Notionが重いと感じるとき|データベースの持たせ方を見直す
「Notionが重い」と感じたとき、原因は道具の性能そのものよりも、データベースの持たせ方に集まっていることがほとんどです。1つのページにビューを何枚も重ね、そのビューがリレーションで別のデータベースを何段も参照し、しかもその表には運用開始以来のすべての行が入っている。この状態は、使い込んだチームほど自然に出来上がります。この記事では、重くなる作りの型を先に並べ、そのうえで「どこで分けるか」を手順として整理します。速さの話ではなく、どこに何を置くかという設計の話として扱います。
重いという言葉には、性質の違う3つが混ざっている
進行のとりまとめをしている人が「重い」と言うとき、実際に起きていることは1つではありません。少なくとも3つの別ものが、同じ言葉でまとめられています。
1つ目は、画面が出そろうまでに待つ状態です。ページを開いてから中身が並ぶまでに間があり、スクロールしても下の表がまだ描かれていない。これは表示の話であり、ページに何が載っているかで変わります。
2つ目は、目的の情報にたどり着けない状態です。表示そのものは出ているのに、どのビューを見れば今日やることが分かるのかが決まっていない。フィルタを掛け直し、並べ替えを変え、結局その場で担当者に聞く。これは表示ではなく構造の話です。
3つ目は、決められない状態です。情報は全部あるのに、どれが最新でどれが判断材料なのかが分からない。同じ案件の情報がプロジェクトのページ、議事録のページ、タスクの行の3か所に散り、どれを直せば全部が直るのかが分からない。これは運用の話です。
この3つは症状が似ていても、手を入れる場所がまったく違います。そして厄介なことに、3つは連鎖します。1つのページに情報を集めすぎると表示が待たされ、待たされるので別の場所にメモを作り、メモが増えるので判断材料が散る。最初の一歩を間違えると、直すつもりの操作がさらに重くする方向に働きます。
だから見直しの順番は決まっています。まず、いま1つのページに何を載せているかを数える。次に、載せているものを性質で分ける。最後に、分けたものをどうやって行き来させるかを決める。この順番でやると、消していいものと残すべきものの線が自然に見えてきます。逆に、フィルタの条件を細かくしたりプロパティを足したりする方向から始めると、載っているものの総量は変わらないまま、管理する対象だけが増えます。
そしてもう1つ前提として置いておきたいことがあります。ここで扱うのはあくまで作り方の話であり、道具そのものの良し悪しではありません。同じ道具でも、持たせ方を変えれば体感は変わります。作り込みの自由度が高いほど、この差は大きく出ます。自由度の高さは長所であり、同時に、放っておくと重くなる方向に効く性質でもあります。
情報の置き場が増えるのは、チームが動いている証拠でもある
5人から数十人のチームで進行を預かっていると、置き場は放っておいても増えます。案件が増えれば案件のページが増え、振り返りをすれば議事録が増え、誰かが便利なビューを作れば1枚増える。1回あたりの追加はどれも小さく、その場では正しい判断です。問題は、消す作業が誰の仕事にもなっていないことです。
作った人は「あとで使うかもしれない」と思って残し、他の人は「誰かが使っているかもしれない」と思って消しません。結果として、1年運用したチームのページは、最初の設計とはまったく違う姿になっています。よく聞くのは、当初は3枚だったビューが十数枚になり、そのうち日常的に開かれているのは2枚か3枚だった、という話です。
Notionの公式ヘルプには、無料プランのブロック数について次のように書かれています。
無料 / 2名以上のワークスペースオーナー / ワークスペースごとに1,000ブロック。その後、コンテンツを作成し続けるには、ワークスペースをNotionの有料プランにアップグレードする必要があります。 出典: notion.com
同じヘルプには、カウントの仕方についても記載があります。「サインアップ後にワークスペースで作成されたコンテンツの量に基づいてブロックをカウントします。ブロックを削除したり、ゴミ箱を空にしたりしても、ブロック数は減りません」とあります。つまり、作った量そのものが記録として積み上がる設計です。なお、1名だけのワークスペースであれば無料プランでも「無制限」と書かれており、プラス以上の有料プランでも「無制限」です。上限に当たるのは、無料のまま複数人で使っている場合に限られます。
この上限の数字自体は、有料プランに上げれば外れます。ただ、1,000という線に近づいたときが、いま何を作りすぎているのかを数える良い機会であることは確かです。作った量が積み上がるという性質は、有料プランに上げても変わりません。
