Backlogから乗り換える|移す順番と、当面の並行運用
「backlog 乗り換え」と検索した人のほとんどは、まだ乗り換えを決めていません。2027年1月1日の料金改定の告知を見て、自分の場合はどうなるのかを知りたい段階です。この記事は、乗り換えを勧める記事ではありません。残るという判断も十分ありうる前提で、決めるために必要な材料を順に並べます。Backlogは長く使われている道具で、機能の追加も続いています。金額だけを見て動くと、移した先で失うものに気づくのが遅れます。まず、乗り換えないほうがよい場合から書きます。
乗り換えないほうがよい場合を、先に置く
移行の記事はたいてい「移るべき理由」から始まりますが、順番が逆です。移らない理由のほうが、判断を早く終わらせます。
GitやSubversionを課題と結びつけて使っている
Backlogは、フリープランを含む全プランでGitとSubversionが使えると公式に記載されています。しかも新プランでは、Gitリポジトリ数は全プラン無制限、1リポジトリあたり10GBで共通とされています。
課題の番号とコミットが結びついている運用は、開発の記録そのものです。これを別の場所へ移すとなると、リポジトリを移し、課題を移し、その間の対応関係を作り直すことになります。日程表や課題の移行とは比べものにならない手間です。この使い方をしているチームは、金額の差が数万円あっても残るほうが合理的です。
カスタム属性を業務の記録に使っている
課題に社内の申請番号や顧客の識別子を持たせている運用は、移した先で同じ形を作れるとは限りません。公式の呼称は「属性のカスタマイズ」で、現行ではプレミアムとプラチナで使えます。新プランではエコノミーで使えないものの一覧に挙げられているため、この機能を使い続けたい場合はビジネス以上を選ぶことになります。
つまり、この層にとっての選択肢は「移る」ではなく「ビジネスプランに上げる」です。プレミアムからビジネスへは自動移行で、月額は27,000円から36,300円へ、上げ幅は34.4%です。金額はすべて税抜です。料金ページに「価格は全て税抜表示です。別途消費税がかかります。」と明記されています。
上げ幅が3割台に収まる
プレミアムとプラチナの利用者は、自動でビジネスとプロフェッショナルへ移り、上げ幅は3割台に収まります。ストレージの上限も据え置きです。プラチナは75,000円から100,000円で、上げ幅は33.3%です。
この層で乗り換えを考えるなら、移行にかかる時間を必ず金額に換算してください。課題300件、10人規模の移行でも、書き出しから状態の付け直しまで通しで8時間前後かかります。加えて、全員が新しい場所で更新するようになるまで2週間から1か月の慣らし期間が要ります。この時間を人件費に換算すると、年間の差額を超えることが珍しくありません。
課題の履歴が業務の証跡になっている
受託の仕事では、いつ誰が何を依頼し、いつ確認が取れたかが、そのまま請求や検収の根拠になります。この記録が課題のコメント欄に積み上がっている場合、移すのは容易ではありません。
課題の書き出しではコメントも取得できますが、上限があります。公式ヘルプは「課題のコメントの取得上限数は200件です。」と明記しています。そして取り込む側にコメントを入れる項目が無いため、コメントは多くの場合そのままの形では運べません。証跡として残す必要があるなら、書き出したCSVを共有ドライブに保管する方法か、古い契約を一定期間残す方法のどちらかを取ることになります。どちらも費用と手間がかかるので、移行の見積りに必ず入れてください。
社外の人を多く巻き込んでいる
外注先や取引先のアカウントを多く抱えている場合、移す先の料金の形が人数で決まるなら、月額が跳ね上がる可能性があります。Backlogはスペース単位の定額制で、公式ヘルプに「スペースにプロジェクトやユーザーを追加されるごとに追加料金が発生することはありません。」と書かれています。人数で課金される形に移ると、この前提が変わります。
ただし新プランではエコノミーに15名の上限があるため、定額であっても人数の壁は存在します。上限を超えるとビジネスの36,300円になります。ここの計算は自分の人数で必ずやってください。
自分の金額と日付を確定させる
移るか残るかを決める前に、自分の数字を確定させます。ここが曖昧なまま比較を始めると、いつまでも決まりません。
改定の中身を整理する
