Lychee Redmineで進捗をどう見せるか|報告のために作り直さない組み方
Lychee Redmineで進捗管理をしているチームから出てくる相談は、機能の使い方ではなく「入力されている情報と、報告に必要な情報がずれている」という話にほぼ集約されます。道具の中には数字があるのに、報告のたびに別の資料を作り直している。この記事では、その構図がなぜ起きるのかを分解し、どのプランのどの画面で断てるのかを、公開されている資料で確かめられる範囲から整理します。
進捗が嘘になる、3つの入り口
進捗の表が実態から離れるとき、原因はだいたい3つのどれかです。
1つ目は、更新されないまま時間が過ぎることです。担当者はチケットの更新を後回しにします。悪意ではなく、更新しても自分の仕事が減らないからです。この結果、画面上は「進行中」のまま3週間止まっているチケットが並び、実際にはとっくに終わっているか、着手すらされていないかのどちらかになります。
2つ目は、完了の基準が人によって違うことです。作業を終えた時点で完了にする人と、レビューが通ってから完了にする人が同じチームにいると、進捗率は集計するたびに意味が変わります。1枚ずつは小さな差でも、50枚あれば全体の見え方が数割ずれます。
3つ目は、報告のために別の場所へ数字を写していることです。道具の中で集計した数字を、報告用の資料に手で転記する運用をしていると、転記した時点の数字が正になり、道具側は誰も見なくなります。転記の手間は月に数時間ですが、失うものはそれ以上で、道具の中の情報が更新されない理由がもう1つ増えます。
提供元も、1つ目については課題として明示しています。
これまでのダッシュボードは、チケットに入力された情報を集計・表示することで、進捗の「見える化」を支えてきました。しかし、この仕組みは入力があってはじめて機能するものです。 出典: agileware.jp
集計の画面をどれだけ増やしても、入力が止まっていれば数字は作れません。進捗の見せ方を組み立てるときは、見せる画面より先に、入力が続く仕組みのほうを設計する必要があります。
ダッシュボードの6つの状態で、赤と黄を分ける
2026年8月18日から、プロジェクトダッシュボードに「今日のトピック」が常設表示されるようになりました。提供元のリリースによれば、プロジェクトの未完了チケットの中から手を打つべきものを自動で抽出し、対応すべき順に一覧表示する機能です。使えるのはスタンダード以上の3つのプランです。
抽出の基準は6つの状態です。遅延、期日超過、未着手、更新停滞、担当者未設定、予定工数未設定。このうち前の3つが赤、後ろの3つが黄と色分けされていると説明されています。赤はすでに予定から遅れている状態、黄は開始前の準備が整っていない状態です。
この分け方が実務で効くのは、対処と予防を同じ画面で扱えるからです。赤だけを見ていると、いつも起きたことへの対応に追われます。黄は「まもなく開始するのに担当者が決まっていない」「3営業日以上更新が止まっている」といった、まだ遅れてはいないが火種になりうる項目です。ここを週に1回潰しておくと、翌週の赤が減ります。
もうひとつ重要なのが、その場で直せる点です。リリースには、一覧の各チケットに操作ボタンが並んでおり、期日変更、ステータス更新、担当者変更、進捗更新、予定工数入力、コメント投稿を画面を移動せずに行えると書かれています。並び順は期日超過を最優先に、遅れや放置の期間が長いもの、複数のリスクが重なっているものが上位に来るとされています。
運用としては、朝会や週次の定例でこの画面を全員で開き、上から順に処理する形が素直です。とりまとめ役が聞いて回って代理で入力する時間と、その結果を反映する時間が、同じ場所にまとまります。
誰に見せるかで、必要なプランが変わる
進捗の見せ方は、相手によって必要な画面が違います。ここを整理せずに上位プランを選ぶと、使わない機能に払い続けることになります。
チーム内に見せるだけなら、ガントチャート、カンバン、ダッシュボードで足ります。これらはスタンダードプラン以上で開きます。無料のフリープランではガントチャートが含まれないと料金ページに明記されているので、工程表を共有する用途なら、この時点でスタンダード以上が前提になります。
社内の上長や関連部署に、人の負荷や工数まで見せるなら、プレミアムプラン以上です。ここでタイムマネジメント(工数の記録)、リソースマネジメント(人の負荷の配分)、コストマネジメント(人件費などのコストの可視化)、EVM(出来高管理)、CCPMが開きます。1ユーザーあたり月1,400円(税別)です。
