Excelで進捗をどう見せるか|報告のために作り直さない組み方
Excelで進捗管理をしていて、いちばん時間を取られているのはどこか。多くの現場で答えは同じです。表を作ることでも、数字を集めることでもなく、報告のたびに別の形へ作り直す作業です。週次の会議用に1枚、顧客への報告用にもう1枚、上層部の月次にさらに1枚。中身は同じなのに、貼り直して体裁を整えて、数字が合わないと言われて確かめる。この記事では、その作り直しをなくすために、一次データと見せ方をどう分けるかを整理します。手元の表を1から作り替える話ではなく、置き方と出し方だけを変える話です。
作り直しているなら、原因は表の中身ではなく置き方にある
報告のたびに作り直しが発生するのは、1つの表に「記録する役割」と「見せる役割」を両方持たせているからです。記録の表は、細かく、全部の行が入っていることに価値があります。見せる表は、粗く、必要な行だけが入っていることに価値があります。この2つは、そもそも要求が逆です。
1枚で両方をやろうとすると、記録の側に見せるための細工が入り込みます。空白行で区切る、小計の行を挟む、見出しを結合する、色で意味を持たせる。どれも見た目には効きますが、集計と並べ替えを壊します。壊れた表は、次の報告のときにまた手作業を要求します。
やることは単純です。記録する表を1枚に決めて、そこには細工を一切入れない。見せる形は、その1枚から作る。この分け方をするだけで、報告の作業は「作り直す」から「出し直す」に変わります。
分けた直後は、シートが増えるので複雑になったように感じます。実際には逆で、直す場所が1か所に決まるため、数字が合わないときの追跡が速くなります。どのシートの数字が正なのかを毎回考えなくてよくなる、というのがいちばん大きな効果です。
分ける単位は、シートで足ります。ブックを分ける必要はありません。1枚目を記録用、2枚目以降を見せる用にして、シート名の先頭に用途を書いておきます。開いた人が、どこを触ればよいか迷わない状態を作るのが目的です。記録用のシートには「ここだけ直す」と、見せる用には「ここは触らない」と、シートの1行目に書いておくだけでも効果があります。
いま作り直しにどれくらいかかっているかは、次の報告のときに時間を測ってみてください。30分を超えているなら、分ける価値があります。
宛先を3つに分けると、必要な粒度が決まる
見せる形をいくつ作るかは、宛先の数で決まります。実務ではだいたい3つに収まります。
1つ目は、チーム向けです。ここでは、自分の担当分と、今週やることが分かれば足ります。全体の合計や進捗率は不要で、むしろ邪魔になります。必要な列は、作業名、担当、期日、状態の4つです。
2つ目は、社内の上位向けです。ここでは、案件ごとの状況と、遅れているものが何件あるかが要ります。作業1件ずつの一覧は不要です。案件を1行にまとめ、遅れの件数と、いちばん近い山場の日付を並べる形が扱いやすくなります。
3つ目は、顧客や社外向けです。ここでは、約束した納期に対して予定どおりかどうかだけが要ります。社内の作業の中身は見せません。見せると、社内の都合について説明を求められることになります。
この3つを最初に決めておくと、どの列を一次データに持つべきかが自動的に決まります。3つの宛先のどれかで使う項目だけを列にして、どこでも使わない項目は作らない。この基準で作ると、列は10個前後に収まります。
宛先を分けずに1枚で済ませようとすると、いちばん細かい要求に合わせた表になります。結果として、チームは自分に関係ない情報の中から自分の行を探すことになり、社外には見せなくてよい情報が渡ります。
一次データは1枚。ここを増やさない
記録する表を1枚に保つために、守ることが4つあります。
1行に1つの作業だけを入れます。1つのセルに複数の作業をまとめて書くと、集計にも絞り込みにも使えません。
セルの結合は使いません。見出しの結合も含めてです。結合されたセルがあると、並べ替えができなくなり、フィルタも正しく動きません。見出しを目立たせたいなら、背景色と太字で足ります。
空白行を挟みません。区切りに見えて便利ですが、そこで表が途切れたと判断される場面があります。区切りたいなら、区分を表す列を1つ足してください。
集計行を表の中に入れません。合計は別のシートか、表の外に置きます。表の中に合計があると、並べ替えたときに合計行が真ん中に移動します。
この4つを守ると、その表はテーブル機能で扱える形になります。テーブルにしておくと、行を足したときに書式も式も自動で伸びるため、後の手間が大きく減ります。
