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トラブル報告書のテンプレートを探している時点で、手元にはもう起きてしまった出来事があり、提出の期限が迫っているはずです。枠を手に入れれば書けるように見えますが、多くの場合、詰まっているのは枠ではありません。
先に結論を書きます。トラブル報告書は、起きた事実と、それに対して取った対応を、別の欄に分けた形で作ります。この2つを1つの文章に混ぜて書いた報告書は、読んだ相手が「結局いま何がどうなっているのか」を掴めず、必ず質問が返ってきます。欄を分けるだけで、差し戻しの大半は消えます。
本記事では、社内外別の書き方や即活用できるテンプレートを詳しく解説します。読めば、トラブル発生時でも迷わず正確な報告が可能になります。 出典: journal.bizocean.jp
この記事では、報告書に必ず入れる項目から始めて、そのまま写せる型、社外向けに出すときに変えるところ、書き上げるまでの手順、無料で配られているテンプレートの選び方、差し戻される報告書に共通する欠け、そして報告書を1枚で終わらせずに対応の進行へ繋ぐ方法までを順に扱います。
報告書が求められる場面は、大きく3つに分かれます。納品物に不具合が見つかったとき、納期に間に合わなかったとき、そして情報の取り扱いで問題が起きたときです。この3つは原因も影響範囲もまるで違うのに、多くの会社では同じ書式で提出させています。書式が現場に合わないまま使われ続ける理由の1つがここにあります。
もう1つの理由は、報告書を書く人と読む人の関心がずれていることです。書く側は「自分の落ち度をどう説明するか」に意識が向きます。読む側が知りたいのは、いま被害が止まっているか、他にも同じことが起きる場所があるか、いつまでに元へ戻るのか、この3点です。この関心のずれが、枠を探しても解決しない理由になっています。
呼び名も場面ごとに分かれています。経緯報告書、顛末書、不具合報告書、障害報告書、インシデントレポート。どれも「起きたことを関係者へ伝える文書」という点では同じですが、提出の相手と時点が違います。この違いは後の節で整理します。
書式が固まらないなら、自分の手元で1つに決めてしまうのが早いです。3種類の場面で同じ枠を使い回せる形にしておくと、次に起きたときに書式を探す時間が要りません。以下で示す型は、その使い回しを前提に組んであります。
大前提として、報告書の提出が遅れることのほうが、報告書の出来が悪いことより深刻に受け取られます。完成を待つより、確定した範囲だけで先に1報を出す。この順番を崩さないでください。
報告書の核心はここです。1つの段落の中で「システムが止まったので担当者が確認したところ設定の誤りがあり、修正して復旧しました」と書いてしまうと、読む側は事実と判断と対応を自分の頭で分解し直す必要があります。この分解を相手にさせないのが、報告書の仕事です。
分ける基準は単純です。誰が見ても同じように観測できることが事実、こちらが選んで動いたことが対応です。「9時15分に画面が表示されなくなった」は事実です。「設定を戻した」は対応です。「原因は設定の誤りだと考えられる」は判断であり、事実の欄には入りません。
この3つを混ぜないために、欄を3つ用意します。時系列で起きたことを並べる欄、取った対応を並べる欄、そして現時点での見立てを書く欄です。見立ての欄を別に置いておくと、後から原因が違っていたと分かっても、事実の記述を書き直す必要がありません。訂正が1つの欄で済みます。
主観を混ぜないという原則は、多くの解説で共通して挙げられています。
経緯報告書の書き方は、主観を排除して5W1Hに基づき、事実を時系列で整理するのが基本です。トラブル解決前に現状を素早く報告することで、二次被害を防ぎ信頼回復へつなげられます。 出典: journal.bizocean.jp
ただし「主観を排除する」を「言い切らない」と取り違えないでください。見立ての欄では、確度を添えて言い切ります。「設定の誤りが原因と見ています。同じ設定を使っている箇所が他に2件あり、こちらも確認中です」と書くほうが、「原因を調査中です」だけで終わるより、読む側は次の判断ができます。
もう1つ、時刻の扱いに気を付けます。事実の欄に入れる時刻は、記録に残っているものだけにします。記憶で「たしか10時ごろ」と書くと、後で記録と食い違ったときに報告書全体の信用が落ちます。記録が無い時刻は、「連絡を受けた時点」のように、確認できる出来事で置き換えます。
項目は9つで足ります。これより増やすと書き上がるまでの時間が伸びて、提出が遅れます。
