compare

Airtableからデータを移す|持ち出せるものと、手で作り直す部分

2026年9月13日 ・ Pinateca編集部

Airtableから別の道具にデータを移すと決めたとき、最初に確かめるべきは「何が出せるか」ではなく「何が出せないか」です。レコードそのものはCSVで取り出せます。問題は、レコード以外の部分にどれだけ手間を積んできたかです。この記事では、2026年9月時点で公式ヘルプセンターに書かれている内容だけを使って、持ち出せるものと、移った先で組み直すことになるものを分けて整理します。

書き出せるのはグリッドビューからのCSVだけ

書き出しの入口は1つです。ヘルプセンターの手順では、ホーム画面を開き、書き出したいグリッドビューのあるベースを開き、ビュー名の右にある下向きの矢印をクリックして、CSVのダウンロードを選ぶ、と案内されています。

条件が2つあります。1つめは、グリッドビューからしか書き出せないことです。カンバンビューやカレンダービューを開いた状態では、この項目が出てきません。書き出したい表に、グリッドビューが1枚以上必要です。

2つめは、環境の制限です。グリッドビューのCSVへの書き出しは、ウェブ版とデスクトップ版のアプリでのみ利用できると明記されています。iOSとAndroidのモバイルアプリからは書き出せません。現場のスマートフォンからは取り出せない、ということです。

移行の作業をする人は、パソコンの前に座る必要があります。当たり前に聞こえますが、退職する担当者がスマートフォンしか持たずに最終日を迎えると、その日にデータを取り出せません。引き継ぎの段取りに関わる話です。

ベース全体を1つのファイルにはできない

移行の作業量を見積もるとき、ここが効いてきます。

No, exporting a full base as a single file is not supported. Each table in a base will need to be downloaded as its own CSV. 出典: support.airtable.com

ベース全体を1つのファイルとして書き出すことには対応していません。ベースの中の各表を、それぞれ個別のCSVとしてダウンロードする必要があります。

表が3つのベースなら3回、表が15のベースなら15回、同じ操作を繰り返します。ベースが複数あるなら、その掛け算になります。ベースが8つ、それぞれに平均5つの表があるなら、40回のダウンロードです。

作業そのものは難しくありませんが、抜けが起きます。どの表を書き出したかを記録しながら進めないと、後から1つ足りないことに気づきます。移行を始める前に、ベースと表の一覧を紙かスプレッドシートに書き出して、チェック欄を付けておくべきです。ベースあたりの表の数は最大で1,000まで持てる仕様なので、大規模に使っている組織ほどこの棚卸しが要ります。

書き出したCSVは、ビューの見え方そのまま

ここは見落とすと、静かにデータが欠けます。書き出されるのは表の全データではなく、そのビューに見えているものです。

ヘルプセンターには、表のすべてのレコードをダウンロードしたい場合は、書き出すビューに絞り込みが入っていないことを確認するように、と明記されています。絞り込みが効いたビューを書き出すと、条件に合う行だけが出ます。

列についても同じです。書き出しに含まれるのは、そのビューで見えているすべての項目の値だと説明されています。隠した項目は出ません。日常で使っているビューは、たいてい何かを隠しています。

移行のときは、絞り込みなし、項目をすべて表示した専用のグリッドビューを1枚作ってから書き出すのが確実です。既存のビューを使い回すと、半年後に「あの項目が移っていない」と気づくことになります。

もう1つ、共有されたビューを見ている場合の制約があります。共有ビューを作った人が、他の共同作業者によるベースのデータのコピーを制限していると、そのビューのデータをダウンロードする選択肢が消える、と書かれています。自分が作成者でないベースからデータを取り出す立場なら、先に権限を確認しておく必要があります。

なお、インターフェースの作成者が設定をオンにすれば、利用者がインターフェースのページをCSVとして書き出せるようにもできます。ビュー以外の経路が用意されているのはここだけです。

添付ファイルのURLは数時間で切れる

移行で最も事故が起きやすい箇所です。CSVはテキストのファイルなので、添付したファイルの実体は入りません。

ヘルプセンターの説明では、添付の項目はCSVの中にファイル名とURLとして含まれます。そして重要な但し書きが続きます。2022年11月8日以降、CSVの書き出し機能で得られる添付ファイルのURLは数時間で期限切れになる、と明記されています。

つまり、CSVを書き出して1週間後に添付ファイルを落とそうとしても、URLはもう死んでいます。書き出したその日のうちに、URLからファイルを取得し終える必要があります。