株式会社ヌーラボは2026年6月17日、Backlogのプランを2027年1月1日から変更すると告知しました。同日付で東証グロース市場向けの適時開示も出ています。現行の4プランが3プランに統合されます。
現行の4プラン構成を3プランに統合し、下表の通り料金改定を行います。 出典: backlog.com
日付は3つ覚えておけば足ります。2026年12月31日に現行プランの新規契約の受付が終わります。2027年1月1日に新プランが始まります。既存の契約者に新料金が当たるのは、2027年1月1日以降に到来する最初の契約更新日からで、これを「適用開始日」と呼びます。スペースごとに違います。
移行の対応関係を表で押さえる
| 現行プラン | 移行先 | 自動か手動か | 月払い(税抜)の変化 |
|---|---|---|---|
| スターター | 受け皿なし | 手動。予約が必要 | 2,700円 から 21,000円以上 |
| スタンダード(15名以下かつ30プロジェクト以下、Nulab Pass無し) | エコノミー | 自動 | 16,000円 から 21,000円 |
| スタンダード(16名以上、31プロジェクト以上、Nulab Pass契約中のいずれか) | ビジネス以上 | 手動。予約が必要 | 16,000円 から 36,300円 |
| プレミアム | ビジネス | 自動 | 27,000円 から 36,300円 |
| プラチナ | プロフェッショナル | 自動 | 75,000円 から 100,000円 |
| フリー | 新フリープラン | 自動 | 無料のまま。人数上限が10から5へ |
いちばん揺れるのはスタータープランです。新プランに同格の受け皿が無く、最低でもエコノミーの21,000円になります。倍率は7.78倍です。次がスタンダードで16名以上、または31プロジェクト以上の組織で、2倍を超えます。
エデュケーションプランとNPOプランは、新料金を基準に引き続き半額とされており、割引率の変更はありません。オンプレミスのエンタープライズ版は、機能や利用環境の変更は無く、新料金が適用されます。
経過措置は無い
旧料金を続けられる特別枠や、経過措置としての割引は公表されていません。用意されているのは、いまの契約期間を走り切れるという一点だけです。公式のよくある質問には、現在の契約期間中に上位プランへ変更しない場合は追加の費用がかからない、という趣旨の説明があります。言い換えると、旧料金が効くのは現在の契約期間が終わるまでです。
もうひとつ、現行プラン内でのダウングレードにも制限がかかります。次の利用期間が2027年1月1日以降になる場合は、現在のプランでのダウングレードはできない、と案内されています。「安いプランに落として様子を見る」という逃げ方は、時期によっては使えません。
支払い方法の選択肢が変わる
見落とされがちですが、資金繰りに直接効く変更があります。2027年1月1日以降、銀行振込で選べる支払い期間は年払い(12か月)のみになります。現在の3か月払いと6か月払いは廃止です。銀行振込で3か月または6か月を選んでいる場合、適用開始日から自動的に年払いへ変更されます。
クレジットカード払いは、引き続き月払いと年払いを選べます。月々で払いたい組織にとっては、カードへの切り替えが唯一の道になります。エコノミーの年払いは年額239,400円(税抜)で、これが一度に請求されることになります。小さな組織では、金額の上げ幅より先にこちらが効いてきます。
予約が必要かどうかを確かめる
自動で移らない組織には、新プランを予約する手続きが要ります。2026年8月5日に、適用開始日より前に新プランを予約できる機能の提供が告知されました。予約が必須になるのは、スタータープランを使っている場合、スタンダードプランでユーザー16名以上またはプロジェクト30超の場合、スタンダードプランでNulab Passを契約している場合です。
予約しないとどうなるかについて、公式のよくある質問は「予約がない場合、適用開始日以降にBacklogを利用できなくなる可能性があります」と明記しています。乗り換えを検討している最中であっても、この手続きだけは先に片付けてください。検討が間に合わなかったときの逃げ道が無くなります。
期限の目安は、銀行振込が適用開始日の64日前まで(請求書が発行されるまで)、クレジットカードが適用開始日の2日前までです。請求書は次回の契約開始日の63日前に発行されます。
今日できる確認手順
