工程表の作り方をエクセルで|列の設計から更新の続け方まで
工程表の作り方をエクセルで調べる人が本当に困っているのは、線の引き方ではありません。引いたあとに更新が続かないことです。作るだけなら半日で終わります。問題は、案件が動くたびに誰かが引き直す作業が発生し、それが数週間で止まることにあります。この記事では、手を動かす前に決めるべきことから始めて、列の設計、横棒の描き方、印刷と共有の注意点までを順に並べ、あわせて表計算で持ちこたえる範囲がどこまでかを整理します。
工程表をエクセルで作る人が置かれている状況
工程表が必要になる場面は、大きく3つに分かれます。社内の関係者に段取りを共有したい。取引先に日程を提出したい。作業の遅れを早めに見つけたい。この3つは、求められる精度も更新の頻度も違います。
取引先へ提出するだけなら、月に1度きれいな図を出せば足ります。この用途なら表計算は最適に近い道具です。書式が自由に作れて、印刷の体裁も整えられて、相手も同じ形式を開けます。
社内で遅れを見つけたい場合は話が変わります。日々の変化を反映しないと意味がないので、更新の頻度が上がります。ここで表計算は苦しくなります。1人が開いている間、他の人は編集できない。誰かが行を挿入すると、他の人の見ている位置がずれる。更新の担当を1人に固定すると、その人の作業量が上限を決めてしまいます。
現場でよく聞くのは、「最初の1か月は毎日直していたのに、いつの間にか誰も見なくなった」という話です。工程表は引いた瞬間がいちばん正確で、そこから毎日ずれていきます。ずれを直す作業が週に2時間を超えたあたりから、更新が止まります。作り方の話に入る前に、この構造を頭に入れておいてください。
作り始める前に決める4つのこと
いきなりセルを塗り始めると、あとで全部作り直すことになります。先に4つ決めてください。
1つめは、期間の単位です。日単位か、週単位か、月単位か。3か月の工事を日単位で並べると、列が90本を超えて画面に収まりません。逆に、2週間の制作を月単位にしても何も見えません。期間の全体が画面1枚か、印刷1枚に収まる単位を選ぶのが基準です。
2つめは、作業の粒度です。1行を何日分にするかを揃えないと、表が読めなくなります。ある行が1日で、別の行が2か月だと、全体の進み具合が判断できません。目安として、1行は最長でも5営業日までにする、という基準を先に決めておくと、後から揃え直す手間が消えます。
3つめは、誰が更新するかです。取りまとめ役が1人で全部直すのか、担当者が自分の行だけ直すのか。表計算で後者を選ぶと、同時編集の条件を確認しておく必要があります。ここは後の節で扱います。
4つめは、更新のタイミングです。毎日直すのか、週に1度まとめて直すのか。決めておかないと、見る人は「この表がいつ時点のものか」を判断できません。週に1度と決めたなら、表の目立つ場所に更新日を必ず出してください。それだけで読み手の不安がかなり減ります。
列の設計を先に固める
工程表の土台は左側の列です。ここを適当に作ると、後から並べ替えも集計もできません。最低限、次の項目を持たせてください。
・作業名。何をするのかを短く書きます。長くしすぎると印刷で切れます ・担当者。名前を直接書くより、別シートに一覧を作ってプルダウンで選ばせます ・開始日と終了日。日付として入れます。文字列で入れると計算できません ・日数。終了日から開始日を引いて計算します。手で入れないでください ・進捗。パーセントか、未着手と進行中と完了の3段階かを先に決めます ・備考。使わないなら作らないでください
大事なのは、開始日と終了日を必ず2つ持つことです。締切の1日しか持っていないデータからは、期間を復元できません。将来この表を別の道具に移すときにも、日付が2つあるかどうかで手間がまったく違います。
担当者をプルダウンにする理由も書いておきます。自由記述にすると、同じ人が「山田」「山田さん」「山田 太郎」の3通りに増えます。人ごとの負荷を見たいときに、名寄せの作業が発生します。30行程度なら手で直せますが、300行になると1時間仕事です。
日数を計算式にするのも同じ理由です。手で入れた数字は、日付を直したときに直し忘れます。直し忘れた数字は、次の見積もりで参照されます。計算できるものは必ず計算させてください。
条件付き書式で横棒を描く手順
工程表の見た目を作る方法はいくつかありますが、更新の手間がいちばん少ないのは条件付き書式です。日付を直せば棒が自動で動くので、塗り直す作業がありません。
まず、右側に日付の見出しを1行作ります。開始日を1つ入れて、その右のセルに「左のセルに1を足す」という式を入れ、必要な列数まで横に引っ張ります。これで日付が自動で並びます。表示形式を変えれば、日だけを表示したり、曜日を出したりできます。
