター利用者にとって重要なのは、移行が自動ではないという点です。予約が必須の組織として、公式には「スタータープランを利用中」がはっきり挙げられています。そして予約しないままだとどうなるかについて、公式のFAQは「予約がない場合、適用開始日以降にBacklogを利用できなくなる可能性があります」と明記しています。
予約の期限の目安は、銀行振込が適用開始日の64日前まで(請求書が発行されるまで)、クレジットカードが適用開始日の2日前までです。銀行振込の場合は2か月以上前が期限なので、余裕があるように見えて実は短いです。新プランの予約機能は2026年8月5日に提供開始が告知されており、いまは予約まで進められます。
なお、現行プラン内でプランを下げて費用を抑えるという手は使えません。「次の利用期間が2027年1月1日以降の場合は、現在のプランでのダウングレードはできません」とされています。
なぜスターターだけが自分で選ぶことになるのか
他のプランと比べると、スターターの置かれ方の特殊さがはっきりします。全体の対応関係はこうなっています。
| 現行 | 2027年1月1日以降 | 自動か手動か |
|---|---|---|
| スターター | 受け皿なし。エコノミー以上を自分で選ぶ | 手動。予約が必須 |
| スタンダード(15名以下かつ30プロジェクト以下、Nulab Pass無し) | エコノミー | 自動 |
| スタンダード(16名以上、または31プロジェクト以上、またはNulab Pass契約中) | ビジネスまたはプロフェッショナル | 手動。予約が必須 |
| プレミアム | ビジネス | 自動 |
| プラチナ | プロフェッショナル | 自動 |
| フリー | 新しいフリープラン | 自動 |
| エンタープライズ(オンプレミス) | 同じ内容のまま新料金を適用 | 機能と利用環境の変更なし |
| エデュケーション、NPO | 新料金を基準に引き続き半額 | 割引率の変更なし |
自動と書かれている行の組織は、何もしなくても次の更新日に移行します。上げ幅も、プレミアムからビジネスで約34%、プラチナからプロフェッショナルで約33%と、3割台に収まります。ストレージ上限も据え置きで、人数とプロジェクト数はもともと無制限なので、上限で困ることもありません。
つまり今回の改定で「判断を迫られる」のは、実質的にスターターの利用者と、スタンダードを16名以上または31プロジェクト以上で使っている組織の2つだけです。他の層にとっては、予算を組み直す話で終わります。
登録済みのデータ(課題、Wiki、ドキュメント、ファイル)は新プランでも引き続き利用でき、移行作業は不要とされています。エコノミー以上を選んで予約すれば、データの引き継ぎで困ることはありません。この点は先に押さえておいてよいところです。判断が要るのは「どのプランを選ぶか」であって、「データが消えるかどうか」ではありません。
移り先の候補は3つある
スターター利用者に残された選択肢は、実質的に3つです。順に中身を見ます。
選択肢1:新しいフリープランの5人枠に収める
新しいフリープランは、ユーザー数5、プロジェクト数1、ストレージ100MB、ドキュメント数5です。現行のフリープランはユーザー数10だったので、ここが半分になります。
使える機能は限られます。Git / Subversionとファイル共有は使えます。一方、アクセス制限、ガントチャート、バーンダウンチャート、属性のカスタマイズ、状態の追加と変更、親子課題はいずれも使えません。「こちらのプランをご利用の場合、一部の技術的なご質問にはお答えできないことがあります。」という注記もついています。
スターターとの差でいちばん効くのは、プロジェクト数です。スターターは5でしたが、フリープランは1です。案件ごとにプロジェクトを分けている組織は、この時点で成立しません。1つのプロジェクトの中にカテゴリやマイルストーンで案件を詰め込むという運用は理屈のうえでは可能ですが、権限の分離ができなくなるので、社外の人が入っている場合は現実的ではありません。
容量も1GBから100MBへ減ります。添付ファイルを日常的にやりとりしている組織では、すぐ埋まります。
そして知らないと事故になる仕様があります。2026年12月31日までに追加済みの10名までは引き続き使えますが、2027年1月1日以降は新規のユーザー追加ができません。さらに、6名以上で使っていた組織が2027年1月1日以降にユーザーを減らすと、5名を超える人数には戻せません。一度減らすと戻れない、一方通行の仕様です。人の入れ替わりがあるチームでは、退職者のアカウントを消した瞬間に枠が縮みます。