宛先と提出日、そして作成者です。誰に向けた文書かが決まらないと、書く粒度が決まりません。社内の上長へ出すものと、取引先へ出すものでは、書く量がまるで変わります。
件名です。何が起きたかが1行で分かる形にします。「システム障害について」では何も伝わりません。「請求データの取り込みが停止した件」のように、対象と症状を入れます。
発生の時点と、判明の時点です。この2つを分けて書きます。起きた時刻と、気づいた時刻がずれている場合、そのずれ自体が重要な情報になります。ずれが大きいなら、検知の仕組みに問題があるということです。
影響の範囲です。誰に、何が、どの程度及んだかを書きます。ここは推測を入れず、確認できた範囲だけを書き、確認中の部分は「確認中」と明記します。範囲を小さく見せようとして曖昧に書くと、後から広がったときに二重に責められます。
時系列の記録です。起きたことを時刻順に並べます。1行1事象にして、判断や感想を混ぜません。
取った対応です。誰が何をしたかを書きます。すでに終わったことと、いま進んでいることを分けます。
現在の状態です。止まっているのか、動いているのか、制限付きで動いているのか。読む側が最も早く知りたいのはここなので、報告書の前半に置く構成にしても構いません。
原因の見立てです。確定しているなら確定と書き、していないなら確度を添えて書きます。
そして再発を防ぐ手立てです。ここは「気を付けます」で終わらせないのが要点です。人の注意に頼る対策は、同じことが起きます。手順を変えるのか、確認する人を増やすのか、機械が止める仕組みを入れるのか。どれかを具体的に書きます。
自分で作る場合の枠を置いておきます。上から順に埋めるだけで提出できる形にしてあります。
| 欄 | 書く内容 |
|---|---|
| 宛先 | 提出先の部署名と役職 |
| 提出日 | 提出する日付 |
| 作成者 | 所属と氏名、連絡先 |
| 件名 | 対象と症状が1行で分かる形 |
| 発生日時 | 記録で確認できた時刻 |
| 判明日時 | 気づいた時刻。発生とずれていれば両方 |
| 影響範囲 | 誰に何がどこまで。確認中は明記 |
| 現在の状態 | 停止・復旧・制限付き稼働のどれか |
| 時系列 | 1行1事象。判断を混ぜない |
| 対応内容 | 終わったことと進行中を分ける |
| 原因の見立て | 確度を添える。確定なら確定と書く |
| 再発防止 | 手順か仕組みの変更で書く |
| 今後の予定 | 次の報告をいつ出すか |
最後の「次の報告をいつ出すか」を入れておくのが実務上の要点です。ここが書かれていないと、読んだ相手は不安なまま待つことになり、催促の連絡が来ます。「本日17時に第2報を出します」と書いておけば、その時刻までは問い合わせが来ません。
この枠は1枚に収まります。複数ページにまたがる報告書は、前半だけ読まれて後半が読まれません。詳しい調査結果を付ける場合は、1枚目を要約にして、詳細は別紙に回します。
時系列の欄は、表の中に押し込まずに別の段落として並べるほうが読みやすくなります。書き方は「時刻、主体、起きたこと」の順で固定します。「9時15分、利用者から表示されないとの連絡。9時20分、担当者が画面を確認し再現。9時35分、設定の差分を発見」のように、1行を短く切ります。1行が長くなると、読む側が事象の区切りを見失います。
欄を埋めながら気づくのは、書けない欄があることです。書けない欄は、その時点で分かっていないことです。空欄のまま出すのではなく「未確認」と書き入れます。空欄は読む側に「書き忘れたのか、分からないのか」を判断させてしまい、確認の連絡が発生します。
そして、埋めた後に不要な欄を消さないでください。使わなかった欄が残っていても、読む側は困りません。消してしまうと、次に使うときに枠が痩せていきます。同じ枠を繰り返し使えることが、型を持つ最大の利点です。
取引先や顧客へ出す場合、社内向けの枠をそのまま使うわけにはいきません。変えるところは4つあります。
1つ目は、謝罪の位置です。社内向けでは冒頭に事実を置きますが、社外向けは冒頭に一言のお詫びを置いてから事実に入ります。ただし謝罪を長く書かないでください。文面の大半が謝罪で埋まっている報告書は、事実を隠しているように読まれます。お詫びは冒頭と末尾に1文ずつで足ります。
2つ目は、社内の事情を書かないことです。担当者の氏名、どの部署の判断が遅れたか、社内での責任の所在。これらは社外向けの文書に入れません。「弊社の確認体制に不備がありました」と組織として引き受ける形にします。個人名を出すと、相手はその個人を責める材料として受け取ってしまいます。