次に、日付の下の範囲をすべて選択した状態で、条件付き書式の新しいルールを開きます。数式を使って書式設定するセルを決定する、を選びます。
数式の考え方はこうです。AND関数で条件を2つ並べます。1つめは、その列の日付が、その行の開始日以上であること。2つめは、その列の日付が、その行の終了日以下であること。両方を満たすセルだけを塗る、という指定です。
ここで大事なのが、参照の固定です。行の開始日と終了日は列を固定します。日付の見出しは行を固定します。この固定を間違えると、棒が斜めにずれたり、1行目だけ正しく他が塗られなかったりします。うまくいかないときは、まず参照の固定を疑ってください。原因の大半はここです。
塗りの色は、薄めの1色から始めるのが無難です。行数が増えたときに、濃い色が並ぶと画面が読めなくなります。担当者ごとに色を変えたくなりますが、色が5色を超えると、どの色が誰かを覚えられません。担当者は左の列で読ませ、色は状態を表すのに使うほうが読みやすくなります。
土日と祝日を分かりやすくする
工程表で見落としが起きるのは、たいてい休みの扱いです。日曜をまたぐ5営業日を、暦の5日と勘違いする。この事故は必ず起きます。
土日を色分けするのは条件付き書式で対応できます。日付の見出しの曜日を判定して、土曜と日曜に薄い色を敷きます。この1手間で、期間の読み違えがかなり減ります。
祝日は別シートに一覧を持たせて、その一覧に含まれるかどうかで判定します。祝日の一覧は年ごとに更新が必要です。年末に更新する担当を決めておかないと、翌年の1月に表が狂います。
日数の計算も、暦の日数と営業日数を分けて持つと安全です。関数を使えば、土日と指定した休日を除いた日数を出せます。取引先に提出する表では暦の日数を、社内の負荷を見る表では営業日数を使う、といった使い分けができます。
会社ごとの独自の休みも忘れないでください。夏季休業や年末年始の休みを一覧に入れておかないと、そこに作業を割り当てた工程表ができあがります。取引先の休みが自社と違う業種では、相手側の休業日も一覧に持たせておくと、確認や承認の待ち時間を見込んだ日程が引けます。
月をまたぐ表では、月の区切りに縦線を入れておくのも効きます。日付だけが横に並ぶ表は、どこで月が変わったのかが読み取りにくい。区切りが見えるだけで、「来月に入る作業」の把握が速くなります。
行と列を固定して見やすさを保つ
工程表は、右へ伸びるほど左の作業名が見えなくなります。この対策を先に入れておかないと、使いにくさが更新の停止につながります。
まず、ウィンドウ枠の固定を設定してください。作業名と担当者の列、そして日付の見出し行を固定すれば、どこまでスクロールしても何の作業かが分かります。この設定を入れていない工程表は、それだけで使われなくなります。
次に、列の幅を詰めます。日付の列は、日にちの数字が入るだけの幅で足ります。既定の幅のままだと、2週間分で画面が埋まります。幅を半分にすれば1か月が入ります。
拡大率を下げるのもひとつの手ですが、下げすぎると文字が読めません。80%あたりが実用の下限です。それ以上詰めたいなら、期間の単位を日から週に切り替えるほうが読みやすくなります。
そして、行の高さは揃えてください。1行だけ高い行があると、印刷したときに間延びして見えます。作業名が長い場合は、折り返して全体を表示するより、名前を短くするほうが結果的に読みやすくなります。
進捗と実績を重ねて見せる
予定の棒だけの工程表は、遅れているかどうかが分かりません。実績を重ねて初めて、判断の材料になります。
もっとも簡単なのは、行を2段にする方法です。上段が予定、下段が実績。実績には実際の開始日と終了日を入れ、条件付き書式を同じ考え方で当てます。行数は倍になりますが、ずれが目で見て分かります。
もう少し軽くしたいなら、進捗の割合で棒の一部だけ色を変える方法があります。開始日から進捗の割合の分だけ色を濃くする、という条件を足します。実装は少し複雑になりますが、行数は増えません。
今日の位置を示す縦線も入れておくと便利です。今日の日付と一致する列に、条件付き書式で目立つ色を敷きます。この1本があるだけで、「いま何が遅れているか」が一目で分かります。
そして、進捗の入力は担当者にしてもらうのが原則です。取りまとめ役が聞いて回って入れる構成にすると、その作業が毎週発生します。入力する人が増えないと、進捗の表はすぐ嘘になります。嘘になった表は誰も見なくなり、そこから先は形だけが残ります。
グラフの機能で作る方法との違い
条件付き書式のほかに、グラフの機能で横棒の図を作る方法もあります。公式のサポートページには、こう書かれています。
