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工程表の作り方をスマホで完結させる|現場から更新できる形にする

2026年9月7日 ・ Pinateca編集部

「工程表 作り方 スマホ」で検索する人には、2つの立場があります。パソコンを開く時間がなく、移動中に工程表そのものを作りたい人と、自分はパソコンで作るが現場の人にスマートフォンから更新してもらいたい人です。この2つは必要なものがまったく違います。この記事では、スマートフォンだけで工程表を作れる範囲、機種によって違う制約、狭い画面で読める形の作り方、そして現場から更新が返ってくるようにするための決め方を、順番に扱います。

工程表をスマホで扱いたいという要望が出てくる背景

工程表をスマートフォンで扱う話は、以前なら例外的な要望でした。それが当たり前の要望になったのは、端末の普及の仕方が変わったからです。

総務省の情報通信白書には、世帯保有率の推移が整理されています。

2024年の情報通信機器の世帯保有率は、「モバイル端末全体」で97.0%であり、その内数である「スマートフォン」は90.5%である。また、パソコンは66.4%となっている 出典: soumu.go.jp

スマートフォンとパソコンの間に、これだけの差があります。工程表を配る相手のうち、全員がパソコンを日常的に使っているとは限りません。現場に出ている人、外回りをしている人、複数の場所を移動している人にとって、手元にあるのはスマートフォンだけです。

世帯を単位にした数字なので、そのまま職場に当てはめられるわけではありません。それでも、手元にある端末がスマートフォンだけという人が一定数いることは、この数字から読み取れます。全員がパソコンを持つ前提で業務の道具を選ぶと、持っていない人が業務の外に置かれます。工程表は現場の人が主役の資料なので、この影響を最も受けやすい種類の資料でもあります。

この差は、工程表の運用そのものを変えます。パソコンでしか触れない工程表は、パソコンの前にいる人だけが更新することになります。更新する人が1人に固定されると、その人が忙しい週は表が古いままになります。現場では、更新できる人が1人だけの表は2週間ほどで実態からずれ始めると言われています。

もうひとつ、報告の手間の問題があります。現場の人が進捗を伝える手段が電話やチャットしかないと、受けた側が工程表に転記することになります。転記は必ず遅れますし、抜けます。10人から報告が来る現場なら、転記だけで毎日30分は消えます。スマートフォンから直接触れる形にしたい理由の多くは、この転記を無くしたいという事情から来ています。

スマホの表計算アプリで、工程表はどこまで作れるか

まず、スマートフォンだけで工程表を作れるかどうかを、機能ごとに確かめます。表計算アプリを使う前提で見ていきます。

行を追加して文字を打つ、日付を入れる、列幅を変えるといった基本の編集は、スマートフォンのアプリでもできます。ここまでは問題ありません。詰まるのは、バーを描く仕組みである条件付き書式です。

Googleスプレッドシートの場合、条件付き書式の扱いは端末によって違います。Androidのスマートフォンやタブレットでは、範囲を選んで書式設定から条件付き書式を開き、ルールを作れます。カスタム数式も設定できます。一方、iPhoneとiPadについては、公式のヘルプに次の記載があります。

iPhone や iPad で条件付き書式ルールを表示することはできますが、編集はできません。 出典: support.google.com

つまり、iPhoneだけで工程表をゼロから作ろうとすると、バーを描く仕組みが作れません。表示はされるので、パソコンやAndroid端末で作った工程表を開いて見ることはできます。作るのと見るのは別だ、という前提をここで押さえておく必要があります。

Excelでマクロを使って工程表を自動生成している場合は、さらに制約があります。Microsoftの開発者向け資料では、VBAマクロが使えるのはWindows版のExcelとMac版のExcelであり、iOS版のExcelとブラウザで動くExcelでは使えないと整理されています。マクロのボタンは、スマートフォンからは押せません。

この2つを合わせると、スマートフォンだけで工程表を作る方法は、次のように絞られます。Android端末なら表計算アプリで一通り作れます。iPhoneなら、バーの描画を伴う工程表を新規に作るのは難しく、既にある表への文字と日付の入力に限られます。

画面が狭いという前提で、表の形を決め直す

機能の制約を越えたとしても、もうひとつの壁があります。画面の幅です。

工程表は横に長い表です。パソコンの画面なら、左に作業名と担当を置いて、右に3か月分の目盛りを並べても読めます。スマートフォンの画面で同じことをすると、横に映るのは5日分ほどです。左の作業名を固定すれば、映る日数はさらに減ります。

