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エクセルでプロジェクト管理する限界|同時に開けない問題の直し方

2026年9月2日 ・ Pinateca編集部

エクセルでプロジェクト管理をしているチームが最初にぶつかる壁は、機能の不足ではありません。誰かがファイルを開いている間、他の人が書き込めないという一点です。関数が足りないわけでも、表現力が足りないわけでもなく、開く行為が1人ずつしか成立しないというところで詰まります。

この詰まりは、放っておくと必ず同じ方向へ進みます。書き込めなかった人がファイルを複製し、手元で更新し、あとで誰かがまとめる。まとめる人が1人に固定され、その人が休むと進行が止まる。ファイル名の末尾に日付や「最新」「最新版」「これが本物」といった言葉が並び始め、どれが正しいのか誰にも分からなくなる。この流れは、チームの人数が増えるほど速く進みます。

この記事では、エクセルでのプロジェクト管理がどこまで正しい選択なのかを先に確認したうえで、「同時に開けない問題」がどういう仕組みから来ているのか、共有フォルダやクラウド保存でどこまで消えてどこが残るのかを分解します。そのうえで、直す順序を段階に分けて示します。エクセルをやめる話ではありません。何を残して何を外へ出すのかを決める話です。

エクセルでのプロジェクト管理は、多くの場面で正しい選択

新しい道具を紹介する記事は、たいてい「エクセル管理からの脱却」という前提から始まります。その前提が当てはまらないチームは相当数あります。順番として、まずここをはっきりさせておきます。

1人で回すなら、表計算は今でも最良の道具

プロジェクトの進行を1人で預かっていて、更新するのも見るのも自分だけ。この条件なら、エクセルでのプロジェクト管理は速くて安くて確実です。専用のツールに移す理由がほとんどありません。

理由は3つあります。1つ目は、構造を自分で決められることです。タスク名、担当、期限、状態、備考という並びに「検収予定日」を足したいと思ったら、その場で列を挿入すれば終わりです。誰の許可も要らず、設定画面を探す必要もありません。専用ツールでは、項目を1つ足すのに管理者権限が必要だったり、上位プランの機能だったりします。

2つ目は、計算が自由なことです。人日を積み上げて工数を出す、単価を掛けて請求見込みを出す、稼働率で割って必要人数を出す、進捗率の加重平均を取る。この手の計算は表計算の得意分野で、しかも計算式を自分で読めます。専用ツールの集計機能は、用意された集計しかできないことが多く、そこから外れた瞬間に手作業へ戻ります。

3つ目は、渡した相手がそのまま読めることです。取引先に進行表を送るとき、相手にアカウントを作ってもらう必要がありません。この摩擦の無さは、社外が絡む仕事では大きな利点です。

道具を移したチームが「結局エクセルに戻した」となる原因の多くは、この3つのどれかを失ったことにあります。移す判断をする前に、いま得ているものを数えておく価値があります。

表計算での管理が現場に残り続けている背景

プロジェクト管理の道具は、この数年で一気に増えました。ボード型、表とタイムラインを行き来する型、文書の中にデータベースを埋め込む型、課題管理から発展した型。無料で始められるものも多く、選択肢が多すぎて決めきれないという状態はよくあります。

一方で、実際に現場で動いている進行表の多くは、いまだに表計算ソフトの上にあります。これは怠慢の結果ではなく、合理的な選択の積み重ねです。導入コストがゼロで、教育コストもほぼゼロで、失敗しても失うものがない。新しい道具を入れて定着しなかったときの気まずさを考えれば、既にあるもので回すほうが安全です。

ただし、その合理性には期限があります。個人の手元で完結していた仕組みが、そのままの形で組織の共通基盤になってしまうと、後から動かせなくなります。経済産業省が2018年に公表したDXレポートは、既存の仕組みが個別最適のまま残ることの経済的な影響を次のように示しました。

複雑化・老朽化・ブラックボックス化した既存システムが残存し、データを活用しきれない状態が続いた場合、2025年以降、最大で年間12兆円の経済損失が生じる可能性がある。 出典: meti.go.jp

12兆円という数字は基幹システムの話ですが、構造は進行表でも変わりません。作った人にしか直せない、その人が抜けると誰も触れない、中身が外から見えない。この状態は、規模の大小にかかわらず同じ形で発生します。エクセルでのプロジェクト管理が危ういのは、機能が足りないからではなく、個人の手元に閉じたまま組織の前提になってしまうからです。