この制約の影響は、添付の使い方で大きく変わります。案件ごとに設計図や写真を貼り付けている表なら、数千個のファイルを数時間以内に落とすことになります。手作業では終わらないので、URLの一覧から順にダウンロードする処理を用意することになります。

対策としては、移行の日程を組むときに「CSVの書き出しとファイルの取得を同じ日に完了させる」と決めておくことです。書き出しだけ先に済ませて、ファイルは来週、という分け方はできません。添付を大量に持っているなら、ここが移行のいちばん重い工程になります。

CSVに入らない4種類の情報

書き出しに含まれないものが、明示的に列挙されています。レコードに付いたコメント、項目の説明文、ベースのガイドの内容、そして拡張機能の中だけに保存されているデータ(説明の拡張機能など)の4つです。

コメントが入らないのは、進行の管理に使っていたチームには痛い部分です。なぜこの日付を動かしたのか、誰が誰に確認を取ったのか、といった経緯はコメント欄に溜まっています。それが移行の対象から外れます。

項目の説明文も出ません。「この欄には税抜で入れる」「空欄は未着手として扱う」といった、運用のルールを書いておいた注記です。これが消えると、移った先で同じ誤入力が繰り返されます。

対策は2つあります。1つは、移行の前に項目の説明文を別のドキュメントに写しておくことです。数十項目なら30分で終わります。もう1つは、コメントのうち残すべきものを本文の項目に転記しておくことです。全部は無理なので、進行中の案件だけに絞ります。

Excelの形式には直接書き出せない

経理や取引先に渡す都合で、xlsxの形式が必要になることがあります。ここは直接の対応がありません。

ヘルプセンターには、AirtableはExcelの形式へ直接は書き出さないが、まずCSVとして書き出してからExcelで開くことで変換できる、と案内されています。手順としては、CSVをダウンロードし、Excelで開き、ファイルメニューから名前を付けて保存を選び、形式でExcelブックを選んで保存する、という流れです。

日本語のデータを扱う場合、CSVをExcelで開く段階で文字コードの問題が出ることがあります。移行の前に、1つの表で試して文字化けが起きないかを確かめておくべきです。数万行を書き出してから気づくと、全部やり直しになります。

APIで取り出すときの3つの上限

CSVの手作業が現実的でない規模なら、APIで取り出す道があります。ここにも上限が3つあります。

1つめは、1回の応答で返る件数です。レコードの一覧を取得すると、一度にすべてが返るわけではなく、最大100件ずつのページに分かれて返ります。表に100件を超えるレコードがあれば、ページごとに複数回の要求が必要です。ヘルプ記事の例では、501件のレコードがある表は6ページに分かれ、6回のHTTP要求が必要になると説明されています。次のページを取るには、応答に含まれるoffsetの値を問い合わせの引数として渡します。offsetが返ってこなくなったら最後のページです。1ページあたりの件数は100より小さくもできますが、100が最大です。

2つめは、速度の上限です。APIの速度については、ベースあたり毎秒5リクエストという上限が案内されています。この上限は料金のどの段階でも共通で、引き上げは現在用意していないと書かれています。プランを上げても速くなりません。10万件のレコードを100件ずつ取ると1,000回の要求になり、毎秒5回なら最短で200秒です。この計算は、移行の日程を組むときに使えます。

3つめは、月あたりの呼び出し回数です。Freeがワークスペースあたり月1,000回、Teamが100,000回、BusinessとEnterpriseは無制限です。無料プランのまま大きな表をAPIで取り出そうとすると、月の枠を使い切ります。

認証の方式も確かめておく必要があります。かつてのAPIキーによる認証は2024年2月1日に廃止されており、現在は個人アクセストークンかOAuthのトークンを使います。古い手順書を見ながら作業を始めると、最初の一歩で止まります。

空の項目は返ってこない

APIで取り出すときに、知らないと表が崩れる挙動があります。

ヘルプセンターのよくある質問に、返されるレコードには空の値を持つ項目が一切含まれない、と書かれています。空文字、空の配列、falseはいずれも省かれます。

これは、CSVのように「列が固定で、値が空欄」という形にならないということです。レコードごとに含まれる項目が違うので、そのまま表に流し込むと列がずれます。

対処法も案内されています。表のすべての項目名を取得したいなら、すべての項目を埋めたレコードを1件作って、そのレコードを取得する、という方法です。もう1つ、ベースの構造そのものを取得する経路も用意されています。ベースのスキーマを読む権限を使えば、項目の一覧を直接得られます。ビューについても一覧を取得する経路があり、ビューのID、種類、名前などが返ります。

