Nulab Passが使えなくなる層|どのプランから外れるか
「nulab pass」で検索している人は、いま二つのどちらかの状況にいます。ひとつは、これから導入を検討していて、どのプランで使えるのかを確かめたい状況。もうひとつは、すでに契約していて、2027年1月1日からのBacklogのプラン改定で自分の契約がどうなるのかを確かめたい状況です。
先に結論を書きます。Nulab Pass自体は継続します。終了の告知はなく、料金やプランの内容にも変更はありません。変わるのは、Backlog側のどのプランなら契約できるか、という条件です。2027年1月1日以降、Nulab Passを使えるのはビジネスプランとプロフェッショナルプランのみになります。新しいフリープランとエコノミープランでは契約できません。
そして、この条件変更にはもうひとつ重要な帰結があります。いまBacklogのスタンダードプランでNulab Passを契約している組織は、人数やプロジェクト数が少なくても、新プランへの自動移行の対象から外れます。自分でビジネス以上を予約する必要があり、予約しないまま適用開始日を迎えると、利用できなくなる可能性があると公式に案内されています。
この記事では、公式のブログとヘルプに書かれている内容だけを使って、Nulab Passの扱いがどう変わるのか、影響を受けるのはどの層か、代わりに何が使えるようになるのか、そして今日確認しておくべきことまでを並べます。記載はすべて2026年9月2日時点で公式サイトに掲載されていた内容にもとづきます。金額はすべて税抜です。プランと料金は変わるものなので、判断の前に必ず公式ページで最新の表記を確認してください。
Nulab Passとは何で、どこに置かれているサービスか
Nulab Passは、ヌーラボが提供しているアカウント管理のサービスです。Backlogの料金ページのフッターでは「アカウント管理をもっと安全・カンタンに」という説明とともに並べられています。同じ場所には、オンラインホワイトボードツールのCacooと、ワークフロー自動化ツールのNulab Flowbaseも並んでいます。
Backlog本体の機能ではなく、Backlogやその他のヌーラボのサービスに対して、組織としてのアカウント統制をかけるための別サービス、という位置づけです。新プランの資料でNulab Passに紐づくものとして挙げられているのは、SAML認証、監査ログ、ユーザープロビジョニングの三つです。
この三つが何のためにあるかを、進行のとりまとめを預かる立場から言い直すと、こうなります。SAML認証は、社内のIDでまとめてログインできるようにする仕組みです。ユーザープロビジョニングは、人の入退社に合わせてアカウントを自動で作ったり止めたりする仕組みです。監査ログは、誰が何をしたかを後から追える記録です。いずれも、人数が増えて手作業でのアカウント管理が回らなくなった組織や、取引先から統制の水準を求められる組織が必要とするものです。
規模の目安として、Nulab Passのライセンス数は2026年5月15日に100,000件を突破したと発表されています。すでに広く使われているサービスで、今回の条件変更が影響する範囲もそれなりに大きいと考えられます。
なお、Nulab Pass自体の料金体系については、Backlogの料金ページには掲載されておらず、公開資料では確認できませんでした。Backlog側のプランと組み合わせて費用を見積もる場合は、Nulab Passの料金を別途、公式のページで確認する必要があります。この記事で扱う金額は、いずれもBacklog側のプラン料金です。
2027年1月1日から何が変わるのか
順番に整理します。まず、変わらないほうから確認しておきます。
Nulab Passの終了の告知はありません。継続します。料金やプランの内容にも変更はありません。公式のよくある質問は「Cacoo、Nulab Passの料金やプランの内容に変更はありません」と明言しています。Cacooについても同様で、こちらも終了の告知はありません。
変わるのは、Backlog側のプランとの組み合わせの条件です。2027年1月1日以降、Nulab Passを契約できるのはビジネスプランとプロフェッショナルプランのみになります。公式ヘルプの新プランの比較では、新しいフリープランとエコノミープランについて「Nulab Passの契約」が「あり」から「なし」に変わると記載されています。