無料プランには他にも公式に明記された線があります。ファイルのアップロードは「最大5MB」、ページの履歴は「7日」、外部ゲスト制限は「10」、チャートは「1」、notion.siteドメインは「1」です。参考として、ページの履歴はプラスが「30日」、ビジネスが「90日」、エンタープライズが「無制限」となっており、ファイルのアップロードはプラス以上がすべて「無制限」です。履歴が7日しか残らない状態で大きな表を何人もで編集していると、誰かが誤って行を消したときに戻せる期間が短くなります。持たせ方を見直すときは、この点も合わせて考えておくと安全です。
料金は、日本円表示で年払いのときにプラスが「¥1,650」、ビジネスが「¥3,150」、単位表記はいずれも「メンバー/月」です。月払いに切り替えるとプラスが「¥2,000」、ビジネスが「¥3,800」になります。米ドル表示に切り替えると年払いでPlusが「$10」、Businessが「$20」、月払いでPlusが「$12」、Businessが「$24」です。いずれも2026年9月2日時点で公式の料金ページに表示されていたものです。各有料プランのカード下部には「日本の消費税(該当する場合)」と表示されますが、表示価格が税抜か税込かを明示する文言は、料金ページおよびヘルプの請求関連記事では確認できませんでした。プランの内容も価格も変わるので、判断の前には必ず公式の料金ページで最新の表示を確かめてください。
重くなる作りの型を、先に並べておく
持たせ方を見直す前に、どういう作りが重くなる方向に効くのかを型として押さえておきます。自分たちのページがどの型に当てはまるかが分かれば、手を入れる場所はすぐ決まります。
ひとつのページに多くのビューを重ねる
いちばん多い型です。1つのプロジェクトデータベースに対して、板の形、表の形、期日順、担当者別、今週分、今月分、完了済み、保留中と、切り口ごとにビューを足していく。1枚ずつは便利なので、足すこと自体に抵抗がありません。
ところが、ビューは足すたびに「どれを見るか」という判断を1つ増やします。チームの誰かが「今週分」を見て、別の誰かが「担当者別」を見ていると、同じ会議で違う数字を口にすることになります。しかも新しく入った人は、どのビューが正で、どれが誰かの実験の残骸なのかを判断できません。
そして表示の面でも、1つのページに複数のビューを並べておくと、そのページを開くたびに、いま見るつもりのないビューまで含めて画面を作ることになります。よく開くページほど、載っているものを減らす効果が大きくなります。
この型に当てはまるかどうかは、簡単な質問で確かめられます。そのページのビューの中で、直近1か月に誰かが開いたものは何枚あるか。答えられないなら、まず数えるところからです。
リレーションを深く繋ぐ
Notionの強みの1つは、データベース同士を関連付けられることです。公式のプロジェクト管理ガイドでも、標準テンプレートの構造として「Projects are the parent of tasks」「One project can have many tasks, but each task should only relate to a single project」と説明されており、プロジェクトとタスクの2つのデータベースを結ぶ形が最初から用意されています。
問題は、この繋ぎ方が自然に深くなることです。プロジェクトにタスクを繋ぎ、タスクにスプリントを繋ぎ、スプリントに担当者マスタを繋ぎ、担当者マスタに部署マスタを繋ぐ。さらに、それぞれの段で集計を取って親に返す。1段ずつは筋が通っているので、増えていく途中で止める理由が見つかりません。
深く繋ぐと、1行を表示するために背後で参照する範囲が広がります。加えて運用面でも副作用が出ます。どこか1つのデータベースの項目名を変えると、それを参照している集計が全部影響を受けます。誰も触れなくなり、結果として「触ると壊れるから見るだけ」の状態になります。
繋ぐこと自体は悪くありません。問題は段数と向きです。段数は、実務では2段までで足りることがほとんどです。向きは、下から上に集計を返す方向を1本に絞ると、変更したときに何が動くかが読めるようになります。
大きな表を1ページに集める
3つ目の型は、運用開始以来のすべての行を1つの表に置き続けることです。今年の案件も去年の案件も、完了したものも中止になったものも、同じデータベースに入っている。フィルタを掛ければ見えないので、増えていることに気づきにくいのがこの型の特徴です。
しかしフィルタは「見せない」だけで、行そのものは残ります。並べ替えや検索の対象にも入り続けます。そして人の側にも効きます。表を開いた人は、いま見ている数十行の後ろに何千行あるのかを意識しないまま、上から数えて判断します。「未完了が多い」と感じるとき、その多くは2年前に放置された行だった、という状況はよく起こります。
