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工程表の作り方を土木で決め直す|引き直しに追われない組み立て

2026年9月6日 ・ Pinateca編集部

工程表の作り方を土木の現場で調べる人がぶつかるのは、線の引き方そのものではなく、引いた線が翌週にはもう合っていないという現実です。雨で2日止まり、埋設物が出て掘削が止まり、協議の返事が遅れる。そのたびに一人が表を引き直し、引き直している間、現場は古い表を見ている。この記事では、土木の工程表を「一度引いて終わる書類」ではなく「動き続ける前提の道具」として組み立て直すために、前提の決め方、5つの作成手順、表現形式の選び分け、そして更新が止まる構造の直し方までを順に整理します。

工程表に求められる役割が、この数年で変わった

かつての土木の工程表は、発注者に出す書類としての性格が強いものでした。着手前に一度作り、月次の報告に合わせて実績線を足し、竣工時に完成工程表として整える。日々の段取りは、現場代理人の頭の中と朝礼の口頭指示で回っていました。

この形が成り立たなくなった理由は3つあります。

第一に、休日と労働時間を工程の調整弁として使えなくなりました。遅れが出たら土曜に出る、夜に延ばす、という吸収の仕方が制度上できなくなったため、遅れは工程の組み替えで吸収するしかありません。組み替えるには、いまどこがどれだけ遅れているかが数字で見えている必要があります。

第二に、現場に常駐する人が減りました。1人の技術者が複数の現場を見る形が増え、監督員が現場にいない時間が長くなっています。いない人に段取りを伝えるには、口頭ではなく残る形が要ります。

第三に、書類の電子化が進みました。写真も出来形も検査資料も電子で扱う流れの中で、工程表だけが紙と表計算ソフトのまま取り残されている現場は少なくありません。

つまり工程表は、出す書類から、日々の段取りを共有する道具へと役割が広がりました。ところが作り方は書類のままなので、更新の負担だけが増えている。多くの現場で起きているのはこの食い違いです。工程表の作り方を見直すというのは、線の引き方の技術ではなく、誰がいつ何を更新するかという運用の設計を見直すことだと考えたほうが、現実に合っています。

土木の工程表は社内の都合ではなく外の条件で決まる

建築や製造の工程表と土木の工程表がいちばん違うのは、日程を決める要因の大半が自社の外にあることです。作業員を増やせば縮む工程と、増やしても縮まない工程が混ざっています。

外の条件は、おおむね次の5つに整理できます。

・天候。降雨後の乾燥待ち、出水期の河川内作業の制限、凍結期のコンクリート打設の制限 ・関係機関との協議。道路使用許可、道路占用、河川管理者との協議、警察との交通規制の調整 ・地元との調整。通学時間帯の作業制限、行事や祭礼、農繁期の用水 ・地下の不確実性。試掘で出てくる未記載の埋設管、想定と違う土質、地下水位 ・発注者の都合。設計変更、承諾の待ち時間、隣接工事との取り合い

このうち協議と承諾の待ち時間は、工程表の上では「何もしていない期間」に見えるため、最初に引く工程表から抜け落ちがちです。しかし実際には、着手前の1か月が丸ごと協議で消えることは珍しくありません。抜け落ちたまま線を引くと、初日から遅れている工程表ができあがります。

もう1つ、土木特有なのは1日あたりの施工量が数量と歩掛で決まる点です。掘削の日当たり施工量、型枠の日当たり面積、舗装の日当たり延長。これらは作業員の頑張りではなく、機械の能力と現場条件で決まります。工期を短くしたいときに増やせるのは人ではなく班と重機であり、班を増やせば同時に使える作業帯が足りなくなる。ここを飛ばして日数だけを詰めた工程表は、現場に持ち込んだ瞬間に破れます。

だから土木の工程表を作る作業は、実質的に「動かせない条件を先に固定して、動かせる部分だけを並べ替える」作業です。動かせない条件を洗い出さないまま線を引くと、あとから全部を引き直すことになります。