3つ目は、原因の書き方です。確定していない原因を社外向けに書くと、後から訂正することになります。訂正は信用をもう一段落とします。確定していないなら「現在調査中で、判明次第あらためてご報告します」と書き、報告の期日を明示します。
4つ目は、相手が取るべき行動を明記することです。相手側で確認してほしいことがあるなら、それを最初のほうに書きます。「お手元のデータに欠落がないかご確認ください」のような依頼が本文の最後に埋まっていると、読まれません。
社外向けと社内向けを1つのファイルで作ると、社内の記述が残ったまま送る事故が起きます。最初から2つ作るのが確実です。手間はほとんど変わりません。
なお、金額の補償や契約の扱いに踏み込む文面は、報告書とは別に分けます。報告書は事実と対応を伝える文書で、条件の交渉は別の場で行うものです。ここを混ぜると、報告書が交渉の材料として引用され、書いた内容に縛られます。
順番を決めておくと、書く速さが変わります。多くの人は件名から書き始めて詰まりますが、件名は最後に付けるほうが速いです。
最初にやることは、記録を集めることです。連絡のやり取り、作業の記録、画面の写し。この段階で時刻が付いているものだけを取り出します。記憶で補う部分は、後で「記録なし」と印を付けて扱います。ここに20分を使う想定で構いません。
次に、時系列を並べます。集めた記録を時刻順に1行ずつ並べるだけです。文章にせず、箇条書きのまま置きます。この並びを見ると、説明の抜けている時間帯が見えてきます。
3つ目に、対応を抜き出します。時系列の中から、こちらが動いた行だけを別の欄へ移します。移したあと、時系列の側にも残しておいて構いません。同じ事象が両方に出るのは問題になりません。
4つ目に、影響範囲を確定します。ここは推測で埋めず、確認できていない部分を確認中と書きます。確認に時間がかかるなら、確認の完了予定を添えます。
5つ目に、原因の見立てと再発防止を書きます。ここだけは考える時間が必要なので、他を埋め終わってから取り掛かります。
最後に件名と冒頭の要約を書きます。中身が全部出来上がってからだと、1行で言い切る内容が自然に決まります。
1枚の報告書を、この順番で90分で仕上げる想定にしておくと現実的です。ただし第1報は違います。第1報は、発生の時点と影響範囲と現在の状態だけを書いて、判明から数時間以内に出します。完成した報告書を待たせるより、確定した範囲だけを早く渡すほうが、相手の判断を助けます。
検索すると、無料のテンプレートが大量に出てきます。WordやExcelの形式で配られているものが多く、そのまま使えるものもありますが、選ぶときに見る点が3つあります。
1つ目は、事実と対応の欄が分かれているかどうかです。「経緯」という1つの大きな欄しか用意されていないテンプレートは、結局そこに全部を混ぜて書くことになります。この記事でおすすめするのは、欄が細かく分かれている形です。欄が多いほうが書くのは楽になります。空欄をどう埋めるかだけを考えればよくなるからです。
2つ目は、自分の会社で実際に起きる場面に合っているかどうかです。製造業の設備トラブルを想定した枠を、納期遅延の報告に使うと、埋まらない欄が半分出ます。埋まらない欄が多いテンプレートは、次から使われなくなります。
3つ目は、編集して自分の型にできるかどうかです。PDFで配られているものは、印刷して手で書く用途以外には向きません。WordやExcelの形式か、社内で使っている文書の仕組みにそのまま貼れる形を選びます。
無料のテンプレートを比較するときに、機能の多さで選ぶ必要はありません。報告書の枠に高度な機能は要りません。むしろ、余計な装飾が入っているものは、社外へ出すときに体裁を整え直す手間が増えます。
注意点として、拾ってきたテンプレートに書かれている例文を、そのまま提出しないでください。例文は一般的な場面で作られているため、自分の状況と食い違う記述が混ざります。例文の言い回しだけを借りて、内容は全部書き直すのが前提です。
そして、一度使ったテンプレートは自社の形に直して保存しておきます。次に起きたときに探し直す時間が消えます。この保存先を、個人のパソコンではなく全員が見える場所にしておくことが重要です。担当者が不在のときにトラブルが起きても、別の人が同じ枠で書けます。
報告書をファイルで添付して送る場面では、メールの本文の書き方でも差が出ます。添付だけを送って本文が「ご報告いたします」の1行になっている形は、相手に開く手間を強いることになります。