発注元や経営層に、複数の案件を横断して報告するなら、ビジネスプランのプロジェクトレポートが対象になります。案件横断でQCDを分析する用途と説明されており、1ユーザーあたり月2,100円(税別)です。プレミアムとの差は月700円ですが、20人なら年に168,000円の差になります。
ここで注意したいのは、プランは環境ごとの契約で、同じ環境の中で人によってプランを変えることはできない点です。料金ページには「同一環境でのプランの併用はできません」と明記されています。つまり、レポートを見る3人のためにビジネスが必要なら、その環境を使う全員がビジネスの単価になります。20人の環境で3人のためにプランを上げると、月に14,000円の差が乗る計算です。閲覧の目的だけで上位プランに上げる前に、出力した資料を渡す形で足りないかを一度確かめてください。
判断の目安はこうです。報告する相手が社内だけで、案件が1本か2本なら、プレミアムの機能で十分に説明できます。案件が5本以上あり、それを1枚に並べて経営や発注元に見せる必要があるなら、レポートの機能に払う価値が出てきます。案件の本数と報告の頻度、この2つで決めてください。
EVMを使うなら、入力の質が先に要る
EVMは、計画した出来高と実際の出来高を比べて、進み具合とコストの効率を数値で出す考え方です。SPI(スケジュール効率)とCPI(コスト効率)という指標で表され、プレミアムプラン以上で開きます。価格表には、EVMベースライン比較の機能を使う場合は専有サーバの契約が必要である旨が注記されています。
数字が出る画面は説得力があるので、導入した直後に開きたくなります。ただし、この指標は入力の質にそのまま依存します。予定工数が入っていないチケットが3割あれば、計画側の出来高が3割少なく計算されます。実績の工数が半分しか入力されていなければ、コスト効率は実態より良く出ます。つまり、入力が不完全なときのEVMは、都合のよい方向に偏った数字を返します。
現場では、この偏った数字を根拠に報告して、後から実績が出た段階で説明がつかなくなる、という事故がしばしば起きます。防ぐには順番を守るしかありません。予定工数の入力率と実績工数の入力率を先に数え、どちらも8割を超えてから指標を使う。それまでは、遅れているチケットの枚数と、期日超過の日数の合計といった、生の数字で報告するほうが正確です。
入力率を上げる方法は、機能ではなく約束の作り方にあります。集めた工数を何に使うのかを、入力を頼む前に本人たちに伝えること。次の見積もりを厚くする、無理な納期を断る根拠にする、増員を通す材料にする。そして実際にそう使い、結果を戻すこと。ここまでやって初めて、入力が習慣になります。管理のため、という説明では続きません。
報告資料を作り直さないための、3つの決め事
報告のたびに別の資料を作り直している場合、原因は道具の外にあることが多くあります。次の3つを決めるだけで、転記の手間はかなり減ります。
1つ目は、報告に載せる項目を先に固定することです。相手が毎回違うことを聞いてくると、そのたびに集計を作り直します。月次の報告で見せる項目を5つに固定し、それ以外は聞かれたときに個別に出す、と決めてください。固定した5つは、道具の画面でそのまま見せられる形にします。
2つ目は、報告の単位を道具の単位に合わせることです。道具側はプロジェクトとチケットの単位で集計しますが、報告は「顧客ごと」「部署ごと」で求められることがあります。この単位が一致していないと、必ず手作業の集計が挟まります。プロジェクトの切り方を、報告したい単位に合わせて作り直すほうが、長い目で見て安く済みます。
3つ目は、画面をそのまま見せる場を作ることです。資料に転記する代わりに、報告の場で画面を共有する。この形にすると、数字が古ければその場で分かりますし、質問が出ればその場で絞り込んで答えられます。抵抗があるとすれば、見せたくない情報まで映ることでしょう。その場合は、報告用のプロジェクトビューを別に用意して、映してよい範囲だけを出す形にします。
料金ページの機能表を見ると、閲覧の範囲を絞る仕組みも段階的です。接続元のIPアドレスによるアクセス制限はプレミアム以上、SAML認証によるシングルサインオンはスタンダード以上に置かれています。社外の関係者に画面を見せる運用を考えるなら、この行を先に確かめてください。
外部の人に見せるときに、金額が動く
進捗を発注元や協力会社にも見せたい、という要望はよく出ます。ここで見落とされやすいのが、閲覧する人にもライセンスが要るという点です。
価格表によれば、契約対象になる人数はRedmineに登録されているユーザーのメールアドレスの数です。閲覧しかしない人でも、アカウントを作れば数に入ります。有料プランは10ユーザー単位でしか買えないので、社外の3人にアカウントを配るために10ユーザー分を追加する、という形になることもあります。