ここまでの話を自分の数字に落とすための作業です。合計で1時間かかりません。
契約更新日を調べる
契約管理者または管理者が「組織設定」の「プラン」画面を開くと、自分のスペースの適用開始日が表示されます。ここが分からないと、いつまでに決めればよいかが決まりません。トライアル中、プラン停止中、フリープランの場合は、この案内が表示されないため、契約の状況によっては窓口への確認が必要になります。
表示された日付を見たら、そこから逆算して2つの日をカレンダーに入れてください。1つは予約の期限で、銀行振込なら適用開始日の64日前、クレジットカードなら2日前です。もう1つは判断の期限で、予約の期限の1か月前に置きます。移るか残るかを、その日までに決めると決めておきます。
人数を数える
いま登録されているアカウントを一覧で開き、実際に使っている人だけを数えます。数えるときに分けるのは3種類です。社員、外部の協力者、すでに関わっていない人です。3種類目が見つかったら、その場で削除するかどうかを決めます。
新プランのエコノミーは15名が上限です。ここを1人超えるだけで、月額が21,000円から36,300円に変わります。年間では税抜で183,600円の差です。1人分のアカウントを整理するかどうかで、この差が決まる可能性があります。
プロジェクト数を数える
エコノミーのプロジェクト数の上限は30です。現行のスタンダードは100なので、いま50や60のプロジェクトを持っている組織は、この時点で上限を超えます。
数えるときに見落とすのがアーカイブ済みのプロジェクトです。公式のよくある質問では、アーカイブ済みのプロジェクトも上限に数えると案内されています。「使っていないからゼロ」と考えていると、実際の数と食い違います。アーカイブと削除は別の操作です。数を減らしたいなら、中身を書き出したうえで削除するかどうかを判断してください。
課題の件数を、未完了と完了に分けて数える
高度な検索で状態を絞り込み、未完了の件数と完了の件数を別々に数えます。移す対象になるのは未完了だけです。ここで出てくる数字が、移行にかかる時間の見積りの土台になります。
あわせて、期限日が入っていない課題の件数も数えておきます。移した先で日程表を使う予定があるなら、この数がそのまま補完の作業量になります。
移す順番
乗り換えると決めた場合の手順です。順番を守ると、途中で止まっても被害が小さく済みます。
第1段階 棚卸しをする
最初にやるのは、移す対象を減らすことです。移す件数が3割減れば、作業時間も3割減ります。
数えるものは4つです。1つ目は人数で、退職者や使われていないアカウントが残っていないかを見ます。2つ目はプロジェクト数で、アーカイブ済みのものも数に入る点に注意します。公式のよくある質問では、アーカイブ済みのプロジェクトも上限に数えると案内されています。3つ目は課題の件数で、未完了と完了に分けて数えます。4つ目は共有ファイルとリポジトリの容量です。
この棚卸しは、移らない場合にも役に立ちます。人数を15名以内、プロジェクトを30以内に収められれば、エコノミーで済む可能性が出てきます。16名で36,300円か、15名で21,000円かは、年間で183,600円(税抜)の差になります。棚卸しの30分で、この差が決まることがあります。
第2段階 いちばん小さいプロジェクトで通しでやってみる
いきなり全部を移さないでください。課題のいちばん少ないプロジェクトを1つ選び、書き出しから取り込みまでを通しでやります。1時間で終わります。
ここで確かめるのは4点です。日付の書式が壊れないか。担当者が正しく紐づくか。親子関係が付くか。コメントと添付ファイルがどう扱われるか。この4点が分かれば、全体の見積りが立ちます。
課題の書き出しは、検索結果からCSV形式またはExcel形式で行えます。文字数が大きい場合はCSV形式が推奨されています。コメントには取得上限があり、1つの課題につき200件までです。
第3段階 語彙の対応表を作る
状態、種別、優先度の言葉を、移した先の言葉へどう訳すかを表にします。人によって訳し方が変わると、移した先で似た意味の状態が乱立します。
| 移す前 | 移した後 | 判断のメモ |
|---|---|---|
| 未対応 | 未着手 | そのまま |
| 処理中 | 進行中 | そのまま |
| 処理済み | 確認待ち | 確認する人がいる場合だけ使う |
| 完了 | 完了 | 完了分は移さず控えだけ残す案もある |