「乗り換えるべきか」の前に決めることがある

道具を替えるかどうかを最初の問いにすると、判断がつきません。比較記事を10本読んでも、自分のチームがどれに当てはまるのか分からないまま終わります。

先に決めるべきなのは、いま何が詰まっているのかです。詰まりの正体が「機能が足りない」なのか「同時に触れない」なのかで、打つ手がまったく違います。機能が足りないなら、関数や条件付き書式で解決できることが大半です。同時に触れないなら、どれだけ関数を覚えても解決しません。そして、5人から数十人のチームで起きている詰まりは、ほぼ後者です。

「同時に開けない問題」の正体

この問題を正確に捉えておかないと、対策が的外れになります。「共有フォルダに置けばいい」「クラウドに上げればいい」で解決したつもりになるのは、この段階の理解が浅いからです。

2人目が「読み取り専用」になる瞬間に何が起きているか

誰かが開いているファイルを別の人が開こうとすると、読み取り専用で開くか、通知を受け取るか、コピーを作るかを聞かれます。ここで起きていることは単純です。ファイルという1つの塊を、最初に開いた人が丸ごと預かっている状態になっています。

表計算のファイルは、セル1つずつが独立して保存されているわけではありません。シート構成、数式、書式、名前の定義、条件付き書式のルール、印刷設定が1つの塊としてまとまっています。だから保存は塊ごとの上書きになり、2人が同時に上書きすると片方が消えます。それを避けるために、開いた時点でロックがかかります。

この仕組みは欠陥ではなく、データを壊さないための設計です。ただし、その設計は「1人が1つのファイルを担当する」という前提の上に立っています。プロジェクト管理は、その前提が成り立たない使い方です。5人が担当タスクを持っているなら、更新したい人は常に複数います。

ファイルはなぜ複製されるのか

読み取り専用で開いた人は、そのまま何もせずに閉じたりしません。更新したい情報を持っているから開いたのであって、書けないなら別の手段を取ります。取れる手段は限られています。

1つ目は、書き込める人に口頭やチャットで伝えることです。これは一見きれいですが、伝える手間と伝えられた側がまとめる手間が発生し、伝達の途中で内容が落ちます。2つ目は、あとでもう一度開き直すことです。これは忘れます。3つ目が、名前を付けて保存して手元で更新することです。実務では、3つ目が最も選ばれます。理由は、いま手元にある情報をいま記録できるからです。

複製が生まれる瞬間は、誰も悪意を持っていません。むしろ真面目に仕事を進めようとした結果です。だから「勝手にコピーを作らないように」というルールは守られません。守れない状況を作っているのは道具の側であって、人の側ではないからです。

版が分かれると、何が壊れるのか

複製ができた時点では、まだ被害はありません。壊れるのは、その後です。

まず、正しさの判断ができなくなります。手元のコピーと元のファイルで、同じタスクの期限が違う。どちらが新しいのかは、更新日時を見ても分かりません。元のファイルを別の人が別の目的で更新している場合、両方が「新しい」からです。ファイル名に日付を付ける運用が始まるのはこの段階ですが、これは記号を増やしているだけで、中身のどこが違うのかは相変わらず分かりません。

次に、統合作業が発生します。誰かが2つのファイルを並べて、差分を目で追い、片方に手で写します。この作業は、タスクが多いほど時間がかかり、しかも成果が見えません。統合する人は「何も進んでいないのに時間だけ使った」という感覚を持ちます。あるチームでは、この統合作業が週の定例業務として定着し、担当が固定され、その人が休むと進行表が1週間止まる状態になっていたという話があります。

そして最後に、信頼が落ちます。進行表を見た人が「これ、最新ですか」と聞くようになったら、その表は既に機能していません。確認が要る表は、見ない表になります。見られない表は更新されなくなり、更新されない表はさらに信頼を落とします。この循環に入ると、道具の問題ではなく運用の問題として扱われ、犯人探しが始まります。

共有フォルダに置いても、この問題は解決しない

多くのチームが最初に取る対策が、ファイルの置き場所を1つにすることです。これは必要な対策ですが、十分ではありません。何が消えて何が残るのかを分けて理解しておく必要があります。