さらに注意が要るのが公開プロジェクトの扱いです。誰でも閲覧できる公開プロジェクトで、非メンバーにLychee Redmineの権限を付与している場合、Redmineに登録されている全ユーザーが対象になると明記されています。「社内なら誰でも見られるように」という設定が、そのまま契約人数を全社に広げる形です。
逆に、数に入らない人もいます。アカウントがロックされている人、終わった案件やアーカイブ済みの案件にしか登録されていない人は対象外です。さらに、割り当てられている役割に、チケットを割り当てられる設定とLychee Redmineの権限の設定のどちらも入っていない場合も、対象から外れると書かれています。閲覧だけの相手をどう扱うかは、権限の設計と料金の両面から決めることになります。
外に見せるかどうかを決める前に、月に何回見せるのかを数えてください。月に1回の報告のためだけなら、画面を配るよりPDFで出力して渡すほうが安く済みます。週に何度も状況を聞かれる関係なら、アカウントを配ったほうが結果的に手間が減ります。
AIによる分析を、判断の代わりにしない
2025年11月18日から、生成AIを使った機能が提供されています。提供元のリリースによれば、タスクの進行状況やコメントの内容を分析して、プロジェクトの状況、遅れそうなプロジェクト、負荷が偏っているメンバーを検出する用途が挙げられています。チャットからチケットの作成や更新、検索、ガントチャートのスケジュール調整もできるとされています。対象はクラウド版のスタンダード、プレミアム、ビジネスです。
ただし同じリリースには、利用にOpenAIまたはAzure OpenAIとのAPI契約が必要である旨が明記されています。プランに含まれる機能を開けばすぐ使える、という形ではありません。AI側の利用料は別に発生するので、見積もりに入れておく必要があります。
使い方として気をつけたいのは、出てきた分析を報告にそのまま載せないことです。この種の機能は、入力されている情報を材料にして傾向を返します。入力が偏っていれば、返ってくる傾向も偏ります。「負荷が偏っているメンバー」として挙がった人が、実は工数を丁寧に入力していただけ、ということは起こりえます。気づきのきっかけとして受け取り、実際に本人に確かめてから判断してください。
進行を預かる立場で言えば、この機能の価値は分析の精度より、探す手間が減ることにあります。数百枚のチケットから気になるものを目視で拾う作業が、質問1つに置き換わる。そこで浮いた時間を、本人と話す時間に回せるかどうかが、実際の効果を決めます。
工程表を「合意した計画」として扱う
進捗を見せる道具として工程表を使うとき、いちばん多い失敗は、遅れが出るたびに棒を引き直してしまうことです。引き直した瞬間、その工程表は「現状の報告」に変わり、計画ではなくなります。計画でなくなった工程表は、遅れているかどうかを判定する基準を失います。
避け方は単純で、動かす日を決めることです。棒を動かすのは週に1回の定例のときだけ、と決めてしまう。日々の遅れはチケットのステータスとコメントに残し、棒はそのままにしておきます。すると、定例の場で「計画より何日遅れているか」が誰の目にも見えます。この差分こそが、報告に載せるべき数字です。
もう1つ、当初の計画を別に保存しておく方法もあります。EVMベースライン比較は、まさにこの用途の機能で、計画時点の線と現在の線を比べます。ただし価格表には、この機能を使う場合は専有サーバの契約が必要である旨が注記されているため、費用の面で誰でも選べる形ではありません。専有サーバのオプションを付けると、10ユーザーから99ユーザーの帯でもクラウドご利用料が月25,000円に上がります。
そこまで踏み込まないなら、月初の工程表をPDFで出力して残しておくだけでも用は足ります。料金ページの機能表には、ガントチャートのPDF出力が並んでいます。月初の1枚を保存しておき、月末に並べて見せる。この運用なら追加の費用はかかりません。
工程表を関係者に見せるときは、粒度を報告用に落とすことも考えてください。担当者向けの工程表は棒が細かく、外部の人が見ると読めません。同じ案件でも、外に見せる版は工程を5本から8本にまとめたほうが伝わります。作り直す手間が惜しければ、親チケットの単位だけを表示する形で絞ってください。
リソースマネジメントで、偏りを先に見つける
プレミアムプラン以上で開くリソースマネジメントは、人ごとの負荷を並べて見る機能です。進捗管理の文脈では、遅れが出てから対処するのではなく、遅れる前に配分を直すために使います。