つまり、Backlogのプランを下の階層に置いたままNulab Passを使い続ける、という形が取れなくなります。統制の仕組みが、Backlogの契約規模と紐づけられた、という言い方もできます。
ここで、新プランの構成と金額も並べておきます。現行の4プランが3プランへ統合されます。
| プラン | 月払い(税抜) | 年払い(税抜・月換算) | ユーザー数 | プロジェクト数 | ストレージ | Nulab Pass |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 新フリー | 無料 | 無料 | 5 | 1 | 100MB | なし |
| エコノミー | ¥21,000/月 | ¥19,950/月 | 15 | 30 | 30GB | なし |
| ビジネス | ¥36,300/月 | ¥34,485/月 | 無制限(推奨10,000人まで) | 無制限 | 100GB | あり |
| プロフェッショナル | ¥100,000/月 | ¥95,000/月 | 無制限(推奨10,000人まで) | 無制限 | 300GB | あり |
Nulab Passを使い続けたいなら、Backlog側は最低でも月36,300円のビジネスプランになる、という読み方です。
なお、支払い期間の変更はNulab PassとCacooにも適用されます。2027年1月1日以降、銀行振込で選べる支払い期間は年払い(12か月)のみになり、3か月・6か月は廃止されます。3か月または6か月を選んでいる場合、適用開始日から自動的に年払いへ変更されます。クレジットカード払いは引き続き月払いと年払いを選べます。
料金の考え方を、Backlog側から確認しておく
Nulab Passの契約条件を判断するには、Backlog側の課金の考え方を押さえておく必要があります。公式のヘルプには次のように書かれています。
プランと料金ページの料金は登録したスペース1つ分の金額です。スペースにプロジェクトやユーザーを追加されるごとに追加料金が発生することはありません。 出典: support-ja.backlog.com
スペース1つに対して定額がかかり、その枠の中に人数とプロジェクトを収める形です。人数課金でもプロジェクト数課金でもありません。この作りだと、上限の枠に収まっているうちは何人足しても金額が変わらず、枠を超えた瞬間にプランごと変わります。
Nulab Passの条件変更が効いてくるのは、この「枠」の判定に、人数やプロジェクト数だけでなくNulab Passの契約有無まで入ってきたからです。規模が小さくても、Nulab Passを契約しているというだけでエコノミーの枠から外れます。規模で決まる話ではなくなった、という点が今回の変更の性質です。
現行プランの金額も置いておきます。スターターが月¥2,700、スタンダードが月¥16,000、プレミアムが月¥27,000、プラチナが月¥75,000(いずれも税抜)です。年払いは月払いに比べて5%オフで、この割引率は改定前後で変わりません。支払い方法は銀行振込とクレジットカードのいずれかで、振込手数料は利用者負担です。契約期間中に解約した場合の返金対応はありません。
影響を受けるのは、どの層か
条件変更の影響は、いまどのプランを使っているかで大きく違います。層ごとに見ていきます。
スタンダードでNulab Passを契約している組織
いちばん影響が大きい層です。ここは二重の意味で対応が必要になります。
ひとつめ。プランの移行の対応関係では、スタンダードのうち15名以下かつ30プロジェクト以下で、Nulab Passを契約していない組織はエコノミーへ自動で移ります。逆に言うと、Nulab Passを契約している組織は、人数が5名でも10名でも、プロジェクトが3件でも、自動移行の対象から外れます。ビジネスまたはプロフェッショナルを自分で予約する形になります。
ふたつめ。金額の変化が大きくなります。月16,000円から36,300円へ、2.27倍です。年額では192,000円から435,600円になります。年払いで比べると、年額182,400円から413,820円です。Nulab Pass自体の料金は変わらないので、増えるのはBacklog側の分です。