置き場所を1つにしても、開く行為は1人ずつのまま

共有フォルダ、ファイルサーバー、社内のネットワークドライブ。これらに進行表を置くと、「どこにあるか分からない」という問題は消えます。全員が同じ場所を見に行くので、メールに添付して配る運用より格段にましです。

ただし、置き場所の統一で解決するのは所在の問題だけです。同時に開けない問題はそのまま残ります。ファイルサーバー上のファイルを2人が開けば、やはり2人目は読み取り専用になります。むしろ、全員がアクセスできるようになった分、開く人が増えて、読み取り専用にぶつかる頻度は上がります。

さらに厄介なのは、共有フォルダ上での複製は元のファイルの隣に置かれることです。手元のデスクトップにあるコピーなら「これは自分用の控え」と分かりますが、共有フォルダに「進行表_田中確認用.xlsx」が並んでいると、他の人がそちらを開いてしまいます。所在の問題を解いた結果、間違ったファイルへの到達しやすさが上がるという逆転が起きます。

クラウド保存の同時編集で消える問題と、残る問題

クラウドストレージ上での共同編集は、この問題にかなり効きます。同じファイルを複数人が同時に開いて、それぞれのセルを編集でき、変更が互いに見える。ロック待ちも複製も、原理的には不要になります。ここまでは事実として認めるべきところです。

ただし、残る問題があります。

1つ目は、条件です。共同編集が成立するには、ファイルがクラウド上に保存されていること、参加者が対応するアプリの版を使っていること、ネットワークにつながっていることが必要です。デスクトップ版で開いた人が1人でもいると、その人だけロック側に回る状況が起きます。社外の協力者が古い環境で作業している場合、条件をそろえること自体が交渉になります。

2つ目は、衝突の中身です。同じセルを同時に触ったときの扱い、シートの挿入や削除、行の並べ替え、フィルタの操作。行を並べ替えている最中に別の人が行を挿入すると、意図しない位置に情報が入ります。セル単位では衝突していなくても、表としての意味が壊れることがあります。

3つ目は、履歴の粒度です。誰がいつ何を変えたのかを追える機能はありますが、追えるのは「セルの値が変わった」という事実です。「なぜ期限を来週に動かしたのか」は残りません。プロジェクトの進行で本当に必要なのは値の履歴ではなく、判断の履歴です。

4つ目が、最も大きい問題です。同時に編集できるようになっても、更新する人は増えません。

「更新は取りまとめ役に言ってください」が生む詰まり

同時に開けない問題への現場の対応として、最も多いのが役割の集約です。更新できる人を1人に決めて、他の人はその人に伝える。衝突は確実になくなりますし、表の形も崩れません。運用としては筋が通っています。

ただし、この方法は取りまとめ役に負荷を全部寄せます。5人のチームなら何とか回りますが、20人になると集約する人の仕事がそれだけになります。しかも、集約する人は伝えられた内容を書き写すだけなので、判断は何も加えていません。時間だけが消えます。

もう1つの副作用が、情報が届かなくなることです。伝えるという行為には手間があります。「これは伝えるほどのことか」と各自が判断するようになり、小さな変更や、まだ確定していない懸念が伝わらなくなります。進行管理で本当に知りたいのは、確定した結果ではなく、揺れている最中の情報です。それが最初に落ちます。

現場でしばしば出るのは、「表は正しいのに、実態と合っていない」という状態です。伝えられたことだけが正確に記録され、伝えられなかったことは存在しないことになっている。この表を見て進行を判断すると、判断そのものが遅れます。

同時に開けない問題が効いてくる4つの場面

抽象論だと自分ごとになりにくいので、具体的な場面に落とします。当てはまる数が多いほど、道具を見直す価値が高いと考えて構いません。

週次で進行表を引き直すとき

週の始めか終わりに進行表を更新する運用は一般的です。このとき、取りまとめ役がファイルを開いて、各所から集めた情報を反映し、期限を押し出し、担当を振り直します。作業には集中が要るので、まとまった時間を取ります。

その間、他の全員はその表を開けません。正確には読み取り専用では開けますが、更新中の中途半端な状態が見えるだけで、判断には使えません。仮に更新作業に1時間かかるとすれば、週に1時間、チーム全体が進行表を見られない時間帯が生まれます。この時間帯に「あのタスクの期限いつだっけ」と聞かれた人は、結局チャットで答えることになります。