さらに、入力する値をそろえてください。状態を手で打たせると「完了」「済」「完了済み」が混ざり、集計が3つに割れます。入力規則でリストから選ばせるだけで、この問題は消えます。担当者名も同じで、名簿を別シートに持ち、そこから選ばせます。
見せる形は、ピボットテーブルとフィルタで出す
一次データが整っていれば、見せる形は作り直す必要がありません。出し直すだけになります。
社内の上位向けに「案件ごとの遅れ件数」を出したいなら、ピボットテーブルを1つ作ります。行に案件、値に件数を置き、遅れの列で絞り込みます。一次データを更新したら、更新ボタンを押すだけで数字が変わります。
チーム向けに「自分の担当で今週が期日のもの」を出したいなら、フィルタの条件を保存しておくか、担当者ごとにフィルタをかけた状態のビューを用意します。人数分のシートを作る必要はありません。
顧客向けに見せる形だけは、少し扱いが違います。ここは一次データと直接つながっていないほうが安全です。社内の途中経過が、こちらの操作の都合で顧客の資料に映り込むのを避けたいからです。顧客向けは、報告する時点の数字を固定した写しとして作ってください。
ピボットテーブルを使うときの注意点が1つあります。元になる範囲が固定の範囲になっていると、行を足したときに新しい行が集計に入りません。元をテーブルにしておけば、この事故は起きません。ピボットの数字が実感と合わないときは、まずここを疑ってください。
報告した内容を、固定するかどうか
進捗の報告では、「先週こう言ったはずだ」というやり取りが起きます。一次データは常に最新に書き換わっていくので、先週の状態はどこにも残りません。
これを解決する方法は2つあります。
1つ目は、報告の写しをファイルとして残す方法です。報告した時点の表をPDFか別のブックとして保存し、日付を付けてしまっておきます。手間は3分程度で、いちばん確実です。
2つ目は、週ごとの記録を一次データに持つ方法です。作業ごとに「第1週の状態」「第2週の状態」と列を増やしていきます。推移が追える利点はありますが、列が横に伸び続け、3か月もすると扱いにくくなります。
多くの現場では1つ目で足ります。2つ目が必要になるのは、遅れの原因を後から分析して、次の見積もりに使う場合だけです。そこまでやるかどうかは、案件の数と、分析にかけられる時間で決めてください。
どちらを選ぶにしても、決めておくべきなのは「いつ時点の数字か」を報告の中に必ず書くことです。日付が書いていない資料は、あとから見たときに使えません。会議の日付ではなく、数字を締めた日付を書いてください。この2つは、しばしば1日から2日ずれます。
進捗率を何で測るかを、先に1つに決める
進捗を数字で出すときに、いちばん揉めるのがここです。同じ案件でも、測り方を変えれば数字が変わります。
測り方の候補は3つあります。
・作業の件数で測る。全40件のうち10件が完了なら25パーセント ・工数で測る。全体200時間のうち消化した時間の割合で出す ・金額で測る。請求できる区切りごとに、通過した割合で出す
件数は作りやすい代わりに、大きい作業と小さい作業が同じ1件として数えられます。全体の8割の手間がかかる作業が1件残っている状態でも、数字の上では9割を超えます。
工数は実態に近い代わりに、実績の時間を集める必要があります。集めていないなら、この測り方は使えません。予定工数だけで割り戻すこともできますが、その場合は「予定に対してどこまで進んだか」であって、残りがどれだけあるかではないという点を、報告のときに明示してください。
金額は、社外への報告と相性が良い測り方です。社内の作業がどれだけ残っていても、請求の区切りを通過していれば数字は進みます。逆に言えば、社内の苦労は数字に出ません。
どれを選んでもよいのですが、途中で変えないでください。変えると、前回の報告と数字が連続しなくなり、説明に時間がかかります。選んだら、報告の資料に「件数ベース」のように測り方を1行書いておきます。
なお、担当者に主観で進捗率を入れさせる方法は避けてください。90パーセントのまま何週間も止まる行が並びます。人は、残り1割が見えていない状態でも9割と答えます。
遅れの定義を、表の中の1列に落とす
遅れているかどうかを、会議のたびに人が判断している状態は続きません。判断が人によって変わり、報告の数字も変わるからです。
定義を1つ決めて、計算式で1列に出してください。実務で扱いやすいのは、次の形です。予定の終了日を過ぎているのに状態が完了になっていないなら「遅れ」。予定の開始日を過ぎているのに未着手なら「未着手のまま」。それ以外で、期日が今週のうちにあるなら「今週」。どれでもなければ空欄。
この列があると、フィルタで遅れだけを出せますし、件数も数えられます。報告に必要な数字が、そのまま取れる状態になります。