縦持ちと横持ちの違いもあります。横に持てば表示できる日数は増えますが、縦に映る行数が半分になります。工程表は縦にも横にも広がる表なので、どちらに持っても足りません。パソコンの画面で当たり前にできていた「全体を眺めて、気になる箇所に目を移す」という読み方が、スマートフォンでは成立しないと考えたほうがよいです。

この前提でできる工夫は4つあります。

1つ目は、目盛りを週単位にすることです。日単位で90列ある表は、スマートフォンでは全体像が絶対に見えません。週単位なら13列で3か月を表せるので、横スクロール1回で端まで届きます。スマートフォンから見られる前提で作るなら、週単位が事実上の唯一の選択です。

2つ目は、左に固定する列を1つにすることです。作業名だけを残し、担当は工程表の外に出すか、作業名の中に含めます。「基礎工事(山田)」のように書けば、1列で足ります。列を1つ減らすだけで、バーを描ける幅が2割ほど広がります。

3つ目は、文字の大きさを落とさないことです。パソコンでは列幅を詰めるために文字を小さくしがちですが、スマートフォンで同じ表を開くと読めません。作業名は12文字ほどに収めて、文字の大きさは落とさないほうが結果的に読めます。長い作業名は、短く言い換えるか分割してください。

4つ目は、行を絞ることです。30行ある工程表をスマートフォンで開くと、縦にも横にもスクロールすることになり、自分の位置を見失います。担当者ごとや工区ごとにシートを分けて、1枚あたり10行程度にすると読めるようになります。

ただし、この4つをやっても、表計算の工程表がスマートフォンで快適になることはありません。表計算はもともと広い画面を前提に作られた道具です。狭い画面に合わせるほど、パソコンで見たときの情報量が落ちます。両方で使える形を探すと、どちらでも中途半端になる、というのが実際のところです。

割り切るなら、スマートフォン用に別のシートを1枚持つ方法もあります。元の工程表から今週分だけを関数で抜き出し、作業名と状態の2列だけを縦に並べたシートです。バーは描かず、今週やることの一覧として見せます。工程表としての体裁は失いますが、現場の人が知りたいのは今週の自分の分だけなので、実用上はこれで足りることが多いです。

スマホで作る場合の、具体的な手順

Android端末で表計算アプリを使い、ゼロから工程表を作る場合の手順を書いておきます。パソコンで作る場合と考え方は同じですが、操作の順番を変えると手戻りが減ります。

先にパソコンで骨組みだけ作れるなら、そうしてください。列の構成、日付の見出し、条件付き書式の3つを済ませておけば、あとはスマートフォンから行を足すだけになります。全部をスマートフォンでやる必要は、たいていの場合ありません。移動中にやりたいのは、たいてい行の追加と状態の更新です。

どうしてもスマートフォンだけで作るなら、次の順番で進めます。まず新しいシートを作り、A列に作業名、B列に開始日、C列に終了日、D列に状態の4列だけを置きます。スマートフォンの画面で扱える列数は限られるので、担当や備考は最初は作りません。あとで必要になったら足せます。

次にE列以降へ日付の見出しを入れます。E1に最初の週の月曜日を入れ、F1に「=E1+7」と入力して右にコピーします。13列ぶんコピーすれば3か月になります。表示形式は「m/d」にして、列幅をできるだけ狭くします。スマートフォンでは列幅の調整がしづらいので、この作業だけは腰を据えてやる必要があります。

続いてE2から右下までを範囲に選び、書式設定から条件付き書式を開いて、カスタム数式に「=AND($B2<=E$1, $C2>=E$1)」と入力して背景色を指定します。ドル記号の位置がずれると、右に行くほど塗る場所がずれます。スマートフォンの狭い入力欄で数式を打つのは骨が折れるので、あらかじめメモアプリに数式を書いておいて貼り付けるほうが確実です。

最後にD列の状態に入力規則を設定し、未着手、進行中、完了、保留の4つから選べるようにします。自由入力のままだと、スマートフォンの予測変換で表記が揺れます。「進行中」「進行中です」「進行」が混ざると、絞り込みが効かなくなります。プルダウンにしておけば、この揺れは起きません。

見る専用と、触れる形は分けて考える

ここで、目的を分けて考える必要があります。スマートフォンでやりたいことは、たいてい次の3つのどれかです。

工程表を見たいだけなら、表計算のままでも足ります。共有リンクを開けば表示はできますし、iPhoneでも条件付き書式で描かれたバーは見えます。ファイルをPDFに書き出して配る方法もあり、この場合は端末を選びません。見るだけなら、道具を変える理由はありません。