この表は、移行の作業者だけでなく、チーム全員に共有してください。移した先で新しい言葉を使い始めるのは全員なので、表を見た人が「この状態はどこへ行ったのか」と迷わないようにします。
第4段階 新しく作る課題だけ、新しい場所へ
ここが順番の要です。過去の課題を全部移してから切り替えるのではなく、ある日を境に「これから作る課題は新しい場所へ」と決めます。過去の課題は、未完了のものだけを移します。
こうすると、移行の作業と日常の業務が分離されます。全部移してから切り替える方式だと、移している間に新しい課題が増え続け、いつまでも終わりません。
移す対象を未完了に絞る理由はもうひとつあります。Backlogの一括登録では、課題の状態を入力できず、すべて「未対応」で登録されます。
課題の「状態」は入力できません。すべて「未対応」で登録されます 出典: support-ja.backlog.com
完了済みの課題まで移すと、全部が未対応で並び、それを手で完了に直す作業が発生します。300件あれば2時間以上かかります。完了済みは移さず、書き出したCSVを共有ドライブに置いて読み取り用の控えにするほうが、はるかに早く済みます。
第5段階 過去の記録を、どう残すか決める
古い場所の契約をいつ止めるかを決めます。止める前に、次の3つを手元に持ってきているか確認してください。課題のCSV。共有ファイル。GitとSubversionのリポジトリです。共有ファイルはWebフォルダやFinderからダウンロードし、Gitリポジトリは git clone で取得する、というのが公式に案内されている手順です。
スペース全体をまとめて出す有料オプションもあります。「スペースデータのバックアップ」で、金額は50,000円(税抜、別途消費税)です。ただし公式ヘルプに「バックアップしたデータは、Backlogにインポートできません。」と明記されている点に注意が要ります。これは手元に控えを残すためのもので、別の場所へ流し込むためのものではありません。
当面の並行運用をどう設計するか
移行がうまくいかない原因の大半は、並行運用の設計を怠ったことにあります。
期間を先に決める
並行運用は必ず期間を切ってください。「しばらく両方使う」と決めた組織は、たいてい半年経っても両方使っています。1か月から2か月が現実的な長さです。この期間の終わりに、古い場所を読み取り専用にする日を決めます。
期間の終わりを契約の更新日に合わせるのが、いちばん分かりやすい設計です。適用開始日が2027年3月なら、その1か月前を並行運用の終わりに置きます。逆算すると、移す作業を始めるのは2026年内ということになります。
二重入力を絶対に作らない
並行運用でいちばんやってはいけないのが、同じ課題を両方の場所で更新することです。二重入力は必ず破綻します。どちらが正しいか分からなくなり、両方とも信用されなくなります。
線引きは単純にします。ある日以降に作る課題は新しい場所だけ。それ以前の未完了の課題は、移したら古い場所では触らない。古い場所は読むだけ。この3行を紙に書いて共有すれば足ります。
誰が困るかを先に聞く
移行で抵抗が出るのは、たいてい特定の使い方をしている人です。日程表を毎日見ている人、リポジトリと課題を行き来している人、社外の人とやり取りしている人。この3種類の人に、移行の前に個別に聞いてください。「新しい場所でこれができないと困る」という話が出てきます。
出てきた要件のうち、移す先で満たせないものがあるなら、その時点で移行の是非を考え直します。移してから発覚すると、戻すことになります。戻すのは移すより手間がかかります。
慣らし期間を人数で見積もる
全員が新しい場所で更新するようになるまでの期間は、課題の件数ではなく人数に比例します。10人なら2週間から1か月です。この期間中は、進捗の情報が両方の場所に散らばります。とりまとめる人の負荷が一時的に上がることを、あらかじめ織り込んでおいてください。
慣らしを早める方法は1つだけあります。とりまとめる人が、古い場所を見に行くのをやめることです。新しい場所に書かれていない情報は無いものとして扱うと決めると、書く人が増えます。厳しいようですが、これがいちばん効きます。
移す先の候補を、どう見るか
乗り換え先を1つに絞って勧めるつもりはありません。比べるための軸を出します。
料金が何で決まるかを見る