色だけで遅れを示す作り方は、この用途には向きません。色は集計にもフィルタにも使いにくく、印刷したときやモノクロで出したときに区別できなくなります。色を付けるなら、この判定列の値に応じて後から付けてください。
もう1つ決めておくとよいのが、遅れの理由を書く場所です。列を1つ足して、遅れている行にだけ短く書きます。理由が残っていないと、月末の振り返りで「なぜこの案件は2週間ずれたのか」を思い出す作業から始めることになります。書くのは1行で十分です。長く書かせようとすると、書かれなくなります。
更新が集まらないのは、置き場所の問題であることが多い
表を整えても更新が集まらない場合、原因は表の外にあります。まず置き場所を確かめてください。
同時に開いて更新するには、条件があります。公式のサポートページには、置き場所の条件がこう書かれています。
Web ブラウザーを使用して、OneDrive、OneDrive for Business、または SharePoint Online のライブラリにブックをアップロードするか新しいブックを作成します。SharePoint オンプレミス サイト (Microsoft によってホストされていないサイト) では共同編集はサポートされないことに注意してください。 出典: support.microsoft.com
同じページには、Microsoft 365のサブスクリプションが必要であることと、ファイル形式がxlsx、xlsm、xlsbのいずれかである必要があることも書かれています。
社内のファイルサーバーに置いている場合、誰かが開いている間は他の人が編集できません。更新が集まらない理由が、実は「開こうとしたら読み取り専用だったので後回しにした」であることは、よくあります。置き場所を変えるだけで解決する場合があるので、先にここを潰してください。
置き場所を直しても集まらないなら、次に確かめるのは、更新した情報が実際に使われているかです。会議で口頭報告をしているなら、表に入れる意味がありません。会議では表を開き、入っていない行は扱わないと決めてください。扱われないと困るので、入るようになります。
そのうえで、入力の手間そのものを減らします。担当者が触る列を2つだけにして、他は保護をかけておく。この形なら、入力にかかる時間は1人あたり週3分程度に収まります。
一次データに置く列を、10個に絞る手順
列を決めるときは、足すのではなく減らす方向で考えてください。増やすのは簡単で、減らすのは合意が要るからです。
まず、報告の宛先3つで実際に使う項目を書き出します。次に、その中で重複するものをまとめます。最後に残ったものだけを列にします。この手順を踏むと、たいてい次のような形に落ち着きます。
・案件コードと案件名。コードは変わらない値、名前は表示用 ・作業名。何をするかが1行で分かるように書く ・担当。名簿から選ばせる ・予定の開始日と終了日 ・実績の開始日と終了日 ・状態。選択肢は4つまで ・遅れの判定。計算式で自動で入る ・備考。遅れの理由や決めたことを1行だけ
これで11列です。ここに、工数を集めているなら予定工数と実績工数を足して13列になります。
よく足されがちで、実際にはほとんど使われない列もあります。優先度、分類、進捗率、関連する資料のリンク。この4つは、入れた時点では意味がありそうに見えますが、集計にも判断にも使われないまま空欄が並ぶことが多いものです。使うと決めたなら、何にどう使うのかを1行で説明できるかを確かめてから足してください。
列を増やすときの決まりも作っておきます。足すのはとりまとめる人だけ、足したら列の意味を別シートに1行書く。この2つがあると、半年後に「この列は何だったか」を誰も答えられない状態を避けられます。
案件が増えたら、ブックを分けるか行を足すか
最初は1件の案件から始めた表が、半年もすると複数の案件を抱えることになります。ここで分かれ道が来ます。
案件ごとにブックを分ける方法は、1件ずつは軽く保てます。担当者に渡すときも、その人の案件だけ渡せば済みます。困るのは、全体を横断して見たいときです。案件が10件あれば、10個のファイルを開いて数字を集めることになります。この集計作業が、月次のたびに発生します。
1つのブックに案件の列を足して全部を入れる方法は、横断の集計が一瞬で済みます。ピボットテーブルで案件別に分ければ、案件ごとの表も出せます。困るのは、行数が増えたときの重さと、担当者に見せる範囲を切りにくいことです。
目安として、案件が5件を超えて、しかも横断で見る必要があるなら、1つにまとめるほうが得です。まとめる場合は、案件コードの列を必ず作り、名前ではなくコードで結びつけてください。名前は途中で変わりますが、コードは変わりません。
