建設の工程表の作り方|総合・月間・週間の3層で組み立てる手順
建設の工程表の作り方を調べる人がぶつかるのは、線の引き方そのものではなく、引いた線が翌週にはもう合っていないという現実です。天候で止まり、資材が遅れ、他の職種と場所が重なる。そのたびに一人が表を引き直し、引き直している間、現場は古い表を見ています。この記事では、工期に関する法令上の決まりを踏まえたうえで、総合工程表から月間、週間へ落とし込む3層の手順、表現形式の選び分け、予備日の置き方、そして更新が止まらない運用の作り方までを順に整理します。
工程表づくりが重いのは、作る作業ではなく直す作業だから
はじめて総合工程表を組むときは、たしかに時間がかかります。ただ、現場が始まってからの負担はそこではありません。着工後に効いてくるのは、変更を反映して配り直す作業のほうです。
雨で2日止まる。躯体の検査が1日ずれる。設備の材料が週明けに変わる。そのたびに表を開いて線を伸ばし、後ろの工程を押し出し、印刷して事務所に貼り、協力会社に送り直す。この一連の作業が週に何度も発生します。作業所の所長や現場代理人が、これを一人で抱えている現場は珍しくありません。
問題は時間だけではありません。配り直しの間、現場は古い版を見ています。職長が持っている紙は先週の版で、事務所に貼ってある紙は今週の版。どちらが正しいかを毎回確認しないと動けない状態は、それ自体が事故と手戻りの原因になります。
だから工程表を組むときは、「どう線を引くか」と同じ重さで「どう直すか」を設計する必要があります。この記事の手順は、その前提で組み立てています。
工期は自由に決められるものではない
作り方の話に入る前に、押さえておかなければならない前提があります。工期は、発注者と受注者が合意すれば何日でもよい、というものではありません。
建設業法には、著しく短い工期を禁じる条文が置かれています。注文者について「その注文した建設工事を施工するために通常必要と認められる期間に比して著しく短い期間を工期とする請負契約を締結してはならない」と定められ、建設業者の側にも同じ趣旨の規定があります。つまり、短い工期は受けるほうも問題になります。
あわせて、工期の考え方をまとめた基準も作られています。国土交通省の案内によれば、令和元年6月の建設業法の改正によって中央建設業審議会が建設工事の工期に関する基準を作成して実施を勧告できることとされ、令和2年7月にその基準が作られました。さらに、令和6年4月から建設業にも罰則付きの時間外労働規制が適用されることを踏まえ、令和6年3月27日に見直しが審議され、同日に実施が勧告されています。同じ案内には、適正な工期設定を通じて長時間労働を是正するとともに週休2日を確保することが、担い手を確保する観点からも極めて重要だと書かれています。
工程表を引く立場からすると、これは「無理な線は引けない」ということです。逆に言えば、根拠のある工程表を作れば、発注者との協議で使える材料になります。線の引き方が、そのまま交渉の材料になる時代になっています。
労働時間の上限が、工程表の前提を変えた
工期の話とあわせて押さえておきたいのが、労働時間の規制です。厚生労働省の案内では、次のように示されています。
建設業では、災害時における復旧及び復興の事業を除き、時間外労働の上限規制が原則どおりに適用されます。 出典: mhlw.go.jp
同じページには、上限規制の中身として、原則は月45時間、年360時間以内であること、臨時的な特別の事情がある場合でも年720時間、単月100時間未満、複数月平均80時間以内であること、そして限度時間を超えて延長できるのは年6か月が限度であることが記載されています。これらの適用は令和6年、つまり2024年4月からです。
工程表の実務でいうと、これは「遅れを残業と休日出勤で吸収する」という従来のやり方が使えなくなったということです。以前は、後ろのほうで多少無理をすれば辻褄が合わせられました。いまはその余白がありません。
