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Trelloのエクスポート|移す前に確かめておくもの

2026年9月10日 ・ Pinateca編集部

「trello エクスポート」で検索する場面は、だいたい2つに分かれます。1つは、別の道具へ移すことを考え始めていて、いまの板の中身が手元に残るのかを先に確かめたい場面。もう1つは、移す予定は無いけれど、記録として社外に出せる形や、退職者の分を引き継げる形を用意しておきたい場面です。

どちらの場合も、最初に押さえるべきなのは操作の手順ではありません。持ち出せる形が何種類あって、そのそれぞれで何が含まれ、何が落ちるのかです。ここを知らないまま書き出すと、「ファイルは手に入ったのに、必要だったコメントが入っていない」という結果になります。

この記事では、Trelloの公式の料金ページとサポート記事に書かれている内容だけを使って、書き出しの範囲を整理します。JSONとCSVで扱いが違うこと、直近のアクションに件数の区切りがあること、アーカイブとコメントの含まれ方が形式によって変わること。そして、移したあとに欠けやすいものを4つに分けて並べます。確かめられなかった項目は、確かめられなかったとそのまま書きます。

板の中身を持ち出せることは、道具選びの前提になっている

進行管理の道具を選ぶとき、機能の一覧を見比べる時間は長く取られがちですが、実際に効いてくるのは「あとで抜けられるか」です。5人から数十人のチームでは、板がそのまま業務の記録になります。誰がいつ何を決めたか、どの依頼がどこで止まったか、取引先とのやりとりの経緯。これらがチャットではなく板に残っている状態は、運用としては健全です。ただし同時に、その板が特定のサービスの中にしか無い状態でもあります。

だからこそ、書き出しの仕様は導入前に見ておく価値があります。この点でTrelloは、書き出しの手順と対象範囲を公式のサポート記事として公開しています。どの形式がどのプランで使えるか、何が含まれないかまで文章で書かれています。これは利用者にとって明確な利点です。サービスによっては、書き出しの可否が問い合わせないと分からなかったり、範囲が曖昧なまま案内されていたりします。仕様が読める形で置いてあること自体が、道具としての誠実さです。

背景として、事業者に対してデータの持ち出しやすさを求める流れは強まっています。個人データの取り扱いについては、個人情報保護委員会が事業者向けの指針や解説を公開しています(個人情報保護委員会)。板に取引先の担当者名や連絡先が入っているなら、それは管理の対象になる情報です。書き出したファイルをどこに保管するか、誰がダウンロードできるかまで含めて、移行の話は情報の取り扱いの話でもあります。

もう1つ、前提として知っておきたいのは保管場所です。Trelloの公式ドキュメントには、データを米国内のAWSのデータセンターに保管していること、サービスの機能上データが米国へ移転されることが記載されています。移転の適法性については、GDPRを含む適用法令への準拠と、標準契約条項を代替の移転手段として組み込んでいる旨が説明されています。国内保管を条件にしている取引先がある場合、この点は書き出しの話より前に確認しておく項目になります。

Trelloの書き出しには2つの形があり、扱いがはっきり違う

Trelloの公式サポート記事では、ボードの書き出しにJSONとCSVの2つが案内されています。この2つは「同じ中身を別の形で出すもの」ではありません。使えるプランも、含まれる範囲も違います。

まず、公式の記載をそのまま置きます。

All board members can export a board to raw JSON format. 出典: support.atlassian.com

JSONはプランの限定なく、すべてのボードメンバーが書き出せると書かれています。一方でCSVについては、対象が絞られています。

Boards in Premium Workspaces can be exported to CSV format, which can be opened in any spreadsheet program. 出典: support.atlassian.com

この2つの違いを表にすると、次のようになります。

項目 JSON書き出し CSV書き出し
対象 すべてのボードメンバー(プランの限定の記載なし) Premiumワークスペースのボード
実行できる人 すべてのボードメンバー Premiumワークスペースの各ユーザー
含まれる範囲 直近1,000件のアクション(コメントを含む) アーカイブされていないカード
含まれないもの 1,000件の枠を超える古いアクション アーカイブ済みカード、コメント
開きやすさ 表計算ソフトでそのままは開けない 表計算ソフトでそのまま開ける