分けたままにするなら、集計だけを別のブックで行う形にします。各ブックから必要な数字を取り込む仕組みを作れば、開いて回る作業はなくなります。ただしこの仕組みは作った人しか直せなくなりやすいので、手順を紙に残してください。
どちらを選んでも、途中で構造を変えるのは高くつきます。案件が2件目に増えたときが、いちばん考えやすい時期です。
週に一度、15分で回すための手順
進捗の管理は、仕組みより回し方で決まります。時間のかかる会議は、数週間で開かれなくなります。
回す手順を先に決めてください。実務で続いている形は、だいたい次のようになります。
・会議の前日までに、担当者が自分の行の状態と実績日を入れる ・とりまとめる人が、遅れの判定列でフィルタをかけ、遅れている行だけを抜き出す ・会議では、その抜き出した行だけを見る。順調な行は読み上げない ・遅れている行ごとに、次に何をするかと、誰がやるかをその場で決める ・決めたことを、その行の備考に1行書く
この形なら、遅れが5件でも15分で終わります。全部の行を読み上げる会議は、件数に比例して時間が伸び、しかも順調な行の報告に時間の大半を使うことになります。
会議で表を開くこと自体にも効果があります。入っていない行がその場で分かるため、次の週から入るようになります。画面を共有せずに口頭で聞く形にすると、この効果は消えます。
入っていない行の扱いも決めておいてください。扱わないと決めるのがいちばん簡単です。困る人が出れば、次から入ります。
資料に貼るときに、リンクを切るかどうか
報告資料を作るとき、表計算の内容を別の資料に貼る場面があります。ここで、元のファイルとつながったまま貼るか、切り離して貼るかを決めておく必要があります。
つながったまま貼ると、元の数字が変わったときに資料側も変わります。便利に見えますが、報告した資料が後から勝手に書き換わるということでもあります。3週間前に出した資料を開いたら、当時と違う数字が出ていた、という事故はここから起きます。
切り離して貼れば、その時点の数字が固定されます。報告の記録としてはこちらが正しい形です。手間は増えませんし、貼るときに画像として貼るか、値だけを貼るかを選ぶだけです。
社外に出す資料では、必ず切り離してください。つながったままだと、元のファイルの場所や、他のシートに入っている社内向けの情報が資料の中に残ることがあります。渡す前に、ファイルのプロパティと非表示のシートも確かめてください。
社内向けで、常に最新を見せたい掲示のような使い方であれば、つないだままでも構いません。ただしその場合は、資料ではなく元の表そのものを見てもらうほうが、行き違いが少なくなります。
数字が合わないと言われたときの追い方
報告の場で数字の食い違いが出たとき、その場で原因を探すのは避けてください。時間がかかるうえ、参加者全員を待たせます。
追う手順を先に決めておきます。まず、どの数字と、どの数字が合わないのかを特定します。多いのは、案件ごとの合計と全体の合計が合わない、という形です。この場合、原因はほぼ2つに絞られます。案件の名前が表記ゆれで別のものとして数えられているか、集計の範囲が新しい行を含んでいないかです。
表記ゆれは、案件名を手で打たせていると必ず起きます。スペースの有無、全角と半角、末尾の記号。名簿から選ばせる形にすれば消えます。
集計の範囲は、元をテーブルにしていれば起きません。固定の範囲を指定している式が残っていないか、確かめてください。
3つ目に多いのが、更新のタイミングのずれです。ピボットテーブルを更新していない、あるいは別のブックから参照している数字が古い、という状態です。報告の前に必ず更新する、という手順を紙に書いて貼っておくのが確実です。
原因が特定できたら、その場では直さずに「いつまでに確かめて連絡する」とだけ言ってください。会議の場で表を触ると、直したつもりが別の場所を壊すことがあります。
食い違いが繰り返し起きる場合は、その都度直すのではなく、原因の種類ごとに仕組みで潰してください。表記ゆれなら入力規則、範囲のずれならテーブル化、更新忘れなら手順書。同じ種類の食い違いが3回起きたら、それは個別の事故ではなく作りの問題です。
もう1つ、確かめておくとよいのが、報告に使っている数字の定義です。「完了件数」と言ったときに、検収が終わったものを指すのか、作業が終わったものを指すのか。ここが人によって違うと、表が正しくても報告は食い違います。定義は表の外、たとえば別シートに1行ずつ書いて、報告する人と受け取る人の両方が同じものを見られるようにしてください。
この組み方のまま続けてよい場合
分けて出し直す形に整えたあと、道具そのものを替える必要がない状況もはっきりしています。
