無料で工程表を引く方法|表計算と道具のどちらを選ぶか
ガントチャートを無料で引く方法を探している人が本当に知りたいのは、無料の選択肢の一覧ではありません。「どれを選ぶと、あとで困らないか」です。無料で工程表を引く手立ては複数あり、そのどれも無料である理由が違います。理由が違えば、行き詰まる場所も違います。
工程表は引いた瞬間が仕事の始まりです。予定は動きますし、担当も入れ替わります。動いた予定を反映する手間を誰が引き受けるのか、その手間がどこに積み上がるのかを見ないまま道具を選ぶと、数か月後に同じ検索をすることになります。
この記事では、無料で工程表を引く手立てを4つの型に分けて整理します。それぞれの型が何と引き換えに無料なのかを分解したうえで、表計算のまま続けるべきチームと、道具に移したほうがよいチームの分かれ目を、いま詰まっている場所から逆算して決められるようにします。表計算をやめさせる話ではありません。表計算が正解である場面はかなり広く、それを先に書きます。
無料で工程表を引く手立ては、大きく4つの型に分かれる
「ガントチャート 無料」で出てくる選択肢は数が多く見えますが、成り立ちで分けると4つしかありません。どの型に属するかが分かれば、その先で何が起きるかも大筋で読めます。
1つ目は、表計算ソフトで自分で引く型です。すでに持っているソフトで作るので、追加の費用はかかりません。2つ目は、配布されているひな型をもらってくる型です。作る手間の一部を省けます。3つ目は、工程管理を目的に作られた道具の無料枠を使う型です。機能はそのまま使えますが、人数や量に区切りがあります。4つ目は、公開されているソフトウェアを自分の環境に立てる型です。ライセンス料はかかりませんが、置き場所と手入れが要ります。
| 型 | 何が無料か | 何と引き換えか |
|---|---|---|
| 表計算で引く | ソフトの追加費用 | 引き直す時間と、更新できる人が限られること |
| 配布のひな型 | 作り始めの設計 | ひな型の作りに運用を合わせること |
| 道具の無料枠 | 機能そのもの | 人数や量の上限と、増えたときの費用 |
| 自分で立てる | ライセンス料 | 置き場所の費用と、手入れの担当 |
この4つは排他ではありません。取引先に出す工程表は表計算、社内の日々の進行は道具の無料枠、という使い分けは現場でよくある形です。1つに決めなければいけないという前提を外すと、選択はずいぶん楽になります。
表計算で引く型は、いまも多くのチームで正解になる
無料の工程表というと真っ先に候補に挙がるのが表計算です。そして、これを軽く見る記事が多すぎます。予定が動かない工程を管理するなら、表計算の工程表より速くて安い手立ては、ほとんどありません。
表計算が強いのは、自由さと、誰でも読めることの2点
表計算の工程表が持つ強みは、突き詰めると2つです。
1つは、構造を自由に変えられることです。「検収予定日」の列を足したい、「協力会社名」の列を足したい、と思ったらその場で足せます。誰の承認も要りませんし、設定画面を探す必要もありません。工程表に載せたい情報はチームごとに違い、その差は思っているより大きいです。専用の道具は、その道具が想定した項目に運用を寄せることを求めます。表計算は逆に、運用に合わせて表のほうが変わります。
もう1つは、計算が自由なことです。人日を積み上げて工数を出す、単価を掛けて概算金額を出す、稼働率で割って必要な人数を出す。工程表と原価管理が地続きになっている現場では、この計算部分が仕事の本体です。工程管理の道具に移しても、この計算は表計算に残ることが多く、結果として2か所を更新することになります。移す前に、その表で何を計算しているのかを棚卸ししておく価値があります。
加えて、受け取る側が全員読めるという利点があります。取引先に送っても、そのまま開いて理解してもらえます。新しい道具に招待して、アカウントを作ってもらって、使い方を説明して、という手間が一切かかりません。社外に定期的に出す工程表がある場合、この差は無視できません。
表計算が苦しくなるのは「動く予定を複数人で触る」ときだけ
表計算の工程表が限界を迎える条件は、はっきりしています。予定がよく動くこと、更新する人が複数いること、この2つが重なったときです。逆に言えば、どちらか片方だけなら表計算で足ります。
