カンバンツールの無料はどこまでか|2026年時点の上限と有料に移る境目
カンバンツールを無料で使いたい、と探し始めた人がまず驚くのは、無料プランの人数枠が各社でまったく違うことです。10人まで通るところもあれば、2人で止まるところもあります。この記事では、主要なツールの無料プランで実際にどこまで使えるのかを公式の料金ページで確かめたうえで、無料が止まる3つの境目、無料の条件そのものが変わる実例、そして有料に移る判断をどこに置けばよいかを整理します。数字はすべて2026年9月4日時点で公開されているものです。
無料のカンバンツールを探す人が本当に困っていること
「カンバン ツール 無料」で探している人の状況は、おおむね2つに分かれます。1つは、まだ何も使っていなくて、費用をかけずに始めたい段階。もう1つは、すでに何かを使っていて、無料の枠に収まらなくなり始めている段階です。
後者のほうが切実です。5人で使い始めた板に、協力会社の担当が2人加わり、隣の部署が興味を持って3人入り、気づけば枠を超えている。あるいは案件が増えて板を分けたら、板の数の上限に当たった。この状態になると、その日から誰かを外すか、有料に移るかを迫られます。
現場でよく聞くのは、「無料で始めたのに、いちばん見たかった画面が有料だった」という話です。カードを列に並べる板そのものはどのツールでも無料で使えますが、期限を横棒で並べる時間軸の画面や、複数の板をまとめて見る画面は、上位のプランに置かれていることが多い。試用期間が終わってから気づくと、そこまでに入れたデータの扱いに困ります。
もう1つ、見落とされがちなのが「無料の条件は固定ではない」という点です。後で具体例を挙げますが、無料プランの人数枠が減ることも、サービスそのものが終わることもあります。無料だから安心、という前提で運用を組むと、その前提が崩れたときに逃げ場がなくなります。
だから無料のツールを選ぶときに見るべきなのは、いま何ができるかよりも、枠を超えたときにどうなるか、条件が変わったときにデータを持ち出せるか、の2点です。この2点を先に確認しておけば、無料で始めること自体はまったく問題ありません。
主要ツールの無料プランで、何人までどこまで使えるか
各社の公式料金ページに書かれている無料プランの範囲を並べます。プランは変わりますので、契約の前には必ず自分で公式ページを確認してください。
| ツール | 無料プランの人数 | 入れ物の数 | そのほかの主な上限 |
|---|---|---|---|
| Trello | ワークスペースあたり10コラボレーターまで | ワークスペースあたり最大10ボード | カードは無制限、ファイルは10MBまで、コマンドの実行は月250回 |
| Asana | Personalは2人まで | タスクとプロジェクトは無制限 | ファイルは100MBまで、リスト・ボード・カレンダーの各表示に対応 |
| monday.com | 最大2ユーザー | 最大3ボード、最大3ドキュメント | 8種類のカラムタイプ、200以上のテンプレート |
| Backlog | フリーは最大10ユーザー | 1プロジェクトまで | カンバンボードは全プランに記載あり |
| Notion | 料金ページに人数の上限の記載は見当たらない | 記載なし | 共同作業用のブロック数に制限あり |
この表を見ると、「無料で使える」という言葉の意味が各社でまったく違うことが分かります。5人から数十人のチームで板を共有したい、という前提に立つと、2人までのプランは最初から候補に入りません。逆に10人まで通るものは、小さなチームならしばらく無料で回せます。
金額のほうも並べておきます。Trelloは米ドル建てで、Standardが年払いで1ユーザーあたり月額5ドル、月払いで6ドル、Premiumが年払いで10ドル、月払いで12.50ドルと記載されています。Asanaは税抜で、Starterが年払いで1ユーザーあたり月額1,200円、月払いで1,475円です。monday.comは税抜で、年間払いのベーシックが1ユーザーあたり月額1,300円、スタンダードが1,650円と表示されています。Backlogは人数ではなくスペース単位の課金で、税抜のスターターが月額2,700円、スタンダードが月額16,000円です。