だから工程表の作り方そのものを変える必要があります。具体的には、余裕を後ろにまとめて置くのではなく、工程の途中に分散して置く。そして、遅れが出たらその週のうちに気づける仕組みを作る。この2つが、いまの工程表に求められる条件です。法令の解釈や自社の36協定の内容については、所管の労働基準監督署や社会保険労務士に確認してください。
総合、月間、週間の3層で分ける
建設の工程表を1枚で済ませようとすると、必ず破綻します。粒度の違う情報を1枚に載せると、細かすぎて全体が見えないか、粗すぎて現場で使えないかのどちらかになるからです。
実務で機能するのは、3層に分ける形です。
・総合工程表。着工から竣工までの全体。工種の大きな流れと、動かせない日付を示します。更新は月に1回程度 ・月間工程表。1か月分の工種と職種の割り付け。他の職種との取り合いを調整する層です。更新は週に1回 ・週間工程表。1週間分の作業と人数、使う機械。現場が毎日見る層です。更新は毎日
この3層は、それぞれ読む人が違います。総合工程表を毎日見る職長はいませんし、週間工程表を見る発注者もいません。読む人が違うということは、載せる情報も違ってよいということです。1枚にまとめようとする発想を捨てると、工程表づくりはかなり楽になります。
3層に分けるときのこつは、下の層で決めたことを上の層に自動で反映させようとしないことです。週間の1日の遅れを総合工程表に毎回反映していたら、更新が終わりません。総合工程表を直すのは、竣工日や大きな節目が動くときだけにしてください。
総合工程表を組む手順
総合工程表は、次の順番で組むと迷いが少なくなります。
1つ目、動かせない日付を全部書き出す。契約上の竣工日、引き渡し日、検査の日程、近隣への説明会、道路使用の許可期間、電力や上下水道の切り替え日。これらは自社の都合で動かせないので、最初に固定します。
2つ目、後ろから逆算する。竣工日から引いて、検査、是正、清掃、仕上げ、設備、躯体、基礎、山留め、仮設、着工準備の順に並べます。前から積み上げると、たいてい竣工日に届きません。
3つ目、動かせない期間を入れる。コンクリートの養生、塗装の乾燥、材料の製作期間、確認申請や各種の届出にかかる期間。これらは人数を増やしても縮みません。ここを縮めた工程表を出すと、あとで必ず破綻します。
4つ目、季節と天候を織り込む。梅雨、台風、積雪、真夏の高温。外部の作業がその期間に当たるなら、稼働できる日数を減らして見ます。
5つ目、休日を先に引く。週休2日を前提に組んで、それで竣工日に届くかを確認します。届かないなら、その時点で発注者との協議が必要です。届かない工程表を作って、あとから残業で埋めるのは、いまの制度の下では通りません。
この5段階を踏むと、総合工程表は「守れる線」になります。守れる線が引けたら、それが協議の材料にもなります。
月間工程表で職種の取り合いを調整する
建設の工程表で、他の業種と決定的に違うのが職種の取り合いです。同じ場所に同じ日に複数の職種が入ると、作業ができないだけでなく危険です。この調整が月間工程表の役割になります。
月間工程表には、次の情報を載せます。
・その月に入る職種と、それぞれの作業する場所(階、区画、通り) ・各職種の人数の見込み ・使う揚重機械と、その使用時間の割り付け ・搬入の予定と、荷受けの場所 ・検査と立会いの日程
このうち、揚重と搬入の割り付けが実務でいちばん重くなります。クレーンやエレベーターは1台しかないので、複数の職種が同じ日に使いたいと言えば必ず衝突します。月間の段階でここを決めておくと、週間の調整が軽くなります。
調整の場としては、月に一度の工程会議を使うのが一般的です。この会議で決まったことを、その場で表に反映して配れるかどうかが分かれ目になります。持ち帰って作り直すと、配るまでに数日かかり、その間に条件が変わります。