線を引く前に固定しておく4つの前提

工程表を作り始める前に、次の4つを紙の上で確定させておきます。ここが曖昧なまま線を引くと、引き直しの回数が跳ね上がります。

前提1は、実際に働ける日の数です。 暦日と稼働日は違います。工期の暦日から、日曜、祝日、年末年始、そして雨天予備日を引いた数が、実際に作業できる日数です。雨天予備日を何日見るかは地域と工種で変わりますが、見ないという選択肢はありません。見ていない工程表は、最初の雨で遅れに変わります。

前提2は、休日の取り方です。 建設業には、令和6年にあたる2024年4月から時間外労働の上限規制が適用されています。厚生労働省は、この扱いを次のように示しています。

建設業では、災害時における復旧及び復興の事業を除き、時間外労働の上限規制が原則どおりに適用されます。 出典: mhlw.go.jp

原則としての上限は、時間外労働が月45時間、年360時間です。特別条項を結んだ場合でも、休日労働と合わせて1か月100時間未満、2から6か月の平均で80時間以内という枠が働きます。個別の運用がこの枠に収まるかどうかは労働基準監督署や社会保険労務士に確認するべき事柄ですが、工程表の作り手にとって重要なのは、休日と残業を工程の調整弁として当て込めなくなったという点です。かつては土曜と夜間で吸収していた遅れを、いまは工程の組み方そのもので吸収する必要があります。

前提3は、数量と日当たり施工量です。 各工種の数量を、1日あたりの施工量で割ると所要日数が出ます。この割り算をせずに「だいたい2週間」と置いた工程は、根拠がないので詰められたときに守れません。逆に、数量と日当たり施工量を書いておけば、工期短縮を求められたときに「班を1つ増やせば何日縮む」と数字で返せます。

前提4は、制約条件です。 片側交互通行にできる時間帯、供用開始日、隣接工区の作業帯、仮設の設置期間、借地の期限。これらは日程を動かす際の壁になります。工程表の余白に一覧で書いておくと、あとで並べ替えるときに毎回思い出さずに済みます。

この4つが決まると、工程表の骨格はほぼ自動的に決まります。逆に言えば、ここが決まっていない段階で表計算ソフトを開くのは早すぎます。

工程表を作る5つの手順

前提が固まったら、次の順に組み立てます。順番を入れ替えると必ず戻り作業が出ます。

手順1は、作業を洗い出すことです。 工種、種別、細別の階層で分けていきます。土工なら伐開除根、掘削、盛土、締固め、法面整形といった単位です。粒度の目安は、1つの作業が3日から10日程度に収まること。1日単位まで割ると管理しきれず、1か月の塊にすると遅れに気づくのが遅れます。仮設工、準備工、後片付け、そして検査と立会いも、必ず作業として入れます。検査待ちの期間を書かない工程表は、実際の日程より短く見えます。

手順2は、順序と重なりを決めることです。 前の作業が終わらないと始められないもの、途中から重ねられるもの、まったく独立して進められるものを分けます。土木では、同じ場所を同時に2つの班が使えないという場所の制約が、作業の順序と同じくらい効きます。作業の並びだけでなく、作業帯の取り合いも一緒に決めておきます。

手順3は、日数を出すことです。 手順1で洗い出した作業ごとに、数量を日当たり施工量で割ります。この段階では休日を考えず、純粋な作業日数で出します。

手順4は、山積みと山崩しです。 手順3までの日数を並べると、ある週に人と重機の必要量が跳ね上がる山ができます。バックホウが同時に3台必要になる、型枠工が同じ週に集中する、といった形で現れます。この山を、余裕のある作業を後ろにずらして平らにするのが山崩しです。ここで初めて、工期の中で本当に余裕がない作業の連なりが見えます。

