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ClickUpからデータを移す|持ち出せるものと、手で作り直す部分

2026年9月14日 ・ Pinateca編集部

「ClickUp ikou」で調べている人が知りたいのは、たいてい機能の比較ではありません。いま入っているタスクやドキュメントを、どこまで壊さずに次の場所へ運べるのかという一点です。この記事では、ClickUpから出せるデータの形と、出す入口が何か所あるのか、そして出したあとに必ず手作業になる部分を、公式ヘルプで確認できる範囲だけで整理します。移るかどうかを決める前に、運べない部分の量を先に見積もれる状態を目指します。

移す前に、何を「データ」と呼ぶのかを決める

移行の計画がうまくいかない原因のほとんどは、初日に「データ」の範囲を決めていないことにあります。タスクの一覧だけを指しているのか、そこに紐づく添付ファイルや会話も含むのか、それとも運用の設定まで含むのか。ここを曖昧にしたまま書き出しを始めると、移した先で「あれが無い」が何度も出てきます。

実務では、次の4つに分けて数えるのが分かりやすい切り方です。

・記録そのもの。タスクの名前、期日、担当者、状態、説明文 ・記録にぶら下がるもの。コメント、添付ファイル、チェックリスト、作業時間 ・見せ方の設定。絞り込み、並べ替え、保存した画面、集計の板 ・動きの設定。自動化のルール、通知の条件、権限、外部サービスとのつなぎ

この4つのうち、ファイルとして持ち出せるのは上の2つが中心で、下の2つは移った先で作り直すことになります。見積もりを誤りやすいのは4つめです。自動化のルールは数が少なく見えても、1本ずつ条件と動作を読み解いて別の書き方に置き換える作業になるため、10本あれば半日から1日かかります。

とりまとめる立場の人がまずやるべきなのは、この4分類で自分たちの現物を数えることです。タスクは何件か。自動化は何本か。外部サービスとつないでいる口はいくつか。数が出れば、移行にかかる日数はかなりの精度で読めます。

書き出しの入口は、1か所ではない

ClickUpのデータを持ち出す方法は、ひとつの画面にまとまっていません。公式ヘルプでは、用途ごとに複数の入口が案内されています。

出したいもの 入口 形式
タスクの一括 ワークスペース設定の書き出し CSV
画面に出ている一覧 リストまたはテーブルの画面から書き出し CSVまたはExcel
ドキュメント ドキュメントごとの書き出し PDF、HTML、Markdown
集計の板のカード カードごとの書き出し PDF、PNG、JPEG、SVG、CSV
ホワイトボード ホワイトボードの設定から書き出し PNG、JPEG、SVG、WEBP、PDF
フォームの回答 フォームの画面から書き出し CSV
添付ファイル タスクから個別または一括で取得 元の形式またはZIP
すべて API 任意

この表を見て気づくのは、1回の操作で全部を落とす仕組みは用意されていないという点です。移行の作業は、この入口を順番に回る作業になります。段取りを立てる段階では、入口の数ぶんだけ手順書の行が増えると考えておくのが安全です。

タスクの一括書き出しに、何が入るのか

いちばん量の多いタスクのデータは、ワークスペースの設定から場所を選んで書き出します。公式ヘルプに記載されている手順は、ワークスペースのアバターから設定を開き、取り込みと書き出しの欄を選び、場所を指定して開始するという流れです。完了するとダウンロードの案内が出て、メールでもリンクが届きます。

書き出されるCSVに入る項目として挙げられているのは、タスクのID、タスクへのリンク、タスクの種別、独自のID、名前、説明文、状態、作成日、期日、開始日、親のID、サブタスクのID、添付ファイルの名前とリンク、担当者、タグ、優先度、リストの名前、フォルダの名前と経路、スペースの名前、見積もり時間、チェックリスト、コメント、割り当てられたコメントの件数、記録した時間、積み上げた時間です。日付と時間の項目は、機械が読む形式と人が読む形式の両方で入ると説明されています。

ここで確かめておきたいのは、この一覧に名前が挙がっていないものです。公開されている説明には、カスタムフィールドの値と、タスク同士の依存関係についての記載が見当たりません。無いと断定はできませんが、移行の計画を立てるうえでは「出ない前提で見積もり、実際に書き出して確かめる」という進め方が安全です。カスタムフィールドを業務の中核に使っているチームは、ここで作業量が大きく変わります。

依存関係についても同じです。工程の前後関係を線でつないで運用している場合、その関係が運べないなら、移った先で引き直すことになります。前後関係が100本あるなら、その100本を目で追って引き直す作業が発生します。最初に書き出しを1回試して、CSVの列に何が並ぶかを自分の目で見ておくのが、いちばん確実な見積もり方法です。