Excel には事前定義されたガント チャートの種類はありませんが、次のように、タスクの開始日と終了日を表示するように積み上げ横棒グラフをカスタマイズすることで、ガント チャートをシミュレートできます。 出典: support.microsoft.com
同じページには、無料のガントチャートのテンプレートを使う方法も案内されています。適用される版として、Excel for Microsoft 365、Excel 2024、Excel 2021、Excel 2019、Excel 2016などが挙げられています。
2つの方法の違いは、はっきりしています。条件付き書式は、表そのものに色が付くので、行を追加すればそのまま伸びます。更新が楽です。グラフは、表とは別の図として置かれるので、体裁を整えやすく、資料に貼りやすい。ただし行を追加したときに、グラフの参照範囲を広げる作業が要ります。
社内で毎日見る表なら条件付き書式、取引先に月1回出す資料ならグラフ。この使い分けが実務的です。両方を1つのファイルに持たせることもできますが、表と図がずれる事故が起きやすいので、どちらかに寄せるほうが安全です。
テンプレートから始めるか、白紙から作るか
ゼロから作らずに、配布されているひな型を使う道もあります。どちらを選ぶかは、作業の種類が決まっているかどうかで判断してください。
ひな型が向くのは、業界の中で工程の並びがほぼ決まっている仕事です。建築、印刷、イベントの設営など、順番が動かない工程が並ぶ業種では、先人の作った形をそのまま使うほうが早く、抜けも少なくなります。公式のサポートページからも無料のガントチャートのテンプレートが案内されています。
一方、案件ごとに工程がまったく違う仕事では、ひな型がかえって邪魔になります。使わない行を消し、足りない行を挿入し、書式を直す。この作業を毎回やるくらいなら、自社の最小限の型を1枚だけ作って、それを複製するほうが速く終わります。
自社の型を作るときのコツは、行を欲張らないことです。よくあるのは、あらゆる案件に対応できるようにと80行のひな型を作ってしまう例です。実際の案件で使うのは20行ほどなので、毎回60行を消す作業が発生します。型は最小限にして、足りない分は都度足す。この向きのほうが手数が少なくなります。
そして、型のファイルは編集できないようにしておいてください。誰かが型そのものを直してしまうと、次に複製した人が別の形の表を作ることになります。原本は読み取り専用にして、複製して使う運用にします。
誰が更新するかで作り方を変える
同じ工程表でも、更新する人の数によって作り方は変わります。ここを分けずに作ると、後から必ず苦しくなります。
1人で更新する前提なら、書式を作り込んでかまいません。関数を複雑にしても、作った本人が分かっていれば動きます。むしろ、自分に都合のよい形へ寄せたほうが速く回ります。列を隠す、色で意味を持たせる、といった工夫も自由です。
複数人で更新する前提なら、逆に作り込みを減らしてください。他人が触るものは、必ず壊れます。関数を入れたセルには保護をかけ、入力してよいセルだけを開けます。プルダウンで選ばせられる項目は、すべてプルダウンにします。自由に文字が打てる場所を減らすほど、表の寿命は延びます。
行の挿入と削除の扱いも決めてください。誰かが行を挿入すると、他の人の見ている位置がずれます。条件付き書式の適用範囲も崩れることがあります。行の追加は取りまとめ役だけが行い、担当者は既存の行の日付と進捗だけを直す。この分担にしておくと、事故がかなり減ります。
そして、変更したら一言残す欄を作ってください。日付と名前と変更内容を1行書くだけでよい。この欄があるだけで、「誰がいつ動かしたのか」を追えるようになります。
印刷とPDFで渡すときに詰まるところ
工程表は最終的に紙かPDFで渡されることが多い書類です。画面で作り込んだあとに印刷で崩れる、という事故を防ぐ方法を挙げます。
まず、印刷範囲を先に決めてください。日付の列を伸ばしすぎると、横に3ページに割れます。用紙をA3の横向きにして、拡大縮小を「すべての列を1ページに印刷」にするのが基本の設定です。
次に、タイトル行の繰り返しを設定します。縦に長い表は複数ページになりますが、2ページ目に日付の見出しがないと読めません。印刷タイトルで見出し行を指定しておけば、全ページに出ます。
改ページの位置も確認してください。工程の区切りの途中でページが変わると、読み手が混乱します。改ページプレビューで、区切りのよい場所に線を動かします。
そして、渡す前に必ず更新日を入れてください。工程表は渡した瞬間から古くなります。日付のない工程表を受け取った側は、それが最新かどうかを判断できません。相手が古い図を見て動いてしまう事故は、この1行で防げます。