無料が止まる境目は、ほぼ3種類しかない
無料プランが使えなくなる理由は、実務上ほぼ3つに集約されます。この3つのどれで止まるのかを先に見積もっておくと、道具を試す時間を短くできます。
1つ目は人数です。無料の人数枠は交渉の余地がなく、越えた瞬間に止まります。ここで効いてくるのが、誰を数に入れるかの定義です。閲覧しかしない人も1人として数えるのか、社外の協力会社は別の枠なのか。この定義は各社で違うので、料金ページの注記まで読んでください。閲覧専用の枠が別に用意されている製品では、実質的に使える人数がかなり変わります。
2つ目は入れ物の数です。板やプロジェクトの上限がこれにあたります。Trelloはワークスペースあたり10ボード、monday.comの無料は3ボード、Backlogのフリーは1プロジェクトと公開されています。案件ごとに入れ物を分ける運用をしていると、人数より先にここで止まります。
3つ目は保存できる量です。ファイル1つあたりの上限と、全体の容量の2つがあります。Trelloの無料は1ファイル10MBまで、Asanaは100MBまでと記載されています。図面や写真をカードに直接ぶら下げる運用だと、ここが最初に効きます。
この3つのうち、どれで止まりそうかは今の運用を見れば予測できます。人で止まりそうなら人数枠の大きいものを、案件数で止まりそうなら入れ物の数に上限のないものを選ぶ。この見立てを先にやっておくだけで、乗り換えの回数が減ります。
無料プランの条件そのものが変わることがある
無料で始めるときにいちばん見落とされるのが、条件が後から変わる可能性です。これは仮定の話ではありません。実際に告知が出ています。
Backlogは、2027年1月1日からプランを新しくすると公式に告知しています。2026年12月31日で現行プランの新規契約が終了し、新しいプランはエコノミー、ビジネス、プロフェッショナルの3つになります。そしてフリープランについては、次のように書かれています。
2027年1月1日に、新しいフリープランへ自動的に切り替わります。新しいフリープランではユーザー上限が10名から5名に変更されます。既存の6〜10名のメンバーは引き続きご利用いただけますが、新しくユーザーの追加はできなくなります。 出典: backlog.com
同じ告知では、銀行振込で選べる支払い期間が年払いのみに変わり、3か月と6か月の選択がなくなることも案内されています。クレジットカード払いは月払いと年払いの両方を選べます。
いま10人で無料の枠に収まっているチームでも、この改定後は新しい人を入れられなくなります。無料で運用しているチームほど、こうした告知を追いかける習慣がありません。使っているサービスのお知らせページを、四半期に一度でよいので誰かが見る、という担当を決めておくことをおすすめします。
無料のサービスそのものが終わることもある
条件の変更よりさらに重いのが、提供の終了です。これも実例があります。
Jootoは、2027年7月31日をもって一般提供を終了し、事業を廃止することが発表されています。運営会社の発表によれば、2026年8月6日をもって新規の利用登録と新規の有料契約の受付が終了しており、既存の利用者は契約条件に従って終了日まで利用できる、と案内されています。公式サイトには移行先の候補と、データを取り出すための機能改修の予定が掲載されています。
このように、無料で始めた道具が数年後にそのまま使える保証はありません。ここから学べる実務上の対策は2つです。
1つは、データを取り出す手段を導入時に確認しておくこと。CSVで書き出せるのか、APIで全件取れるのか。取り出せるなら、いざというときに移れます。
もう1つは、告知を受け取る宛先を個人のものにしないことです。無料で使っていると請求書が発行されないので、支払いの担当者に情報が回る経路がそもそもありません。条件の変更も終了の案内も、最初に登録した1人のメールアドレスにしか届かない状態になりがちです。その人が異動したり退職したりすると、告知は誰にも読まれないまま流れます。板を作るときの登録先を共有のアドレスにしておくだけで、この抜けは塞げます。あわせて、無料の板を誰が管理しているのかを1行でよいので社内の記録に残してください。金額が発生していない道具ほど、管理者が空白のまま何年も動き続けます。