現実的にこの選択肢が成立するのは、人数が5人以下で、案件が実質1つで、添付ファイルをほとんど使わない組織です。スターターを月2,700円払ってまで使っていた組織の多くは、この条件に当てはまりません。
選択肢2:エコノミーへ上がる
エコノミーは月21,000円、年払いなら月換算19,950円で年額239,400円です。いずれも税抜です。スターターの年額30,780円(年払い税抜)と比べると、年間で208,620円増えます。
金額だけを見ると跳ね上がっていますが、中身は増えています。プロジェクト数は5から30へ、ストレージは1GBから30GBへ。案件をいくつ立てても足りなくなることは、まず無くなります。加えて2段階認証の必須化が使えるようになります。
ただし1か所だけ、確実に減る項目があります。ユーザー数です。スターターは30まで入れられましたが、エコノミーは15です。半分になります。
これはスターター利用者にとって重要な分岐点です。いま16人以上で使っている組織は、エコノミーへ上がってもそのままでは収まりません。その場合の行き先はビジネスで、月36,300円、年払いなら年額413,820円(いずれも税抜)です。スターターの年額30,780円から見ると、約13.4倍になります。
したがってエコノミーを検討する前に、まず人数を数えてください。数え方には見落としがあります。退職者のアカウントが残っていないか。外部パートナーのアカウントが何人分あるか。この半年ログインしていないアカウントがないか。この3つで数人は動きます。スターターは人数が30まで入る枠だったので、これまで人数を気にする理由がありませんでした。棚卸しがされていない可能性は高いです。
エコノミーで使えないものも確認しておきます。公式資料に挙げられているのは、孫課題(3階層)、ガントチャートの長期間表示、プロジェクト横断ガントチャート、カスタム属性、Backlog AIアシスタント、Nulab Flowbase、アクセスログ、Nulab Pass関連のSAML認証と監査ログとユーザープロビジョニング、ストレージ容量追加オプションです。IPアドレス制限の上限は50、課題の添付ファイル数は30です。セキュリティシートの対応は、エコノミーは対象外です。
もっとも、スターターではガントチャートも属性のカスタマイズも元から使えなかったので、この一覧のうちスターター利用者が新たに失うものはありません。
選択肢3:別の道具へ移る
3つ目が、他のツールへ移るという選択肢です。金額の差が大きいので、検討する価値は確かにあります。年間20万円以上の差は、少人数のチームにとっては小さくありません。
ただし、移る前に確認しておくべきことが3つあります。
1つ目はGit / Subversionです。 スターターを選んでいた組織の多くは、リポジトリを課題と紐づけて使っています。板の形をとるタスク管理ツールの多くは、リポジトリの機能を持ちません。移るなら、リポジトリは別のサービスに置いて、課題管理だけを移すという形になります。この分離が運用として成立するかどうかを、先に確かめてください。なお、Gitリポジトリ数は新プランでも全プラン無制限、1リポジトリあたり10GBで共通です。
2つ目は社外メンバーです。 協力会社や業務委託の人を巻き込んでいる場合、道具を替えると相手にも新しい画面を覚えてもらうことになります。こちらの都合で頼む話なので、断られることもあります。人数が多いほど、この調整のコストは効いてきます。
3つ目は過去の課題です。 どれだけ持ち出せるかは後の章で詳しく書きますが、結論だけ先に言うと、進行中の案件は手で立て直すことになる可能性が高いです。過去の記録はCSVで保管する形になります。
この3つを確認したうえで、移行にかかる工数を人日で見積もり、社内の単価を掛けて金額に直してください。それを年間の増加額と並べて比べる。これが判断の順番です。増加額が年20万円で、移行の工数が20人日なら、金額だけでは決まらない、という結論もありえます。
データはどこまで持ち出せるのか
移る判断をする前に、必ず確認しておくところです。