山崩しは、日付の入った表の上ではやりにくい作業です。実務では、作業ごとに必要な人数と機械を書き出し、週単位で合計する簡単な表を別に作るほうが早く終わります。たとえば第3週に型枠工が12人必要で、確保できるのが8人なら、その週の作業のうち後ろにずらせるものを探します。ずらせないものしかなければ、その時点で応援を手配するか、前工程を早めるかの判断が必要になります。工程表を作る目的の半分は、この判断を着手前に済ませておくことにあります。着工してから人が足りないと気づくと、選べる手はほとんど残っていません。

手順5は、表現形式に落とすことです。 形式の選び方は次の節にまとめます。重要なのは、形式を決めるのが最後だという点です。表計算ソフトのセルを塗り始めてから作業を洗い出すと、画面の都合で工程が決まってしまいます。

この5手順のうち、時間がかかるのは手順1と手順4です。逆に、手順5にかかる時間が長いと感じているなら、それは道具の問題です。線を引き直す作業に週の何時間かを取られているなら、工程の中身ではなく道具の見直しで解決する部分が大きいと考えられます。

4つの表現形式と、どれをいつ使うか

土木で使われる工程表の形式は、大きく4つあります。どれか1つが正しいのではなく、目的ごとに使い分けます。

バーチャート(横線式工程表) は、縦に作業、横に日付を取り、期間を横棒で表す形式です。誰が見てもわかるのが最大の利点で、発注者への提出や朝礼での共有に向いています。弱点は、作業と作業のつながりが表現できないことです。ある作業が3日遅れたとき、どこまで影響するのかが線からは読めません。

ネットワーク工程表 は、作業を矢印や丸で結び、前後関係を明示する形式です。各作業の最早開始時刻と最遅開始時刻を計算すると、余裕がない作業の連なり、つまりクリティカルパスが求まります。遅れの影響範囲が数字で出るため、工期短縮の検討や、遅れが出たときの立て直しに使えます。弱点は、作成と更新に手間がかかることと、慣れていない人には読めないことです。

出来高累計曲線(Sカーブ) は、時間の経過に対する出来高の累計を曲線で表します。予定の曲線と実績の曲線を重ねると、全体として進んでいるのか遅れているのかが一目でわかります。上方許容限界と下方許容限界を引いた形は、バナナ曲線とも呼ばれます。個々の作業の遅れではなく、工事全体の進み具合を発注者と共有するのに向いています。

斜線式(グラフ式)工程表 は、縦軸に距離、横軸に日付を取り、作業の進行を斜めの線で表します。道路、水路、管路、トンネルのように、位置が一方向に進んでいく工事に向いています。どの日にどの地点で作業しているかが読めるため、交通規制や地元説明との相性が良い形式です。

実務では、全体はバーチャートで提出し、遅れの影響を検討するときだけネットワークを起こし、発注者との月次の打ち合わせにはSカーブを添える、という重ね方が多く見られます。1つの形式で全部をまかなおうとすると、必ずどこかで無理が出ます。

形式を選ぶときに見落とされやすいのが、更新のしやすさです。バーチャートは作るのは簡単ですが、途中で1つの作業が動くと、その後ろの棒をまとめてずらす作業が発生します。表計算ソフトでセルを塗って作っている場合、この「まとめてずらす」が手作業になり、ずらし忘れが起きます。ネットワーク工程表は、前後関係を持っているぶん、1か所を直せば後続に反映できる設計ですが、それは専用の道具を使っている場合の話です。手描きやセル塗りで作ったネットワークは、更新のたびに全部を引き直すことになり、かえって重くなります。

つまり形式の選択は、読み手にとっての見やすさと、書き手にとっての更新の軽さの2つを同時に見て決める必要があります。読み手の都合だけで決めると、更新されない美しい表ができあがります。

実績をどう取るかを決めておかないと、工程表は片肺になる

工程表は予定を書く道具だと思われがちですが、使われ続けるかどうかを決めるのは実績の取り方です。予定だけが並んでいる表は、時間が経つほど現実から離れ、やがて誰も見なくなります。

