Backlogのデータを移す|引き継げない情報の埋め方
「backlog データ移行」を調べている人が本当に知りたいのは、書き出しの手順ではありません。書き出せないものが何で、それが無いと明日から困るのかどうかです。課題の一覧はCSVで出せます。問題はその先で、進み具合、誰がいつ何を書き換えたかの記録、課題どうしのつながり、長く続いた議論。これらは表の1行には収まりません。
この記事は、Backlogが持っているデータを層ごとに分け、運べるものと運べないものに仕分けたうえで、運べない分をどう埋めるかを並べます。埋め方には型があります。すべてを再現しようとせず、何を再現しないと決めるかを先に置くのが、移行を短く終わらせる唯一の方法です。
「backlog データ移行」を調べる人が、いま置かれている状況
この検索が増えている背景には、2026年6月17日に公表された料金改定があります。ヌーラボは現行の4プランを3プランに統合すると告知し、上場企業としての適時開示も同日付で出しています。決まっている話であり、噂ではありません。
ただし、告知を見た人がすぐ移行を決めているわけではありません。実際に多いのは、金額を確かめたうえで「移るとしたら何がどれだけ大変か」を知りたい、という段階の人です。移行の手間が読めないと、残る判断も下せないからです。手間が3日なら移る、1か月なら残る。この線引きをするために、データの話を調べています。
だからこの記事は、移行を勧める書き方をしていません。運べるものと運べないものを並べ、運べない分の埋め方を示します。そのうえで、移行にかかる時間と金額の差を比べれば、残る判断も自然に出てきます。Backlogは長く使われている製品で、2026年に入ってからも機能追加の告知が続き、提供終了の告知は出ていません。移らない理由は十分にあります。
まず、移す範囲を決める
データ移行という言葉は、全部を運ぶ前提で語られがちです。ところが実際に手を動かすと、量がそのまま時間になります。だから範囲を決める作業が最初に来ます。
とりまとめている人からよく聞くのは、完了した課題を苦労して移したのに、移した先で一度も開かれなかった、という話です。過去の記録は「探せる場所にあればいい」ものと、「毎日使う」ものに分かれます。この2つを同じ手間で運ぶ必要はありません。
データを5つの層に分けて数える
移行の計画を立てるとき、次の5つに分けて数えると全体像が見えます。
第一の層は動いている課題です。いま担当がついていて、期限が先にあるもの。これは確実に移します。数は思ったより少なく、数十から数百に収まることがほとんどです。
第二の層は直近で完了した課題です。半年から1年以内に終わったもので、参照されることが時々あります。移すかどうかは、参照の頻度で決めます。
第三の層は古い完了課題です。年単位で前のもの。ここは移さず、書き出したCSVを共有ドライブに置く判断が取りやすい層です。
第四の層は文章の資産です。Wikiやドキュメントに溜めた手順や決めごと。ここは機械で運ぶより、人が選んで貼り直すほうが早く終わります。
第五の層はファイルとコードです。添付ファイル、共有ファイル、リポジトリ。量が大きく、置き場所の設計が要ります。
この5つを数えるだけで、作業量の見当がつきます。5つとも全部を移す計画を立てると、たいてい途中で止まります。
移す・残す・捨てるの3つに仕分ける
範囲を決めるときの選択肢は、移すか移さないかの2択ではありません。3つあります。
移すは、移行先に入れて日常的に使うもの。第一の層と、第二の層の一部です。
残すは、旧環境か書き出したファイルに置いたままにして、必要なときだけ見るもの。旧環境をフリープランに落として参照専用にする方法もありますが、2027年1月1日以降のフリープランはユーザー数の上限が5名に変わる点に注意が要ります。書き出したCSVとファイルを共有ドライブに置くほうが、条件に左右されません。
捨てるは、移さず残さないもの。数年前のテスト用プロジェクトや、途中で放置された板が該当します。仕分けの会話でここが一番揉めますが、「捨てる」を選択肢に入れないと、移行の量は減りません。揉めたときは、そのデータを最後に開いた日を確かめます。1年以上開かれていないものを残す理由は、たいてい不安であって必要ではありません。
公式に書き出せるものと、その形