課題とコメントは、課題の検索結果をCSVまたはExcel形式でダウンロードできます。公式ヘルプには「課題の検索結果をExcel形式やCSVなどで出力できます。」と記載されています。制限が1つあり、課題のコメントの取得上限数は200件です。長く議論が続いた課題では、全部は書き出せません。Excel形式はセルが含むことのできる合計文字数の制限を受けるため、文字数が大きい場合はCSV形式が推奨されています。
共有ファイルは、WebフォルダやFinderからダウンロードします。スターターの容量上限は1GBなので、ここは現実的な時間で終わります。
Gitリポジトリは、保管されているリポジトリをすべて git clone する形です。Subversionは、公式ヘルプの手順に沿ってエクスポートします。リポジトリについては、手元に完全な形で持ち出せます。
スペース全体については有料オプションがあり、「スペースデータのバックアップ 50,000円(税抜+消費税)」です。課題やWikiなどのデータをCSV形式ファイルにし、共有ファイルや添付ファイルと一緒にGoogleドライブで提供するサービスです。ただし公式ヘルプには「バックアップしたデータは、Backlogにインポートできません。」と明記されています。記録として保管するためのものであって、環境を作り直すためのものではありません。
スターターの月額が2,700円だったことを考えると、このバックアップオプションの50,000円は、年額を大きく上回ります。移行の判断材料としては、まず無料でできるCSVとファイルの書き出しで足りるかを確かめるのが順当です。
取り込み側の事情も知っておく価値があります。Backlogへの一括登録はCSVで行い、専用テンプレートをダウンロードして使う必要があります。「課題検索結果一覧の出力」機能で出力したCSVでは一括登録はできません。一度に登録できるのは最大250件で、課題の「状態」は入力できず、すべて「未対応」で登録されます。
この「状態が引き継げない」という制約は、他社ツールへ移る場合にも同じ形で現れることが多いです。したがって現実的な移行の形は、過去の記録はCSVとファイルで保管しておき、進行中の案件だけを新しい環境に手で立て直す、というものになります。
そのままBacklogを続けるほうがよい場合
3つの選択肢を並べましたが、エコノミーへ上がる判断が合理的なケースははっきりあります。
Git / Subversionを課題と紐づけて開発を回している組織は、まず動かないほうがよいです。リポジトリと課題が1か所にある構成そのものが運用の土台になっているので、分離するとレビューの流れも障害対応の流れも作り直しになります。年間20万円の差より、その作り直しのほうが高くつくことが多いです。
社外メンバーが5人以上入っている組織も同様です。相手に新しい画面を覚えてもらう調整は、金額に換算しにくいわりに確実に時間を取ります。しかも移行の途中で、こちらと相手で見ている場所が違う期間が発生します。
過去の課題を日常的に参照している組織も、移る負担が大きくなります。コメントの取得上限200件という制約があるので、議論の経緯が資産になっている組織では、持ち出せない部分が出てきます。
人数が16人以上いる組織は、そもそも比較の前提が変わります。行き先がエコノミーではなくビジネスの月36,300円になるので、金額の差はさらに広がります。この場合は、人数を15人以下に絞れないかを先に検討する価値があります。使っていないアカウントを整理して15人以下に収まるなら、月額で15,300円、年額で183,600円の差になります。
逆に、動く検討をする価値が高いのは、人数が少なく、リポジトリを使っておらず、案件が数件で、社外メンバーが入っていない組織です。この条件だと、移行の実務コストが小さく、増加額との比較で答えが出やすくなります。
判定を進める手順
順番だけ整理します。この順でやれば、迷う時間が減ります。
1つ目、適用開始日を確かめる。 契約管理者または管理者が「組織設定」の「プラン」画面を開きます。表示されない場合は、いまの支払いサイクルから逆算します。ここが決まらないと、期限の逆算ができません。
2つ目、人数を数える。 退職者、外部パートナー、休眠アカウントを含めた実数を出します。15人以下に収まるか、収められるかを判定します。
3つ目、プロジェクト数を数える。 スターターの上限は5なので、超えることはありませんが、エコノミーへ移ると30まで使えます。今後の案件の増え方を織り込んでおいてください。なお公式のFAQには、アーカイブ済みのプロジェクトも上限に加算されると書かれています。
4つ目、リポジトリと社外メンバーの依存度を確認する。 ここが移行の可否を決める最大の要素です。