もう1つ、月間工程表で忘れられがちなのが、他の職種の作業が終わらないと始められない仕事の扱いです。前の職種の完了予定日をそのまま次の職種の開始日にすると、1日でもずれた瞬間に連鎖します。引き継ぎに1日の間を置くだけで、連鎖はかなり減ります。
週間工程表と、当日の作業指示
週間工程表は、現場が毎日見る層です。ここが実態から離れると、工程表そのものが信用されなくなります。
週間工程表に載せるのは、次の情報です。
・曜日ごとの作業内容と作業場所 ・各職種の入場人数 ・使う機械と、その時間帯 ・その日に必要な材料と、届く時間 ・危険が重なる作業の組み合わせと、その回避策
作るのは前週の後半、遅くとも金曜までです。月曜の朝に作ると、材料の手配が間に合いません。
更新は毎日発生します。この毎日の更新をどう回すかが、工程表の運用でいちばん難しいところです。事務所の紙を書き換えるだけでは、現場にいる人には伝わりません。逆に、全員に電話やチャットで連絡すると、伝えるほうの負担が大きくなります。
うまくいっている現場に共通しているのは、変更を「1か所にだけ書く」形を作っていることです。書く場所が1つなら、そこを見れば最新が分かります。書く場所が複数あると、どれが最新かを毎回確かめる作業が発生します。紙とチャットとファイルの3か所に同じ情報があるなら、その時点で運用は破綻しています。
4つの表現形式を、どう選び分けるか
工程表の書き方には、大きく4つの形式があります。それぞれ得意なことが違うので、層によって使い分けます。
・横線式(バーチャート、ガントチャート)。作業を縦に並べ、期間を横棒で示します。読みやすく、誰にでも分かるのが利点です。ただし作業どうしの前後関係が線の上に表れないため、1つが遅れたときの影響が読み取れません ・ネットワーク式(アロー型など)。作業を矢印と結節点で表し、前後関係を明示します。どの作業が全体の長さを決めているか、どこに余裕があるかが分かります。ただし読むのに訓練が要るので、現場の全員に配る用途には向きません ・曲線式(出来高の累計を曲線で示すもの)。予定と実績の進み具合を面で比べます。全体が予定より進んでいるか遅れているかを、1本の線で示せます ・グラフ式。作業ごとの出来高の進み具合を折れ線で示します。作業単位の遅れが見えます
実務では、総合工程表はネットワーク式で組んで前後関係を確認し、配る版はバーチャートに書き直す、という組み合わせがよく使われます。月間と週間はバーチャートが中心です。曲線式は、発注者への報告や社内の管理で使います。
大事なのは、形式を1つに決めないことです。読む人と目的が違うのだから、表現も違ってよい。ネットワーク式で検討したうえでバーチャートを配る、という二段構えが、いちばん実態に合います。
予備日をどこに、どれだけ置くか
工程表の余裕をどこに置くかは、遅れたときに効いてきます。置き方には3つの流儀があります。
1つ目は、竣工前にまとめて置く方法です。管理は簡単ですが、途中の遅れが積み上がると最後に一気に食われます。そして最後の余裕が消えたあとは、打つ手がありません。
2つ目は、工種ごとに少しずつ置く方法です。各工種の中に1日か2日の余裕を持たせます。遅れの吸収はしやすいのですが、余裕があると分かると使われてしまう傾向があります。
3つ目は、節目ごとにまとめて置く方法です。躯体完了、設備配管完了、内装着手のような節目の前に、数日の予備をまとめて置きます。この形が、管理のしやすさと吸収力の両方でいちばん扱いやすいところです。
日数の目安は、工期の長さと外部作業の割合で変わります。屋外の作業が多い現場では、雨で止まる日数を実際の気象の記録から見積もる方法があります。過去数年の月別の降水日数を調べて、その月の稼働可能日数を減らす。感覚で「余裕を見て2週間」とするより、根拠のある数字になります。