移行の前に、まず構造を取得して、それを元に移った先の表を作り、その後でレコードを流し込む。この順番にすれば、列のずれは起きません。

組織の設定でAPIが止められている場合

企業で使っている場合、APIが権限の問題ではなく組織の設定で止まっていることがあります。この症状は分かりにくいので、先に知っておく価値があります。

ヘルプセンターに記載されている症状は、ベースの一覧を取得する要求に対して、正しい権限を設定しているのに空の一覧が返る、というものです。要求の書き方が間違っているのではなく、トークンからベースが1つも見えていない状態です。

原因として最も多いのは、管理画面にある「組織が所有するベースとワークスペースへのAPIアクセスを遮断する」という組織単位の設定だと説明されています。この設定が効いていると、許可された一覧に入るまでトークンから組織所有のベースに触れません。そして、この遮断はエラーではなく空の一覧を返すため、権限や問い合わせの書き方の問題に見えてしまいます。

見分け方も案内されています。トークンのアクセス範囲を編集するときに、選択肢が「すべてのリソース」しかなく、個別のベースを追加できないなら、組織のAPI制限が効いている可能性が高いとされています。解決するには、社内のAirtableの管理者に頼んで、その設定の許可一覧に自分かサービス用のアカウントを追加してもらいます。

移行の日程を組むときは、この確認を初日に済ませておくべきです。当日になって止まると、管理者の対応待ちで数日が飛びます。

手で作り直すことになるもの

CSVで出るのはレコードだけです。それ以外は、移った先で作り直すことになります。何が対象かを列挙します。

・ビューの設定(絞り込み、並び順、グループ分け、色分け、行の高さ、ロックの状態) ・インターフェースの画面構成と、それぞれの公開範囲 ・自動化の設定と、その中で使っているスクリプト ・フォームの項目構成と、ヘッダーや説明文 ・拡張機能で作っていた集計や図表 ・共同作業者の権限の割り当て ・ベースをまたぐ同期の設定

このうち作業量が読みにくいのは、自動化とインターフェースです。何年か運用していると、誰が作ったのか分からない自動化が10本以上動いていることがあります。移行の前に、動いている自動化を一覧にして、まだ必要なものだけを選別する時間を取るべきです。全部をそのまま移すと、移った先でも不要な処理を抱えることになります。

ビューの設定は、数が多くても1枚あたり数分で再現できます。ただし、どのビューがどの目的で作られたのかを知っているのは作った本人だけです。移行を機に、使われていないビューを畳むのが合理的です。

リンクしたレコードは、文字列になって出てくる

構造の面で、最も注意が要るのがここです。Airtableの特徴は、表と表をリンクでつなげることにあります。案件の表と、担当者の表と、取引先の表がリンクで結ばれている、という構成です。

CSVに書き出すと、このリンクは主キーの項目の文字列として出ます。「株式会社アイウエオ」という文字が案件の行に入っている状態です。関係そのものは、行と行のつながりとしては残りません。

移った先が同じようにリンクを持てる道具なら、文字列を突き合わせて関係を作り直す作業が必要です。同名の取引先があれば、そこで手が止まります。移った先がリンクを持たない道具なら、そもそも関係を表現できません。

これは移行の作業の問題というより、移り先の選び方の問題です。表どうしの参照を日常的に使っているなら、その機能を持たない道具に移ると、運用の形そのものを変えることになります。逆に、リンクをほとんど使っておらず、実質1枚の表として使っているなら、移行は驚くほど簡単です。

自分がどちらなのかは、リンクの項目がいくつあるかを数えれば分かります。移行を検討する最初の日に、この数を数えるべきです。

移す前に、プランを下げてはいけない

費用を抑えるために、移行の準備期間だけ無料プランに落とそうと考えるチームがあります。ここには取り返しのつかない落とし穴があります。

ヘルプセンターには、プランを下げてもデータは削除されず、既存のベース、表、レコード、ビューはそのまま残ると書かれています。そこまでは安心してよい部分です。

問題は履歴です。下げたプランの保存期間をはみ出したスナップショットは消され、その後でプランを戻しても取り戻せない、と書かれています。1年分の履歴が残るTeamから2週間のFreeに落とすと、その差分は消えます。

さらに、上限を超えている部分については新しいレコードや添付ファイルを追加できなくなり、一部の機能が読み取り専用になったり使えなくなったりする、とも書かれています。移行の作業中に追記ができなくなると、作業そのものが止まります。

移行が終わって、データを取り切って、移った先で運用が始まってから落とす。この順番を守るべきです。なお、降格の操作をしても反映は現在の請求期間の終わりになるので、月の途中で落としても料金はその期間分まで発生します。