行を消せという話ではありません。終わったものを別の置き場に移す、という判断ができるかどうかです。
プロパティを増やし続ける
表の横方向も同じことが起きます。項目を1つ足すのは簡単で、しかも足す理由はいつも正当です。優先度を入れたい、見積時間を入れたい、請求済みかどうかを入れたい。
ところが、項目は入力する人の手数に直結します。1件登録するのに埋める欄が10個あると、登録そのものが後回しになります。入力する人が増えないと、進捗の表はすぐ嘘になります。さらに、集計や数式を含む項目は、表示のたびに計算が必要になります。
判断の基準は、その項目でフィルタや並べ替えをしているかどうかです。していないなら、それは表の項目ではなく、そのページの本文に書けば足りる情報である可能性が高いです。
すべての人の入口を1枚のページに作り込む
最後の型は、トップページに全部を集める作りです。チーム全員の入口として1枚のページを作り、そこに各プロジェクトの一覧、今週のタスク、議事録のリンク、数値のチャート、参考資料のリンク集を並べる。
意図としては正しく、実際に最初はよく機能します。ただ、このページは全員が毎日開くページなので、載っているものが増えた影響をいちばん強く受けます。しかも、そこに載っている一覧はたいてい他のデータベースを参照しているので、上で挙げた型がすべて集約されます。
入口のページは、載せるものをいちばん厳しく絞る場所です。全体像を見せる場所ではなく、次にどこへ行くかだけを決める場所として作るほうが、長く使えます。
データベースの持たせ方を見直す手順
型が分かったら、実際に分けていきます。順番があります。上から順にやると、途中で戻る回数が減ります。
手順1: いま何が載っているかを数える
最初にやるのは、消すことでも分けることでもなく、数えることです。よく開く上位3ページについて、載っているビューの枚数、参照しているデータベースの数、表の行数、表の項目数を書き出します。
ここで多くのチームが、自分の想像より多いことに気づきます。数えないまま「重いから減らそう」と手を付けると、たまたま目についたものを消すだけになり、いちばん効くところが残ります。
書き出したら、ビューごとに「直近1か月に開いた人がいるか」を、実際にチームに聞いて確かめます。開いていないビューがあることは失敗ではなく、運用が変わった結果です。
手順2: 見る場所と入れる場所を分ける
次に決めるのは、この場所は入力するための場所なのか、見るための場所なのか、という区別です。この2つを同じページで兼ねようとすると、必ずどちらかが犠牲になります。
入れる場所は、項目を絞り、余計なビューを置かず、1件登録する手数をできる限り短くします。見る場所は、入力の都合を無視して、判断に必要な形だけを置きます。
そして、入れる場所は担当者ごとに近い位置に置くほうが続きます。とりまとめ役の手元だけに入力画面があると、他の人は結局チャットで報告し、とりまとめ役が転記する形になります。転記が発生している時点で、その運用は1人の作業量に依存しています。
手順3: ビューを減らす基準を先に決める
数えたビューを減らします。ただし、その場の判断で消すと、後から「あれが必要だった」という話になって戻ります。基準を先に決めてから消します。
実務で扱いやすい基準は2つです。1つは、そのビューを見て何かを決めているかどうか。眺めるだけで判断に繋がらないビューは、置いておく理由が弱くなります。もう1つは、そのビューが誰の持ち物か。担当者が特定できないビューは、たいてい誰かの実験の名残です。
減らすときは、削除ではなく別ページへの移動から始めるのが安全です。1か月置いて誰も探さなければ、そこで消します。
手順4: リレーションの向きと段数を整える
繋ぎ方を整理します。まず、いまある繋がりを紙に書き出し、どこからどこへ向かっているかを線で引きます。線が双方向になっている箇所と、3段以上になっている箇所に印を付けます。
3段以上になっている箇所は、途中の1段が本当に必要かを確かめます。担当者マスタや部署マスタのように、変わる頻度が低くて件数も少ないものは、繋ぐ代わりに選択肢の項目として持たせるだけで足りることがあります。
双方向になっている箇所は、集計をどちらか一方向に絞ります。両方向で集計していると、片方を直したときにもう片方がどう動くかが読めなくなります。
手順5: 終わったものを本体から外す
行数の問題に手を付けます。完了したもの、中止になったもの、対象年度が過ぎたものを、別のデータベースに移します。
移す判断は、機械的に決められる条件で行うのが続けるコツです。「完了してから90日経過した案件」のように、人の判断が入らない条件にします。人の判断が入る条件にすると、判断する人の作業が毎月発生し、やがて止まります。