ここで見落とされやすいのが、開きやすい形式ほど中身が絞られている点です。CSVは表計算ソフトで開けるので扱いやすい一方、アーカイブ済みのカードとコメントが入りません。JSONは扱いに手間がかかりますが、コメントを含むアクションが入ります。「とりあえず開ける形で」とCSVだけを取ると、議論の経緯が丸ごと残らないことになります。

JSONは全員が出せるが、直近のアクションに件数の区切りがある

JSON書き出しの範囲について、公式には「直近1,000件のアクション。コメントを含む」と記載されています。アクションというのは、板の上で行われた操作の記録です。カードの作成、リストの間の移動、期限の設定、コメントの投稿。こうしたものがアクションとして積み上がっていきます。

この1,000件という区切りが、実務では効いてきます。動きの少ない板であれば、1,000件は数か月から年単位の記録に相当します。反対に、10人前後が毎日カードを動かしている板では、1日に数十件のアクションが出ることは珍しくありません。その場合、1,000件は数週間から1か月程度の記録にしかならない計算になります。

そして重要なのは、コメントがこのアクションの一種として数えられる書き方になっている点です。公式の文面は「the 1000 most recent actions on a board, which includes comments」であり、コメントがこの枠の中に含まれるという構造です。1,000件の枠を超えて、それより古いコメントまで含まれるという記載は見当たりません。つまり、活発な板ほど、古い議論のコメントは書き出しに乗ってこない可能性があります。

移行の判断としては、次のように整理できます。数年分の議論の経緯を丸ごと引き継ぐ用途には、JSON書き出しだけでは足りない場合があります。直近の状態と、直近のやりとりを引き継ぐ用途であれば足ります。長期の記録が必要なら、板の中で完結させずに、決まったことを別の場所(議事録や仕様書)に書き出しておく運用のほうが確実です。これは道具の優劣ではなく、書き出しの仕様に合わせた運用の作り方の話です。

なお、JSON書き出しの構造については、読み方を解説した公式記事が別に用意されています。書き出したファイルを開いて途方に暮れる前に、その記事で構造を確認しておくと作業が短くなります(JSON書き出しの読み方)。

CSVはPremiumが対象で、アーカイブとコメントが落ちる

CSVの書き出しは、Premiumワークスペースのボードが対象と記載されています。あわせて「Premiumワークスペースの各ユーザーがボードをCSVで書き出せる」とも書かれており、管理者に限定されてはいません。

含まれない範囲は2つ、はっきり書かれています。1つはアーカイブ済みのカードです。公式の記載は「The CSV export only includes cards that aren't archived」で、アーカイブされていないカードだけが対象です。もう1つはコメントで、「Comments aren't included in the CSV export」と明記されています。

この2つは、移行のときにいちばん問題になる部分です。アーカイブは、多くのチームで「完了したものをしまう場所」として使われています。リストから消えて見えなくなるだけで、消したつもりはありません。ところがCSVで書き出すと、その完了済みの山が丸ごと入りません。過去半年の完了実績を集計しようとしてCSVを開き、件数が合わずに気づく、という順序になりがちです。

対処としては、順序を1つ入れ替えるだけで済みます。書き出す前に、アーカイブ済みのカードのうち残したいものをボードに戻すか、アーカイブを含めて記録が要るならJSONのほうを併用します。CSVとJSONは排他ではないので、両方出しておくのが安全です。CSVは一覧と集計のために、JSONは経緯とコメントのために、と役割を分けて考えると迷いません。

ワークスペース単位でまとめて出すときは、実行できる人が絞られる

ボードが増えてくると、1枚ずつ書き出すのは現実的ではなくなります。この点について公式には、Premiumであればワークスペース内のすべてのボードをCSVとJSONの両方の形式で書き出せると記載されています。

ただし、実行できる人には条件があります。「Only Workspace admins can create and download exports from the Workspace settings」とあり、作成とダウンロードはワークスペース管理者に限られます。ボードの中だけを見ている人には、この操作は出てきません。移行を任された担当者が管理者ではない場合、まずここで止まります。作業日程を組む前に、誰が管理者なのかを確認しておくべき項目です。