予定が動くと何が起きるか。1本の工程が3日ずれたとき、後ろに続くタスクの日付を手で押し出すことになります。関数で連動させておけば自動で動きますが、そのぶん表の構造は複雑になり、直せる人が減ります。条件付き書式でバーを描いていれば線は追随しますが、図形で描いていると位置がずれます。この修正は1回あたり10分から30分ですが、予定が動く回数だけ発生します。作る時間より、直す時間のほうが長くなる構造です。
更新する人が複数いると、別の問題が出ます。同じファイルを同時に開けない、開いていた人が保存せずに帰る、コピーが増えて最新がどれか分からなくなる。共同編集ができる表計算を使えば同時編集の問題は解けますが、そのぶん「誰かが数式を壊す」という別のリスクが立ち上がります。数式で組んだ工程表ほど壊れやすく、壊れると復旧できる人が1人しかいないという状態になりがちです。
現場でよく聞くのは、工程表を引ける人が1人に固定され、その人が休むと進行が止まるという話です。無料で始めたはずが、その1人の時間という一番高い資源を毎週使い続けている、という状態は珍しくありません。
配布されているひな型を使う型は、始めるまでを短くする
工程表のひな型は、公的機関や事業者、個人が数多く公開しています。日付軸と条件付き書式が組んであるものをもらってくれば、作り始めの半日は省けます。無料の選択肢としては手堅い型です。
ただし、ひな型は「誰かの現場の型」です。行の粒度、階層の深さ、載せる列。これらは作った人の現場に合わせて決められています。もらったひな型をそのまま使うと、自分たちの運用のほうがひな型に寄っていきます。それで回るなら問題ありませんが、合わないところを直そうとすると、他人が組んだ数式を読み解く作業が発生します。自分でゼロから組むより時間がかかることも珍しくありません。
ひな型を選ぶときの見方は3つあります。1つ目は、数式が読める範囲に収まっているか。関数が何重にも入れ子になっているものは、直せなくなる可能性が高いです。2つ目は、タスクの行数が自分たちの規模に近いか。200行を前提に組まれたひな型を20行の案件で使うと、印刷も画面も持て余します。3つ目は、休日の扱いが自分たちと合っているか。土日祝を休みとする前提で組まれているものが大半なので、シフト制や交代制の現場では作り直しになります。
ひな型の型は、始めるまでを短くしますが、続けるための問題は何も解決しません。動く予定を複数人で触るときに苦しくなる構造は、表計算で自作したときと同じです。ひな型で始めて、運用が回り始めてから道具を検討する、という順番自体は合理的です。
道具の無料枠を使う型は、区切り方を先に確かめる
工程管理を目的に作られた道具の多くが、無料で使える枠を用意しています。これがいちばん誤解されやすい型です。「無料枠がある」と書かれていても、その区切り方は道具ごとに違い、区切り方の違いがそのまま使い勝手の違いになります。
無料枠の区切り方には、大きく3つの流儀がある
1つ目は、人数で区切る流儀です。一定の人数までなら機能を制限せずに使わせ、それを超えたら費用が発生します。少人数のチームにとっては都合がよく、増えたときに費用が読みやすいのが利点です。
2つ目は、量で区切る流儀です。作れるプロジェクトの数、保存できるファイルの容量、残る履歴の期間などに上限を置きます。人数は増やせるので、関わる人が多くて実際に手を動かす人は少ない現場と相性がよい形です。ただし上限に当たる時期が読みにくく、当たったときには既にデータが溜まっているので、そこで移るのは骨が折れます。
3つ目は、機能で区切る流儀です。基本の板やリストは無料で使えるが、工程表の表示は上位のプランから、という区切り方です。「ガントチャート 無料」で探している人にとっては、ここがいちばんの落とし穴になります。無料で始めたのに、目的だった工程表の画面だけが有料の向こう側にある、ということが起こります。
料金や上限は変わりますし、同じ名前のプランでも中身が改定されます。この記事では、どの道具がいくら、という数字は書きません。判断の直前に、公式の料金ページで自分の目で確かめるのが唯一の正しいやり方です。確かめるときに見るべきなのは金額ではなく、何で区切られているかのほうです。