本文には要約を書きます。何が起きたか、いま止まっているのか動いているのか、いつまでに元へ戻るのか。この3点を本文に書いておくと、相手は添付を開かずに状況を把握できます。詳細が必要な人だけが添付を開く形が理想です。
件名は、報告書の件名と揃えます。「【ご報告】請求データの取り込みが停止した件」のように、報告であることが分かる印を付けます。急ぎの度合いを伝えたいときは件名で示し、本文の中に埋めないでください。
送信の宛先は、報告の相手を宛先に、関係者を同報に置きます。同報を広く取りすぎると、誰が返事をするのかが曖昧になって対応が止まります。判断してほしい相手は宛先に1人か2人だけ置く形が動きます。
添付のファイル名も揃えておきます。日付と件名を含めた名前にすると、後から探すときに見つかります。「報告書.docx」という名前で送られてきたファイルは、相手の手元で行方が分からなくなります。
第2報以降は、同じやり取りの続きとして送ります。別の件名で新しく送ると、相手は前の内容を探すことになります。続報であることが分かる形で送れば、経過が1つの流れとして残ります。
なお、社外へ送る場合は、送信の前に第三者に読んでもらう時間を取ってください。書いた本人には抜けが見えません。10分でも別の人が目を通すだけで、社内の事情が残っている記述や、数の食い違いが見つかります。
呼び名が違う文書が並んでいて混乱しやすいので、違いを整理します。判断の基準は、提出する時点と、文書の目的です。
経緯報告書は、起きたことの流れを伝える文書です。原因が確定していない段階でも出せます。目的は情報の共有で、責任の確定ではありません。トラブルの最中に出す1報目は、この形になります。
顛末書は、始まりから終わりまでが済んだ後に出す文書です。「顛末」という語が示す通り、結末が書かれていることが前提になります。原因が確定し、対応が完了し、再発防止が決まってから提出します。社内の記録として残る性格が強く、責任の所在に触れる場合もあります。
不具合報告書は、対象が製品やシステムの不具合に絞られた文書です。再現の手順、発生した環境、影響を受ける機能といった、技術的に切り分けるための欄が増えます。開発や保守の担当者が読むことを前提に書きます。
障害報告書やインシデントレポートも、実質は不具合報告書と同じ枠で、業界による呼び分けです。情報の取り扱いに関わる事案では、報告の義務や期限が定められている場合があります。個人の情報が関わる事案では、提出先や期限を自分の判断で決めず、所管の窓口や社内の法務の担当へ確認してください。
順番としては、経緯報告書を先に出し、収束後に顛末書を出す流れが一般的です。1枚で兼用しようとすると、原因が確定するまで提出できず、報告が遅れます。
経緯報告書とは、業務中に起きたトラブルの経緯について関係者へ報告するための書類のこと。経緯報告書の基本的な書き方や社内・社外向けの書き方、テンプレート・フォーマットについて知りたい方もいるでしょう。今回は、経緯報告書の概要や書き方のポイント、メールで送る場合の注意点を紹介します。 出典: welog.jp
提出したのに書き直しを求められる報告書には、決まった欠けがあります。よく出るものを5つ挙げます。
現在の状態が書かれていないことです。経緯は詳しく書かれているのに、いま動いているのかどうかが分からない。読む側が最初に知りたいことなので、ここが抜けていると必ず質問が返ります。
影響範囲が曖昧なことです。「一部のお客様に影響が及んだ可能性があります」という書き方は、読む側に何も伝えません。件数が確定していないなら「確認できたのは12件、確認作業中の範囲は最大で40件」のように、確定と未確定を分けて数で書きます。
再発防止が意識の話で終わっていることです。「今後は確認を徹底します」は、対策として受け取られません。誰が、いつ、何を変えるのかが書かれていない対策は、実行されないと相手も知っています。
時系列に説明の無い空白があることです。11時の次が15時になっていて、その間の4時間に何があったのかが書かれていない。悪い報告を隠していると受け取られる最大の原因がこれです。何もしていなかったなら「連絡待ちで動きがなかった」と書きます。書かないよりずっと良い結果になります。
そして、提出が遅いことです。内容が整っていても、収束から何日も経ってから出てきた報告書は、それ自体が新しい問題として扱われます。第1報を早く出し、確定した情報を追加していく形にすれば、この指摘は起きません。
差し戻しを減らすポイントをまとめると、状態を先に書き、数で書き、対策は手順で書き、空白を埋め、早く出す。この5つです。提出前に自分の報告書をこの5点で見直すだけで、書き直しの回数が変わります。