仕分けが済んだら、書き出しの手段を確かめます。公式ヘルプに案内があるものだけを並べます。
課題とコメントは、検索結果の一覧からCSVまたはExcel形式でダウンロードできます。Excel形式はセルが含むことのできる合計文字数の制限を受けるため、文字数が大きい場合はCSV形式が推奨されると案内されています。
共有ファイルは、WebフォルダやFinderからダウンロードします。Gitリポジトリは、保管されているものをすべて git clone する方法が案内されています。Subversionは、公式ヘルプに専用の手順が用意されています。
スペース全体をまとめて受け取る手段として、有料オプションの「スペースデータのバックアップ」があります。費用は50,000円(税抜、別途消費税)で、課題やWikiなどのデータをCSV形式のファイルにし、共有ファイルや添付ファイルと一緒にGoogleドライブで提供されるサービスです。
ここに、移行の設計を左右する一文があります。
バックアップしたデータは、Backlogにインポートできません。 出典: support-ja.backlog.com
つまりこのオプションは、記録を保管するための書き出しであって、移行のための変換ではありません。買えば移行が済むわけではない、という理解が要ります。書き出しの操作をまとめて済ませたい場合や、解約後に手元へ記録を残したい場合には合います。
引き継げない情報の6つと、その埋め方
ここが本題です。書き出しても運べないものを6つ挙げ、それぞれの埋め方を置きます。埋め方の考え方は共通していて、同じ形で再現しようとせず、目的だけを残すことです。
1. 進み具合(状態)
多くのサービスで、状態は取り込み時に指定できません。Backlogの一括登録でも、公式ヘルプは課題の「状態」は入力できず「すべて『未対応』で登録されます」と明記しています。移した直後、全部の課題が最初の列に並ぶことになります。
埋め方は2つあります。1つは、書き出したCSVに状態の列を残しておき、移行先で状態ごとに絞り込んで一括で動かす方法です。表示の順番を状態でソートしてから、まとめて選択して列を移す。数百件でも十数分で終わります。
もう1つは、そもそも完了済みを移さない方法です。動いているものだけを移すなら、状態の種類は2つか3つに収まり、手で置き直しても大した手間になりません。第一の層だけを移すと決めたチームでは、この作業自体がほぼ消えます。
ここで一緒に見直したいのが、状態の段数です。旧環境で5段も6段も作っていたなら、移行のときに3段へ畳めないかを検討します。段が多いほど、動かす人が「いまどれか」を考える時間が増え、更新が止まる原因になります。移行は、この段数を減らせる数少ない機会です。減らした結果として、状態の置き直し作業も軽くなります。
2. 更新履歴と、誰がいつ変えたかの記録
課題がいつ作られ、誰が担当を変え、いつ期限が延びたか。この履歴は表の列にはなりません。移行先に持ち込む手段は、実務的にはありません。
埋め方は、目的で分けることです。履歴を見る理由は、たいてい3つのどれかです。責任の所在を確かめたい、なぜ延びたのかを知りたい、契約や請求の根拠にしたい。
1つ目と2つ目は、旧環境を参照できる状態にしておけば足ります。実際、履歴を遡る場面は年に数回あるかどうかで、そのために移行の工数を大きく積む理由にはなりません。3つ目は別で、証跡として残す必要があるなら、該当する期間の書き出しを取り、日付を付けて共有ドライブに保管します。契約に関わるものは、移行の都合で消えてよいものではありません。移す前に、保管の必要な範囲を確かめておきます。
3. 課題どうしのリンク
課題の本文やコメントには、別の課題へのリンクが書かれています。移行先ではURLが変わるため、これらはすべて切れます。数百件あると、手で直すのは現実的ではありません。
埋め方は、旧番号と新番号の対応表を1枚作ることです。書き出したCSVには元の課題キーが入っているので、取り込み後に振られた新しい番号と並べて表にします。この表さえあれば、切れたリンクに当たったときに「元はどれか」を数秒で引けます。全部のリンクを直す必要はなくなります。
動いている案件については、リンクの数が限られるので手で直します。過去分は対応表に任せる。この線引きで、作業時間は大きく変わります。