自分の担当分の状態を更新したいなら、話が変わります。表計算のセルをスマートフォンで正確にタップするのは、実際にやってみると難しい操作です。隣の行を選んでしまう、狭いセルに指が届かない、入力中に画面がスクロールする、といったことが繰り返し起きます。更新してほしい相手にこの操作を求めると、報告は結局チャットに戻ります。

この違いは、導入を検討するときの説明のしかたにも影響します。「スマホでも使えます」と伝えると、受け取る側は自由に編集できると期待します。実際にできるのが表示だけだった場合、期待との差が不信につながります。何ができて何ができないかを、最初に具体的に伝えておくほうが、結果として定着が早くなります。

工程表そのものを作りたいなら、Android端末で表計算アプリを使うか、そもそも表計算以外の道具を使うかの2択になります。移動中に工程を組み直したい、という要望であれば、カードを並べ替える形の道具のほうが操作は素直です。指で触る前提で作られた画面と、マウスで触る前提で作られた画面では、同じ作業でもかかる時間が違います。

この3つは、必要な人数もまるで違います。見る人は全員、更新する人は担当を持っている人、作る人はたいてい1人です。人数の多い順に、操作の負担を軽くしていくのが基本の考え方になります。作る人の操作が多少面倒でも、全体としては回ります。見る人の操作が面倒だと、誰も見なくなります。

この3つを混ぜて「スマホ対応」と言うと、話が噛み合いません。誰が、何を、どの端末でやるのかを先に書き出してください。見る人が8人、更新する人が3人、作る人が1人、というように分けると、必要なものがはっきりします。

現場から更新が返ってくる形にするための決め方

道具の話の前に、運用で決めておくことがあります。ここを決めずに道具だけ入れても、更新は増えません。

まず、1回の更新にかかる時間を10秒以内に収めます。工程表を開いて、自分の行を探して、状態を1つ変えて閉じる。これが10秒を超えると、現場の人は更新しません。移動中や作業の合間に触ることになるので、時間の感覚はパソコンの前とはまったく違います。

次に、更新する項目を1つに絞ります。状態だけ変えてもらう、と決めます。進捗率をパーセントで入れてもらう形は、スマートフォンとの相性が最悪です。数字を入れるには数字の妥当性を考える必要があり、考えることが増えるほど後回しになります。未着手か進行中か完了か、の3択なら考えずに押せます。

3つ目に、更新の合図を決めます。作業が終わったら押す、と決めるのが最も単純です。1日の終わりにまとめて、という決め方は忘れられます。行動と紐づいた合図のほうが続きます。

4つ目に、更新されなかったときにどうするかを決めます。督促するのか、更新が無い行は前の状態のままとみなすのか。ここを決めていないと、更新する人は「押さなくても誰かが聞いてくれる」と学習します。学習されると、押す動機が消えます。

5つ目として、押した結果が本人に見えるようにします。状態を変えたら、その行の色が変わる、一覧から消える、といった手応えがあると、押したことが無駄でなかったと分かります。何も変わらない画面に向かって操作を求めても、続きません。これは表計算では作りにくい部分で、道具を選ぶときの判断材料にもなります。

これらは道具の機能とは関係のない話ですが、スマートフォンからの更新が定着するかどうかを実際に決めているのはこちらです。道具を変えても、決め方が変わらなければ結果は同じになります。

スマホからの更新でよく起きる、4つの壊れ方

現場からスマートフォンで触れるようにすると、パソコンだけで運用していたときには無かった壊れ方が出てきます。よくあるものを挙げておきます。

1つ目は、意図しない行の書き換えです。表計算をスマートフォンで開くと、セルの当たり判定が小さく、隣の行を選んでしまいます。しかも選んだことに気づかないまま入力できてしまうため、誰かの行が黙って書き換わります。この事故は表計算では防ぎきれません。行の高さを大きくすると多少ましになりますが、そのぶん画面に映る行数が減ります。

2つ目は、日付の入力ミスです。スマートフォンの日付入力は端末の設定に影響されます。「9/1」と打ったつもりが文字列として入り、条件付き書式の計算に使われないまま見た目だけ日付になっている、ということが起きます。バーが描かれない行があったら、まずこの型の食い違いを疑ってください。

3つ目は、オフラインでの編集がぶつかることです。電波の弱い現場で編集すると、端末の中に変更が溜まり、電波が戻ったときに反映されます。その間に別の人が同じ行を変えていると、どちらかが上書きされます。工程表のように複数人が同じ行を触る資料では、この衝突が起きやすくなります。