画面からの書き出しは、選択肢で中身が変わる

タスクの一括書き出しとは別に、いま見ている一覧をそのまま落とす方法があります。リストの画面かテーブルの画面で、右上の設定から書き出しを選ぶ流れです。ここで選べる内容が3通りあると案内されています。

・見えている列だけ。この選択のときは、閉じたタスクも書き出しに含まれる ・タスクの名前だけ。名前の一覧だけが並ぶ ・すべての列。画面に出していない列も含めて、全部の値が出る

移行の目的なら、迷わず「すべての列」を選びます。見えている列だけを選ぶと、その画面の設定に引きずられた不完全なファイルになります。

日付の形式も選べます。通常の表記、国際規格の表記、1970年からの経過ミリ秒の3通りです。移した先の道具が読み込める形式に合わせて選ぶのが基本ですが、迷ったら国際規格の表記にしておくと、表計算ソフトでも取り込み先でも扱いやすくなります。時間の表記も、時と分を文字で示す形と、コロンで区切る形の2通りから選べます。

サブタスクを含めたい場合は、書き出す前に画面の設定を切り替える必要があります。リストの画面では「別のタスクとして」を選び、テーブルの画面では表示の切り替えを入れる、と案内されています。折りたたんだままの組は書き出しに含まれないとも明記されているため、実行前に全部を開いた状態にしておきます。

もうひとつ、見落としやすい制約があります。ダウンロードのリンクはメールで届きますが、そのリンクは1時間で期限が切れると書かれています。夜に書き出しを走らせて翌朝に取りに行く、という段取りは通りません。書き出しは、受け取る人が席にいる時間に実行します。

文書とホワイトボードは、1件ずつになる

タスクの次に量が多いのは、ドキュメントです。ClickUpのドキュメントはPDF、HTML、Markdownの3つの形式で書き出せると案内されています。移行先が見出しや表を保ったまま受け取れるなら、Markdownが扱いやすい形式です。

ただし、ここに明確な制約があります。

Exporting all Docs in bulk from a Workspace is not yet available. 出典: help.clickup.com

ワークスペース全体のドキュメントをまとめて書き出す機能は、現時点では提供されていないという記載です。つまり、文書が80本あれば、80回の操作になります。1本あたり1分で回しても80分です。この作業時間は移行の計画に必ず入れてください。運用の手順書や議事録を全部ドキュメントに置いているチームほど、この部分が重くなります。

ホワイトボードは、画像またはPDFとして書き出す形になります。書き出した瞬間に、それは図ではなく絵になります。付箋を動かして議論する使い方をしていたなら、移った先では作り直しです。ホワイトボードを設計の中心に据えているチームは、移行の判断そのものを考え直す材料になります。

集計の板のカードについては、有料の段階による差が案内されています。書き出せるのはBusiness以上で、形式はPDF、PNG、JPEG、SVG、CSVです。カードによって書き出せるかどうかが違うとも書かれているため、報告に使っているカードが対象かどうかは事前に確認が要ります。

添付ファイルの運び方を先に決める

CSVに入るのは添付ファイルの名前とリンクであって、ファイルそのものではありません。タスクから個別に、またはタスク単位でまとめてZIPとして取得する方法が案内されています。

移行の現場でここが詰まりやすいのは、量の読み違いです。タスクが1,000件あり、そのうち半分に資料が1つずつぶら下がっていれば、500個のファイルを運ぶことになります。手作業でタスクを開いて落とす進め方だと、1件30秒でも4時間を超えます。

現実的な判断は2つに分かれます。ひとつは、全部は運ばないと決めること。過去の案件の添付は元のサービスを閲覧だけできる状態で残しておき、動いている案件のぶんだけ運ぶやり方です。もうひとつは、APIで機械的に落とすことです。後者を選ぶなら、次の節の上限が効いてきます。

APIで運ぶときに効いてくる上限

手作業で回しきれない量なら、APIを使う選択になります。公式ヘルプには、標準の上限として1分あたり100リクエストという数字が示されています。

この数字は、移行にかかる時間の見積もりに直結します。タスクを1件ずつ取得する作りで5,000件を運ぶなら、単純計算で50分です。そこに添付ファイルの取得が加われば、さらに伸びます。夜間に流して翌朝に確かめる段取りなら現実的ですが、会議中に「今から移します」と言える速度ではありません。