予備日を置くときにあわせて決めておきたいのが、その予備を誰が使ってよいかです。決めていないと、先に遅れた職種が全部使ってしまい、後ろの職種に何も残りません。予備は現場全体のものであって特定の工種のものではない、という前提を工程会議で共有しておいてください。使うときは代理人の判断を通す、という一手間を入れるだけで、後ろの余裕が守られます。
実績をどう取るかを先に決めておく
工程表は予定を書く道具ですが、予定だけでは管理になりません。実績が並んで初めて、遅れが見えます。ところが実績の取り方を決めないまま始める現場が多くあります。
決めておきたいのは次の4点です。
・誰が記録するか。現場代理人が全部を記録する形は続きません。職長が自分の分を記録する形にできるかを考えます ・いつ記録するか。作業の終わりに記録するのがいちばん正確です。翌日にまとめると、記憶で書くことになります ・何を記録するか。出来高の割合を書かせると、人によって基準が変わります。「どこまで終わったか」を場所で記録するほうが正確です ・どこに記録するか。紙、写真、入力の3つのどれかですが、書く場所は1つに絞ります
実績が取れていると、遅れの原因を後から検証できます。天候で止まったのか、人が足りなかったのか、前の職種が終わらなかったのか。この記録が次の現場の見積もりの精度を上げます。取っていない現場では、毎回同じところで遅れます。
作業の洗い出しで抜けやすいもの
工程表を組むとき、主要な工種は誰でも書き出せます。抜けるのは、その周りにある作業です。抜けたまま線を引くと、着工後にそのぶんの日数が足りなくなります。
抜けやすいのは次のものです。
・仮設の設置と撤去。足場、養生、仮囲い、仮設電気、仮設トイレ。設置に数日、撤去にも数日かかります ・各種の届出と許可。道路使用、道路占用、特定建設作業の届出。申請から下りるまでの期間が読めないと、着手日が動きます ・近隣への説明と、その後の調整。工事の内容によっては、説明の結果で作業時間の制約が付きます ・検査と、その是正。検査に1日、是正に数日、再検査にまた1日。この往復を1日で見積もると必ず遅れます ・墨出しと段取り。作業そのものの前に必要な準備の時間です ・清掃と片付け。工種の切り替えのたびに発生します ・材料の製作期間。既製品ではないものは、発注してから届くまでの期間が長くなります
このうち、届出と材料の製作期間は、自社の努力で縮められない部類です。ここを短く見積もった工程表は、着工の時点ですでに破綻しています。
洗い出しのやり方としては、過去の現場の工程表を1つ開いて、そこにある作業を全部書き写すところから始めるのが早い。ゼロから思い出そうとすると、必ず抜けます。似た規模、似た用途の現場を選んで、そこから足し引きするほうが精度が上がります。
複数の現場を同時に抱えるときの見方
現場代理人が1つの現場だけを担当している会社ばかりではありません。2つ、3つを掛け持ちしている場合、工程表の使い方が変わります。
まず、現場ごとの工程表を横に並べて見る手段が要ります。それぞれのファイルを順番に開いていては、どの現場が危ないのかが分かりません。全部の現場の節目だけを1枚に集めた表を別に作っておくと、判断が早くなります。
次に、人と機械の取り合いを見る必要があります。同じ職種を複数の現場で使っているなら、片方が遅れたときにもう片方の人員が足りなくなります。現場ごとに最適化すると、会社全体では破綻します。
3つ目に、自分の時間の配分です。掛け持ちの現場代理人にとって、いちばん足りないのは移動を含めた自分の時間です。工程表の更新に週に何時間使っているかを一度数えてみてください。3現場でそれぞれ2時間なら週6時間、月にすると24時間です。この時間を減らせるかどうかが、掛け持ちが成立するかどうかを決めます。