同時に編集したいときの条件
担当者それぞれに自分の行を更新してもらう構成にするなら、同時編集の条件を確認しておく必要があります。公式のサポートページには、共同編集にはMicrosoft 365のサブスクリプションが必要であることが記載されています。
あわせて、最新版のExcelがインストールされている必要があること、サブスクリプションのアカウントでサインインしている必要があること、ブックは.xlsx、.xlsm、または.xlsbの形式である必要があることが挙げられています。この形式でないファイルは、コピーを保存して形式を変えるよう案内されています。
ファイルの置き場所にも条件があります。OneDrive、OneDrive for Business、またはSharePoint Onlineのライブラリにアップロードするか、そこで新しいブックを作る必要があると書かれています。自社で立てたSharePointのサイト、つまりMicrosoftがホストしていないサイトでは共同編集はサポートされない、という注記もあります。
この条件を満たしていないと、ファイルを開いた人が読み取り専用になったり、後から開いた人の編集が別ファイルとして保存されたりします。全員が同じ表を直す運用を組む前に、ここは必ず確かめてください。
作った工程表を続けるための小さな工夫
作ることより、続けることのほうが難しい書類です。手間を減らすための細かい工夫をいくつか挙げます。
まず、更新の日を曜日で固定してください。毎週金曜の午後、といった形にすると、担当者の側も予定に組み込めます。「気づいたときに直す」という運用は必ず溜まります。溜まった表は正確さを失い、正確さを失った表は見られなくなります。
次に、変更のあった行だけを目立たせる仕組みを入れます。前回の更新日より後に触った行に色を付けるだけで、読む側は差分だけを見れば済みます。全部を読み直させる表は、読まれません。
終わった作業を隠す仕組みも有効です。完了の行をフィルタで非表示にすれば、画面に残るのは動いている作業だけになります。200行の表でも、進行中が30行なら読めます。ただし、フィルタの状態は他の人にも影響することがあるので、共有して使うファイルでは個人単位の表示機能を使うか、集計用のシートを別に持つほうが安全です。
最後に、月に1度は不要な行を消す時間を取ってください。終わった案件、なくなった工程、使わなくなった列。放置すると、ファイルは重くなり、開くのが億劫になります。開くのが億劫な表は、それだけで更新が止まります。
エクセルの工程表が壊れるところ
表計算で工程表を持つ限界を、具体的な数字で挙げておきます。切り替えの判断に使ってください。
1つめは、更新する人の数です。3人までなら声をかけ合って回ります。10人になると、誰かが開いている時間が長くなり、順番待ちが発生します。この待ち時間が、更新が止まる最初のきっかけになります。
2つめは、案件の数です。1つの案件を1シートで持つ運用は10件あたりで限界が来ます。案件をまたいで「今週誰が詰まっているか」を見たくなったとき、10枚のシートを開いて突き合わせる作業が発生するからです。
3つめは、変更の連鎖です。1本の作業を3日後ろへ動かしたとき、後ろに続く作業も一緒に動かす必要があります。表計算では、この連鎖を手で直します。行数が50を超えると、直し漏れが必ず出ます。
4つめは、履歴です。先週の工程表と今週の工程表で何が変わったのかを、後から説明できません。版を分けて保存する運用にしても、比べる作業は人がやることになります。取引先から「いつ変更したのか」を問われる仕事では、この点が効いてきます。
5つめは、ファイルの散らばりです。メールに添付して配る運用を始めると、最新版がどれかが分からなくなります。受け取った人が自分の手元で直して送り返してくると、そこから枝分かれが始まります。共有の置き場所を1つ決めて、そこだけを正とする取り決めが要ります。
いまのままでよい場合を先に置く
表計算をやめるべきだ、と言いたいわけではありません。次に当てはまるなら、変える理由はありません。
工程表を月に1度、取引先に提出するために作っている場合。求められているのは決まった書式の書類であって、日々の更新ではありません。書式の自由度では表計算が有利です。
更新する人が1人か2人で、案件も5件以下の場合も同じです。声をかければ済む規模で仕組みを増やすと、覚えることだけが増えます。
社内の他の書類がすべて表計算で作られていて、担当者が関数に慣れている場合も有利です。新しい画面を1つ増やすだけで、覚えることは想像以上に増えます。