5つ目、増加額と移行工数を同じ表に並べる。 年払い税抜で、スターターの30,780円に対し、エコノミーが239,400円、ビジネスが413,820円。この差と、移行にかかる人日を並べます。
6つ目、決めたら予約する。 エコノミーまたはビジネスへ移ると決めたら、期限までに予約します。銀行振込なら適用開始日の64日前が目安です。移ると決めたなら、データの書き出しを先に済ませてから解約の手続きに入ります。
支払い方法についても触れておきます。2027年1月1日以降、銀行振込で選べる支払い期間は年払い(12か月)のみになります。現在の3か月払いと6か月払いは廃止で、利用中の場合は適用開始日から自動的に年払いへ変更されます。クレジットカード払いは引き続き月払いと年払いを選べます。月額2,700円を月々払っていた組織が、いきなり年額239,400円の一括請求と向き合うことになる可能性があるので、資金繰りの面でも先に確認しておいてください。
「延期されるのでは」という期待は、どこまで持ってよいか
上げ幅が大きいだけに、様子を見たくなるのは自然です。事実関係を整理しておきます。
延期の前例はあります。ただし料金改定ではなく、プランの提供終了のケースです。2023年8月24日に「クラシックプランの提供終了のお知らせとプラン移行のお願い」が公開され、当初の終了予定は2024年5月31日でした。ところが2024年3月6日に「クラシックプランの提供終了を延期いたします」が公開され、終了日は2025年5月31日へ1年延期されています。延期の理由は、移行に不安を感じる利用者へのサポートを厚くするためと説明されていました。対象はプラチナクラシック、プレミアムクラシック、スタンダードクラシック、スタータークラシック、フリークラシック、および旧マックス5、旧プレミアム、旧プラス、旧ベーシックです。
一方、料金改定そのものは予定どおり実施されています。前回の利用料金改定は2023年1月11日で、告知は2022年10月4日15時に公開されました。告知から実施まで約3か月です。今回は2026年6月17日の告知で2027年1月1日の実施なので、予告期間は約6か月半と、前回より長く取られています。そのうえで東証グロース市場向けの適時開示まで出ています。
過去に一度延期の前例があるという事実は事実です。ただしそれと、今回そうなることは別です。予約しないままだと利用できなくなる可能性があると公式が明記している以上、延期を前提に手続きを止めるのは危険です。予定どおり実施される前提で動いて、仮に延期されたらそのとき考える。この順番が安全です。
サービス自体の継続についても確認しておきます。Backlogの提供終了の告知は、Backlogブログ、ヌーラボのニュース、IRニュースのいずれにも見当たりません。2026年に入ってから、Backlog AIアシスタント(2026年3月)、関連課題(2026年7月28日)、AIレビュー(2026年8月7日)、孫課題(2026年8月18日)と機能追加の告知が続いており、2026年6月22日には中期経営計画も開示されています。畳む前触れとしての値上げではありません。
独自データ考察:入口の高さが変わるとき、何を基準に選び直すか
スタータープランの利用者が直面しているのは、値上げというより「有料の入口の高さが変わった」という出来事です。現行の体系では有料の入口が月2,700円でしたが、新しい体系では21,000円になります。この変化は、金額の話であると同時に、そのツールが誰に向けて作られているかの話でもあります。
料金体系には線があります。線は3種類です。人数の線、量(プロジェクト数や容量)の線、機能の線です。スターターは「人数の線が緩く、量の線が厳しい」枠でした。30人まで入れて、プロジェクトは5つまで。エコノミーはこれが逆転しています。人数の線が15と厳しくなり、量の線がプロジェクト30と容量30GBに緩みます。
つまりスターターとエコノミーは、金額が違うだけでなく、想定している使い方そのものが違います。少人数で多くの案件を回すチーム向けの枠に置き換わった、と読むのが実態に近いです。人数が多くて案件が少ないチームは、この置き換えと噛み合いません。
選び直すときの基準として、金額の次に見るべきなのは「入力する人が増えるかどうか」です。進捗の表は、書く人が増えなければ必ず古くなります。工程表を1人が引き直している間、他の人はその表を見られません。人数の上限が15に絞られるということは、書く人の数に天井ができるということでもあります。15人を超えるチームでエコノミーに収めようとすると、誰かを外すことになり、その人は表を見なくなります。ここは金額と同じくらい重い論点です。