もう1つ、差し戻しの原因として見落とされやすいものがあります。書いた本人が事実と対応を区別できていない場合です。時系列の欄に「原因を特定した」と書いてあるのに、原因の欄が調査中になっている。この種の食い違いは、読む側から見ると報告書全体が信用できなくなります。提出の直前に、時系列の欄と対応の欄と見立ての欄を横に並べて、同じ出来事の記述が矛盾していないかを確認してください。
そして、報告書を1人で書き上げて出さないことです。対応に関わった人が複数いるなら、時系列の欄だけでも全員に見せます。自分が把握していなかった動きが必ず出てきます。ここで見つかる抜けが、後から相手に指摘される抜けと同じものになります。確認に要する時間は15分程度で、差し戻しの1往復より短く済みます。
報告書を書き上げても、そこに書いた再発防止が実行されないままになる。これが実務でいちばん多い詰まりです。原因は単純で、報告書がファイルとして提出され、その後は誰も開かないからです。
再発防止の欄に書いたことは、その時点で未完了の作業です。担当と期限を付けて、チームが日常的に見ている場所へ移さないと、実行されません。報告書の中に書いてあるだけでは、進捗が誰にも見えません。
ここで役に立つのが、作業を板の上に並べて状態で動かす形の道具です。カンバンでもガントでも、対応中と完了が一目で分かる形になっていれば、報告書に書いた対策が今どこにあるかを確認できます。チームの進行をひとつの板にまとめる道具にどんな機能が揃っているかはできることのページで整理されています。
もう1つの繋ぎ方が、記録の置き場所を決めることです。トラブルの時系列は、やり取りのチャットの中に散らばっていることがほとんどです。後から報告書を書くときに、チャットを遡って時刻を拾う作業に最も時間がかかります。話す場所と残す場所を分けて、確定した事実はその都度、板のカードへ書き足していく。この習慣があるチームは、報告書を書く時間が半分以下になります。
道具を選ぶ段階で迷うなら、いま使っているものとの違いを先に見るのが早いです。付箋を貼る形の板を使っているならTrelloとの比較、文書の作成と情報の集約を1つでやりたいならNotionとの比較で、それぞれ得意な範囲の違いが整理されています。乗り換える必要がない使い方も先に書かれているので、いまのままでよいかどうかの判断にも使えます。
費用の面では、人数とボードの数で区切る料金の形と、機能で段階を分ける形があります。報告書の管理のためだけに上の段階へ上げる必要があるかどうかは、事前に料金のページで確かめておくと判断を誤りません。
最後に、報告書の書式そのものを板の外に置かない工夫を挙げます。トラブルが起きたときに使う枠を、カードの説明欄のひな型として登録しておく方法です。新しいカードを作った時点で欄が並んでいれば、書式を探す時間が要りません。導入の段取りや初期の設定で分からないことが出たときはよくある質問に目を通しておくと、つまずきやすい箇所が先に分かります。
報告書は、書いて出して終わる文書ではありません。書いた内容が実行に移るまでを1つの流れにしておくこと。テンプレートを探す手間より、この繋ぎ方を決めるほうが、次のトラブルのときに効きます。
第1報は判明から数時間以内が目安です。発生の時点、影響範囲、現在の状態の3つだけを書いて、原因が分かっていなくても出します。原因の確定や再発防止を含めた正式な報告書は、その後に出します。完成を待って提出が翌日以降になると、報告の遅れ自体が新しい問題として扱われます。第1報には次の報告をいつ出すかを必ず書き添えてください。
枠としては使えますが、例文はそのまま提出しないでください。選ぶときは、事実の欄と対応の欄が分かれているか、自分の会社で実際に起きる場面に合っているか、編集できる形式かの3点を見ます。PDF形式のものは印刷用途に限られます。一度使ったら自社の型に直して、全員が見える場所へ保存しておくと次から探す時間が消えます。
提出する時点が違います。経緯報告書は原因が確定していない段階でも出せる、流れを伝えるための文書です。顛末書は原因が確定し、対応が完了し、再発防止が決まってから出す、結末まで含めた文書です。トラブルの最中に経緯報告書を出し、収束後に顛末書を出す流れが一般的で、1枚で兼用すると報告が遅れます。
社内の事情を書かないことです。担当者の氏名、どの部署の判断が遅れたか、社内での責任の所在は入れず、組織として引き受ける形にします。冒頭に一言のお詫びを置きますが、長く書かないでください。確定していない原因は書かず、調査中であることと報告の期日を明示します。相手に確認してほしいことは本文の前半に置きます。