対応表を作るときは、旧番号を検索できる形にしておきます。表計算ソフトの1列目に旧の課題キーを置き、2列目に新しい番号、3列目に件名を並べます。件名があると、番号が合っているかを目で確かめられます。件名まで入れておくのは手間に見えますが、書き出したCSVからそのまま持ってこられるので、追加の作業はほとんど発生しません。
4. コメントの200件を超える部分
公式ヘルプには「課題のコメントの取得上限数は200件です。」と記載があります。長く動いている課題では、この上限を超えるものが出てきます。超えた分は書き出しに含まれません。
埋め方は、全部を運ぼうとしないことです。200件のやり取りのうち、後から必要になるのは「なぜそう決めたか」が書かれた数件です。残りは日程の調整や短い確認で、移した先で読み返されることはありません。
動いている案件については、決定事項だけを箇条書きにして、新しい課題の本文の冒頭に置きます。5行から10行に収まります。これで、新しく入った人が経緯を追えなくなる事態は避けられます。
要約を書く人は、その案件を担当している人です。とりまとめる人が全部を代わりに書こうとすると、そこが移行の詰まりになります。移行の準備として各担当に依頼する形にすると、1人あたり数件で済み、内容も正確になります。依頼するときは「決まったことと、まだ決まっていないことを、それぞれ3行以内で」と枠を示すと、返ってくる速さが変わります。枠を示さずに「まとめておいて」と頼むと、書く量が人によって10倍違い、そろえ直す作業が発生します。
なお、要約を書く過程で「そもそもこの課題はもう要らない」と分かることがよくあります。移行の前に棚卸しが同時に進む形になり、移す件数はさらに減ります。
5. 独自に作った項目(種別、カテゴリー、マイルストーン、カスタム属性)
Backlogで運用してきた項目は、移行先に同じものが無いことがあります。属性のカスタマイズはプレミアム以上で使える機能で、これを活用してきたチームほど、移行先に同じ形が見つからず困ります。
なお、2027年1月からの新プランでは、属性のカスタマイズはビジネスプラン以上で利用できる機能として整理されており、エコノミープランでは使えないと案内されています。スタンダードプランから自動でエコノミーへ移る組織には直接関係しませんが、上げ下げを検討する際は確認しておきたい点です。
埋め方は3つに分かれます。1つ目は、移行先のラベルやタグに置き換える方法。値の種類が10個以内なら、これで足ります。2つ目は、本文の冒頭に固定の書式で書く方法。「発生バージョン:2.4」のように1行だけ足しておけば、検索で引けます。3つ目は、捨てる方法です。運用の中で誰も見ていない項目は、移行のときに落とすのが一番きれいです。
どの項目が実際に使われているかは、書き出したCSVで数えれば分かります。値が入っている行の割合が1割を切っている項目は、落として問題が起きることはほとんどありません。
判断に迷う項目が出たときは、その項目を使って検索したことがあるかを思い出します。検索の条件に入れたことがないなら、その項目は分類のために作られただけで、実務では使われていません。逆に、毎月の集計で必ず使う項目は、移行先での置き場所を必ず確保します。集計に使う項目は、本文に文字として書く形だと後から数えられなくなるため、ラベルなど絞り込める形で持たせる必要があります。この見極めを先にしておくと、移行後に「集計が出せない」と気づく事態を避けられます。
6. 権限と、社外メンバーの席
誰がどのプロジェクトを見られるかの設定は、書き出しの対象になりません。移行先で組み直すことになります。
これは手間ではありますが、埋めるというより引き直す機会として扱うのが実際的です。長く使っている環境ほど、退職者のアカウントが残り、終わった案件の外注先が入ったままになっています。移行のときに一度リセットすると、見せる範囲が整理されます。社外の人を入れるときにどこで線を引くかは、安全性の考え方のページに整理があります。
ファイルとリポジトリは、置き場所を先に決める
課題の話に時間を取られがちですが、量として大きいのはファイルとコードです。ここは「どう運ぶか」より「どこに置くか」を先に決めたほうが、作業が一度で終わります。
添付ファイルを、移行先の中に入れるかどうか