4つ目は、更新はされているのに気づかれないことです。現場の人が状態を変えても、パソコン側で表を開いていない人には伝わりません。現場の人が押した操作は、押した端末の中で完結します。手元の画面の色が変わるだけで、事務所にいる誰かの端末に知らせが飛ぶわけではありません。3日前に完了になっていた行に気づかず、催促の連絡をしてしまう、というのはよくある話です。更新した側からすると、押した意味が無かったことになります。

この4つのうち、1つ目から3つ目は運用の工夫である程度は減らせます。4つ目だけは、道具そのものが通知の仕組みを持っているかどうかで決まります。現場から更新してもらう体制を作るなら、更新が誰かに届く仕組みがあるかどうかを必ず確かめてください。届かない更新は、続きません。

スマホから触れる道具を選ぶときの見方

表計算をやめて別の道具を検討する場合、機能表を眺める前に確かめるべき点があります。

ひとつは、スマートフォン用のアプリで工程表の形を見られるかどうかです。カードを並べるカンバンの表示はどの道具でもスマートフォンに対応していますが、工程表としての表示は対応していない場合があります。見られるかどうかは、実際にアプリを入れて確かめるのが確実です。

もうひとつは、更新の操作が何タップで終わるかです。アプリを開いて、目的のカードにたどり着き、状態を変えるまでの回数を数えてください。4タップを超えると、現場では続きません。通知から直接そのカードに飛べるかどうかも、実用上は大きな差になります。

3つ目は、オフラインで開けるかどうかです。地下の現場や電波の届かない建物の中では、アプリが起動しても中身が空になる道具があります。直前に開いた内容が端末に残る作りかどうかで、現場での使い勝手が変わります。これは説明資料に書かれていないことが多いので、実際に機内モードにして開いて確かめるのが確実です。

4つ目は、プランの区切り方です。機能ごとにプランが分かれていると、スマートフォンから使いたい機能がどのプランに含まれるのかを調べる時間がかかります。機能で絞らず、区切るのは人数とボードの数だけという決め方であれば、現場の人数を数えるだけで見積もりが出ます。プランの区切り方は料金のページで確認できます。工程表として何ができるのかはできることのページにまとめられています。

なお、先に知らせておくべき制約もあります。スマートフォンに出る表示も日本語だけで、端末の言語設定を変えても日本語以外の画面は用意されていません。日本語を読まない作業員が現場に入る予定があるなら、この点は先に確かめてください。他の業務システムと繋いで、そちらの予定を工程表へ自動で流し込む使い方にも向いていません。工程表をひとつの板にまとめることと、業務全体を自動化することは別の目的です。

見せる相手ごとに、スマホでの出し方を変える

スマートフォンから工程表を扱う話には、社外に見せる場面も含まれます。打ち合わせ先で工程を説明する、現場で協力会社に今週の予定を見せる、といった場面です。

このとき、社内で使っている工程表をそのまま見せると、たいてい情報が多すぎます。担当者の名前、内部でのメモ、まだ確定していない予定まで見えてしまいます。スマートフォンの狭い画面で必要な部分だけを指し示すのは難しく、説明そのものが伝わりません。

社外に見せる用途では、区切りだけを8行ほどにまとめた別の表を用意するのが確実です。作るのは月に1回で足りますし、PDFにして端末に入れておけば電波が無い現場でも開けます。共有リンクを渡す方式は、相手がログインを求められて止まることがあるので、社外向けにはPDFのほうが事故が少ない選択です。

社内向けであっても、見る人と触る人で出し方を分ける考え方は有効です。見るだけの人には、週の初めに今週分の範囲を切り出した画像かPDFを配る。触る人にはアプリを入れてもらう。この分け方なら、アプリを入れてもらう相手を最小限にできます。全員にアプリを入れさせようとすると、導入そのものが止まります。

配る形を決めるときは、相手の端末を確かめてください。会社から支給された端末では、アプリのインストールが制限されていることがあります。その場合、ブラウザで開ける形かどうかが分かれ目になります。導入を決めてから気づくと、その部署だけ運用が回らない状態になります。

他の道具と比べるときの、スマホ視点の観点

比較のページを読むときも、スマートフォンから使う前提だと見る場所が変わります。

カンバン形式の道具は、もともとカードを動かす操作が中心なので、スマートフォンとの相性は良い部類です。ただし、工程表としての表示を持つかどうかは道具によって違います。この観点での違いはTrelloとの比較に整理されています。