締切前に複数人から同時に報告が来るとき

平常時は問題が出なくても、締切の直前に一気に表面化します。全員が自分の担当分を完了にしたいタイミングが重なり、同時に更新しようとして全員が待たされます。待たされた人はチャットに報告を投げ、取りまとめ役はチャットと表を往復することになります。

最も情報の鮮度が要る局面で、最も情報が滞る。これが同時に開けない問題の性質の悪いところです。普段は困らないので対策が後回しになり、困るときには対策する余裕がありません。

社外の人が進行に混ざるとき

業務委託の協力者、制作会社、常駐でないメンバー。社外の人が進行に混ざると、ファイルの受け渡しが発生します。メールに添付する、ストレージのリンクを送る、先方の環境で開いてもらう。この時点で、複製は確実に生まれます。相手が返してきたファイルは、こちらが更新した版とは違う枝になっています。

さらに、社外の人にはファイル全体が見えます。他の案件の情報、単価、社内向けのメモ。見せたくない範囲を隠すために、渡す用のファイルを別に作ると、それがまた1つの版になります。アクセスの範囲を分ける必要が出た時点で、1つのファイルで扱うのは無理が来ています。この種の権限とデータの扱いをどう考えるかは安全性の考え方に整理されています。

引き継ぎと退職のとき

進行表を作った人が抜けるときに、問題が一気に顕在化します。数式の意味が分からない、どのシートが現役でどれが残骸なのか判別できない、ファイル名の似た版がいくつもあってどれを引き継げばいいのか分からない。

引き継ぐ側は、まず現状把握に時間を使います。そして多くの場合、理解しきれずに自分の使いやすい形へ作り直します。作り直した時点で過去の履歴は切れ、それまでの経緯は誰も追えなくなります。属人化はここで完成します。

直す順序

対策を全部同時にやろうとすると失敗します。順序があります。上から順に進めてください。途中で十分になれば、そこで止めて構いません。

順序1: 正本を1つに決めて、他を全部消す

最初にやるのは、複製の整理です。新しい道具の検討より先です。

いま存在する進行表のファイルを全部集めます。共有フォルダ、各自のデスクトップ、メールの添付、チャットに貼られたもの。集めたら、どれを正本にするか1つだけ決めます。決め方は「いま最も実態に近いもの」で構いません。完璧を狙うと決まりません。

正本を決めたら、他のファイルは削除するか、明確に分かる場所へ退避します。ここで妥協して「念のため残す」を選ぶと、必ずまた開かれます。退避先はアクセスしにくい場所にして、ファイル名の先頭に「旧」を付けます。

そして正本の置き場所を1か所に決め、全員に周知します。この段階で、所在の問題と版の問題は一度リセットされます。ただし、リセットされただけで、原因は何も直っていません。放置すれば数週間で元に戻ります。

順序2: 更新の単位を「表全体」から「1件ずつ」に変える

ここが本質的な対策です。同時に開けない問題の根は、更新の単位が表全体になっていることにあります。1人が1つの塊を預かるから、他の人が待つことになります。

対策は、更新の単位を小さくすることです。タスク1件の状態を変えるのに、表全体を預かる必要はありません。担当者が自分の1件だけを触れれば、衝突は原理的に起きなくなります。

エクセルの枠内でこれに近づける方法はあります。シートを担当ごとに分けて、集計シートで束ねる形にすれば、同時に触る範囲は減ります。ただし、シート分割は集計側の数式が複雑になり、担当が変わるたびに構造を組み替えることになります。人数が増えるほど維持が苦しくなる方向の対策です。

外へ出す場合の道具の条件は、この1点で見ます。1件が独立して扱えて、その1件を担当者本人が触れること。ボード型のタスク管理は、まさにこの構造を持っています。カード1枚が1件で、状態を変えるのはカードを動かすだけです。この構造の違いはできることにまとまっています。

順序3: 入力する人を増やす

道具を変えても、入力する人が1人のままなら何も変わりません。取りまとめ役が全部を書き写す運用は、道具に関係なく成立してしまいます。

入力する人を増やすには、入力の手間を下げるしかありません。ルールで強制しても続きません。現場では、2週間で誰も更新しなくなると言われています。続かない理由はだいたい同じで、更新するために覚えることが多いか、更新する場所へ行くのが面倒かのどちらかです。