移した先は、探せる状態であれば十分です。日常の運用では開かず、過去を確かめたいときだけ開く場所として置きます。この置き場があることが、本体から外す判断を心理的に楽にします。
手順6: 権限とチームスペースの単位で分ける
分ける単位として、権限の線を使う方法もあります。公式ヘルプによると、チームスペースの「オープン、クローズド」は無料プランを含む全プランで使えます。「プライベート」のチームスペース、「チームスペースの高度なアクセス権設定」、「データベース権限の詳細設定」は、ビジネスとエンタープライズのみにチェックが付いています。
見られる範囲で分けると、副次的に載っているものの量も減ります。全員が見る場所には全員に関係するものだけを置き、特定の人だけが関わるものはその人たちの場所に置く。この分け方は、後から人が増えたときにも壊れにくい形です。
社外の人が関わる場合は、ゲストの扱いも合わせて考えます。公式ヘルプでは「Guests are individuals external to your company or organization who you invite into your workspace on a page-by-page basis.」とあり、ページ単位での招待になります。外部ゲスト制限は無料プランが10、プラス以上はいずれも「無制限のゲスト」です。課金についてはヘルプに「Notionの請求モデルは、ワークスペース内のメンバー数に基づいています。」と明記されており、ゲストはメンバーとは別枠の「外部ゲスト制限」で管理されます。ただし、有料プランでゲストが完全に無課金であることを直接述べた文言は、公開資料では確認できませんでした。
手順7: 持ち出せる形を確かめておく
分け方を決めたら、最後に書き出しの手順を一度試しておきます。作りを大きく変える前に、いまの中身を手元に残しておくためです。
公式ヘルプによると、書き出しの形式はPDF、HTML、Markdown、CSVの4つが案内されています。料金ページの比較表では「ワークスペース全体のエクスポート(HTML、Markdown、CSV)」が無料プランを含む4列すべてにチェックが付いており、「ワークスペース全体のエクスポート(PDF)」はビジネスとエンタープライズのみです。
ワークスペース全体の書き出しについては、公式ヘルプに次の記載があります。
エクスポートの処理には、ワークスペースのサイズによっては最大30時間かかる場合があります。 出典: notion.com
同じ記事には「ファイルをダウンロードするためのリンクが記載されたメールがNotionから届きます。このリンクの有効期限は7日間です。」「ワークスペース全体のエクスポートは、デスクトップまたはWebでのみ実施できます。」ともあります。加えて「エクスポートしたワークスペースコンテンツを再アップロードしても、ワークスペースを即座に再現することはできません。」と書かれている点は、押さえておく価値があります。書き出したファイルは、そのまま元通りに戻せるバックアップとは性質が違います。
また、「他のユーザーのプライベートページなど、エクスポート実行者にアクセス権がないページはエクスポートされません。」という制限もあります。全体像を残したい場合は、実行する人の権限を先に確かめてください。データベースの「フォーム」ビューは書き出せず、代わりにテーブルビューから質問と回答を書き出すよう案内されています。
分けたあとに、チームが使い続けてくれるか
構造を整えても、使う人が付いてこなければ元に戻ります。ここが実務でいちばん難しい部分です。
入口は1つに絞る
分けたあとに起きがちなのが、「どこを見ればいいか分からなくなった」という反応です。分ける作業をした人には全体像が見えていますが、他の人には見えていません。
だから、分けると同時に入口を1つに決めます。全員が最初に開く場所を1つだけ指定し、そこから各所に行けるようにします。入口には一覧を並べず、行き先の名前だけを置きます。全体像を見せようとして入口に情報を集めると、また同じ型に戻ります。
更新の負担を担当者に寄せる
とりまとめ役が全部を更新している状態は、必ずどこかで止まります。分けるときに合わせて、誰がどこを更新するのかを決めます。
決め方の基準は、その情報をいちばん早く知る人が入れる、です。作業の進み具合はその作業をしている人が、期日の変更は交渉した人が、請求の状態は請求を出した人が入れます。この形にすると、転記が消えます。
そのうえで、入れる手数を減らします。必須の項目を絞り、選択肢で済むものは選択肢にし、自由記述は最小限にします。入力の手間が1件あたり数十秒を超えると、更新は後回しになりはじめます。
決まった間隔で見直す