減らす方向としては、更新の作業を現場側に分散させるのがいちばん効きます。職長が自分の担当分の状態を更新できる形にすると、代理人は確認するだけで済みます。この形が作れるかどうかは道具に依存するので、選ぶときの条件に入れてください。他のサービスがどこまで対応しているかはBacklogとの比較などのページで、機能と料金の両面から確認できます。
遅れが出たときの手当ての順番
遅れが出たとき、打つ手には順番があります。この順番を決めておくと、判断が早くなります。
1つ目、その遅れが全体の長さに影響するかを確認する。余裕のある作業なら、そのまま進めて構いません。全体の長さを決めている作業なら、次へ進みます。
2つ目、後ろの作業と並べられないかを見る。順番にやる予定だったものを、場所を分けて同時に進める。これがいちばん費用のかからない手当てです。
3つ目、人数か機械を増やす。ただし同じ場所に入れる人数には限りがあります。増やしても効かない作業を見極めてください。
4つ目、作業の順番を入れ替える。後ろの工種を先に持ってくる。段取りの手戻りが出るので、影響を確認したうえで判断します。
5つ目、発注者と協議する。ここまでの4つで届かないなら、工期の延長か範囲の見直しを相談することになります。残業と休日出勤で埋める、という選択肢は、いまの上限規制の下では最後にも置けません。
この順番を工程会議の場で共有しておくと、遅れが出たときの議論が「誰の責任か」ではなく「どの手を打つか」に向きます。
もう1つ、遅れが出たときに必ずやっておきたいのが記録です。何日遅れたのか、原因は何か、どの手を打ったのか。この3つをその場で1行書き残しておくと、後で発注者と協議するときの根拠になります。記憶に頼って後からまとめると、日付が曖昧になって使えません。工程表の余白でも、作業日報の欄でも構いません。書く場所を決めて、その日のうちに書いてください。
表計算ソフトで作るときの限界
多くの現場では、工程表を表計算ソフトで作っています。作れないわけではありませんが、限界がはっきりしています。
・同時に1人しか編集できない。誰かが開いている間、他の人は直せません ・変更が全員に届かない。ファイルを送り直す作業が毎回発生します ・前後関係が式で表現できない。1つ動かすと、後ろを手で押し出すことになります ・実績が入らない。予定の表と実績の表が別のファイルになりがちです ・現場で見づらい。スマートフォンで開くと、横に長い表は読めません
とくに1つ目と2つ目が重い。工程表を引き直している数十分の間、現場は古い版で動いています。そして直したあとに配り直すのを忘れると、古い版がそのまま生き続けます。
これらは表計算ソフトの欠点というより、ファイルという形式の性質です。1つのファイルを複数人で同時に扱う用途に、もともと向いていません。
週間の工程と作業指示を板に移すという選択
総合工程表を表計算ソフトや専用のソフトで作るのは、そのままでよい場合が多くあります。動きが少なく、更新も月に1回だからです。
負担が重いのは、週間の層です。ここを、カードを列に並べる板に移す現場が増えています。作業の1件を1枚のカードにして、「予定」「着手」「完了」「検査待ち」のような列に並べる。担当の職種を割り当てて、期限を入れる。状態が変わったら、その場でカードを動かす。
この形にすると、更新が現場側に分散します。とりまとめ役が全員分を書き写すのではなく、作業した人が自分の分を動かす。配り直す作業もなくなります。全員が同じ画面を見ているので、最新がどれかを確かめる手間も消えます。
移すときの注意点は3つです。1つ目、板に載せるのは週間の層だけにすること。総合工程表まで載せると、カードの枚数が数百枚になって見られなくなります。2つ目、図面や写真をカードに直接ぶら下げないこと。既存のファイル共有に置いて、カードには場所だけを書きます。3つ目、協力会社の人が使えるかを先に確かめること。スマートフォンから開けて、日本語で、迷わない画面であることが条件です。