もし人数もプロジェクト数もエコノミーの枠に収まっているなら、Nulab Passを続けるかどうかが、そのまま月15,300円の差になります。ここは判断の余地がある部分です。統制の仕組みをどこまで必要としているかによって、答えが変わります。
プレミアムまたはプラチナでNulab Passを契約している組織
こちらは影響が小さい層です。プレミアムはビジネスへ、プラチナはプロフェッショナルへ自動で移ります。どちらの新プランでもNulab Passは契約できるので、組み合わせは維持されます。金額の変化はプレミアムからビジネスで34.4%増、プラチナからプロフェッショナルで33.3%増です。ストレージの上限も据え置きです。
これから導入を検討している組織
新規に検討する場合は、Backlog側をビジネス以上にする前提で見積もりを立てることになります。2026年12月31日で現行プランの新規契約の受付が終了し、2027年1月1日以降に新しく契約する場合は新プランでの契約になります。
なお、スタータープランでNulab Passを契約できるかどうかについて、公開資料では明確な記載を確認できませんでした。いずれにせよスターターは2026年12月31日で新規契約の受付が終了し、新プランに受け皿がないため、これから始める場合の選択肢には入りません。
代わりに使えるようになるもの
条件が厳しくなる話だけで終わらせると、判断を誤ります。新しいフリープランとエコノミープランでは、増える側の変化もあります。
公式ヘルプの新プランの比較では、新しいフリープランとエコノミープランについて「2段階認証の必須化」が「なし」から「あり」に変わると記載されています。組織のメンバー全員に2段階認証を強制する設定が、Nulab Passなしで使えるようになる、という変化です。
これは、Nulab Passに何を求めていたかによって、意味の大きさが変わります。「全員に2段階認証をかけたい」という一点のために契約していた組織であれば、エコノミーへ移ることで、そこは標準で満たされます。一方で、社内のIDでまとめてログインさせたい(SAML認証)、入退社に合わせてアカウントを自動で作り消ししたい(ユーザープロビジョニング)、誰が何をしたかを後から追いたい(監査ログ)といった要件があるなら、代わりにはなりません。
判断の順番としては、こうなります。まず、いまNulab Passで実際に使っている機能を書き出す。次に、そのうち2段階認証の必須化だけで代替できる範囲がどこまでかを見る。残った要件があるかどうかで、ビジネスへ上げるか、エコノミーへ移るかが決まります。「契約しているから続ける」ではなく、「何のために契約したのか」に戻って考えるのが、この場面での正しい順番です。
なお、エコノミーで使えないものは他にもあります。新プランの資料に列挙されているのは、孫課題(3階層)、ガントチャートの長期間表示、プロジェクト横断ガントチャート、カスタム属性、Backlog AIアシスタント、Nulab Flowbase、アクセスログ、SAML認証・監査ログ・ユーザープロビジョニング(いずれもNulab Pass)、ストレージ容量追加オプションです。アクセスログもここに入っている点は、統制の面で見ておく価値があります。
セキュリティに関わる項目としては、IPアドレス制限の上限がエコノミー50、ビジネス100、プロフェッショナル無制限と公開されています。セキュリティシートについては、エコノミーは対象外、ビジネスは有料、プロフェッショナルは年1回無料と案内されています。取引先からセキュリティチェックシートの提出を求められる組織は、この項目も判断に入れる必要があります。
エコノミーへ移る判断を、要件から組み立てる
Nulab Passを外してエコノミーへ移る選択肢を、もう少し具体的に見ておきます。この判断は、金額から入ると必ず荒れます。要件から入るのが順番です。
まず、要件を三つの層に分けます。ひとつめは、契約書や社内規程に文字として書かれている要件です。取引先とのセキュリティに関する取り決めや、業界の基準に沿った内部規程がここに入ります。この層に該当するものがあれば、その時点で判断は終わりです。ビジネス以上を選ぶことになります。
ふたつめは、書かれてはいないが運用上そうしている、という要件です。入退社のたびに情報システムの担当者がアカウントを手で作り消ししているなら、ユーザープロビジョニングを外した瞬間にその手作業が戻ってきます。人数の規模によっては、月15,300円より高くつく手間です。ここは、実際に何時間かかるかを見積もってから比べる必要があります。