もう1つ、このワークスペース単位の書き出しには「Include raw attachments」という選択肢があり、添付ファイルの実体を含められる旨が記載されています。添付を残したい場合、ここが実質的な入口になります。なお、ボード単位のJSON書き出しで添付ファイルの実体を同梱できるかどうかについては、公開資料では確認できませんでした。添付を確実に持ち出したいのであれば、ワークスペース単位の書き出しを検討するか、重要な添付だけ手作業で保存する形になります。

移したあとに欠けやすい4つのもの

書き出しの形式を選んだあと、次に効いてくるのが「移した先で何が再現されないか」です。ファイルは手に入っても、そのまま同じ見え方になるとは限りません。現場でよく問題になるのは、次の4つに分類できます。

添付ファイル

カードに貼った見積書、写真、原稿のファイル。これらは板の中では自然に見えていますが、書き出したデータの中では扱いが変わります。前述のとおり、ワークスペース単位の書き出しには添付の実体を含める選択肢が記載されています。一方で、書き出したファイルの中に添付が「リンク」として入っている場合、そのリンクが有効なのは元の板が生きている間だけになる可能性があります。

実務上の対策はシンプルです。移行の前に、添付が本当に必要なカードを洗い出します。多くの板では、添付の大半は途中経過のスクリーンショットや、すでに正式版が別の場所にあるファイルの複製です。本当に板にしか無い添付は、思ったより少ないことがほとんどです。その少数だけを共有ドライブに移しておけば、書き出しの仕様に振り回されずに済みます。

なお、無料プランの添付には「Unlimited storage (10MB/file)」という記載があり、容量は無制限で1ファイルあたり10MBまでとされています。Standardでは1ファイルあたり250MBという記載です。この上限のために、大きなファイルはもともと外部のドライブに置かれていることが多く、その場合は板の中に実体がありません。

コメント

コメントは、板の中で最も価値が高く、最も持ち出しにくいものです。CSVには含まれないと明記されています。JSONには含まれますが、直近1,000件のアクションという枠の中で数えられます。

「なぜこの仕様に決まったのか」「なぜこの日程になったのか」は、たいていコメント欄にしか書かれていません。移行後にその経緯が消えると、同じ議論をもう一度することになります。とりまとめる立場の人にとっては、これがいちばん痛い損失です。

現実的な進め方は2つあります。1つは、移行を決めた時点でJSONを書き出して、コメントを含む記録をファイルとして保管しておくこと。移行先に取り込めなくても、参照できる状態にしておけば十分な場合が多いです。もう1つは、動いている案件についてだけ、決まったことをカードの説明欄に書き写してから移すこと。コメントは流れますが、説明欄は本文として残ります。移行を機に、決定事項を説明欄に集約する運用へ切り替えるチームは少なくありません。

履歴(誰がいつ動かしたか)

アクションの記録は、書き出しにはJSONの形で含まれます。しかし、移行先でそれが「履歴」として再現されるかは別の話です。多くのツールは、取り込んだカードの作成日時を取り込んだ日にします。すると、3か月前から止まっているカードが、移行した日に作られた新しいカードとして並ぶことになります。

これは見た目の問題では終わりません。滞留しているカードを見つける手段が、移行の直後にいったん失われるからです。「2週間動いていないカードを洗う」という運用をしていたチームは、移行後しばらくその判断ができなくなります。

対策としては、移行の前に一度、滞留しているカードを整理しておくことです。止まっている理由が「相手待ち」なのか「やらないと決まったのに閉じていない」なのかを分けて、後者は移行前に閉じます。移行は、板を掃除する数少ない機会でもあります。移してから掃除しようとすると、たいてい掃除されません。

カードの並びと、見え方の設定

リストの中でのカードの並び順、ラベルの色と意味、カバー画像、チェックリストの入れ子。これらは日々の運用では強く効いている情報ですが、書き出したデータから移行先で再現できるかは、移行先の仕様に依存します。