人数で決まるのか、機能で決まるのか、定額なのかで、増員したときの負担が変わります。社外の協力者を多く抱えているなら、人数で決まる形は不利です。逆に少人数で長く使うなら、人数で決まる形のほうが安く収まります。料金の形の違いは料金で確かめられます。
いま使っている機能のうち、どれが上位プランに置かれているかも見ます。無料や下位のプランで始めて、あとから必要な機能が上位にあると分かると、想定より高くつきます。
自前で持つか、借りるか
自分でサーバーを用意して動かす形の道具は、ライセンス費用がかかりません。ただし動かし続けるための作業が要ります。更新の頻度、バックアップ、認証の設定、障害が起きたときの対応まで、誰かが担当することになります。社内にその手を持つ人がいるかどうかで、成り立つかどうかが決まります。
借りる形なら、その作業は要りません。代わりに月額が発生し、上限や機能の範囲は提供する側が決めます。どちらが安いかは、人件費をどう数えるかで変わります。
情報の置き場所と、社外の人の入れ方を見る
移す先を選ぶときに、あとから効いてくるのが権限の作りです。社外の人をどう入れるかは、道具ごとに考え方が違います。人ごとに役割を与える形、プロジェクトごとに範囲を切る形、ログインしていない人にも読ませる形など、幅があります。
いま社外の人に何を見せていて、何を見せていないかを書き出してから、移す先で同じ線が引けるかを確かめてください。移してから「取引先に他の案件まで見えていた」と気づくのが、いちばん避けたい事故です。確認の観点は安全性の考え方にまとめてあります。
もうひとつ、画面の言語も確かめておきます。社外に日本語を読まない人がいる場合、日本語だけの道具では説明の手間が増えます。逆に、社内で英語の画面に抵抗がある人が多いなら、多言語に対応していても日本語の訳が追いついているかを見ます。
機能の多さで選ばない
比較表の丸の数で選ぶと、たいてい失敗します。使わない機能が多い道具は、画面が複雑になり、入力する人が減ります。入力する人が増えないと、進捗の表はすぐ嘘になります。
選ぶ基準は、いま実際に使っている機能を数えることです。Backlogで使っている機能を書き出してみて、10個以下なら、その10個が満たせる道具ならどれでも成り立ちます。課金の軸と上限の考え方を並べた整理はBacklogとの比較にまとめてあります。どういう使い方なら移る理由が無いのかを先に置いた作りにしてあるので、残る判断をするための材料としても読めます。使っている機能を数え直すときは、こうした整理を横に置きながら、自分たちの一覧と突き合わせてみてください。10個以下に収まるようなら、選択肢はかなり広がります。
ボード型の考え方に寄せる場合、細かい属性の落とし先を決める必要があります。その手順はTrelloとの比較で扱っています。取り込みが自動でできる組み合わせかどうかはTrelloからの移行で確かめてください。対応していない組み合わせでは、CSVを手で整える工程が必要になります。
乗り換えが失敗する4つの型
移行そのものより、移したあとの定着でつまずく例のほうが多く見られます。
全部を一度に移そうとする
完了した課題まで含めて全件を移そうとすると、作業が数日単位に膨らみ、途中で止まります。止まった状態が最も危険で、情報が2か所に半分ずつある状態が固定されます。未完了だけに絞る、新規は新しい場所に作る、という2つの決めごとで、この型は避けられます。
移行の担当者が1人しかいない
移す作業を1人に任せると、その人が忙しくなった瞬間に止まります。しかも移す過程で決めた対応づけの判断が、その人の頭の中にしか無い状態になります。語彙の対応表を紙に落とし、2人目が読めば続きをやれる形にしてください。
使い方の説明をしない
道具を切り替えたのに、使い方の説明を10分もしない組織があります。とりまとめる人は移行の作業を通じて操作を覚えていますが、他の人はいきなり新しい画面に放り込まれます。説明が無いと、慣れた古い場所へ戻ります。30分の説明で、慣らし期間は半分になります。
移した先で運用を変えない
日程表が更新されない、進捗が入らないという問題は、道具を変えただけでは直りません。更新する人が1人に固定されている構造や、更新の周期が決まっていない状態が原因だからです。移行は、その構造を変える数少ない機会です。誰がいつ何を入れるかを、切り替えと同時に決めてください。移行が終わって落ち着いてから変えようとすると、たいてい変わりません。
判断を数字にする
最後に、移るか残るかを数字で並べます。