課題管理型の道具は、1件ごとの情報が多いぶん、スマートフォンの画面では縦に長くなります。現場から状態だけ変えたい用途には過剰になることがあります。違いはBacklogとの比較にまとめられています。スマートフォンでこの形の道具を開くと、1件の中の説明文やコメントの欄を指で送り切らないと、状態の切り替えにたどり着かないことがあります。片手で持って親指だけで操作する現場では、この距離がそのまま更新されない理由になります。状態だけを返してほしい用途で検討するなら、1件を開いた直後の画面に切り替えが見えているかどうかを、実際の端末で確かめてください。

多機能なワークスペース型の道具は、できることが多いぶん、スマートフォンで目的の画面にたどり着くまでの手数が増えがちです。違いはNotionとの比較に、案件を横断して進捗を見る形の道具との違いはmonday.comとの比較に整理されています。仕事の割り当てを軸にした道具との違いはAsanaとの比較にあります。観点ごとに並べた比較の一覧から、いま使っている道具の名前で探すのが早いです。

乗り換えの重さも、スマートフォンを使う体制では見え方が変わります。事務所のパソコンだけで使っている道具なら、入れ替えても影響が及ぶのは数人です。現場の全員がアプリを入れている状態から乗り換えると、端末の数だけ入れ直しと説明が要ります。しかも入れ直しは、こちらの手が届かない相手の端末で起きます。アプリを配って半年で別の道具に移ることになると、次の道具は入れてもらえません。長く提供され続けるかどうかを先に見ておく理由は、機能の話ではなくここにあります。乗り換えを検討している人向けに違いを整理したJootoとの比較も用意されています。

端末の違いを踏まえて、最初に決めるべきこと

比較のページを横に並べて読むと、スマートフォンから使えるかどうかは、機能表の1行では判定できないことが分かります。同じ「モバイル対応」でも、見られるだけの対応と、日々の更新に耐える対応では、実務での意味がまったく違います。

判定する方法はひとつです。現場の人に実際に持っている端末で開いてもらい、1つの行の状態を変えるまでを目の前でやってもらってください。1分以内に終わらなければ、その道具はそのチームでは定着しません。カタログの機能一覧では、この差は絶対に見えません。

確かめるときは、電波の良い会議室ではなく、実際に使う場所でやってください。現場の入口、車の中、資材置き場の脇といった場所で開いてみると、会議室では出なかった待ち時間が出ます。工程表を触るのはそういう場所であって、机の前ではありません。

あわせて、端末の種類も確かめてください。全員がAndroid端末なら表計算のままでも案外回ります。iPhoneが混ざっているなら、条件付き書式を編集できない前提で設計する必要があります。この違いを知らずに「スマホでも使える」と決めてしまうと、一部の人だけが更新できない状態が生まれます。更新できない人は、そのうち報告そのものをやめます。

データを別の道具へ移すときは、自動で取り込めるのはTrelloからのデータだけで、それ以外は手で移すことになります。件数が多い場合は、この作業量も判断に入ります。手順はTrelloからの移行のページに書かれています。現場の人のスマートフォンにアプリを入れてもらう以上、社内で安全性の説明を求められることもあります。何をどう守っているかは安全性の考え方に、導入前によく出る質問はよくある質問にまとまっているので、説明の材料として先に目を通しておくと話が早く進みます。

Q1. iPhoneだけで工程表を作ることはできますか?

バーの描画を伴う工程表を新規に作るのは難しいです。Googleスプレッドシートの公式ヘルプには、iPhoneやiPadでは条件付き書式ルールを表示できるが編集はできないと記載があります。作成はパソコンやAndroid端末で行い、iPhoneでは表示と文字や日付の入力に限る前提で考えてください。

Q2. スマホで工程表を見るとき、目盛りは日単位と週単位のどちらがよいですか?

週単位です。日単位で3か月分を作ると列が90本を超え、スマートフォンの画面には5日分ほどしか映りません。週単位なら13列で3か月を表せるため、横スクロール1回で端まで届きます。スマートフォンから見る前提なら、週単位が事実上の唯一の選択です。

Q3. 現場の人にスマホから更新してもらうには、何を決めればよいですか?

1回の更新を10秒以内に収めること、更新する項目を状態の1つだけに絞ること、押す合図を作業の終わりに紐づけること、更新が無かった場合の扱いを決めることの4つです。進捗率を数字で入れてもらう形はスマートフォンとの相性が悪く、後回しにされます。

Q4. スマホ対応の道具を選ぶとき、どこを見れば失敗しませんか?

現場の人に実際の端末で開いてもらい、1つの行の状態を変えるまでを目の前でやってもらってください。1分以内に終わらなければ定着しません。あわせて通知から直接そのカードへ飛べるか、状態の変更が4タップ以内で終わるかも確かめてください。

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