特に並び順は、意味を持っていることが多い部分です。上から優先度順に並べているチームでは、その順序自体が判断の結果です。移行先で作成日順や名前順に並び替わると、その判断が消えます。移行前に「並び順に意味があるかどうか」を確認して、意味があるなら優先度のラベルや番号として明示しておくのが確実です。暗黙の情報は移りません。明示された情報だけが移ります。

ビューの設定についても同様です。タイムライン、カレンダー、テーブル、ダッシュボード、マップの各ビューは、公式の料金ページ上はPremium以上の機能として掲載されています。ワークスペース単位のビュー(テーブル、カレンダー)についても、Premiumまたは Enterpriseのみと公式サポート記事に明記されています。これらのビューで作った見え方は、書き出しファイルの中に「表」として残るものではありません。移行先で作り直す前提で考えておくと、想定が狂いません。

出せることと、戻せることは別の話になっている

書き出しの話をするとき、多くの人が暗黙に「出せるなら、あとで戻せる」と考えます。ここは公式に、はっきり別の扱いが書かれています。

It is not currently possible to import JSON or CSV formats to re-create a Trello board 出典: support.atlassian.com

JSONやCSVからボードを再構成する取り込みは、現時点ではできないと記載されています。この一文は、移行を考える人にとって2つの意味を持ちます。

1つは、書き出したファイルは「バックアップ」として万能ではないということです。板の状態を保存しておいて、あとで元通りに復元する、という使い方は想定されていません。書き出しファイルは、中身を読むためのもの、別の場所へ持っていくための材料、という位置づけで考えるのが正確です。

もう1つは、移行先を選ぶときの見方が変わることです。書き出せる形式が何かより、移行先がその形式をどこまで読めるかのほうが重要になります。JSONを読み込んでリストとカードを再現できる移行先なら、書き出しの手間はそこで回収されます。読めないのであれば、書き出したファイルは記録として保管する用途になり、実際の移行は手作業か別の方法になります。

この記事で挙げている移行先の候補についても、同じ基準で見るべきです。取り込みの対象として自動化されているのはTrelloからの移行だけで、他のサービスからの自動取り込みは用意されていません。この点は案内側が自分から書いています。取り込みの範囲と手順はTrelloからの移行で確認できます。移行できる範囲を先に読んでから、書き出しの形式を決める順序のほうが手戻りが少なくなります。

書き出す前に確かめる7つの点

ここまでの内容を、作業前のチェックとして並べ直します。移行の当日に確認すると間に合わないものが混ざっているので、日程を組む前に一度通しで見ておくことをおすすめします。

1つ目は、いま何プランかです。CSVを使うつもりならPremiumワークスペースであることが前提になります。無料やStandardのままなら、JSONで進めるか、書き出しのために一時的にプランを上げるかの判断が要ります。

2つ目は、自分の権限です。ワークスペース単位の一括書き出しは管理者に限られます。ボード単位のJSONであれば、すべてのボードメンバーが書き出せると記載されています。作業する人の権限を先に確認します。

3つ目は、アーカイブの中身です。CSVにはアーカイブ済みのカードが入りません。完了実績を残したいのであれば、アーカイブの扱いを決めてから書き出します。

4つ目は、コメントの重要度です。CSVにコメントは入りません。JSONには含まれますが、直近1,000件のアクションという枠があります。板の動きの量から、どのくらい前まで残りそうかを見積もっておきます。

5つ目は、添付です。ワークスペース単位の書き出しには添付の実体を含める選択肢が記載されています。それ以外の経路で添付を確実に残したいなら、対象を絞って手作業で保存する準備をします。

6つ目は、ボードの数と対象範囲です。書き出す必要があるのは全部のボードか、動いているものだけか。使われなくなった板まで移すと、移行先が最初から散らかった状態になります。

7つ目は、書き出したファイルの置き場所です。板の中身には、取引先の担当者名や案件の金額が入っていることがあります。書き出した瞬間に、それは持ち出し可能なファイルになります。誰のパソコンに置くのか、共有ドライブのどこに置くのか、いつ消すのかまで決めてから作業に入ります。移行のときにいちばん事故が起きやすいのは、この最後の1点です。データの取り扱いに関する社内の基準は安全性の考え方にも整理してあります。保管場所と権限の考え方を、移行の作業手順とあわせて決めておくと安全です。