自分で立てる無料は、本当に無料か
費用をかけたくないという理由で、ソースコードが公開されているツールを自分のサーバに入れる、という選択肢を検討する人もいます。Kanboardは公式サイトでMITライセンスと明記され、日本語を含む30以上の言語に翻訳されていると書かれています。Wekanも、GitHub上のライセンス表示はMITです。PLANKAには無償のCommunity版があります。
ライセンス費という意味では確かに無料です。ただし、ここには別の費用が乗ります。
・サーバの費用。借りるなら月額、自前の機械なら購入と保守 ・最初に立てる工数。何もない状態から動く状態にするまでの時間 ・毎月の更新の工数。本体と、その土台になっているソフトの更新を追い続ける必要があります ・バックアップの取得と、戻せるかどうかの確認 ・止まったときの一次対応
情報処理推進機構は、サーバ用のオープンソースソフトウェアについて製品情報とセキュリティ情報をまとめたページを公開し、週1回程度の頻度で更新していると案内したうえで、定期的に参照して自社のセキュリティ対策に活用するよう呼びかけています。つまり、自分で立てるということは、この頻度の情報を追い続ける役割を引き受けるということです。
10人程度のチームで、この作業を担当する人の時間を時給に換算すると、有料プランの年額を上回ることは珍しくありません。情報システムの専任がいない組織で「無料だから」という理由だけで自分で立てるのは、実際には高くつく選択になりがちです。
5人から10人のチームが無料で回すための設計
それでも無料の範囲で回したい場合、設計次第でかなり長く持ちます。効くのは次の4つです。
1つ目は、入れ物を案件ごとに分けないことです。板の数に上限があるツールでは、案件が増えるたびに板を作ると早々に詰まります。板は工程で切り、案件はカードのラベルや札で分ける。この形にすると、案件が10件に増えても板は1つのままです。
2つ目は、ファイルを板に直接置かないことです。容量の上限に当たる原因はほぼこれです。図面や写真は既存のファイル共有に置き、カードにはその場所へのリンクか整理番号だけを書く。板が軽くなるので、現場の人が開くようにもなります。
3つ目は、閲覧しかしない人の扱いを決めることです。人数枠を圧迫しているのが、月に一度しか見ない管理職だった、というのはよくある話です。定例で画面を共有する形に変えれば、その人の枠を空けられます。あるいは、板の内容を読み取り専用で共有できる公開リンクの機能があるツールなら、それを使って枠を消費せずに見てもらう手もあります。ただし公開リンクは知っている人なら誰でも開けるので、取引先の名前や金額が載る板では使わないでください。
4つ目は、完了したカードを片付ける習慣を作ることです。終わったカードが板に残り続けると、動作が重くなるだけでなく、見る気が失せます。週に一度、完了の列を空にする担当を決めてください。片付けるといっても消す必要はありません。多くのツールにはカードを閉じる、あるいは書庫に入れる機能があり、閉じたカードは検索すれば出てきます。消してしまうと後から経緯が追えなくなるので、閉じる操作のほうを使ってください。月末にまとめてやろうとすると量が多すぎて誰もやらなくなるので、曜日を決めて短時間で済ませるのがこつです。
この4つをやると、10人枠のツールなら実際に10人で1年以上回せます。無料の枠は、使い方でかなり伸びます。
無料プランで、板以外の画面はどこまで見られるか
カードを列に並べる板そのものは、どのツールでも無料で使えます。差が出るのは、同じデータを別の形で見る画面のほうです。
期限を横棒で並べる時間軸の画面は、多くのサービスで上位プランに置かれています。Asanaの料金ページでは、タイムラインとガントビューはStarter以上に記載されています。monday.comではタイムラインとガントの表示、カレンダーの表示がスタンダード以上に記載されています。Backlogの比較表では、ガントチャートはスタンダード以上にあり、スタータープランは「なし」と書かれています。Trelloではカレンダー、タイムライン、テーブル、ダッシュボード、マップの各ビューがPremiumの機能として並んでいます。