負荷の偏りは、進捗の数字より先に現れます。3人のチームで、1人だけが同時に7枚のチケットを持っている状態は、まだ遅れが出ていなくても、来週遅れます。この段階で気づけば、配り直すか期日をずらすかを選べます。遅れてから気づくと、選べるのは謝るか残業するかの2択になります。
使うために必要なのは、予定工数の入力です。チケットに「これは何時間かかりそうか」が入っていないと、負荷は計算されません。ここが埋まらないチームは多く、実際、ダッシュボードの黄色の状態にも「予定工数未設定」が入っています。提供元がこれを火種として拾っているのは、埋まらない前提で作られているからです。
予定工数を入れてもらうコツは、正確さを求めないことです。「1時間、半日、1日、2日以上」の4択で選ばせるくらいの粗さにする。正確な見積もりを求めると、見積もる作業自体に時間がかかって入力が止まります。4択でも、10枚集まれば負荷の偏りは十分に見えます。
そして、見えた偏りをどう扱うかを先に決めておいてください。配り直すのか、期日をずらすのか、人を足すのか。決めていないと、偏りが見えるだけで何も起きず、そのうち画面を開かなくなります。
週次と月次で、開く画面を分ける
進捗の管理は、見る周期によって必要な画面が違います。同じ画面を毎回開いて、毎回違う判断をしようとすると、どちらも中途半端になります。
週次で開くのはダッシュボードです。赤の状態を潰し、工程表の棒を動かし、翌週着手する分に担当と期日を入れる。ここで扱うのは、今週と来週の話だけです。所要時間は30分を目安にしてください。これ以上かかるなら、扱っているチケットの枚数が多すぎるか、掃除ができていないかのどちらかです。
月次で開くのは、工数と原価の画面です。実際にかかった時間を集計し、見積もりとの差を見ます。ここで見るのは終わった月の話で、直せるのは次の月の計画です。今月の遅れをここで議論しても手遅れなので、週次の話題と混ぜないことが肝心です。
四半期で開くのが、案件横断のレポートです。ビジネスプランのプロジェクトレポートは、複数のプロジェクトを横断してQCDを分析する用途と説明されています。ここで見るのは案件の型ごとの傾向で、直せるのは見積もりの単価や体制の組み方です。月に1回開いても、母数が足りず傾向は読めません。
この3層を分けると、それぞれの場で「何を決めるのか」がはっきりします。逆に分けないと、週次の30分で四半期の話が始まり、決まらないまま終わる会議になります。プランを選ぶときも、この3層のどこまで自分たちに必要かで考えると迷いません。
進捗率という数字を、どう扱うか
チケットには進捗率の項目があります。50%と入っている状態を、報告でそのまま使ってよいかという問いは、どのチームでも出ます。
結論から言えば、集計の材料としては使いにくい数字です。理由は、入力する人によって基準が違うからです。作業量の半分が終わった意味で50%と入れる人と、時間の半分を使った意味で50%と入れる人がいます。この2つは、残りの時間の予測がまったく違います。
代わりに使えるのは、枚数の比率です。完了したチケットの枚数を全体の枚数で割る。この数字は入力者の主観が入りにくく、誰が集計しても同じ値になります。チケットの粒度が揃っていることが前提ですが、前の節で書いた3日から10日の粒度で揃えていれば、実用に足ります。
もう1つ使えるのが、期日超過の日数の合計です。遅れているチケットについて、期日から今日までの日数を足し合わせた値で、遅れの深刻さがそのまま数字になります。枚数だけを見ると、1日遅れが10枚と、30日遅れが1枚が同じに見えてしまいますが、この指標なら後者のほうが大きく出ます。
進捗率を使うとしたら、個別のチケットについて担当者と話すときの手掛かりとしてです。「50%のまま2週間動いていない」という状態は、何かが詰まっている合図として役に立ちます。全体の集計に混ぜるより、この使い方のほうが確実です。
報告のために、月にどれだけ時間を使っているか数える
改善の余地を測るのに、いちばん簡単な方法があります。報告のための作業に月何時間かけているかを、1か月だけ実測することです。集計、転記、資料作成、聞いて回る時間。この合計が月10時間を超えているなら、道具側の設定を直す価値が確実にあります。
内訳を取ると、多くのチームで最も大きいのは「聞いて回る時間」です。更新されていないチケットの状況を確かめる作業で、人数に比例して増えます。10人のチームで、1人あたり週に15分聞いて回れば、月に10時間です。ダッシュボードで代理更新できる仕組みは、この時間を直接削りにいくものだと理解すると、使いどころが見えます。