実績の取り方には、大きく2つの流儀があります。

流儀1は、日数で取る方法です。 その作業を何日進めたかを数えます。作りやすく、集計も簡単ですが、進み具合の実感とはずれます。掘削を5日やったからといって、掘削が半分終わったとは限りません。

流儀2は、出来高で取る方法です。 数量に対してどれだけ終わったかを割合で見ます。掘削なら施工した土量、舗装なら舗装した延長です。実態に近い一方、毎日測るのは負担が大きいため、測る頻度と粒度を先に決めておく必要があります。

現実的な落としどころは、週間工程は日数で、全体工程は出来高で見る形です。今週の段取りは終わったか終わっていないかの2値で足り、発注者との月次の共有には出来高の累計が要る。この2つを同じ表で両立させようとすると、入力の手間が跳ね上がります。

もう1つ、実績を取るときに決めておくべきなのが、誰が入れるかです。現場代理人が全部を入力する形にすると、入力は必ず後回しになり、まとめて金曜の夜に入れることになります。まとめて入れた実績は、日付がずれます。日付がずれた実績で引いたSカーブは、遅れの兆候を隠してしまいます。作業を担当した本人が、その日のうちに終わったことだけを記録する形にしておくと、入力の量は1人あたり数十秒で済み、記録は正確になります。ここが、工程表の道具を選ぶときに効いてくる分かれ目です。

遅れが出たときに、どの順番で手を打つか

遅れは必ず出ます。重要なのは、出たあとの手の打ち方の順番を決めておくことです。順番が決まっていないと、いちばん手軽な「残業と休日出勤」から手をつけることになり、いまはその手が使いにくくなっています。

打つ手には、おおむね次の5つがあります。

・重ねられる作業を重ねる。前の作業が全部終わるのを待たず、区間を分けて後続を始める ・作業帯を分けて班を増やす。ただし同じ場所は使えないため、場所の制約に当たるまでしか効きません ・機械の能力を上げる。バックホウの規格を上げる、運搬のダンプを増やすなど、日当たり施工量そのものを変える ・順序を入れ替える。天候待ちや協議待ちの間に、独立して進められる作業を前に持ってくる ・工期の延長を協議する。設計変更や不可抗力にあたる事由があるなら、記録を添えて発注者と話す

上から順に、費用がかからないものから並んでいます。実務では上の2つで吸収できることが多く、そこで足りないときに機械と人の投入を検討し、それでも足りないときに工期そのものの話になります。

この判断を素早くするために必要なのが、遅れがどこまで波及するかの見通しです。ネットワーク工程表を起こしてクリティカルパスを確認すれば、影響しない遅れと、竣工日を動かす遅れを区別できます。竣工日を動かさない遅れに慌てて人を投入するのは、費用の無駄です。逆に、クリティカルパス上の作業が1日遅れたら、その日のうちに手を打つ必要があります。工程表の価値は、この2つを取り違えないところにあります。

そして、遅れの記録を残しておくことにも意味があります。降雨で止まった日、協議の返答を待った日、埋設物が出て中断した日。これらを日付付きで残しておけば、工期の協議のときに数字で説明できます。口頭の記憶ではなく記録で示せるかどうかで、話の通り方は変わります。

工程表が更新されなくなる3つの構造

作った工程表が2週間で使われなくなるとき、原因は担当者の怠慢ではなく構造にあります。よく見られるのは次の3つです。

構造1は、引き直せる人が1人しかいないことです。 工程表が表計算ソフトの1つのファイルで作られていて、そのファイルの作りを理解しているのが現場代理人だけ、という状態です。この場合、更新はその人の手が空いたときにしか起きません。しかも、その人がいちばん忙しい時期は、工程が乱れている時期と重なります。つまり、いちばん更新が必要なときに、いちばん更新されない構造になっています。