課題300件、プロジェクト5つ、10人という規模で、移行にかかる時間はおおよそ8時間です。内訳は、棚卸し30分、試験移行1時間、語彙の対応表1時間、日付と担当者の置き換え1時間から2時間、取り込みと確認2時間、添付ファイルの並べ直し2時間です。慣らし期間の負荷は別に見ます。
これを年間の差額と並べます。スタンダードからエコノミーへの自動移行なら、月額の差は5,000円、年間で60,000円(税抜)です。8時間の作業で60,000円を毎年浮かせられるなら、移る価値があります。プレミアムからビジネスなら年間111,600円(税抜)の差です。
一方、スタータープランからエコノミーへの移行は、年間で219,600円(税抜)の差になります。この層では計算が明らかに逆転します。ただしスタータープランには受け皿が無く、予約をしないと利用できなくなる可能性があるため、乗り換えるにせよ上げるにせよ、期限までに手続きが要る点は変わりません。
過去に一度、ヌーラボはクラシックプランの提供終了を延期したことがあります。2023年8月24日に告知された終了予定日は2024年5月31日でしたが、2024年3月6日に延期が告知され、2025年5月31日へ移りました。延期の理由は、移行に不安を感じる利用者へのサポートを厚くするため、と説明されています。これは過去に前例があるという事実で、今回も延期されるという予測ではありません。予定どおり進む前提で準備し、延期があれば余裕が増えたと受け取るのが実務的です。
なお、Backlog自体の提供終了や、サービスの新規申し込み停止の告知はありません。2026年に入ってからも機能の追加が続いており、Backlog AIアシスタントが2026年3月、関連課題が2026年7月28日、AIレビューが2026年8月7日、孫課題が2026年8月18日に提供開始と告知されています。終了するから移る、という判断の立て方は当たりません。移る理由があるとすれば、自分たちの使い方と新しい料金の形が合わなくなった、という一点だけです。
決められないときは、決める材料が足りないのではなく、手を動かしていないことがほとんどです。棚卸しの30分と、試験移行の1時間。合計1時間半で、判断に必要な数字はそろいます。細かい条件の確認先はよくある質問にまとめてあります。
Q1. 2027年1月1日から、すぐに新しい料金になりますか?
既存の契約者はその日ちょうどではありません。2027年1月1日以降に到来する最初の契約更新日からで、ヌーラボはこれを適用開始日と呼んでいます。スペースごとに違うため、契約管理者が「組織設定」の「プラン」画面で確認してください。トライアル中、プラン停止中、フリープランの場合は、この案内が表示されません。
Q2. 旧料金を続けられる経過措置はありますか?
旧料金を継続できる特別枠や、経過措置としての割引は公表されていません。用意されているのは、いまの契約期間を走り切れるという一点だけです。次の更新日が2027年1月1日以降なら、そこから新料金になります。現行プラン内でのダウングレードにも制限があり、次の利用期間が2027年1月1日以降になる場合はできないと案内されています。
Q3. 新プランの予約をしないとどうなりますか?
公式のよくある質問は「予約がない場合、適用開始日以降にBacklogを利用できなくなる可能性があります」と明記しています。予約が必須なのは、スタータープラン利用中、スタンダードでユーザー16名以上またはプロジェクト30超、スタンダードでNulab Passを契約中のいずれかに当たる場合です。乗り換えを検討中でも、この手続きは先に済ませてください。
Q4. 並行運用はどれくらいの期間にすべきですか?
1か月から2か月が現実的です。期間を切らないと、半年経っても両方使い続けることになります。終わりを契約の更新日に合わせると分かりやすくなります。期間中は二重入力を作らないことが最も重要です。ある日以降の新規は新しい場所だけ、過去の未完了は移したら古い場所では触らない、という線引きを共有してください。
Q5. 乗り換えないほうがよいのは、どういう場合ですか?
GitやSubversionを課題と結びつけて使っている場合、カスタム属性を業務の記録に使っている場合、プレミアムやプラチナからの自動移行で上げ幅が3割台に収まる場合です。これらは移行の手間のほうが高くつきます。移行には8時間前後の作業と、10人規模で2週間から1か月の慣らし期間がかかることを、年間の差額と並べて判断してください。