みっつめは、「あったほうが安心」という程度の要件です。導入したときは必要だったが、いまは使っていない設定もここに入ります。この層しか残らないなら、2段階認証の必須化で足りる可能性があります。
分け方が終わったら、エコノミーの枠に収まるかどうかを確かめます。ユーザー数15、プロジェクト数30、ストレージ30GBのすべてを満たす必要があります。ひとつでも超えていればビジネスになるので、Nulab Passの判断は不要になります。逆に、すべて収まっていてNulab Passも外せるなら、月21,000円のエコノミーで済みます。
この判断は、情報システムや法務の担当者との相談が入るので、時間がかかります。予約の期限から逆算すると、銀行振込の組織は適用開始日の2か月以上前には結論を出しておく必要があります。着手を遅らせると、確かめる時間がなくなって、安全側に倒してビジネスを選ぶという結論になりがちです。それが悪い結論だとは限りませんが、比べずに決めたことにはなります。
予約が必須になる条件と、その期限
Nulab Passを契約している組織にとって、この節がいちばん実務に直結します。
2026年夏から、適用開始日より前に新プランを予約できる機能が提供されています。提供開始は2026年8月5日に告知されました。この予約が必須になるのは、次のいずれかに当てはまる場合です。
・スタータープランを利用中 ・スタンダードプランでユーザー16名以上、またはプロジェクト30超 ・スタンダードプランでNulab Passを契約中
三つめが、この記事の読者に直接関わる条件です。人数やプロジェクト数が少なくても、Nulab Passを契約しているだけで予約が必要になります。
予約しないとどうなるかについて、公式のよくある質問は「予約がない場合、適用開始日以降にBacklogを利用できなくなる可能性があります」と明記しています。強い書き方です。放置してよい種類の案内ではありません。
期限の目安も公表されています。銀行振込は適用開始日の64日前まで(請求書が発行されるまで)、クレジットカードは適用開始日の2日前までです。請求書は次回の契約開始日の63日前に発行されます。銀行振込で払っている組織は、適用開始日の2か月以上前に判断を終えている必要がある、という計算になります。
そして、適用開始日そのものが組織ごとに違います。既存の契約者に新プランが適用されるのは「2027年1月1日以降に到来する最初の契約更新日」です。適時開示には「既に現行プランをご利用中のお客様については、プラン改定日以降最初に到来する契約更新日より、順次新プランへ移行のうえ改定後のプランが適用されます」と書かれています。全社一律の日付ではありません。
自分のスペースの適用開始日は、契約管理者または管理者が「組織設定」の「プラン」画面で確認できます。ただしトライアル中、プラン停止中、フリープランの場合は、該当の案内が表示されないと案内されています。なお、プランを停止している場合、2027年1月1日以降に再開すると新プランでの再開になります。
今日のうちに確認できること
手順を順番に並べます。全体で20分ほどです。
1. 適用開始日を確認する
「組織設定」の「プラン」画面を開きます。ここが分からないと、64日前という期限も逆算できません。
2. Nulab Passで実際に使っている機能を書き出す
SAML認証、ユーザープロビジョニング、監査ログのうち、どれを実際に運用に組み込んでいるかを確認します。「契約しているが実際には使っていない」という状態は珍しくありません。ここを確かめずに上位プランを選ぶと、必要のない差額を払い続けることになります。
3. 人数とプロジェクト数と容量を数える
Nulab Passをやめてエコノミーへ移る選択肢を検討するなら、そもそもエコノミーの枠に収まるかどうかを確かめる必要があります。上限はユーザー数15、プロジェクト数30、ストレージ30GBです。人数は、退職者のアカウント、案件が終わった外部パートナー、二重登録、連携用の機能アカウントもすべて1名として数えられます。プロジェクト数は、公式のよくある質問にアーカイブ済みのプロジェクトも上限に加算されると書かれているので、終わった案件も数に入ります。
4. 2段階認証の必須化で足りるかを判断する