複数の板をまとめて見る画面も、同じように上位に置かれています。案件が5件あって、それぞれの遅れを1画面で見たい、という要望は、たいてい有料でしか満たせません。
ここで判断が分かれます。板だけで足りるチームと、板と時間軸の両方が要るチームです。前者なら無料で長く回せます。後者は、無料プランを比べる時間そのものが無駄になりやすい。最初から有料の金額を比べたほうが早いという結論になります。
自分がどちらなのかは、いまの仕事の性質で決まります。作業の順番が入れ替わるだけで、全体の終わりの日が動かない仕事なら板だけで足ります。前の工程が遅れると後ろが全部ずれる仕事、つまり工程に前後関係がある仕事だと、板だけでは遅れの影響が読めません。この場合は時間軸の画面が必要になります。
なお、板と時間軸を別々の道具で持つと、日付が2か所に存在することになります。片方を直してもう片方が古いまま、という状態が必ず生まれます。無料にこだわって道具を2つに分けると、費用は浮いても更新の手間が倍になります。この点は費用の計算に入れておいてください。
数え方が違うと、実際に使える人数が変わる
人数枠を比べるときに見落とされるのが、誰を1人として数えるかの定義です。ここの差は、無料枠でも有料の金額でも効いてきます。
Trelloの無料は「ワークスペースあたり10コラボレーター」と書かれています。コラボレーターという言葉が指す範囲は、料金ページの注記まで読まないと分かりません。同じページには、Standardで「シングルボード ゲスト」、Premiumで「閲覧者」、Enterpriseで「マルチボード ゲスト」といった区分が並んでいます。つまり、社外の人や見るだけの人を通常の枠とは別に扱う仕組みが、上位プランに用意されているという構造です。
Asanaでは、Starter以上で「無制限の無料ゲスト」と記載されています。追加料金やユーザー数への影響を心配することなく社外の協力者をプロジェクトに招待できる、という説明が添えられています。monday.comでは、ベーシック以上に「閲覧者数無制限」の記載があり、閲覧者は読み取り専用でデータにアクセスできると説明されています。
この違いは実務でかなり大きく効きます。社内5人、協力会社3人、見るだけの管理職2人で合計10人、という構成のチームを考えてください。全員を同じ枠で数える製品だと10人分の枠が要ります。社外と閲覧専用を別に扱える製品なら、実質5人分で足ります。金額にすると2倍の差です。
無料プランを比べるときは、人数の数字だけでなく、自分のチームの構成を当てはめて実際に何人分になるかを計算してください。10人枠と書かれていても、自分の構成では6人分にしかならないことも、逆に5人枠で足りることもあります。
無料のまま社内の承認を取るときに聞かれること
会社によっては、無料であっても外部サービスの利用に承認が要ります。無料なので稟議が不要だと思って使い始め、あとから止められるというのは、よくある失敗です。
承認の場で聞かれるのは、おおむね次の5点です。
・データがどこに保存されるか。所在地が公開されているか、問い合わせで回答が得られるか ・通信と保存の暗号化がどうなっているか ・アクセス権限をどこまで細かく分けられるか。社外の人を特定の板だけに入れられるか ・利用者の追加と削除を誰が行うか。退職者の権限をその日のうちに止められるか ・データを取り出す手段と、利用をやめたあとのデータの扱い
無料プランで引っかかりやすいのは3つ目と5つ目です。権限の細かい設定は上位プランの機能になっていることが多く、無料では「全員が全部を見られる」状態にしかできない場合があります。社外の協力会社を入れる予定があるなら、ここは事前に確認してください。
もう1つ、承認の場でよく聞かれるのが、止まったときにどうするかです。稼働状況を公開しているサービスなら、そのページを示すことで話が進みます。無料プランには稼働率の保証が付かないのが普通なので、止まっている間の代替手段を決めておくと通りやすくなります。板が止まったら当日はチャットで回す、といった一時的な決めごとで構いません。