誰が書き出せるのかを、役割ごとに整理する

書き出しの話は、権限の話と切り離せません。Trelloの公式ドキュメントには、ボード上の役割とワークスペース上の役割がそれぞれ説明されています。

ボード上の役割は、通常メンバー、ボード管理者、オブザーバーの3つです。オブザーバーについては、Premiumのワークスペースでボードに追加できると記載されています。オブザーバーができることの中に「export the board」が含まれており、ボードの閲覧、添付のダウンロード、コメントと投票(ボードで有効な場合)、そして書き出しができるとされています。反対に、カードの移動や編集、添付のアップロード、チェックリストのチェック、ボード設定の変更はできないと明記されています。

ゲストの扱いも整理しておくと、移行の場面で迷いません。ワークスペースゲストは「ボードのメンバーだが、そのボードが属するワークスペースのメンバーではない人」と定義されています。ゲストは既定では通常のボードメンバーと同じで、ボードに変更を加えられます。できないこととして挙げられているのは、コレクションの作成と編集、そしてボードのテンプレート化の2つです。可視範囲については、招待されたボードだけが見え、ワークスペース内の他のボードは見えないと記載されています。

課金との関係も、ここに紐づきます。課金はユーザー(席)単位で、ボード数による課金の記載は見当たりません。課金対象になるのはワークスペースメンバーとマルチボードゲスト(ワークスペース非メンバーで2つ以上のボードに招待された人)です。シングルボードゲストは課金対象外とされ、有料ワークスペースに何人招待してもコストは増えないと記載されています。オブザーバーについては、役割そのものではなく所属の種別で課金可否が決まる、という説明です。

移行の実務では、この整理がそのまま作業分担になります。書き出しを誰に頼むか、その人にどの権限があるか、その人を一時的に管理者にする必要があるか。ここを詰めずに進めると、当日になって「その操作は画面に出ていません」という連絡が来ます。

料金とプランの関係を、書き出しの観点から見る

CSVがPremium対象である以上、書き出しの話はプランの話に接続します。2026年9月2日時点の公式料金ページの記載を整理します。表示通貨は英語ページ、日本語ページとも米ドルです。日本語ページでも円建て価格は掲載されていません。

プラン 年間払い(ユーザーあたり月額) 月間払い(ユーザーあたり月額)
Free $0 USD(ユーザー単位の課金なし) 同左
Standard $5 USD $6 USD
Premium $10 USD $12.50 USD
Enterprise $17.50 USD(年額 $210.00、年1回払い) 公開資料では確認できませんでした

年間払いと月間払いの差は、Standardで1ユーザーあたり月1ドル、Premiumで2.5ドルです。Enterpriseについては、料金ページに年間払いのみが記載されており、月間払いの料金は公開資料では確認できませんでした。最低契約席数や、席数が増えるほど単価が下がる段階制の記載も、公開資料では確認できませんでした。料金ページのEnterprise欄は一本値のみです。

税の扱いについては、料金ページに「税抜」「税込」を明示する文言は公開資料では確認できませんでした。売上税に関するサポート記事には、税率はクレジットカード情報とともに登録された国、および米国内では郵便番号に基づいて決まる旨が記載されています。同記事に日本の消費税への言及は見当たりませんでした。円建てで社内の予算を組む場合、為替の影響を受ける前提で見積もることになります。なお、Atlassianの購入・ライセンスに関するFAQには、見積(quote)を米ドル、豪ドル、日本円で作成できる旨の記載があり、豪ドルと日本円はそれぞれ豪州と日本の顧客向けとされています。ただしこれは見積の通貨の話であり、料金ページの表示価格が円建てになるという記載ではありません。

無料プランの上限もあわせて押さえておきます。料金ページの記載では、カードは無制限、ボードはワークスペースあたり10ボードまで、コラボレーターはワークスペースあたり10人まで、Power-Upはボードあたり無制限、ストレージは容量無制限で1ファイル10MBまで、オートメーションはワークスペースあたり月250回とされています。