APIを使う場合は、社内で誰が書くのかも決めておきます。移行のためだけの使い捨てのプログラムを、通常の業務の片手間で書くのは負担が大きい作業です。外部に頼むなら、その費用も移行のコストに入ります。移行の総額を出すときに、この項目を忘れると、見積もりが後から膨らみます。

移った先で、必ず作り直すもの

ここまでが「運べるもの」の話でした。次は、どの道具へ移る場合でも作り直しになる部分です。

自動化のルールは、道具ごとに書き方が違うため、そのままの形では運べません。条件と動作を紙に書き出して、移行先の言葉に翻訳する作業になります。この作業は、ついでに棚卸しをする機会でもあります。作ったまま誰も気づいていない自動化が動いていることは珍しくないので、全部を移さず、いま効いているものだけを選び直すほうが結果として軽くなります。

通知の条件も同じです。誰に、どの操作で、どの経路で届くのか。ここを移し忘れると、移行した直後に「連絡が来なくなった」という苦情が出ます。移行の週にいちばん多く出るのが、この種類の問い合わせです。

権限の設定も運べません。誰がどこを見られて、誰が編集できるのか。人数が30人を超えるチームでは、ここを設計し直すだけで半日かかります。

外部サービスとのつなぎも、口ごとに設定し直しです。チャットへの通知、カレンダーとの同期、書類の保管先。どれも移行先で対応しているかを先に確かめないと、移ったあとに業務が止まります。

CSVは、そのまま取り込めるとは限らない

書き出しが終わっても、移行の半分が終わっただけです。次に来るのは、取り込み先の道具が求める形にファイルを整える作業です。ここを軽く見積もると、移行の日程が1週間ずれます。

整える対象は、だいたい次の4つに絞られます。

・列の名前の対応づけ。書き出したファイルの列名と、取り込み先が求める列名は一致しません。どの列をどこに入れるかの対応表を、最初に1枚作ります ・人の指定の形。担当者が表示名で出ているのか、ログイン名で出ているのか、メールアドレスで出ているのかによって、取り込み先での照合が変わります。同姓同名がいるチームでは、表示名での照合は必ず事故を起こします ・状態の名前。独自の状態名を使っていると、取り込み先に同じ名前が存在しません。どの状態をどこに寄せるかを先に決めておきます。ここは機械では決められないので、運用を知っている人が判断します ・日付の形。書き出しのときに選べる3つの表記のうち、取り込み先が読める形を選びます。経過ミリ秒の形で出して、取り込み先が読めずに全部が1970年になる、という失敗はよく聞きます

対応表を作る作業は、件数に比例しません。列の数と状態の数に比例します。タスクが5,000件でも500件でも、対応表を作る手間はほぼ同じです。つまり、件数が多いチームほど、この前準備の効率がよくなります。逆に言えば、少量だからといって手作業で移そうとすると、かえって時間がかかります。

取り込みは、いきなり全件でやりません。まず20件だけ入れて、担当者、期日、状態、説明文が正しく入っているかを目で確かめます。ここで対応表の誤りが1つか2つ見つかるのが普通です。直してから全件を流します。この手順を踏まないと、5,000件を入れ直すことになります。

コメントと作業時間は、別の扱いになる

タスクの本体とは性格が違うため、扱いを分けて考えるべきものが2つあります。コメントと、記録した作業時間です。

コメントは、書き出しのCSVに項目として挙がっています。ただし、取り込み先がコメントの列を受け取れるとは限りません。多くの道具は、タスクを作る取り込みは用意していても、そのタスクに過去のコメントをぶら下げる取り込みは用意していません。結果として、コメントは説明文の末尾に追記する形で運ぶか、運ばないかの二択になりがちです。

判断の基準は、コメントを後から読み返す業務があるかどうかです。仕様の決定の経緯が会話の中にしか残っていない現場では、運ばないと後で困ります。逆に、コメントが日々の連絡だけなら、運ぶ価値はほとんどありません。過去3か月ぶんだけ運ぶ、という割り切り方も現実的です。

作業時間の記録は、請求と結びついていることがあります。取引先への請求の根拠として使っているなら、移すのではなく、書き出したファイルを会計の資料として保管するほうが確実です。移行先で時間の記録の仕組みが違うと、数字の意味も変わるからです。この判断は経理の担当者を交えて決めます。

移行の当日にやることを、時系列で並べる

準備が整ったら、切り替えの日の段取りを1枚にします。実務でよく使われる並びは次のとおりです。

・前日の夕方に、古い場所への書き込みを止める案内を出す ・当日の朝に、最終版の書き出しを実行する。リンクの期限が1時間なので、受け取る人が席にいる時間に走らせる ・書き出したファイルを対応表に合わせて整える ・20件で試し、確認が取れたら全件を取り込む ・件数を突き合わせる。古い場所の件数と、新しい場所の件数が合うかを数字で確かめる ・担当者の割り当てが正しいかを、人数分だけ抜き取りで確認する ・新しい場所の入口を全員に配る ・古い場所を読み取り専用の扱いにする