構造2は、現場から見えないことです。 事務所の壁に貼られた工程表は、現場にいる人には見えません。共有フォルダに置かれたファイルも、スマートフォンで開いて拡大すると、どの行が今週なのかを探すだけで時間がかかります。見るのに手間がかかる情報は、見られなくなります。

構造3は、更新する機会が決まっていないことです。 「変更があったら直す」という運用は、変更が続いているときほど機能しません。更新は、朝礼のあと、週の終わり、月次の打ち合わせ前、のように時刻で固定して初めて習慣になります。

3つの構造は同時に起きます。1人しか直せないので更新が遅れ、遅れた表は信用されなくなり、信用されない表は見られなくなり、見られない表は更新されない。この輪に入ると、工程表は提出用の書類に変わり、現場は口頭とチャットで動くようになります。

直し方の方向は決まっています。全体工程と、日々動く部分を、別の場所に分けることです。 発注者に出す全体工程は月に一度の更新でよい書類です。一方、今週どの班がどこで何をするかは毎日変わります。この2つを同じ1枚に載せているから、毎日引き直す羽目になります。全体工程は形式を保ったまま置いておき、日々動く部分だけを別の道具に移すと、引き直しの量は大きく減ります。

週間工程と作業指示を板に移すという選択

日々動く部分を移す先として、近年よく使われるのがボード型のタスク管理です。作業を1枚のカードにして、状態ごとの列を横に並べ、終わったら右へ動かす形式です。土木の週間工程に当てはめると、列は「今週やる」「着手中」「立会い待ち」「完了」といった置き方になります。

この形式が現場に向いているのは、次の理由からです。第一に、更新が1人に集中しません。カードを動かすのは担当した本人でよく、線を引き直す技能が要りません。第二に、スマートフォンから開けます。第三に、写真とコメントをカードに残せるため、進捗の記録と施工写真の整理が同じ場所で進みます。

列の置き方には、現場ごとの工夫が要ります。工種で列を作ると列が増えすぎて横に流れ、状態で列を作ると1列に大量のカードが積み上がります。土木の週間工程では、状態で列を作りつつ、カードの側に工区や班の印を付けて絞り込む形が扱いやすいことが多いです。立会いと検査は独立した列にしておくと、待ちが可視化されて手配の抜けが減ります。

一方で、板型の道具にも向かない使い方があります。発注者に提出する全体工程を板で作ろうとすると、かえって手間が増えます。ガントチャートの表現が必要な場面では、板とは別に工程の表を持つほうが早いことが多いです。道具を1つに寄せきろうとせず、書類として出すものと、現場で動かすものを分けて考えるのが現実的です。

道具を選ぶときに見るべき軸は、機能の多さではありません。土木の現場で効くのは次の4つです。

・協力会社を含めて何人が見るのか。人数で料金が決まる道具は、見るだけの人が増えると急に高くなります ・スマートフォンで開いたときに読めるか。現場で開けない道具は使われません ・データを外に出せるか。工事が終わったあと、記録を引き渡せる形式で持ち出せるか ・入力の手数。1件の更新に何回タップが必要か

主要なサービスの考え方の違いは、比較の一覧にまとめています。付箋を並べる形が出発点で世界的に使われているものについてはTrelloとの比較、課題管理と開発の記録を重ねて使う形についてはBacklogとの比較、文書とデータベースを同じ場所で扱う形についてはNotionとの比較に整理があります。どれも設計思想が違うため、現場の使い方に近いものを選ぶのが結局いちばん早くなります。

板でとりまとめる場合に確かめておくこと

ボード型の道具を土木の週間工程に入れる場合、導入前に確かめておくと後戻りしない点がいくつかあります。

入れ方の順番も結果を左右します。全社で一斉に切り替えるより、1つの現場の週間工程だけで1か月試すほうが、定着の見込みが早く分かります。試す期間に見るのは、機能が足りているかどうかではなく、現場代理人以外の人がカードを動かしたかどうかです。動いていなければ、道具ではなく運用の設計に原因があります。