書き出した要件のうち、2段階認証の必須化だけで満たせる範囲を確かめます。取引先との契約や社内規程で、SAML認証や監査ログが要件として書かれている場合は、この時点でビジネス以上が確定します。要件文書を確認するのは、多くの場合、情報システムの担当者や法務の担当者との相談になります。時間がかかる工程なので、早めに始めておく価値があります。
5. 支払い方法を確認する
銀行振込で3か月または6か月を選んでいるなら、適用開始日から年払いに変わります。ビジネスの年払いは年額413,820円(税抜)です。この一括請求が難しい場合、クレジットカードへ切り替えて月払いを維持するという道が残されています。
6. 予約する、または別の道を決める
判断が固まったら予約に進みます。Nulab Passを契約している場合、予約は必須です。決めないまま適用開始日を迎える選択肢はありません。
経過措置と、過去の前例
旧料金を継続できる特別枠や、経過措置としての割引は公表されていません。用意されているのは「いまの契約期間はそのまま走り切れる」という一点で、公式のよくある質問には「現在の契約期間について、契約期間の途中でアップグレード(上位プランへの変更)をしない場合、追加の費用はかかりません」と書かれています。
登録済みのデータについては、課題、Wiki、ドキュメント、ファイルのいずれも新プランで引き続き利用でき、移行作業は不要と案内されています。
過去の前例も見ておきます。料金改定は2023年1月11日にもあり、告知は2022年10月4日でした。このとき年払いの割引率が16%から5%へ引き下げられています。既存契約者の扱いは「すでに利用期間が開始しているプランは、次回の更新まで従来の料金でご利用いただけます」とされ、今回と同じ考え方です。改定前後の具体的な金額は告知記事本文には数字として記載されておらず、料金ページへのリンクで案内されていたため、このときの上げ幅は公開資料では確認できませんでした。
プランの廃止が延期された例もあります。2023年8月24日にクラシックプランの提供終了が告知され、当初は2024年5月31日終了の予定でしたが、2024年3月6日の告知で2025年5月31日へ1年延期されました。延期の理由は、移行に不安を感じる利用者へのサポートを厚くするため、と説明されています。延期の前例があるのは事実です。ただし、Nulab Passを契約している組織は予約が必須で、予約がなければ利用できなくなる可能性があると明記されているため、延期を期待して手続きを止めるのは危険な賭けになります。
関連サービスの状況も整理しておきます。ヌーラボのビジネスチャットTypetalkは、2023年11月14日にサービス終了が告知され、2025年12月1日にサービス終了、2025年12月31日にデータ削除という日程で終わっています。一方、Cacooは継続中で終了の告知はありません。ただし2026年4月27日から新プラン「スペースプラン」の提供が始まり、同時に2026年4月26日をもってプロプランとチームプランの新規受付が終了しています。Nulab Passについては、終了の告知も、料金やプラン内容の変更もありません。
Backlog自体の提供終了の告知もありません。2026年に入ってからもBacklog AIアシスタント(2026年3月)、関連課題(2026年7月28日)、AIレビュー(2026年8月7日)、孫課題(2026年8月18日)と機能追加の告知が続いており、2026年6月22日には中期経営計画も開示されています。
統制の仕組みと道具の階層が結び付いていることの意味
最後に、この条件変更が何を意味するのかを、もう少し引いた場所から見ておきます。
アカウント統制の仕組みが、進行管理の道具の契約階層と結び付いている。これが今回の条件変更の構造です。統制の要件は、たいてい組織のルールや取引先との契約から降りてきます。進行管理の道具をどう使うかとは、本来は別の話です。それが同じ階層で束ねられていると、統制のために道具の階層を上げる、という判断をすることになります。
この構造は、少人数で統制の要件が厳しい組織で特に効きます。10名のチームでも、金融や医療の取引先を持っていればSAML認証や監査ログが求められることがあります。人数もプロジェクト数もエコノミーの枠に収まっているのに、統制の一点でビジネスを選ぶ。月15,300円の差は、統制の対価として払う形になります。