・報告の宛先が社内だけで、外に出す資料を作る頻度が月に1回以下 ・更新する人が3人までで、全員が同じ場所に置いたファイルを開ける ・案件の期間が短く、途中で日程が大きく動くことがほとんどない ・すでに関数やピボットで自社向けの仕組みができていて、直せる人が複数いる ・数字の集計や分析が主目的で、日々のやり取りは別の場所で完結している
とくに最後の1つは見落とされがちです。表計算は、集計と分析については他の道具より柔軟です。進行のやり取りをチャットで済ませていて、表は数字を出すためだけに使っているなら、その使い方は理にかなっています。無理に道具を1つに寄せる必要はありません。
逆に、表の中でやり取りをしようとし始めたときが、境目です。備考欄に会話が積み上がる、コメント機能で議論が始まる、といった兆候が出たら、表は本来の役割からはみ出しています。
どこまでこの組み方で足りるか
分けて出し直す形にすれば、報告の手間はかなり減ります。それでも残る制約があります。
変わったことが自動で伝わりません。表の中の数字が動いても、開いていない人には届きません。とりまとめる人が知らせて回る仕事は残ります。
誰がいつ何を変えたかを、行単位で追うのは簡単ではありません。置き場所によってはファイルの版が残りますが、1つの数字がいつ書き換わったかを特定するには手間がかかります。
見せる範囲を人によって変えるのも、ファイル単位までです。同じ表の中で、この行はこの人にだけ見せる、という切り分けはできません。社外が絡むと、切り出す作業が毎回発生します。
この3つが困っていないなら、続けて問題ありません。困り始めているなら、次の判断材料になります。判断の順番としては、まず置き場所を直す、次に列を減らす、次に会議の回し方を変える、それでも残る困りごとがあれば道具を見直す、という順にしてください。順番を飛ばして道具から替えると、同じ困りごとが移った先でも起きます。
比べるときは、機能の数ではなく、更新する人が増やせるか、変わったことが伝わるか、人数が増えたときに費用がどう伸びるかの3つで並べてください。費用の伸び方は道具によって考え方が違い、上位プランでないと使えない機能がある形と、機能で絞らず、区切るのは人数とボードの数だけという形があります。後者の考え方で組まれた料金なら、報告用の集計を見るために上位プランへ上げる必要はありません。
板の形で進行を見せる道具との違いはTrelloとの比較に、担当の割り当てと期日の管理を重視する道具との違いはAsanaとの比較に、日本語圏で課題管理から入る道具との違いはBacklogとの比較に整理されています。横に並べて見たいときは比較の一覧から入ってください。
報告に使う集計がどこまで作れるかはできることで確かめられます。同じページに、届かない範囲も書いてあります。リポジトリの機能は持たない、自動化と外部連携では勝負しない、画面は日本語のみ、自動で取り込めるのはTrelloからのデータだけ。この4つを先に読んでおけば、検討の途中で前提が崩れません。手元の表を移す段取りはTrelloからの移行に、社外にデータを置くことの社内説明が要る場合は安全性の考え方に、契約前の疑問はよくある質問にまとまっています。載っていないことはお問い合わせから確認してください。
Q1. 進捗管理の表は1枚にまとめるべきですか、分けるべきですか?
記録する表は1枚にまとめ、見せる形はそこから出し直す形にしてください。1枚で記録と報告を兼ねると、見せるための細工が記録側に入り込み、並べ替えや集計が壊れます。分けておくと、数字が合わないときに直す場所が1か所に決まります。
Q2. 進捗率は何で測るのがよいですか?
作業の件数、工数、金額の3つが候補です。件数は作りやすい反面、大きい作業と小さい作業が同じ1件になります。工数は実績を集めていないと使えません。金額は社外への報告と相性が良い測り方です。どれを選んでも構いませんが、途中で変えず、資料に測り方を1行書いてください。
Q3. 担当者が更新してくれません。どうすればよいですか?
まず置き場所を確かめてください。社内のファイルサーバーだと、誰かが開いている間は他の人が編集できません。次に、入力された内容を会議で実際に使っているかを見ます。口頭で報告しているなら入れる意味がありません。そのうえで、担当者が触る列を2つまで減らしてください。
Q4. 先週の報告内容が残らないのですが、どうすればよいですか?
報告した時点の表をPDFか別のブックとして保存し、日付を付けてしまっておくのが確実です。手間は3分程度で済みます。週ごとの状態を列で持つ方法もありますが、3か月ほどで横に伸びすぎて扱いにくくなるため、遅れの分析に使う場合に限って選んでください。