最後の項目は、設定で強制するのが難しい場合もあります。その場合は、案内の文章で徹底します。件数の突き合わせは省かれがちですが、ここを飛ばすと運び漏れが数か月後に発覚します。数えるだけの作業なので、必ず入れてください。

解約と削除の順番を間違えない

移行で取り返しがつかなくなるのは、契約まわりの操作です。公式ヘルプには2つの説明があり、性質がまったく違います。

ひとつは段階を下げる操作です。請求の周期の終わりに新しい段階へ切り替わり、データはワークスペースに残り、また上げれば使えると説明されています。つまり、下げるだけならデータは消えません。

もうひとつはワークスペースそのものを消す操作です。こちらには、削除したワークスペースは復元できないと明記されています。所有者だけが実行でき、携帯端末のアプリからは実行できないとも書かれています。

順番としては、書き出しを全部終えて、移行先で中身を確かめて、関係者が新しい場所で1か月動いてから、最後に消す。この順番を崩さないことです。よくある失敗は、月末の請求を止めたくて先に消してしまい、後から「あの資料はどこか」と言われる展開です。段階を下げるだけなら費用は止まり、データは残ります。急ぐ理由が費用なら、まず下げれば足ります。

並走の期間を、どれだけ取るか

移行の成否は、実は運んだデータの量ではなく、並走の期間で決まります。古い場所と新しい場所を同時に開けておく期間のことです。

短すぎると、運び漏れに気づく前に元の場所が消えます。長すぎると、人が2か所を見続けることになり、どちらも中途半端になります。実務でよく取られるのは2週間から1か月です。その期間、古い場所は読むだけ、新しい場所に書く、という約束を先に配ります。

この約束を文章で配らないと、必ず半分の人が古い場所に書き続けます。移行の週にやることは、データを運ぶことよりも、この約束を全員に届けることのほうが重要です。とりまとめる立場の人が用意するのは、次の3つだけで足ります。いつから新しい場所に書くのか。古い場所はいつまで読めるのか。困ったときは誰に聞くのか。

移した直後の2週間に、必ず起きること

移行そのものが終わっても、落ち着くまでにはもう少しかかります。切り替えた直後に高い確率で起きることを、あらかじめ関係者に伝えておくと、問い合わせの数が減ります。

最初に来るのは、通知が来ないという声です。移行先で通知の条件を作り直している以上、以前と同じ経路で同じ頻度の連絡は届きません。ここは不具合ではなく設定の問題なので、切り替えの週に「通知は作り直したので、足りないものがあれば申告してほしい」と先に配っておきます。

次に来るのが、探しものが見つからないという声です。画面の構成が変われば、同じ情報でも置き場所が変わります。よく使う一覧を3つだけ作って、その入口を配るのが効きます。全部の使い方を教えようとすると、聞く側が覚えきれません。

3つめは、古い場所に書いてしまう人が出ることです。これは案内の不足ではなく、習慣の問題です。2週間ほどは、古い場所に書き込みがあったら本人に伝えて、新しい場所へ写す役を誰かが引き受けます。この役を決めておかないと、とりまとめている人に全部が集まります。

4つめは、運ばなかったものについての問い合わせです。ホワイトボードや古いコメントを運ばない判断をしたなら、その判断を最初に文章で共有しておきます。「運ばないと決めた」と伝えてあるのと、黙って消えているのとでは、受け取られ方がまったく違います。

移らないほうがよい場合を先に置く

ここまで移し方を並べてきましたが、移らない判断が正しい場面もあります。

ひとつめは、自動化と外部サービスのつなぎが業務の中心になっている場合です。運べない部分が最も重い領域なので、移行の費用が道具の差額を上回ります。

ふたつめは、ホワイトボードや図を使った設計が仕事の核にある場合です。書き出しても絵になるだけなので、作り直しの量が読めません。

みっつめは、移行の担当者を用意できない場合です。書き出しの入口が複数あり、文書は1件ずつで、権限と自動化は作り直しになります。これを通常の業務の合間にやると、中途半端な状態が数か月続きます。誰かが3日から5日を専任で使える見込みが立たないなら、時期を待つほうが結果的に安く済みます。