払う価値があるかどうかは、組織によって答えが違います。要件が契約書に書かれているなら、選択の余地はありません。一方、「あったほうがよい」程度の要件であれば、2段階認証の必須化で足りるかを検討する価値があります。ここを検討せずに上位プランを選ぶのは、判断を省いているだけです。
道具の側の設計としては、別の考え方もあります。機能で階層を区切らず、区切るのは人数とボードの数だけという形です。この形なら、統制の要件と費用の判断が絡まりません。ただし、この形の道具がSAML認証や監査ログを持っているとは限らず、統制の要件が厳しい組織では、そもそも候補に入らないこともあります。安全性についてどう考えているかは安全性の考え方のページに書いており、要件が厳しい場合は、この内容で足りるかどうかを先に確かめる形になります。
区切りの考え方は料金のページで確認できます。見るべきなのは金額の数字より、何をまたいだときに金額が動くのかという線の引き方です。統制の要件で線が引かれているのか、規模で線が引かれているのかは、道具によって違います。
機能の面では、できることのページに、入っているものと入っていないものを両方載せています。Gitのリポジトリ機能は持たず、自動化や外部連携の幅で勝負する道具ではなく、画面は日本語のみで、自動で取り込めるのはTrelloだけです。Nulab Passのような統制の仕組みを必要としている組織にとっては、この点も含めて検討の対象になります。
比較の材料としては、機能と上限の軸で違いを並べたBacklogとの比較があります。同じ形で、カードを並べて進行を見せる型のTrelloとの比較、タスクの割り当てと期日の管理を厚く持つ型のAsanaとの比較も整理しています。ただし、Nulab Passを必要としている組織にとって、乗り換えは簡単な選択肢ではありません。Backlogは長く使われている製品で、GitとSubversionを全プランで持ち、課題とWikiとドキュメントが同じ場所に揃っています。統制の仕組みまで含めて同じものを別の場所で組み直すのは、費用より工数のほうが重くなることが多い作業です。乗り換える理由が明確でないなら、ビジネスプランで据え置くのは十分に合理的な判断です。
Q1. Nulab Passは終了するのですか?
終了しません。終了の告知はなく、料金やプランの内容にも変更はありません。公式のよくある質問は「Cacoo、Nulab Passの料金やプランの内容に変更はありません」と明言しています。変わるのはBacklog側の条件で、2027年1月1日以降はビジネスプランとプロフェッショナルプランでのみ契約できるようになります。
Q2. エコノミープランでNulab Passは使えますか?
使えません。公式ヘルプの新プランの比較では、新しいフリープランとエコノミープランについて「Nulab Passの契約」が「あり」から「なし」に変わると記載されています。Nulab Passを続けるなら、Backlog側は最低でも月36,300円(税抜)のビジネスプランになります。
Q3. スタンダードでNulab Passを契約していますが、自動で移行しますか?
自動移行の対象から外れます。人数が15名以下でプロジェクトが30以下でも、Nulab Passを契約していると条件を満たしません。ビジネスまたはプロフェッショナルを自分で予約する必要があります。公式のよくある質問は、予約がない場合について「適用開始日以降にBacklogを利用できなくなる可能性があります」と明記しています。
Q4. Nulab Passをやめると、セキュリティはどうなりますか?
新しいフリープランとエコノミープランでは、2段階認証の必須化が「なし」から「あり」に変わります。全員に2段階認証を強制する設定は使えるようになります。ただしSAML認証、監査ログ、ユーザープロビジョニングは使えません。アクセスログもエコノミーでは使えないため、要件を書き出してから判断してください。
Q5. 予約の期限はいつまでですか?
適用開始日から逆算します。銀行振込は適用開始日の64日前まで、クレジットカードは適用開始日の2日前までが目安です。請求書は次回の契約開始日の63日前に発行されます。適用開始日は「2027年1月1日以降に到来する最初の契約更新日」で組織ごとに違うため、まず「組織設定」の「プラン」画面で自分の日付を確認してください。