取引先から書式を指定されている場合も、変える余地はありません。指定された形の表を別の道具から書き出して、結局は表計算に貼り直すことになります。貼り直す工程が増えるだけなら、最初から表計算で完結させたほうが速く終わります。
こちらの側の限界も書いておきます。ボード型のタスク管理は、書式を自由に整えて印刷する道具ではありません。決まったレイアウトの帳票を作るなら、表計算のほうが向いています。自動化や外部サービスとの連携を作り込みたい場合も、そこを主戦場にしている道具のほうが適しています。画面は日本語のみで、自動で取り込めるのはTrelloからの経路だけです。
問い合わせとして届く内容から見えていること
工程管理の相談を並べると、表計算から始めた人には共通の流れがあります。最初は1枚のシートで足り、次に案件ごとにシートを分け、最後に「今週誰が詰まっているか」を見るための集約シートを作ろうとして行き詰まる。この順番はほとんど変わりません。
行き詰まる理由は、表計算が1枚の紙を模した道具だからです。同じデータを別の切り口で見る、という使い方に向いていません。案件ごとに見る表と、人ごとに見る表を両方作ると、片方を直したときにもう片方が古くなります。二重管理は、始めた翌週から破綻します。
もうひとつ見えているのは、切り替えを検討する引き金が「見た目の不満」ではないことです。ほとんどの場合、引き金は更新の担当者が疲れたことです。作った人が異動する、あるいは案件が増えて手が回らなくなる。このときに初めて、入力を分散できる仕組みが必要だと気づきます。
道具を比べるときは、機能表の丸の数ではなく、入力する人の操作が何回減るかで見てください。同じデータをカンバンとガントで切り替えられるか、その切り替えが何回の操作で済むか。この観点で各サービスを軸ごとに並べたものが比較の一覧にあります。付箋のような使い方から移る場合はTrelloとの比較、自動化と外部連携を重く見るならAsanaとの比較、文書とタスクを近い場所で扱いたいならNotionとの比較が判断の材料になります。複数案件の一覧を重視するならmonday.comとの比較、開発の課題管理と一緒に回したいならBacklogとの比較、国産のカンバン型と並べたいならJootoとの比較を見てください。
料金の考え方は料金に書いてあります。道具によっては機能で絞らず、区切るのは人数とボードの数だけという組み立て方をしていて、その場合は必要な機能が下位プランで使えないという事態が起きません。画面で何ができるのかはできることに、社外の人を含めて使うときの考え方は安全性の考え方に整理してあります。実際にデータを移すときの手順はTrelloからの移行に、導入前によく出る疑問はよくある質問にまとめてあります。
最後に順番だけ整理します。まず、その工程表を毎日更新する必要があるかを決める。必要ないなら表計算で十分です。必要なら、更新する人が何人になるかを数える。3人を超えるなら、入力を分散できる仕組みを検討する。この順で見れば、作ったのに使われない表を毎年作り直す事態は避けられます。
Q1. エクセルで工程表を作るとき、最初に何を決めればよいですか?
期間の単位、作業の粒度、更新する人、更新のタイミングの4つです。とくに粒度は重要で、1行を最長でも5営業日までにする、といった基準を先に決めておくと、後から揃え直す手間が消えます。この4つが決まっていないままセルを塗り始めると、たいてい作り直しになります。
Q2. 横棒はどうやって描くのがよいですか?
条件付き書式が更新の手間がいちばん少ない方法です。日付の見出しを1行作り、AND関数で「その列の日付が開始日以上」かつ「終了日以下」という条件を書いてセルを塗ります。日付を直せば棒が自動で動くので、塗り直す作業が発生しません。参照の固定を間違えると棒がずれるので、そこだけ注意してください。
Q3. グラフで作る方法と条件付き書式はどちらがよいですか?
社内で毎日見る表なら条件付き書式、取引先へ月1回出す資料ならグラフが向きます。公式サポートには、Excelには事前定義されたガントチャートの種類はないが、積み上げ横棒グラフをカスタマイズすればシミュレートできると記載されています。グラフは行を追加したときに参照範囲を広げる作業が要ります。
Q4. 複数人で同時に更新できますか?
公式サポートには、共同編集にはMicrosoft 365のサブスクリプションが必要で、ブックは.xlsx、.xlsm、.xlsbのいずれかの形式である必要があり、OneDriveやOneDrive for Business、SharePoint Onlineのライブラリに置く必要があると記載されています。自社で立てたSharePointのサイトでは共同編集はサポートされないとも書かれています。