コラボレーターの上限は、ボードではなくワークスペース単位です。超過した場合について、公式には「If your Workspace has more than 10 collaborators currently, the boards in this Workspace will become view-only.」と記載されており、ワークスペース内のボードが閲覧のみになるほか、新規コラボレーターの追加ができなくなり、オートメーションも停止する旨が書かれています。人数に数えられるのはワークスペースメンバー、ボードゲスト(シングルボードとマルチボードの両方)、保留中の招待です。無効化済みアカウントと、クローズされたボードのみのメンバーは数えられません。有料プランではワークスペースのコラボレーター数は無制限とされています。

連携については、Power-Upの数に上限は無いと明記されています。「There's no limit on the number of Power-Ups a board can have, regardless of your plan.」とあり、プランを問わず1ボードに追加できる数に制限はありません。Trelloの連携一覧ページには「All integrations 233」と表示されており、233件が掲載されています(この数はページ更新にともなって変動しうる性質の数値です)。Enterprise向けのガイドページには「upwards of 200 integrations」との記載があります。多くは無料だが、サードパーティ開発元による有料のものもある、とも書かれています。連携の広さは、Trelloを選ぶ理由として十分に成立する部分です。

Power-Upを有効化できるユーザーの権限範囲(ボード管理者に限られるかどうか)については、公開資料では確認できませんでした。

移す前に、そもそも移す必要があるかを見る

ここまで書き出しの話をしてきましたが、順序としては「移す必要があるか」が先です。書き出しの手順を調べ始めると、移すことが決まったかのように進みがちなので、いったん戻します。

Trelloのままで問題が無いのは、次のような場合です。無料の範囲で足りていて、ワークスペースのコラボレーターが10人以内に収まっている。板の数も10以内で足りている。カードを動かすことが中心で、工程を横に並べて見る必要が薄い。連携させたい外部サービスがあり、Power-Upで解決している。日々の運用が回っていて、誰も困っていない。この条件に当てはまるなら、移す理由はありません。道具を替える作業そのものが、チームの時間を数日単位で奪います。

移す検討が現実になるのは、条件が変わったときです。人が11人目に達した。ボードが10枚を超えた。工程を横に並べて見たいという要望が出たが、そのビューは上位プランの機能として掲載されている。人数分の月額が積み上がってきた。このあたりで、いまの構成を続けるか、別の形にするかの判断が出てきます。

判断の材料として整理すべきなのは、機能の一覧ではなく、料金がどこで区切られているかです。ビューやオブザーバーのように、進行のとりまとめに直結する機能がプランで区切られていると、「必要な人にだけ使わせる」ができません。全員分の席が同じプランになるからです。板の考え方の違いと、料金の区切り方の違いを並べて見たい場合はTrelloとの比較にまとめてあります。乗り換えの是非というより、どういう使い方ならそのままがよいのかから書かれています。

板の持ち出しやすさを、移行先の候補ごとにどう比べるか

書き出しの仕様を調べた人が次に見るのは、移行先の候補です。ここでは、比較のときに見るべき軸を先に置いてから、候補ごとの位置づけを整理します。

見るべき軸は3つに絞れます。1つ目は、料金がどこで区切られているか。機能ごとにプランが分かれていると、必要な1機能のために全席のプランが上がります。2つ目は、取り込みの範囲。書き出したファイルをどこまで読めるかで、移行の手間が数時間か数日かに変わります。3つ目は、移行後に入力する人が増えるか。とりまとめる人が1人で更新し続ける構図が変わらないなら、道具を替えても結果は変わりません。

タスクの粒度を細かく管理する型のツールは、担当と期限の管理に強い一方で、機能が多いぶん設定と教育に時間がかかります。導入したあとに使う人が絞られてしまう構図は、道具の良し悪しとは別に起きます。Asanaとの比較では、機能の多さと使い続けやすさのバランスをどう見るかを扱っています。

文書とデータベースを兼ねる型の道具は、自由度が高く、板も表も文書も同じ場所に置けます。その代わり、チーム全員が同じ形で入力し続けられるかが分かれ目になります。自由に作れることと、運用が続くことは別です。Notionとの比較に、自由度と運用の関係が整理されています。