ワークスペースの所有者が退職するとき

移行の話とセットで出てくるのが、担当者の交代です。ここに無料プラン特有の制約があります。

ヘルプセンターのよくある質問に、Freeプランではワークスペースの所有者を別の共同作業者に変更することはできず、所有者を引き継ぐには有料プランへの移行が必要だと明記されています。

つまり、無料で使い始めた人が退職すると、そのままでは所有者を替えられません。一度有料に上げて所有者を移してから、必要ならまた無料に戻す、という手順を踏むことになります。

退職の日程が決まっているなら、この作業は最終出社日より前に済ませるべきです。アカウントが無効になってからでは、本人の操作が必要な手順を踏めません。移行を考えているチームは、まずワークスペースの所有者が誰なのかを確認するところから始めるべきです。

移す手順を、止まらない順番に並べる

ここまでの制約を、作業の順番に並べ替えます。

1日目は棚卸しです。ベースと表の一覧を作り、リンクの項目の数を数え、動いている自動化とインターフェースを列挙し、ワークスペースの所有者を確認します。APIを使うなら、組織の設定で遮断されていないかもこの日に確かめます。

2日目は構造の移植です。移った先で表と項目を作ります。項目の説明文をこの段階で写しておきます。

3日目が書き出しと取り込みです。絞り込みなしで全項目を表示したグリッドビューを作り、表ごとにCSVを書き出します。添付があるなら、同じ日のうちにURLからファイルを落とし切ります。数時間で切れるからです。

4日目以降は、ビュー、フォーム、自動化、権限の再構築です。ここは急ぐ必要がありません。

そして、元のワークスペースはしばらく残します。読み取り専用にして、1か月から3か月は置いておきます。移行のあとで「あの項目が要る」と気づくことが必ずあるからです。プランを下げるのは、この期間が終わってからです。

取り込み側で詰まりやすい3か所

書き出したCSVを移り先に読ませる段階でも、止まる箇所があります。あらかじめ知っておくと、当日の作業が短くなります。

1か所めは、文字コードです。日本語を含むCSVは、読む側の想定と一致しないと文字化けします。まず1つの表だけを書き出して取り込み、日本語が正しく表示されるかを確かめてから、残りに進むべきです。数十のファイルを取り込んだ後に気づくと、全部やり直しになります。

2か所めは、選択肢の項目です。Airtableで単一選択や複数選択にしていた項目は、CSVでは文字列として出ます。移り先で同じように選択肢にしたいなら、取り込む前に選択肢の一覧を作っておく必要があります。取り込み時に自動で選択肢を作る道具もありますが、表記の揺れがあるとそのまま別々の選択肢になります。「進行中」と「進行中 」のように末尾に空白が入っているだけで、2つの選択肢に分かれます。

3か所めは、日付の形式です。書き出した日付がどの形式になるかは、設定によって変わります。取り込む側が期待する形式と違うと、日付ではなく文字列として入ります。ここも1表で試してから進めます。

この3つは、どれも1つの表で試せば10分で分かります。全件を書き出す前に、小さく試す時間を取るべきです。

書き出す前に、件数を控えておく

移行で最も多い事故は、データの欠落に気づかないことです。防ぐ方法は単純で、書き出す前に件数を控えておくだけです。

絞り込みのかかっていないビューを開けば、その表の正確なレコード数が分かります。ヘルプセンターにも、絞り込みのないビューはその表のレコード数を正確に示す、と書かれています。ベース全体の合計は、各表のレコード数を足したものです。ワークスペースの設定画面からは、ベース単位の使用状況も確認できます。

ここで1つ注意が要ります。見えるレコードが5,000件を超えているビューでは、読み込みがまず1,000件分のプレビューで止まります。件数の表示は「XX,XXX件中、最初の1,000件を表示しています」という形になるので、全体の件数自体は読み取れますが、見えている行数と実際の件数は一致しません。残りを呼び出すには、その表示の隣にあるボタンを押す必要があります。

控えた件数は、取り込んだ後に突き合わせます。1件でも合わなければ、その表はやり直しです。数万件を目視で確認することはできないので、数字だけを比べます。

この作業は表ごとに1分もかかりません。表が40あっても40分です。移行の当日にやると忘れるので、棚卸しの段階で一覧に件数の欄を作っておくべきです。

移った先の最初の1か月にやること

データを移し終えたら作業が終わり、というわけではありません。最初の1か月にやることを決めておくと、定着の失敗を防げます。

最初の1週間は、両方を並行して動かします。元のワークスペースは読み取り専用にして、新しい道具に入力してもらいます。この期間に「あの項目がない」「あの画面がない」という声が出ます。出きってから、足りないものを作ります。