確かめる点の1つ目は、区切りの単位です。 道具によって、無料で使える範囲の切り方が違います。人数で切るもの、ボードの数で切るもの、機能で切るものがあります。機能で切られていると、必要な表示形式を使うためだけに上位のプランに移ることになります。区切りが人数とボードの数だけなら、必要な表示形式は最初から全部使えます。機能で絞らず、区切るのは人数とボードの数だけという考え方を取る道具なら、試す段階で機能の制限に当たりません。何が使えるかはできることに、区切りの条件は料金に整理されています。

2つ目は、いま使っているものからの移し替えです。 すでに別の道具で板を作っている場合、手で作り直すか、取り込めるかで、導入の手間が変わります。ただし、どの道具からでも自動で移せるわけではありません。取り込みに対応している範囲は限られており、対応外のものは手作業になります。移行の手順と、自動で取り込める範囲についてはTrelloからの移行に書かれています。

3つ目は、データの扱いです。 公共工事では、工事写真や図面の扱いに発注者側の決まりがあります。クラウドの道具に入れてよい情報の範囲は、契約と特記仕様書で確認する必要があります。道具側がどこにデータを置き、誰が触れるのかという設計は安全性の考え方に整理されています。判断そのものは発注者と自社の管理部門に確認するべき事柄で、道具の説明だけで決められる話ではありません。

4つ目は、外部の人をどう入れるかです。 協力会社の職長にカードを動かしてもらうのか、それとも見るだけにするのか。ここを決めずに全員を同じ権限で入れると、意図しない編集が起きます。権限の考え方は道具ごとに差が大きく、無料の範囲で外部の人を招けるかどうかも分かれます。導入前によくある疑問はよくある質問にまとまっています。

最後に、道具を変えても解決しないことを1つ挙げておきます。工程表が信用されない原因が「そもそも工期に無理がある」ことなら、表の作り方を変えても現場は楽になりません。適正な工期の設定については、発注者側と受注者側の双方が考慮すべき事項として基準が示されています。工程を組んだ結果、休日の確保と両立しないことが数字で出たなら、それは工程表の問題ではなく契約の問題として発注者と話す材料になります。工程表を正確に引くことの価値は、遅れを隠さずに数字で示せるようになる点にもあります。

Q1. 土木の工程表はバーチャートとネットワーク工程表のどちらで作るべきですか?

提出用と検討用で分けるのが現実的です。発注者への提出や朝礼での共有はバーチャートが読みやすく、遅れの影響範囲や工期短縮を検討するときはネットワーク工程表が向きます。両方を毎回作る必要はなく、遅れが出て立て直しが必要になった時点でネットワークを起こす運用で足ります。

Q2. 雨天予備日は何日くらい見ておけばよいですか?

地域と工種で変わるため一律の日数はありません。過去の同種工事の実績と、対象地域の月別降水日数から逆算するのが確実です。重要なのは日数の多寡ではなく、予備日を工程表に明示しておくことです。書いていないと、雨で止まった分がそのまま遅れとして計上されます。

Q3. 工程表を更新する人が現場代理人しかいません。どう分ければよいですか?

全体工程と週間工程を別の場所に分けます。発注者に出す全体工程は月次の更新にとどめ、今週どの班が何をするかはカード形式の板に移して、担当者本人が状態を動かす形にします。更新の技能が要らない部分を切り出すだけで、1人に集中する作業量はかなり減ります。

Q4. クラウドのツールに工事写真や図面を置いても問題ありませんか?

契約書と特記仕様書で扱いが決まっている場合があるため、発注者と自社の管理部門への確認が必要です。ツール側の保存場所や権限の設計は公開情報で確認できますが、その工事で許されるかどうかは契約側の話になります。確認前に本番のデータを入れるのは避けてください。

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