道具を選び直すなら、確認する順番はこうなります。まず、いま詰まっているのが人数なのか、案件の数なのか、機能なのか。次に、その詰まりを解くのに必要なのが、上のプランなのか、別の型の道具なのか。最後に、移行にかかる時間を金額に直して、増加額と比べる。この順で見れば、判断は自然に決まります。
板の形をとる道具の中には、機能でプランを分けず、区切るのは人数とボードの数だけ、という作り方をしているものもあります。段を上がる判断が要らない代わりに、できることの幅そのものが絞られています。リポジトリの機能は持たず、自動化と外部サービスとの連携で勝負する作りでもありません。画面が日本語のみのものもあり、自動で取り込めるのが特定のツールからだけ、という制限がついていることもあります。Git / Subversionを課題と紐づけて使っている組織には向きません。どちらが優れているという話ではなく、線をどこに引いているかの違いです。料金の考え方は料金に、できることの範囲はできることに整理してあります。
比べる材料として、Backlogとの機能面の対応関係はBacklogとの比較に、カードを列で動かす形との違いはTrelloとの比較にまとめてあります。取り込みの仕組みがどこまで用意されているかは移行の工数を大きく左右するので、Trelloからの移行もあわせて確認してください。手作業で立て直す前提なのか、既存のデータを読み込めるのかで、必要な時間は桁が変わります。
最後に、期限の話だけもう一度書きます。スタータープランの利用者は、予約が必須の組織です。何もしないと、適用開始日以降に利用できなくなる可能性があると公式が明記しています。エコノミーへ上がるにしても、無料枠に収めるにしても、別の道具へ移るにしても、まず自分の適用開始日を確かめて、そこから逆算した期限をカレンダーに入れる。そこまでは今日のうちに終わります。
なお、この記事に書いた日付、金額、上限は、いずれも2026年9月2日時点で公式サイト、公式ヘルプ、および適時開示に掲載されていた内容です。金額はすべて税抜です。契約や社内の稟議に使う際は、必ずそのときの公式ページで最新の表記を確認してください。
Q1. スタータープランは2027年以降も使えますか?
使えません。新しい3プラン(エコノミー、ビジネス、プロフェッショナル)にスターターに対応する受け皿は無く、公式の比較表でも該当欄は「ー」です。現行プランの新規契約受付は2026年12月31日で終了し、既存の利用者は適用開始日までにエコノミー以上を自分で予約する必要があります。予約は必須です。
Q2. スターターからだといくらになりますか?
最低でもエコノミーで、月払い21,000円、年払いなら年額239,400円です(いずれも税抜)。スターターの年額30,780円(年払い税抜)から見ると年間208,620円の増加で、倍率は約7.78倍です。ただし人数が16人以上いる場合はエコノミーの上限15を超えるため、ビジネスの月36,300円が下限になります。
Q3. 無料プランへ移って凌ぐことはできますか?
条件次第です。新しいフリープランはユーザー数5、プロジェクト数1、ストレージ100MBです。スターターのプロジェクト数5から1に減るため、案件ごとにプロジェクトを分けている組織には向きません。また6名以上で使っていた組織が2027年1月1日以降にユーザーを減らすと、5名を超える人数には戻せない一方通行の仕様があります。
Q4. 予約しないとどうなりますか?
公式FAQは「予約がない場合、適用開始日以降にBacklogを利用できなくなる可能性があります」と明記しています。予約の期限の目安は、銀行振込が適用開始日の64日前まで(請求書が発行されるまで)、クレジットカードが適用開始日の2日前までです。適用開始日は「組織設定」の「プラン」画面で確認できます。
Q5. 他のツールへ移る場合、データは持ち出せますか?
課題とコメントはCSVまたはExcel形式で書き出せますが、コメントの取得上限は200件です。共有ファイルはWebフォルダやFinderから、Gitはgit clone、Subversionは公式手順でエクスポートできます。ただし課題の「状態」は取り込み側で引き継げないことが多く、進行中の案件は手で立て直す前提で工数を見積もってください。