判断の材料を集める入口としては、各サービスの安全性の考え方のページに、データの保管場所や暗号化、権限の分け方がどう書かれているかを読むところから始めるのが現実的です。
有料に移る境目を先に決めておく
無料で始めるなら、有料に移る条件を最初に決めておくと、判断が揺れません。おすすめは次の3つの線です。
・人数が枠の8割に達したとき。10人枠なら8人になった時点で検討を始めます。満杯になってから動くと、誰かを外す判断が先に必要になります ・入れ物を分けたいのに分けられなくなったとき。1つの板に無関係な案件が混ざり始めたら、それは板の数が足りていない合図です ・とりまとめ役が板の外で集計を始めたとき。表計算ソフトに手で写して報告資料を作り始めたら、その時点で板は「見る場所」に格下げされています
3つ目がいちばん重要です。人数も入れ物も枠内なのに、とりまとめ役だけが余計な作業を抱えている状態は、金額では見えません。この人の時間を月に何時間使っているかを数えて、有料プランの月額と比べてください。5人分の月額が1万円弱だとして、とりまとめ役が月に4時間を写す作業に使っているなら、費用の話としてはすでに逆転しています。
各サービスの人数あたりの金額を並べて確認したいときは、料金のページと比較の一覧を先に見ておくと、比較の土台がそろいます。
いま使っている無料プランのままでよい場合
無料のまま続けてよいかどうかは、いま枠に収まっているかだけでは決まりません。1年先も枠の内側にいられる見込みがあるかどうかで決まります。次の条件がすべて当てはまるなら、有料を検討するのはまだ早い段階です。
・人数が枠の半分以下で、増える見込みがない ・板が毎日開かれていて、カードが実際に動いている ・報告資料を板の外で作り直していない ・扱う情報に、契約書や個人情報そのものが含まれていない
道具の入れ替えは、それ自体が数週間の混乱を生みます。枠に余裕がある段階で有料へ動くと、支払いだけが先に始まり、得られるものは枠が広がったという事実しかありません。広い枠は、使い始めるまで何の役にも立ちません。とくに、カードを動かす操作にチームが慣れているという事実は、それだけで大きな価値があります。操作を覚え直させるコストは、月額より高くつくことがあります。
いま使っているサービスの条件と他の選択肢を並べて見たい場合は、Trelloとの比較やBacklogとの比較に、無料の範囲と有料に移ったときの条件がまとめてあります。
無料から有料、あるいは別の道具へ移るときに壊れやすいところ
移すと決めた場合、無料の利用者には有料の契約者と同じ手順が用意されていないことがあります。躓くのは中身の量ではなく、無料という立場そのものに付いてくる制約のほうです。
・書き出しの機能が上位プランに置かれていることがあります。無料の画面から取り出せるのは開いている板だけ、という作りだと、板の数だけ同じ操作を繰り返すことになります ・無料には管理者と一般の利用者を分ける仕組みがないことが多く、移している最中に誰かが列を消しても止められません。移行の期間だけ「触らない」と口頭で頼む以外に手がありません ・招待できる人数が枠で止まるため、新しい道具に全員を入れてから旧い板を止める、という順番が取れないことがあります ・利用をやめたあとにデータを残しておく期間が、無料には設定されていない場合があります。移し終えたつもりで消すと、抜けに気づいたときには戻せません ・問い合わせの窓口が有料の契約者に限られていることがあります。移行の途中で分からないことが出ても、答えを待てません
いちばん効くのは3つ目です。枠が10人しかない道具から別の10人枠の道具へ移るとき、両方に全員を入れて並行して動かす期間は作れません。旧い板を止めた日から全員が新しい板を使う形になるので、切り替える日を1日決めて、その日は誰かが質問に答えられる状態で座っていてください。移す前に、いま板に入っている人の一覧を紙か別の表に書き出しておくことも忘れないでください。無料では利用者の一覧を書き出す機能が付いていないことがあり、招待の記録を追えないまま「誰かが入れなくなっている」という形で漏れが出ます。既存の板からの取り込みについては、Trelloからの移行のページに、どのデータが自動で運べてどこから手作業になるのかが整理されています。