課題に付いた添付ファイルは、CSVで書き出した行の中には入りません。別途ダウンロードして運ぶことになります。
選択肢は2つです。移行先の課題に付け直すか、共有ドライブに置いて課題からはリンクだけを張るか。前者は元の形に近くなりますが、ファイル数のぶんだけ操作が要ります。後者は運ぶ量が減る代わりに、リンクを張る作業と、ドライブ側のフォルダ構成を決める作業が生まれます。
判断の目安は、ファイルの開かれ方です。仕様書や見積書のように何度も開くものは、課題に付け直したほうが探しやすくなります。一方、確認のために一度だけ貼られた画面写真は、まとめて共有ドライブに置き、課題からは触れないという扱いで問題が起きにくくなります。書き出したファイルの一覧を拡張子で並べ替えると、この仕分けは短時間で終わります。
容量の目安も先に押さえます。現行プランのストレージ上限はスターターが1GB、スタンダードが30GB、プレミアムが100GB、プラチナが300GBです。上限に近い使い方をしているなら、ダウンロードにかかる時間そのものが移行の日程に影響します。回線の速度によっては、丸1日を見込む必要があります。
リポジトリは、コードは運べても結び付きは運べない
Gitリポジトリは git clone で丸ごと持ち出せます。Subversionにも公式の手順があります。公式の料金ページによれば、Git / Subversionはスターターからプラチナまでの全プランで利用でき、フリープランでも利用可と記載されています。
運べないのは、課題番号とコミットの結び付きです。コミットのメッセージに課題のキーを書く運用をしてきたなら、その文字列自体はコードと一緒に運べます。ただし、それをクリックして課題に飛べる状態は再現されません。
埋め方としては、対応表がここでも効きます。旧番号と新番号の表があれば、コミットメッセージの文字列から新しい課題を引けます。それ以上を再現しようとすると、作業量が跳ね上がります。
もっとも、リポジトリを課題と同じ場所で運用しているチームにとっては、この結び付きこそが使い続けている理由であることが多くあります。その場合、移行の判断自体を見直す材料になります。移すかどうかを決める前に、直近半年でコミットから課題へ飛んだ回数を思い出してみると、判断の重みが分かります。
対応表を1枚作ると、あとの作業がそこから決まる
引き継げないものを埋める作業は、突き詰めると3枚の対応表に集約されます。移行の前にこれを作っておくと、途中で判断に迷う場面が減ります。
1枚目は課題番号の対応表です。旧番号と新番号を並べます。切れたリンクの参照に使います。取り込み後に自動で作れることが多いので、取り込みの直後に必ず保存しておきます。
2枚目は担当者の対応表です。旧環境の表示名と、移行先で使うメールアドレスを並べます。置換に使うほか、退職者や、もう関わっていない外注先を洗い出す材料にもなります。
3枚目は状態と項目の対応表です。旧環境の状態、種別、カテゴリーが、移行先のどこに落ちるかを書きます。「捨てる」と決めたものも、捨てたと書いておきます。半年後に「あの項目はどこへ行った」と聞かれたときの答えになります。
この3枚は表計算ソフトの1ファイルに収まります。移行が終わったあとも、共有ドライブに置いたままにしておくと、参照専用の記録と組み合わせて使えます。
1つのプロジェクトで、先に通してみる
計画を紙の上で完璧にしても、実際に通すと必ず想定外が出ます。列が1つずれる、日付が数字に化ける、担当者の名前が一致しない。これらは机の上では見つかりません。
だから、本番の前に1つだけプロジェクトを選んで、書き出しから取り込みまでを通します。選ぶのは、規模が中くらいで、いま動いていて、失敗しても影響が小さいものです。終わったプロジェクトを選ぶと、状態や担当者の問題が表に出ないので、練習になりません。
リハーサルで確かめること
第一に、書き出したCSVの列がそのまま読めるかどうかです。文字化けが起きていないか、改行を含む本文が1つのセルに収まっているかを見ます。詳細欄に長い文章が入っている課題は、ここでよく崩れます。
第二に、取り込みの上限に当たるかどうかです。Backlogの一括登録では一度に登録できる課題が最大250件と決まっており、他のサービスでも同様の上限があります。1回で入らないなら、分ける単位を先に決めておきます。