進行を預かる人にとって効いてくるのは、区切りの位置
区切り方が効いてくるのは、費用の話としてではありません。稟議の話としてです。
工程表の表示が上位プランにあると、試すこと自体に決裁が要ります。進行を預かる人が「まず1つ工程表を引いてみて、チームが見るかどうか確かめたい」と思っても、その一歩目に見積もりと申請が挟まります。申請を通すには効果の説明が要りますが、効果は使ってみないと分かりません。ここで止まる話は、現場でよく出ます。
一方で、人数とボードの数だけで区切る設計であれば、少人数で1つ引いてみることに障害がありません。機能で絞らず、区切るのは人数とボードの数だけという料金の組み方は、進行を預かる人が自分の判断で試せるという点で、金額以上の意味を持ちます。道具ごとの区切り方の違いは料金で確認できます。工程表を含めて何ができるのかを先に見たい場合はできることにまとまっています。
無料枠のまま運用を続けられるかどうかは、人数の増え方で決まる
無料枠で始めた工程管理が、そのまま続くかどうかは、関わる人の増え方で決まります。
工程表を「引く人」は増えません。たいてい1人か2人です。増えるのは「見る人」です。営業が納期を確認したい、経理が請求のタイミングを知りたい、外注先が自分の担当箇所を見たい。この見る人が無料枠の人数に数えられるかどうかで、費用の伸び方がまったく変わります。閲覧だけの人の扱いは道具によって違うので、公式の説明で確かめる価値があります。
もう1つ、無料枠で見落とされやすいのが履歴の扱いです。誰がいつ日付を動かしたかという記録は、揉めたときに効きます。無料枠では履歴の保存期間が短く設定されていることがあり、必要になったときには消えている、という事態が起こり得ます。工程表を証跡として使う予定があるなら、ここは先に確認しておく項目です。
自分で立てる型は、ライセンスが無料でも運用は無料ではない
公開されているソフトウェアを自分の環境に置いて使う型もあります。ライセンスの費用はかかりませんし、データを完全に自分たちの管理下に置けます。社外にデータを出せない事情があるチームには、有力な選択肢です。
ただし、この型で無料なのはライセンスだけです。置く場所の費用は毎月かかりますし、更新の適用、障害時の復旧、権限の管理は誰かが担当することになります。この担当は多くの場合、社内でいちばん忙しい人に回ります。進行を預かる人が工程表を引くために、サーバーの面倒を見る側に回るなら、それは無料とは呼びにくい状態です。
判断の目安は、社内に情報システムの担当がいるかどうかです。担当がいて、他のシステムも同じやり方で運用しているなら、工程表を1つ増やすことの負担は小さいです。担当がおらず、詳しい人が善意で見ているだけなら、その人が抜けた瞬間に止まります。属人化の度合いで言えば、表計算の数式を1人が守っている状態と大差ありません。
セキュリティの観点でも、自分で立てれば安全というわけではありません。手入れを続けられるかどうかが分かれ目です。情報の取り扱いの考え方については、情報処理推進機構が中小規模の組織向けの資料を公開しています。道具側でどう考えているかを見比べたい場合は安全性の考え方に整理があります。
「無料」で何を払っているのかを、4つの通貨で見る
どの型を選んでも、無料であることには理由があります。払っているものが金銭ではないだけです。工程表の道具選びで見落とされやすい支払いを、4つに分けて整理します。
時間で払う
いちばん大きいのがこれです。予定が1本動くたびに手で直す作業は、無料の型ほど多く発生します。週に3回、20分ずつ直しているなら、月に4時間です。進行を預かる人の4時間が、工程表を最新に保つためだけに使われています。
この時間は目に見えにくいのが厄介なところです。予算としては計上されませんし、誰も請求してきません。ただ、その人が本来やるべき調整や交渉の時間が削られています。無料の型を選ぶかどうかを決めるとき、この時間を金額に置き換えてみると、判断が具体的になります。
属人化で払う
工程表を直せる人が1人しかいない状態は、無料の型で最も起きやすい副作用です。表計算なら数式を組んだ人、自分で立てた型なら環境を作った人。その人が休むと工程表が古くなり、古くなった工程表は誰も見なくなります。