一度整えても、置き場はまた増えます。増えること自体は避けられないので、減らす作業を予定に入れておきます。
月に1回、10分でも構いません。この1か月で誰も開かなかったビューを消す、完了して時間が経った行を移す、使われていない項目を外す。この3つだけを決まった順番でやります。誰かの気づきに任せると、忙しい月から先に飛びます。
それでも、いまの作りのままがよい場合
ここまで見直しの話を書いてきましたが、いまのまま続けるほうがよい場面もはっきりしています。
1つ目は、文書とデータが同じ場所にあることに価値を感じている場合です。仕様の説明、議事録、案件の一覧が同じ体系の中に置けるのは、作りとしての強みです。この行き来を日常的に使っているなら、進行管理だけを切り出すと、かえって探す手間が増えます。
2つ目は、標準のテンプレートで足りている場合です。公式ガイドによると、標準で用意されているプロジェクト管理のテンプレートは「To-do list」「Projects & tasks」「Projects, tasks & sprints」の3つです。プロジェクトデータベースには「Active」「Mine」「All」「Timeline」のビューが最初から入っており、タスクデータベースには「By project」「Mine」「People」のビューが入っています。完了率のプログレスバーも最初から用意されています。この標準の形をそのまま使っていて、大きく作り込んでいないなら、上で挙げた型にはまだ当てはまっていません。
3つ目は、作り込む担当者がチームにいる場合です。データベースの構造を設計でき、変更の影響を読める人がいるなら、自由度の高さはそのまま利点になります。この場合の課題は道具ではなく、その人が抜けたときに引き継げるかどうかです。
4つ目は、日本語での利用に関して問題が出ていない場合です。公式ヘルプの対応言語には日本語が含まれています。ただし日本語のヘルプ記事の上部には「このコンテンツはAI翻訳されている可能性があります」という注記が表示されるため、仕様の細部を確かめるときは英語版と突き合わせておくのが安全です。
なお、データの保管場所については、日本国内(東京)を選べるのはエンタープライズプランに限られます。公式ヘルプには「デフォルトでは、データは引き続き米国に保存されます。」とあり、データ地域の選択肢として「AP-Northeast-1(東京)」とバックアップ地域「AP-Northeast-3(大阪)」が表に載っています。保管場所が業務の要件になっているチームは、この線を先に確かめてください。
これらに当てはまるなら、道具を替える理由は弱く、やるべきことは持たせ方の整理だけです。整理して収まるなら、それがいちばん安い解決です。
道具そのものを見直す段階に入っているかどうかの判断
持たせ方を整理しても収まらない場合、はじめて道具の話になります。判断の材料は3つに絞れます。
1つ目は、整理にかかる手間が毎月発生し続けているかどうかです。分けて、繋ぎ直して、また増えて、また分ける。この往復が仕事になっているなら、自由度の高さがそのチームの規模に対して過剰である可能性があります。
2つ目は、入力する人が増えないままかどうかです。手数を減らしても更新する人が増えないなら、問題は設定ではなく、その画面の性質にあるかもしれません。開いた瞬間に何をすればいいか分かる画面と、まず構造を理解しないと使えない画面では、続き方が違います。
3つ目は、料金の刻みが人数の増減に合っているかどうかです。人数課金の道具では、関わる人が増えるほど費用が増えます。ボード型の道具の中には、機能で絞らず、区切るのは人数とボードの数だけという置き方をしているものもあり、機能の線と費用の線が別々に効かない分、判断は単純になります。どの置き方が合うかは、チームの増え方によります。
道具ごとの性質を並べて見る場合、比較の観点は比較の一覧にまとまっています。ドキュメントとデータベースが同居する作りと、板だけに絞った作りの違いはNotionとの比較で整理されています。カンバンの板を中心に使っていて機能追加の考え方を確かめたい場合はTrelloとの比較、プロジェクトとタスクの階層を細かく持つ道具との違いはAsanaとの比較が近い論点です。
見た目の自由度や自動化の作り込みを重視している場合の考え方はmonday.comとの比較に、課題管理とソースコードの管理を一緒に扱いたい場合はBacklogとの比較にまとまっています。日本語の画面で板の形を使う道具どうしの違いはJootoとの比較で確認できます。
判断を早くするために、先に確かめておくとよいこと
比較を始める前に、自分たちの条件を数字で書き出しておくと、検討の往復が減ります。
まず、実際に入力する人の数を数えます。見るだけの人と、入力する人を分けて数えるのがポイントです。人数課金の道具では、この2つを分けられるかどうかで費用が変わります。