選ぶ順番を決めてしまう
ここまでを踏まえて、無料のカンバンツールを選ぶ順番を整理します。
1つ目、いま何人で使うのか、1年後に何人になりそうかを書き出す。この人数が無料枠に収まらないなら、無料プランの比較そのものが時間の無駄になります。
2つ目、入れ物をいくつ必要とするかを決める。案件ごとに分けるのか、工程で切って札で分けるのか。ここを決めると、板の数の上限が効くかどうかが分かります。
3つ目、板に載せる情報の種類を決める。ファイルを載せるなら容量の上限を、載せないなら気にしなくてよくなります。
4つ目、データを取り出せるかを確認する。CSVかAPIのどちらかで全件が取れるものだけを候補に残します。
5つ目、有料に移ったときの金額を確認する。無料の使い勝手だけで決めると、移るときに選び直すことになります。機能で絞らず、区切るのは人数とボードの数だけという料金の作りなら、必要な画面が上位プランに隠れていないかを毎回確かめる手間が省けます。板とガントとやり取りが同じ場所にそろっているかは、できることのページで確認できます。
無料の板を長く使うために決めておく3つのこと
最後に、無料で始めたあとに続けるための決めごとを挙げます。どれも金額とは関係のない話ですが、これがないと無料でも有料でも板は止まります。
1つ目、依頼はカードを作ってから出す。口頭やチャットだけで頼んだ仕事は板に載らず、板の情報が実態から離れていきます。カードを作らない依頼は受けない、という運用を2週間続けると、板の外にある仕事が急速に減ります。
2つ目、カードは担当者本人が動かす。とりまとめ役が全員分を代わりに動かしている板は、必ず実態から遅れます。動かすのは1操作なので、本人にやってもらう形に変えてください。
3つ目、完了の定義を1行で決める。定義があいまいなまま、完了したカードを自動で書庫へ送る仕組みを組んで片付けようとすると、無料の枠を余計に削ります。Trelloの無料はコマンドの実行が月250回までと公開されているので、条件を絞りきれていない自動処理は毎日その回数を食います。列を「確認待ち」と「確認済み」に分け、確認した人が手で閉じる形にすれば、実行回数を1回も使わずに同じ状態を保てます。
無料か有料かという話は、実は道具選びの本題ではありません。本題は、全員が同じ場所を見て、そこで仕事が決まる状態を作れるかどうかです。契約や運用の細かい条件についてはよくある質問のページにまとまっているので、判断に迷ったところだけ拾い読みしてください。
Q1. 無料で10人まで使えるカンバンツールはありますか?
Trelloの無料プランはワークスペースあたり10コラボレーターまで、Backlogのフリープランは最大10ユーザーまでと公開されています(2026年9月4日時点)。ただしBacklogは2027年1月1日からフリープランのユーザー上限が5名に変更されると告知されています。人数枠は変わるので、契約前に公式ページを確認してください。
Q2. 無料プランで先に当たるのは人数ですか、板の数ですか?
案件ごとに板を分ける運用なら、板の数のほうが先に来ます。monday.comの無料は最大3ボード、Backlogのフリーは1プロジェクトまでです。板を工程で切り、案件はカードのラベルで分ける設計にすると、板を増やさずに案件を増やせます。
Q3. 自分のサーバにオープンソースのツールを入れれば無料ですか?
ライセンス費はかかりませんが、サーバ代、構築の工数、毎月の更新とバックアップの工数が乗ります。情報処理推進機構はサーバ用オープンソースのセキュリティ情報を週1回程度で更新しており、それを追い続ける役割も自分たちで持つことになります。10人規模だと有料プランより高くつくことがあります。
Q4. 有料に移るかどうかは何を見て判断すればよいですか?
人数が枠の8割に達したとき、板を分けたいのに分けられなくなったとき、そしてとりまとめ役が板の外で集計を始めたときの3つを目安にしてください。とくに3つ目は金額に表れませんが、写す作業に月4時間使っているなら、小さなチームの月額はすでに回収できています。