第三に、取り込みを間違えたときに取り消せるかどうかです。まとめて削除できるなら安心して進められます。1件ずつしか消せない作りだと、慎重さの水準を上げる必要があります。ここは、10件だけ取り込んで、その10件を消してみれば分かります。
第四に、実際にかかった時間です。1プロジェクトに要した時間が分かれば、プロジェクト数を掛けて全体の見積もりが出ます。この数字があると、費用の差と比べる話が具体的になります。
リハーサルにかかる時間は半日程度です。この半日を惜しむと、本番で数日を失うことがあります。
改定の日付と、移行の窓の置き方
2026年6月17日に公表された料金改定によって、検討の期限がはっきりしました。現行プランの新規契約受付は2026年12月31日で終わり、新しい3プランは2027年1月1日から始まります。既存の契約者に新料金が適用されるのは、2027年1月1日以降に到来する最初の契約更新日で、この日はスペースごとに違います。
自分のスペースの適用開始日は、契約管理者または管理者が「組織設定」の「プラン」画面で確認できます。トライアル中、プラン停止中、フリープランの場合は表示されません。
金額の変化は移行先のプランで決まります。スタンダードから自動でエコノミーへ移る場合は16,000円から21,000円(いずれも税抜・月払い)、プレミアムからビジネスなら27,000円から36,300円です。スタータープランには受け皿となる新プランが無く、2,700円から最低でもエコノミーの21,000円になります。
移行を実行するなら、窓をどこに置くかも決めておきます。案件の切れ目に置くのが基本で、繁忙期には置きません。移行の直後は、どこに何があるか分からない状態が数日続きます。その数日を、納期の直前に重ねないことです。
移したあとの2週間で、何が起きるか
データを運びきった時点では、まだ移行は終わっていません。ここから2週間が、定着するかどうかの分かれ目になります。
二重に書く期間を作らない
移行の直後にいちばん起きやすいのが、旧環境と新環境の両方に書き込む状態です。安全に見えますが、これをやると両方が不完全になります。どちらが正しいか分からなくなり、結局は人に聞くことになります。
避け方は単純で、書き込みを止める日を決めて宣言することです。この日から旧環境には書かない、見るだけにする、と決めます。読み取りだけ残す期間は1か月から3か月が目安で、その間に参照されなければ、その後も参照されません。
最初の1週間で必ず出る質問に、先に答えを用意する
移行の直後に出る質問は、だいたい決まっています。前の課題はどこにあるのか。ファイルはどこへ行ったのか。自分の担当のものが見当たらない。この3つです。
用意しておくものも決まります。旧番号と新番号の対応表の置き場所、ファイルを置いた共有ドライブのフォルダのURL、担当者の対応表。この3点を1枚のメモにまとめて、移行の当日に共有します。個別に聞かれるたびに答えていると、とりまとめている人の時間がそこで消えます。
入力する人が何人残ったかを、2週間後に数える
移行が成功したかどうかは、感覚ではなく数で見ます。2週間経った時点で、課題を更新した人が何人いるかを数えます。移行前と同じ人数なら定着しています。減っているなら、埋める欄が多すぎるか、置き場所が分かりにくいかのどちらかです。
数が減っていた場合、道具を疑う前に項目を疑います。必須にした欄を1つ減らすだけで、更新する人が戻ることがあります。移行は、この見直しを自然に行える数少ない機会です。
移した先で使われ続けるかは、項目の数で決まる
データを運びきることと、移行が成功することは別です。移した先で更新する人が数人に固定されれば、進捗の表はすぐ実態から離れます。現場では、入力に考える時間が要る作りだと、2週間ほどで更新が止まると言われています。
ここで効いてくるのが、移行の設計で「捨てる」と決めた項目の数です。旧環境の項目をすべて再現すると、入力の手間もそのまま再現されます。移行は、埋める欄を減らせる数少ない機会です。
料金の作りも同じ方向で見ます。機能ごとに段が分かれていると、工程表や属性のために上のプランへ上げる相談が定期的に出ます。機能で絞らず、区切るのは人数とボードの数だけという作りなら、その相談は起きません。料金の考え方は料金のページで、使える範囲はできることのページで確かめられます。