板と、期限を横棒で並べる工程表の両方を同じ場所で扱えるかどうかは、道具を選ぶときの分かれ目になります。何ができるかはできることのページで、板と工程表とやり取りが1か所にそろっているかを確認できます。
協力会社に見てもらうために必要なこと
工程表は、社内だけで完結しません。協力会社の職長に見てもらえなければ、現場は動きません。ここでつまずく現場が多くあります。
まず、見る側の負担を下げてください。専用のソフトを入れてもらう、アカウントを作ってもらう、操作を覚えてもらう。この3つが揃うと、たいてい定着しません。ブラウザで開けて、スマートフォンで読めて、覚えることが少ないものを選んでください。
次に、見せる範囲を決めます。他の職種の単価や社内のやり取りが同じ画面にあると、共有できません。社外の人を特定の場所だけに入れられる仕組みがあるかを確認してください。無料のプランでは使えない場合があります。
3つ目に、書いてもらうことを絞ります。最初から全部を入力してもらおうとすると続きません。「今日の作業が終わったらカードを動かす」の1つだけから始めて、慣れてきたら増やす。この段階を踏むほうが定着します。
なお、社外と共有する道具を選ぶときは、データの保存場所や権限の分け方を社内の管理部門に説明する必要が出てきます。各サービスの安全性の考え方のページに、その説明に使える情報がどこまで公開されているかが分かります。あわせて、他のサービスの条件は比較の一覧と料金のページで並べて確認できます。
工程表を書類から道具に変える
最後に、工程表づくりで押さえておきたい考え方を1つ挙げます。工程表は、提出するための書類ではなく、現場を動かすための道具です。
書類として作ると、きれいに作ることが目的になります。線がそろっていて、印刷して見栄えがよい。けれど着工後は誰も直さない。この工程表は、契約の資料としては役に立ちますが、現場の管理には使えません。
道具として作ると、直しやすさが最優先になります。多少不格好でも、その日のうちに直せて、全員がすぐ見られる。この形にすると、工程表が現場の判断の拠り所になります。
その前提で見ると、道具に求める条件は単純です。全員が同じものを見られるか。担当者本人が直せるか。スマートフォンから開けるか。この3つです。機能で絞らず、区切るのは人数とボードの数だけという料金の作りなら、必要な画面が上位プランに隠れていないかを確かめる手間もありません。既存の板からの取り込みはTrelloからの移行、契約や運用の細かい条件はよくある質問のページに整理されています。
Q1. 建設の工程表はバーチャートとネットワーク式のどちらで作るべきですか?
用途で使い分けてください。前後関係とどこに余裕があるかを検討する段階ではネットワーク式が向いており、現場や協力会社に配る版はバーチャートのほうが読まれます。総合工程表をネットワーク式で検討し、配る版をバーチャートに書き直す二段構えが実務では扱いやすい形です。
Q2. 工程表は何層に分けて作ればよいですか?
総合、月間、週間の3層が基本です。総合は着工から竣工までの全体で更新は月1回程度、月間は職種の取り合いと揚重の割り付けで週1回、週間は現場が毎日見る層で毎日更新します。1枚にまとめると、細かすぎるか粗すぎるかのどちらかになります。
Q3. 予備日はどこに置くのがよいですか?
節目の前にまとめて置く形が扱いやすいところです。躯体完了、設備配管完了、内装着手といった節目の前に数日を置きます。竣工前にまとめると途中の遅れで食い尽くされ、工種ごとに散らすと余裕があるぶん使われてしまう傾向があります。
Q4. 工程表を直しても現場に伝わりません。どうすればよいですか?
変更を書く場所を1つに絞ってください。紙とチャットとファイルの3か所に同じ情報があると、どれが最新かを毎回確かめる作業が発生します。週間の層を全員が同じ画面で見られる形に移し、作業した本人が状態を更新する運用にすると、配り直す作業そのものがなくなります。