進行を預かる立場からすると、これは自分の休みが取れないという形で現れます。引き継ぎ資料を書こうとしても、数式の意味を全部書き出すのは現実的ではありません。属人化は、無料で始めたときに最も高くつく支払いです。
データの持ち出しやすさで払う
無料の型でデータを溜めていくと、そのデータをあとで別の場所に移せるかどうかが問題になります。表計算は持ち出しに強い部類ですが、他の道具では書き出せる範囲が限られていることがあります。書き出せても、タスクの親子関係やコメントの履歴までは運べない、という差はよくあります。
移行の話は、始めるときには誰も考えません。しかし数年ぶんの工程が溜まったあとで初めて重みが出ます。どこまで運べるのかを最初に見ておくと、あとの選択肢が減りません。板の構造ごと移す手順の考え方はTrelloからの移行にまとめられています。自動で取り込める範囲には道具ごとに限りがあるので、そこも含めて先に確かめるのが安全です。
意思決定の遅れで払う
工程表が最新でないと、判断が遅れます。遅れた判断は、そのまま納期や工数に跳ね返ります。工程表を最新に保つ仕組みがない状態は、無料の代金を「判断の質」で払っている状態です。
この支払いは金額に置き換えにくいのですが、影響はいちばん大きい部類です。工程表の道具を検討するとき、「更新が止まったら何が起きるか」を先に書き出しておくと、無料枠のどこを妥協してよいかが見えます。
いま何に詰まっているのかを見極めると、選ぶべき型が決まる
道具を先に選ぶと失敗します。いま何で詰まっているのかを特定してから、その詰まりを解く型を選ぶ順番が正しいです。現場で出る詰まりは、だいたい4つに分類できます。
詰まりが「引き直す時間」なら、更新を分散できる型を選ぶ
工程表を引く作業自体より、動いたときに直す作業に時間が取られているなら、詰まりは更新の集中にあります。1人が全部の日付を直している構造が原因です。
この場合、担当者が自分の担当だけを動かせる形にすると、更新の総量は変わらなくても、1人あたりの負担は減ります。工程表を見る画面と、タスクを動かす画面が同じ場所にあるかどうかがここで効いてきます。板の上でカードを動かした結果が工程表に反映される作りであれば、担当者は工程表を意識せずに更新に参加できます。
ただし、この形にしても更新する人が増えるとは限りません。増やすためには、その人にとって更新する理由が要ります。詰まりが更新の集中にあると分かった時点で、次に見るべきは詰まり2です。
詰まりが「誰も更新しない」なら、道具より置き場所を疑う
工程表を作ったのに2週間で誰も更新しなくなった、という話は道具の種類を問わず出ます。原因の多くは道具の機能ではなく、その工程表が仕事の動線の外にあることです。
普段チャットで会話しているチームが、工程表だけ別のファイルを開きに行くのは負担です。開きに行く動作が1つ増えるだけで、更新率は目に見えて落ちます。仕事の手を動かす場所と、進捗が残る場所が同じであれば、更新は自然に起きます。逆に、どれだけ機能が揃っていても、開きに行かないと更新できない場所に置いた工程表は使われません。
無料か有料かの前に、どこに置くかを決めるのが先です。この観点で見ると、いま使っているチャットや板の中に工程表を持てるかどうかが、道具選びの実質的な基準になります。
詰まりが「予定と実績のずれが見えない」なら、記録が残る型を選ぶ
工程表はあるのに、遅れが表面化するのが遅い。この詰まりは、予定を書き換えたときに元の予定が消えてしまう構造から生まれます。表計算で日付を上書きすると、そこに元の予定があった痕跡は残りません。
遅れを早く見つけたいなら、変更の履歴が残るか、当初の予定を別に持てるかを見ます。履歴が残る道具であれば、いつ誰が何日ずらしたかを後から追えます。ここは無料枠で制限されやすい部分でもあるので、確かめる価値があります。
詰まりが「話が散る」なら、工程表だけ替えても直らない
工程表の更新が止まる理由として多いのが、決定がチャットの流れの中で行われ、工程表に反映されないことです。この場合、工程表の道具を替えても改善しません。話す場所と残す場所を分ける運用を先に決めるほうが効きます。
タスクに紐づくコメントとして決定が残る形になっていれば、後から経緯を追えます。板の上で会話を完結させられる作りかどうかが、ここでの分かれ目です。