取り込みの口については、対応している形式と、自動で運べる範囲を先に見ておきます。自動での取り込みはTrelloに限られ、それ以外は表計算を経由する作りのサービスもあります。運べる範囲はTrelloからの移行のページに記載があります。
Backlogに残る判断も、当然ありえます。リポジトリを課題と同じ場所で使っているなら、その結び付きは移した先で作り直せません。2026年に入ってからも機能追加の告知が続いており、提供終了の告知も出ていません。両者の違いを並べて見たい場合は、Backlogとの比較のページに課金の単位と上限の考え方の差がまとまっています。
今日のうちに終わる確認
移行の可否を判断するために、次の5つを数えます。どれも短時間で終わります。
第一に、適用開始日を「組織設定」の「プラン」画面で確認します。第二に、いま動いている課題の件数を数えます。検索で状態を絞れば出ます。第三に、プロジェクトの数を、閉じたつもりのものも含めて数えます。第四に、使っている容量を管理画面で控えます。これがそのままダウンロードする量になります。第五に、コメントが200件を超えている課題がいくつあるかを見ます。
数えるときのこつは、画面の数字をそのまま控えることです。記憶で「だいたい20人くらい」と言うと、招待だけして使っていない人が抜け落ちます。席は使っていなくても埋まります。プロジェクト数も同じで、閉じたつもりのものが残っていることが珍しくありません。エコノミープランのプロジェクト数の上限は30で、現在のスタンダードプランの100から縮むため、この数え方の差がそのままプランの選択に影響します。アーカイブしたプロジェクトの扱いについては、公式のFAQで最新の記載を確認したうえで数えるのが確実です。
この5つが揃うと、移行にかかる作業時間が具体的に見積もれます。そのうえで金額の差と比べます。差額が作業時間を上回らないなら、残るという結論に十分な根拠があります。判断の材料に不足があれば、よくある質問のページに運用まわりの疑問がまとまっています。
Q1. Backlogのデータで、書き出せないものは何ですか?
表として書き出せないのは、課題の更新履歴、状態の遷移、権限の設定、課題どうしのリンクです。加えて、1課題あたりのコメントは公式ヘルプに「取得上限数は200件です。」と記載があり、超過分は書き出しに含まれません。これらは同じ形での再現をあきらめ、決定事項の要約や旧番号との対応表といった別の形で目的だけを残す進め方が現実的です。
Q2. 課題の進み具合は移行先にそのまま引き継げますか?
多くの場合、取り込み時には指定できません。Backlogの一括登録でも、公式ヘルプは課題の「状態」は入力できず、すべて未対応で登録されると案内しています。対処としては、書き出したCSVに状態の列を残しておき、移行先で状態ごとに絞り込んで一括で動かす方法が確実です。動いている課題だけを移すと決めれば、この作業自体がほとんど発生しません。
Q3. スペースデータのバックアップを買えば、データ移行は済みますか?
済みません。費用は50,000円(税抜)で、課題やWikiをCSV形式にし、共有ファイルや添付ファイルと一緒にGoogleドライブで受け取れるサービスですが、公式ヘルプは「バックアップしたデータは、Backlogにインポートできません。」と明記しています。移行先へ入れる作業は別に必要です。記録の保管や、書き出し操作をまとめて済ませたい場合には向いています。
Q4. 過去の課題は全部移したほうがよいですか?
移す・残す・捨ての3つに仕分けるのが現実的です。動いている課題は移し、年単位で古い完了課題は書き出したCSVを共有ドライブに置いて参照専用にする形です。全部を移す計画は量が膨らみ、途中で止まりやすくなります。なお旧環境をフリープランに落として残す場合、2027年1月1日以降のフリープランはユーザー数の上限が5名になる点を確認しておく必要があります。
Q5. 移行の作業はいつ実施するのが安全ですか?
案件の切れ目に置き、繁忙期は避けます。移行の直後は、どこに何があるか分からない状態が数日続くためです。あわせて、自分のスペースの適用開始日を「組織設定」の「プラン」画面で確認しておきます。この日が2027年1月1日以降の最初の契約更新日にあたり、新料金が始まる日です。日付が分かると、移行の窓を逆算して置けます。