よっつめは、繁忙期が近い場合です。移行の週は、どれだけ準備しても問い合わせが増えます。納品や決算と重なる時期に切り替えると、混乱が業務の遅れに直結します。年の中で仕事が薄くなる時期を選ぶだけで、同じ作業量でも体感の負担が半分になります。時期を選べる立場にあるなら、機能の比較より先に日程を押さえるほうが効果があります。

逆に、移る理由がはっきりしている場合もあります。覚える言葉が多すぎて作業する人が更新しない、社外の人を入れるたびに契約を見直している、画面の言語が合わない、といった理由は、データを運ぶ手間を払ってでも解消する価値があります。判断の材料は、運べない部分の量と、いま払っている不便の大きさの比較です。

寄せられる相談から見えていること

道具の乗り換えについて届く相談を眺めていると、聞かれているのは移行の手順そのものではなく、「移したあとに、また同じことが起きないか」という不安です。今回の移行で数日を使う以上、次の移行は避けたい。その気持ちは当然です。

この不安に対して効くのは、次の道具を選ぶときに出口を先に見ることです。書き出しの入口が何か所あるか。文書をまとめて出せるか。全部を出す機能が用意されているか。入るときには誰も見ませんが、出るときに必ず効いてくる項目です。

もうひとつ届くのが、機能の段階と料金の関係についての相談です。集計の板を書き出せるのが上の段階だけ、という作りだと、移行の作業をするためだけに段階を上げることになります。料金の作り方としては、機能で絞らず、区切るのは人数とボードの数だけという形もあり、その場合は出口の機能も段階に縛られません。どちらが合うかはチームの形で変わるので、料金の考え方と、板の上で何ができるのかを整理したできることを並べて見ると判断しやすくなります。

移行先の候補を絞る段階にいるなら、軸を決めてから並べます。カンバンの板を中心に据えたい場合はTrelloとの比較が、案件の進行と文書を同じ場所で扱いたい場合はNotionとの比較が、国内の商習慣に寄せた作りを見たい場合はBacklogとの比較が、それぞれ近い論点を扱っています。全体を見渡すなら比較の一覧が入口になります。取り込みの仕組みがどこまで用意されているかを確かめたいならTrelloからの移行に手順の考え方が、預けるデータの扱いが気になるなら安全性の考え方に判断の材料が並んでいます。判断に迷う点があればよくある質問も参考になります。

出口を確かめるときに見落としやすいのが、書き出したファイルを誰が保管するのかという点です。移行が終わると、書き出した一式は誰のパソコンにも残っていない、という状態になりがちです。移行の最後に、書き出したファイルを社内の保管場所へ置き、保存する期間を決めておきます。契約や請求に関わる記録が含まれる場合は、経理の保存期間に合わせるのが無難です。

最後に、移行を決める前に埋めておきたい表を挙げます。タスクの件数。文書の本数。添付ファイルの個数。自動化の本数。外部サービスとつないでいる口の数。並走に使える期間。専任で動ける人日。この7つの数字が並べば、移行にかかる日数と、運べない部分の量は、その場で計算できます。

Q1. ClickUpのデータを一度の操作で全部書き出せますか?

まとめて落とす仕組みは公開されていません。公式ヘルプでは、タスクの一括書き出し、リストやテーブルの画面からの書き出し、ドキュメント、集計の板のカード、ホワイトボード、フォームの回答、添付ファイル、APIというように、用途ごとに入口が分かれて案内されています。移行の作業は、この入口を順番に回る形になります。

Q2. ドキュメントをまとめて書き出す方法はありますか?

ワークスペース全体のドキュメントを一括で書き出す機能は現時点で提供されていないと、公式ヘルプに明記されています。1件ずつPDF、HTML、Markdownのいずれかで書き出す形になります。文書が80本あれば80回の操作になるため、1本1分で回しても80分ほどかかる計算です。移行の日程に必ず組み込んでください。

Q3. 契約を解約したら、データはすぐ消えますか?

段階を下げる操作と、ワークスペースを消す操作は別物です。段階を下げた場合は、請求の周期の終わりに切り替わり、データはワークスペースに残ると案内されています。一方でワークスペースの削除は復元できないと明記されています。費用を止めたいだけなら段階を下げれば足ります。消すのは移行先で運用が安定してからにしてください。

Q4. 移行にはどのくらいの期間を見ておくべきですか?

データを運ぶ作業そのものより、古い場所と新しい場所を同時に開けておく並走の期間が要になります。実務では2週間から1か月ほど取ることが多く、その間は古い場所は読むだけ、新しい場所に書く、という約束を先に全員へ配ります。並走を用意せずに切り替えると、運び漏れに気づいたときには元の場所が消えている、という事態になります。

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