表計算のままでよいチームと、道具に移すべきチームの境目
ここまでを踏まえて、判断の軸をはっきりさせます。表計算を続けるか、道具に移すかは、次の3つの質問で決まります。
1つ目、予定は週にどれくらい動きますか。月に1回か2回しか動かないなら、表計算のままで困りません。週に何度も押し出しが起きているなら、道具に移す価値があります。
2つ目、工程表を更新できる人は何人いますか。1人だけなら、その人が休んだときに止まります。3人以上が更新できるなら、道具の種類はあまり問題になりません。
3つ目、工程表を毎日見る人は社内に何人いますか。見る人が自分だけなら、道具を変えても得られるものは少ないです。5人以上が見ているなら、置き場所を変える効果が出ます。
3つのうち2つ以上が「移す側」に振れたときだけ、道具の検討に進むのが効率的です。1つだけなら、表計算の運用を少し整えるほうが投じる時間に対する見返りが大きいです。
なお、道具に移すと失われるものもあります。自由な計算、印刷レイアウトの細かい調整、チーム全員がすでに操作を知っているという慣れ。この3つは、専用の道具では取り戻しにくい部分です。原価計算と工程管理を同じファイルでやっているなら、計算部分は表計算に残す前提で考えるのが現実的です。
公的な資料でも、道具そのものより使い続ける体制の話が繰り返し扱われています。趣旨をまとめると、次のような整理になります。
中小企業のデジタル化では、道具を導入すること自体よりも、使い続ける人と体制をどう整えるかが課題として挙げられている。 出典: chusho.meti.go.jp
工程表も同じです。無料で引けるかどうかより、引いたあとに更新が続くかどうかで結果が決まります。
無料のまま長く運用するために決めておくこと
どの型を選ぶにしても、無料の運用を長持ちさせるための決めごとがあります。道具の性能より、この決めごとのほうが効きます。
まず、工程表に載せる粒度を決めます。タスクを細かく割りすぎると更新が追いつかず、粗すぎると遅れが見えません。目安は、1本のタスクが3日から5日で終わる長さです。これより短いタスクは工程表ではなく担当者の手元で管理し、これより長いタスクは分割します。
次に、更新のタイミングを決めます。「気づいたときに」では更新されません。週次の定例の前に担当者が自分の担当を触る、という形にすると続きます。定例の場で1人が聞き取って直す形にすると、その1人に負担が寄り、属人化が進みます。
3つ目に、工程表を見る人の範囲を決めます。誰でも見られる状態にしておくと、問い合わせが減ります。見る人を絞ると、絞られた人が個別に聞きに来ることになり、進行を預かる人の時間が削られます。閲覧だけの人をどう扱うかは無料枠の設計に関わるので、道具を選ぶ段階で確認しておく項目です。
4つ目に、変更の理由を残す場所を決めます。日付を動かした理由が残っていないと、後から振り返れません。工程表そのものにコメントを残せるなら、そこに書くのが最も探しやすい形です。
道具の型ごとの違いをどう見比べるか
無料枠のある工程管理の道具は数が多く、機能表を横に並べても差が分かりません。見るべきは、機能の有無ではなく、その道具がどういう仕事のやり方を前提にしているかです。
板型の道具は、カードを動かすことで状態を表します。日々の作業の場と進捗の記録が同じ場所にあるので、更新が続きやすいのが特徴です。一方で、工程表としての表示をどこまで持っているかは道具によって差があります。板の運用から工程表に踏み出すときの考え方はTrelloとの比較に整理されています。
タスクの依存関係や担当の割り当てを厚く扱う道具は、複数のプロジェクトが並走する現場に向いています。設定の項目が多く、決めることも多いので、少人数のチームでは持て余すことがあります。この見極めについてはAsanaとの比較が参考になります。
文書とデータベースを一体で扱う道具は、工程表を含めて何でも作れる自由さがあります。自由なぶん、作り込みの担当が必要になり、その人に依存する構造ができやすいのが注意点です。Notionとの比較で、この自由さの扱い方を扱っています。