次に大きいのが転記です。道具の画面と報告資料の形が違うぶん、手で写す作業が発生します。前の節で書いたとおり、報告の単位をプロジェクトの切り方に合わせるか、画面をそのまま見せる形にするかで、ここはほぼゼロにできます。
実測するときは、作業の種類ごとに分けて記録してください。まとめて「報告関連で月12時間」と出しても、どこを削ればよいか分かりません。聞いて回る時間、集計する時間、資料を作る時間、説明する時間の4つに分けて1か月記録すると、どの対策が効くかがはっきりします。聞いて回る時間が大半なら道具側の設定で減らせますし、説明する時間が大半なら、そもそも報告の項目が相手の関心と合っていない可能性があります。
3つ目が、数字の食い違いを説明する時間です。先週の報告と今週の報告で数字が合わない理由を調べる作業で、完了の基準が揃っていないチームほど長くなります。基準を1つに決めて、ひな型に書いて配るだけで、この時間は大きく減ります。
内部の比較データから見た、見せ方の分かれ目
比較の記録を並べていくと、進捗の見せ方で必要になるものは、案件の本数とチームの人数で階段状に変わることが分かります。案件が1本なら板を1枚見れば足ります。3本を超えると横断の一覧が要ります。10本を超えると、案件ごとの比較ができる形が要ります。この段が、そのまま料金の段と重なる構造は、どの道具でもほぼ共通しています。
カード中心で見せる形との違いはTrelloとの比較に、案件横断のタスク一覧を主にする形との違いはAsanaとの比較にまとめています。報告資料そのものを同じ場所に置く発想ならNotionとの比較、表形式で状態を並べて見せるならmonday.comとの比較が近い比較です。国内の開発現場で候補に並びやすい道具としてはBacklogとの比較とJootoとの比較があり、全体を見渡すなら比較の一覧からどうぞ。
こちら側の弱いところも書いておきます。ソースコードを預かる機能はなく、外部サービスとの連携の数で選ばれることも狙っていません。日本語だけの画面で、自動の取り込みに対応している相手は現時点でTrelloに限られます。EVMやCPIのような指標を出す機能もありません。原価と出来高を数値で管理する必要があるチームには、素直に別の道具が合います。扱える範囲はできることに、その範囲の売り方は料金に、それぞれ出しています。
もう1つ、比較の記録から見えてくることがあります。見せ方に不満を持って乗り換えを検討するチームの多くは、実は入力の側に問題を抱えています。画面を替えても、入力する人の負担が同じなら結果は変わりません。乗り換えを検討する前に、直近2週間で1回でも状態を動かした人が全体の何割いるかを数えてみてください。半分を下回っているなら、次の道具でも同じ数字になります。半分を超えているなら、足りないのは見せ方の側なので、替える意味があります。
別の道具から持ち込む手順はTrelloからの移行に置き、預かった情報をどう守るかは安全性の考え方に書いています。判断に迷う点はよくある質問にまとめました。最後に1つ。進捗の見せ方を直す作業は、画面を選ぶところからではなく、報告に載せる5項目を決めるところから始めてください。項目が決まれば、必要な画面も、必要なプランも、そこから逆に決まります。
Q1. ダッシュボードの「今日のトピック」は何を拾ってくれますか?
未完了のチケットを6つの状態で自動集計します。遅延、期日超過、未着手が赤、更新停滞、担当者未設定、予定工数未設定が黄です。期日超過を最優先に、放置の期間が長いものや複数のリスクが重なるものが上位に並び、その場で期日や担当者を直せます。対象はスタンダード以上です。
Q2. EVMの数字はいつから使えますか?
予定工数と実績工数の入力率が8割を超えてからにしてください。入力が不完全なままEVMを出すと、実態より良い方向に偏った数字が返ります。それまでは、遅れているチケットの枚数や期日超過の日数といった生の数字で報告するほうが正確です。
Q3. 発注元にも進捗画面を見せたい場合、費用はどうなりますか?
閲覧しかしない相手でもアカウントを作れば契約人数に入ります。数える単位はRedmineに登録されたメールアドレスの数で、有料プランは10ユーザー単位です。月1回の報告だけなら画面を配るよりPDFで渡すほうが安く、週に何度も状況を聞かれる関係ならアカウントを配るほうが手間が減ります。
Q4. AIの分析結果はそのまま報告に使えますか?
気づきのきっかけとして使い、本人に確かめてから報告してください。この機能は入力された情報を材料に傾向を返すため、入力が偏っていれば結果も偏ります。また、利用にはOpenAIまたはAzure OpenAIとのAPI契約が必要である旨が提供元のリリースに明記されています。