具体的には、次の条件を満たすかで判断します。1つ、開いてから更新完了まで数十秒で終わるか。2つ、入力必須の項目が3つ以内か。3つ、スマートフォンから触れるか。4つ、新しく入った人が説明なしで使えるか。この4つを満たさない道具は、人数が増えたときに入力者が増えません。

入力する人が増えないと、進捗の表はすぐ嘘になります。嘘になった表は見られなくなり、道具を変えた意味が消えます。道具選びの評価軸として、機能の数より優先すべきはここです。

順序4: 表計算に残す仕事を決める

全部を外に出す必要はありません。むしろ、出さないほうがいいものがあります。

表計算に残すべきなのは、計算が主目的のものです。工数の積み上げ、原価の計算、請求見込み、稼働率の管理。これらは表計算のほうが速くて自由です。専用ツールに移すと、用意された集計しかできず、結局データを書き出して表計算で計算し直すことになります。

外へ出すべきなのは、状態が動くものです。誰が何をどこまでやっているか、次は誰の番か、何が止まっているか。これらは複数人が同時に更新する情報で、表計算の構造と相性が悪い部分です。

線引きの目安は単純です。1週間のうちに何回書き換わるかを数えて、頻度が高いものを外へ出します。月に1回しか触らないものは、表計算のままで問題ありません。

順序5: 道具を替えるかどうかを、最後に決める

ここまでの4つをやってもまだ詰まっているなら、道具を替える段階です。逆に言えば、ここまでやらずに道具だけ替えると、同じ問題が新しい道具の上で再発します。

替えると決めたら、確認する順番があります。まず、いまのデータをどう持っていくか。手作業での移し替えを前提にすると、量が多い場合にそこで頓挫します。取り込みの機能がどこまで自動化されているかは事前に確認してください。取り込みの範囲についてはTrelloからの移行に書かれています。自動で取り込めるのはTrelloからだけで、他の道具からは手作業になる点も、そこに明記されています。

次に、料金の区切り方です。必要な機能が上位プランにある設計だと、進行を預かる人の裁量では決められず、稟議の話になります。区切りが人数だけなら、まず小さく試して、続きそうなら広げるという進め方ができます。プランの区切り方は料金で確認できます。

表計算を残したまま改善できること

道具を替える判断が今すぐ出せない場合でも、できることはあります。順序2の考え方を、表計算の枠内で近似する方法です。

1つ目は、シートを分けることです。担当者ごと、あるいは工程ごとにシートを分け、集計シートで束ねます。同時に開けない問題そのものは消えませんが、更新の競合範囲は狭くなります。ただしシート分割は、集計側の数式が担当の増減のたびに壊れやすく、維持に手が要ります。

2つ目は、入力用と閲覧用を分けることです。閲覧用のファイルを別に置いて、そちらは読むだけにします。更新中でも見られる状態を保てるので、順序1で挙げた「更新中は誰も見られない」問題は軽くなります。ただし、閲覧用の更新をいつ誰がやるかを決めておかないと、それ自体が古い版になります。

3つ目は、変更の理由を残す欄を作ることです。日付と担当と「なぜ変えたか」を1行で書く欄を表の右端に足します。値の履歴ではなく判断の履歴が残るので、引き継ぎのときに効きます。手間はかかりますが、属人化を遅らせる効果は確実にあります。

4つ目は、フォームから入力させることです。入力用のフォームを用意して、回答が表に溜まる形にすれば、複数人が同時に入力できます。ただし、既存の行を更新するのには向かず、新規の報告を集める用途に限られます。

これらは全部、根本の解決ではなく延命です。延命に手間をかけ続けるくらいなら移したほうが早い、という判断になったときが、替える時期です。

比較ページの並びから見える、乗り換えが起きる分かれ目

比較のページを横に並べて見ていくと、進行の道具を替える人が何を見ているのかが、ある程度はっきりします。機能の一覧ではなく、続けられるかどうかを見ています。

カードを動かして状態を管理する型のツールは、この記事で扱った「1件ずつ触れる」という条件をそのまま満たします。すでにカードで日々の作業を回しているなら、乗り換えの論点は構造ではなく、無料で使える範囲と日本語での扱いやすさに移ります。この整理はTrelloとの比較にまとまっています。

タスクの粒度を細かく管理できる型のツールは、機能が豊富な分、設定の設計に時間がかかります。進行を預かる人が使いこなせても、チーム全員が同じ水準で入力し続けられるかは別の問題です。Asanaとの比較では、機能の多さと定着率のバランスをどう見るかを扱っています。