次に、譲れない見え方を1つだけ決めます。板の形で足りるのか、期日を横に並べた工程表が要るのか、担当者ごとの負荷が見えないと困るのか。3つとも欲しいと言うと、比較表を延々と読むことになります。実務では、板の形と期日の一覧で足りるチームがかなりの割合を占めます。
3つ目に、社外の人が入るかどうかを決めます。入るなら、その人を人数に数えるのか、どこまで見せるのかを先に決めておきます。ここの扱いは道具によって考え方が大きく違い、後から変えにくい部分です。
この3つが決まったら、範囲と費用を確かめます。何ができるかの整理はできることに、費用の考え方は料金にまとまっています。いまカンバンの板で運用していて中身をそのまま移したい場合の手順はTrelloからの移行にあり、自動で取り込めるのはTrelloだけである点も含めて書かれています。社内の情報を預けるうえでの考え方は安全性の考え方で確認でき、細かい疑問が残っている場合はよくある質問を先に見ておくと確認の往復が減ります。
なお、板だけに絞った道具にも、当然できないことはあります。ソースコードのリポジトリを持つ機能はなく、自動化と外部連携の作り込みで勝負する種類の道具ではありません。画面は日本語のみで、他ツールから自動で取り込めるのはTrelloに限られます。この線を先に見ておくと、移した後で困る種類の要件があるかどうかがすぐ分かります。
持たせ方の見直しは、道具を替えるかどうかと切り離して先にやる
最後に、順番の話をもう一度置いておきます。
「重い」と感じた時点で道具の入れ替えを考えはじめると、比較に時間を使ったあげく、移した先で同じ構造を作り直すことになりがちです。1ページにビューを重ねる癖、リレーションを深く繋ぐ癖、終わったものを本体に置き続ける癖は、道具を替えても付いていきます。移行の作業そのものは、どの道具でも数週間の負担になります。それを払って同じ状態に戻るのは、いちばん避けたい結果です。
だから、持たせ方の見直しは先にやります。数えて、分けて、減らす。この3つを一巡させたうえで、それでも残る不満だけを道具の性質として並べます。並べたときに、残った不満が「作り込みの自由度に対して、チームの規模と運用の余力が合っていない」という形をしているなら、そのときは道具の選び直しが正当な選択肢になります。
そして見直しの結果は、道具を替えても無駄になりません。どのビューが実際に使われているか、どこで入力が止まるか、どの情報が判断に効いているか。この3つは、移した先の設計でそのまま使えます。むしろ、これを持たずに移行すると、移した先でまた同じ試行錯誤を最初からやることになります。
重いと感じたときにやるべきことは、性能を疑うことではなく、いま何をどこに置いているかを数えることです。数えれば、載せすぎている場所は必ず見つかります。
Q1. Notionの無料プランには、どこに上限がありますか?
公式ヘルプによると、無料プランで2名以上のワークスペースオーナーがいる場合、ワークスペースごとに1,000ブロックが上限です。1名だけのワークスペースは無制限と記載されています。他に料金ページの比較表では、ファイルのアップロードが最大5MB、ページの履歴が7日、外部ゲスト制限が10、チャートが1と表示されています。いずれも2026年9月2日時点の表示です。
Q2. ブロックを消せば、無料プランの上限に余裕はできますか?
できません。公式ヘルプには「サインアップ後にワークスペースで作成されたコンテンツの量に基づいてブロックをカウントします。ブロックを削除したり、ゴミ箱を空にしたりしても、ブロック数は減りません」と記載されています。作った量そのものが積み上がる仕組みなので、上限に近づいたら整理ではなくプランの検討が必要になります。
Q3. 1ページに置くビューは、何枚までにすべきですか?
公式に決まった枚数はありません。実務での目安は、直近1か月に誰かが開いているかどうかです。開かれていないビューは別ページへ移し、1か月置いて誰も探さなければ消します。判断に使っていないビューを残すと、新しく入った人がどれを見ればよいか分からなくなり、結局その場で担当者に聞く運用に戻ります。
Q4. 作りを大きく変える前に、中身を手元に残しておけますか?
公式に案内されている書き出し形式はPDF、HTML、Markdown、CSVの4つです。ワークスペース全体の書き出しは、HTMLとMarkdownとCSVが無料プランを含む全プランで可能で、PDFはビジネスとエンタープライズのみです。処理には最大30時間かかる場合があり、ダウンロードリンクの有効期限は7日間と記載されています。ただし書き出したファイルを再アップロードしてもワークスペースは即座に再現できないと明記されている点には注意が必要です。