管理基盤として広い範囲をカバーする道具は、工程表を全体の一部として持ちます。導入の設計に時間がかかりやすいので、まず1つの案件で試したいという用途とは相性を見る必要があります。monday.comとの比較に、必要な機能と使わない機能の切り分け方が書かれています。
課題管理を軸に据えた道具は、課題と工程表の連動に強みがあります。開発以外の業務まで同じ場所で回すかどうかで評価が変わります。この使い分けはBacklogとの比較にまとまっています。
国内発の板型の道具との違いは、機能の有無より、料金の区切り方と画面の考え方に出ます。Jootoとの比較で、その差の見方を整理しています。どの道具がどの位置にあるのかを横に並べて確かめたいなら、比較の一覧から入るのが早いです。
比較の途中で出てくる細かい疑問、たとえば移行できる範囲や日本語での対応状況などはよくある質問に集めてあります。
無料から有料に移る境目を、先に決めておく
無料枠で始めるときにやっておくと後が楽になるのが、「どうなったら有料に移るか」を先に書いておくことです。
境目の置き方は3つあります。1つ目は人数です。関わる人が10人を超えたら移る、といった線を引いておきます。2つ目は本数です。同時に走る案件が5本を超えたら移る、という形です。3つ目は時間です。工程表の更新に月5時間以上かかるようになったら移る、という置き方が、いちばん実態に近い判断になります。
先に決めておく理由は、上限に当たってから考えると選択肢が狭くなるからです。データが溜まってから他の道具を検討すると、移行の手間が判断を縛ります。始めた時点で境目を書いておけば、その手前で余裕をもって比べられます。
料金や上限は改定されます。この記事に金額を書いていないのは、書いた時点で古くなるからです。判断の直前に公式の料金ページで確かめる、という手順だけは省かないでください。確かめるときは金額の大小より、区切り方が自分たちの増え方と合っているかを見ます。人数で増えるチームが量で区切られた枠を選ぶと、想定外の場所で頭を打ちます。
工程表を無料で引く手立ては複数あり、どれも成立します。表計算は自由さと読みやすさで無料を成立させ、ひな型は設計の手間を肩代わりし、道具の無料枠は人数や量で線を引き、自分で立てる型は手入れの担当を前提にします。選ぶべきは、いま詰まっている場所を解く型です。予定が動かず、更新するのも見るのも少人数なら、表計算を続けるのが最も安く速い選択です。予定が動き、更新できる人を増やしたい段階に来ているなら、置き場所を仕事の動線の中に移す価値があります。その1点だけを見て決めれば、無料の選択肢を並べて迷う時間は短くなります。
Q1. 無料で工程表を引くなら、表計算と専用ツールのどちらから始めるべきですか?
予定が動く頻度で決めます。日付を書き換えるのが月に1回か2回で、更新するのも見るのも少人数なら表計算が最も速くて安いです。週に何度も押し出しが発生し、更新できる人が1人に固定されているなら、更新を分散できる道具を試す価値があります。両方を併用し、社外提出だけ表計算にする形も現実的です。
Q2. 無料枠のあるツールを選ぶとき、いちばん先に確認すべき点は何ですか?
金額ではなく、何で区切られているかです。区切り方には人数で区切る形、プロジェクト数や容量などの量で区切る形、機能で区切る形の3つがあります。工程表の表示が上位プランにある設計だと、試すこと自体に決裁が必要になります。閲覧だけの人が人数に数えられるかどうかも、あとで費用の伸び方を左右します。
Q3. 無料の工程表が2週間で更新されなくなるのはなぜですか?
道具の機能ではなく、置き場所が原因であることがほとんどです。普段の作業や会話をしている場所と別のファイルを開きに行く必要があると、その一手間で更新率が落ちます。手を動かす場所と進捗が残る場所を同じにすること、更新のタイミングを週次の定例前などに固定することの2つで、かなり改善します。
Q4. オープンソースのツールを自分で立てれば、完全に無料になりますか?
ライセンス料は無料ですが、運用は無料ではありません。サーバーの費用が毎月かかり、更新の適用、障害時の復旧、権限管理を担当する人が必要になります。情報システムの担当がいて他のシステムも同じ体制で運用しているなら選択肢になりますが、詳しい人が善意で見ているだけの状態では、その人が抜けた時点で止まります。