文書とデータベースを兼ねる型の道具は、自由度が高い代わりに、構造を決めるのも維持するのも自分たちです。エクセルで起きていた「作った人しか直せない」という問題が、そのままの形で再発することがあります。自由度と運用負荷の関係はNotionとの比較に整理してあります。

広い範囲を1つの基盤でカバーする型のツールは、進行管理だけでなく周辺の業務も載せられます。その分、使わない機能の設定まで見ることになり、小さなチームでは持て余しやすい面があります。monday.comとの比較で、必要な機能と使わない機能の切り分け方を扱っています。

課題管理から発展した型のツールは、開発の現場で長く使われてきた実績があり、課題と工程の連動に強みがあります。開発以外の業務を同じ場所で回すかどうかで評価が変わります。Backlogとの比較に、この使い分けが書かれています。

国内発のボード型ツールとの違いは、機能の有無より、料金の区切り方と画面設計の考え方に出ます。Jootoとの比較で、その差の見方を整理しています。各ツールの位置づけを横に並べて見たいなら、比較の一覧から入るのが早いです。

これらの比較ページでは、こちら側の弱いところも同じ扱いで並べています。ソースコードを預かるリポジトリの機能は持っていないこと、自動化や外部サービスとのつなぎ込みでは勝負しないこと、画面は日本語だけであること、自動で取り込めるのはTrelloからだけであること。この4点に該当する要件があるなら、他の道具のほうが合います。

料金の区切り方については、進行を預かる立場から見て効いてくるのは金額そのものより区切りの位置です。必要な機能が上位プランにあると、試す前に承認を取る話になり、そこで検討が止まります。機能で絞らず、区切るのは人数とボードの数だけという設計であれば、まず1つの案件だけを板に載せて2週間試す、という進め方ができます。区切り方の詳細は料金で確認できます。なお、各サービスの料金や上限は変わるため、判断の直前に公式のページで確かめてください。この記事では、公開資料で確かめられない数字は書いていません。

移行の範囲や日本語対応の状況など、導入前に出やすい疑問はよくある質問にまとめてあります。

最後にもう一度書いておくと、エクセルでのプロジェクト管理は、1人で回すなら今でも最良の選択です。計算が主目的の管理表も、社外に配る資料も、表計算のほうが速いです。替える価値があるのは、複数人が同時に更新したい情報を1つのファイルで扱っていて、そのために複製が生まれ、統合作業が週の仕事として定着しているときだけです。この1点だけを基準にすれば、道具選びで迷う時間はかなり短くなります。

Q1. エクセルの共同編集機能を使えば、同時に開けない問題は解決しますか?

かなり改善しますが、全部は消えません。ファイルをクラウド上に置き、参加者全員が対応する版のアプリを使い、常時ネットワークにつながっていることが条件です。デスクトップ版で開いた人が1人いるだけでロックが復活します。また、行の並べ替えや挿入が同時に起きると、セル単位では衝突していなくても表の意味が壊れることがあります。

Q2. 共有フォルダに置けば、ファイルの複製は防げますか?

所在が分からない問題は消えますが、複製は防げません。共有フォルダ上でも2人目は読み取り専用になるため、書き込みたい人は名前を付けて保存します。むしろ元のファイルの隣にコピーが並ぶため、他の人が間違ったほうを開くリスクが上がります。置き場所の統一は必要ですが、それだけでは足りません。

Q3. 何人くらいから、エクセルでのプロジェクト管理が苦しくなりますか?

人数より、同時に更新したい人が何人いるかで決まります。更新するのが自分1人なら、人数が多くても表計算で回ります。目安として、担当を持つ人が5人を超えて全員が自分の進捗を記録する運用になると、読み取り専用と複製が日常的に発生します。取りまとめ役が書き写す時間が週に1時間を超えたら、見直す時期です。

Q4. 道具を替えるとき、エクセルは全部やめるべきですか?

やめないほうがいい部分があります。工数の積み上げ、原価計算、請求見込みのような計算が主目的の表は、表計算に残すほうが速くて自由です。外へ出すべきなのは、複数人が同時に更新する状態の情報です。1週間に何回書き換わるかを数えて、頻度の高いものだけを移す使い分けが現実的です。

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