多機能な管理基盤として設計されたツールは、進行管理を含む広い範囲をカバーします。その分、初期の設計に時間がかかりやすく、小さなチームでは使わない機能の割合が高くなります。monday.comとの比較では、必要な機能と使わない機能の切り分け方を扱っています。

日本の開発現場で使われてきた課題管理型のツールは、課題と工程の連動やリポジトリ機能に強みがあります。開発以外の業務を同じ場所で回すかどうかで評価が変わる部分です。Backlogとの比較に、この使い分けが書かれています。ここは正直に書いておくと、この記事を出している側の道具にはリポジトリ機能がありません。ソースコードの管理まで同じ場所でやりたいなら、そちらのほうが噛み合います。

国内発のボード型ツールとの違いは、機能の有無より、料金の区切り方と画面の考え方に出ます。Jootoとの比較で、その差の見方を整理しています。候補を横に並べて見たいなら、比較の一覧から入るのが早いです。

書き出しの観点から見たときに効いてくるのは、やはり料金の区切り方です。CSVで書き出せるかどうかがプランで決まるように、進行のとりまとめに要る機能が上位プランに置かれていると、判断が稟議の話に変わります。機能で絞らず、区切るのは人数とボードの数だけという設計であれば、「まず1つ板を作って試す」ができます。何がどのプランで使えるかは料金で確認できます。板でできることの範囲はできることにまとめてあります。

こちら側の制約も同じように書いておきます。自動で取り込めるのはTrelloからだけで、他のサービスからの自動移行は用意されていません。自動化と外部連携の広さでは勝負しておらず、Power-Upのような数百件規模の連携一覧はありません。画面は日本語のみで、多言語での運用には向きません。移行の範囲や対応状況について出やすい疑問はよくある質問に集めてあります。

最後にもう一度、順序を整理します。書き出しの手順を調べるより先に、いまの板で何が困っているかを1つに絞ることです。困っていないなら、書き出しは記録の保管として年に1回やれば十分です。困っているなら、その困りごとが道具を替えると本当に消えるのかを確かめます。そのうえで移すと決めたときに、この記事のチェック項目に戻ってきてください。JSONとCSVで扱いが違うこと、直近1,000件という区切りがあること、アーカイブとコメントが形式によって落ちること。この3点を先に押さえておけば、書き出した後で「入っていない」と気づく事態は避けられます。

Q1. TrelloのエクスポートはJSONとCSVのどちらを選べばよいですか?

用途で分けるのが確実です。コメントを含む経緯を残したいならJSONです。公式にはすべてのボードメンバーが書き出せると記載され、直近1,000件のアクション(コメントを含む)が対象とされています。一覧や集計として表計算ソフトで扱いたいならCSVですが、Premiumワークスペースが対象で、アーカイブ済みカードとコメントは含まれません。両方出しておくのが安全です。

Q2. 無料プランでもTrelloのボードを書き出せますか?

JSON形式であれば、公式サポート記事に「すべてのボードメンバーがボードをJSONで書き出せる」と記載されており、プランの限定は書かれていません。一方でCSV形式は「Premiumワークスペースのボードが対象」と明記されています。ワークスペース内の全ボードを一括で書き出す機能もPremiumの記載で、実行はワークスペース管理者に限られます。

Q3. 書き出したJSONやCSVから、Trelloのボードを元通りに復元できますか?

できないと公式に記載されています。「It is not currently possible to import JSON or CSV formats to re-create a Trello board」とあり、これらの形式からボードを再構成する取り込みは現時点では用意されていません。書き出しファイルはバックアップとしての復元用ではなく、中身を読むため、または別の場所へ持っていく材料として扱うのが正確です。

Q4. 移行のときに、いちばん抜けやすいのは何ですか?

コメントと添付ファイル、そしてカードの並び順です。コメントはCSVに含まれず、JSONでも直近1,000件のアクションという枠の中で数えられます。添付は、ワークスペース単位の書き出しに実体を含める選択肢が記載されています。並び順に優先度などの意味を持たせている場合は、移行前にラベルや番号として明示しておかないと、その判断が移行先に残りません。

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