2週目から3週目は、入力されているかを毎日確認します。更新が止まっている担当者がいたら、理由を聞きます。だいたいは「どこに入れればいいか分からない」か「前の道具のほうが早い」のどちらかです。前者は画面の問題なので直せます。後者は入力の手順の問題なので、手順を減らします。

4週目に、元のワークスペースを見に行った回数を数えます。ゼロなら、移行は成功しています。まだ見に行っているなら、その理由が移せていないものです。

元のワークスペースを消すのは、この確認が終わってからです。プランを下げるのも同じタイミングです。急いで消すと、履歴のスナップショットが失われて取り返せません。

終了、受付停止、運営会社、料金改定の4点を確かめる

移り先を選ぶときは、機能だけでなく、その道具が存続するかどうかも見る必要があります。確かめるべきは4点です。サービスの終了、新規受付の停止、運営会社の変更、料金の改定です。

移り元であるAirtableについても、同じ4点を当てた結果を残しておきます。出ていく側の事情を把握しておくと、日程の余裕をどれだけ見るかの判断が変わるからです。データの持ち出しに関わる仕組みは過去に手が入っており、2024年2月1日にAPIキーによる認証が廃止され、2025年1月13日には監査ログのV1がV2へ切り替わっています。2022年にはベータ版のWebhookのAPIも廃止されました。一方で、予定として掲載されている廃止は、執筆時点では1件もありませんでした。移行の途中で取り出しの経路が消える心配は、いまのところ薄いということです。運営の主体は、利用規約に当事者として記されたFormagrid Inc(Airtableの名称で事業を行う法人)で、規約の最終更新は2024年5月31日と表示されていました。新規受付については、従来のEnterpriseプランの利用者が更新のときまで経過措置の下にいるという記載が価格ページにあります。値上げや値下げの予告にあたる記載は、今回開いたページの中には見つかりませんでした。

同じ4点は、移り先の候補にもそのまま当てます。特に「新規受付の停止」は、料金ページを見ているだけでは気づけません。すでに契約している人向けの案内ページに、ひっそりと書かれていることがあります。

移り先を決める前に、取り込みの方法も確かめておく価値があります。自動で取り込める相手が限られている道具は多く、たとえばTrelloからの移行のページでは、自動で取り込めるのはTrelloのボードだけで、他の道具からはCSVと手作業になると説明されています。何が自動で、何が手作業なのかを先に知っておけば、日程の見積もりが狂いません。データの預け先としての考え方は安全性の考え方にまとまっています。

同じカンバン型の道具どうしの違いを見たいならTrelloとの比較が近く、他の候補と並べたいなら比較の一覧から探せます。取り込みの手順で残った疑問はよくある質問にも項目があります。

最後に1つ。移行を決めた日に真っ先にやるべきなのは、書き出しではなく棚卸しです。何を持っているかを数える前に手を動かすと、必ず取り残しが出ます。

Q1. Airtableのデータはどうやって取り出しますか?

グリッドビューの名前の横にある矢印から、CSVのダウンロードを選びます。ウェブ版とデスクトップ版のアプリでのみ利用でき、モバイルアプリからは書き出せません。ベース全体を1つのファイルとして書き出すことには対応しておらず、表ごとに個別のCSVをダウンロードする必要があります。

Q2. 添付ファイルも一緒に取り出せますか?

CSVには添付ファイルの実体は入らず、ファイル名とURLだけが含まれます。2022年11月8日以降、CSVの書き出しで得られる添付ファイルのURLは数時間で期限切れになると明記されています。書き出した当日のうちに、URLからファイルを取得し終える必要があります。

Q3. コメントや項目の説明文は移せますか?

CSVには含まれません。書き出しに入らないものとして、レコードに付いたコメント、項目の説明文、ベースのガイドの内容、拡張機能の中だけに保存されているデータの4つが挙げられています。残したいなら、移行の前に別のドキュメントへ手で写しておく必要があります。

Q4. APIで一括取得すれば速く移せますか?

速度には上限があります。APIのレート制限はベースあたり毎秒5リクエストで、すべての料金プランで同じであり引き上げは提供していないと明記されています。レコードの一覧は最大100件ずつのページで返るため、10万件なら1,000回の要求が必要で、最短でも200秒程度かかる計算になります。

ブログ一覧へ

ほかの記事

触ってみるのが、いちばん早い。

5人まで無料で使えます。クレジットカードは不要です。

無料で始める