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kintoneが使いにくいと感じるとき|合っていないのは道具か、組み方か

2026年9月15日 ・ Pinateca編集部

kintoneが使いにくいという声は、導入してしばらく経ったチームからよく出ます。ただ、その中身を聞いていくと、まったく別の話が同じ言葉で語られていることが分かります。仕様として決まっていて変えられないものと、設計を変えれば解消するもの、それに運用の約束を決めていないだけのもの。この3つが混ざったまま議論すると、道具を替えても同じ不満が新しい画面で再発します。ここでは公開されている制限事項をもとに、何が変えられて何が変えられないのかを切り分けます。

「使いにくい」を、3つに分けるところから始める

不満を集めるとき、そのまま集めても判断材料になりません。出てきた声を、次の3つのどれかに仕分けてください。

1つめは、仕様として決まっていること。提供元が公開している制限事項に書かれているものは、設定では変えられません。回避策を考えるか、外から何かを足すか、その業務だけ別の場所で扱うかになります。

2つめは、組み方で直せること。項目の作り方、一覧の絞り込み、権限の設定、通知の範囲。これらは作り直せば変わります。不満の大半はここに入ります。

3つめは、運用の約束が決まっていないこと。誰がいつ入力するのか、更新されていない記録をどう扱うのか。道具の問題に見えて、実際には決めていないだけ、というものです。

この仕分けをしないまま「使いにくいから替えよう」と進むと、2つめと3つめを抱えたまま移ることになります。移った先でも同じ設計をすれば、同じ不満が出ます。まずは、出てきた声を紙に並べて、3つに分けてください。

声を集めるときのコツもひとつ挙げておきます。「使いにくいところはありますか」と聞くと、答えは抽象的になります。「先週、この画面でいちばん時間がかかったのはどの操作でしたか」と聞いてください。具体的な操作が返ってくれば、そのまま仕分けられます。抽象的な不満のままでは、どこに手を入れればよいかが決まりません。

仕様として決まっていること

変えられないものから確認します。提供元が公開している制限事項のページに書かれている内容です。これを知らずに設計すると、あとから詰まります。

まず、検索の条件です。ANDとORを組み合わせた条件での検索はできない、と明記されています。

ANDとORを組み合わせた条件での検索はできません。 出典: cybozu.com

これは実務でかなり効きます。「AかBの状態で、かつ担当が自分」という条件は、そのままでは作れません。回避するには、条件を分けて2つの一覧を用意するか、判定用の項目をひとつ足して、その項目の値で絞る形に組み替えることになります。後者のほうが運用は楽ですが、項目がひとつ増えます。

次に、文字列の比較です。文字列の1行フィールドやリンクフィールドの値が等しいことを条件に絞り込む場合、先頭の64文字だけが比較されると書かれています。同じ制限は、関連レコード一覧の表示する条件や、ルックアップで値を取得する場合にも当てはまるとされています。長い品名や件名を完全一致で突き合わせる設計にしていると、思ったとおりに絞り込めません。コードの列をひとつ用意して、そちらで突き合わせるほうが安全です。

絞り込みの結果にも癖があります。数値フィールドの値を「以下」の条件で絞り込むと、値が空のレコードがヒットします。日付、時刻、日時のフィールドを「以前」や「より前」の条件で絞り込む場合も同じです。計算フィールドを「以下」で絞り込むと、値が「#N/A!」のレコードもヒットします。この制限は、絞り込み条件を指定できる箇所の全般に当てはまると注記されています。

集計の数字が合わない、という相談の相当部分がここに由来します。「予算が10万円以下の案件」を出したつもりが、予算をまだ入れていない案件まで数に入っている。気づかないまま報告に使うと、あとで説明に困ります。

条件を凝りすぎた場合の挙動も書かれています。レコードの絞り込み条件を多く指定していると、一覧画面からレコードを開けない場合があるとされていて、条件数の上限は指定する条件によって異なると注記されています。作り込んだ一覧が突然開かなくなったら、まず条件を減らして試してください。

項目数の上限もあります。フィールド数の上限値は500個で、多くなると性能に影響が出たり正常に操作できない場合があると書かれています。

端末による制約は、現場の不満に直結する

現場から「使いにくい」と言われるとき、パソコンではなく手元の端末の話であることがよくあります。ここも仕様として決まっている部分です。

制限事項のページには、すべてのタッチデバイスについて、アプリの作成や設定の変更ができないこと、ドラッグアンドドロップの操作ができないことが挙げられています。さらに、レコード一覧画面で各フィールドの横幅を変更できないこと、パソコン版の画面で添付された画像を開いてズームすると、ズームした部分とは別の部分が表示される場合があることも書かれています。

タブレットを配って現場で使う設計にしている場合、入力はできても直せない状態になります。「ここの項目を増やしてほしい」と現場から言われても、その場では対応できず、パソコンのある場所に戻る必要があります。これは道具の欠陥というより、作る作業と使う作業を分ける設計だという理解が要ります。運用としては、直す担当と、その人が使うパソコンを先に決めておくことで解消します。

日付の扱いにも制約があります。iOSのSafariとAndroidのChromeでは、日付や日時のフィールドに101年以上前や101年以上後の日時を指定できないと書かれています。通常の業務ではまず当たりませんが、長期の計画や記念日を扱う場合は確認してください。

iOSのSafariでは、アプリやスレッドのコメント欄に文字を入力できなくなる場合があることも挙げられています。この場合はコメント欄を選択し直せば書き込めると案内されています。現場から「書けない」と言われたときに、この一文を知っているかどうかで対応の速さが変わります。

画像については、ファイルサイズが10MBを超えるものはサムネイルが表示されないとされています。現場が高解像度の写真をそのまま添付すると、一覧が真っ白に見えて「壊れている」と受け取られます。

契約の段によって、できることが変わる

使いにくさの一部は、機能の有無ではなく、契約しているコースに由来します。ここは金額の話なので、現場の努力では解決しません。

公式の料金ページによると、外部サービスとの連携やプラグインなどの拡張機能が使えるのはスタンダードコース以上で、ライトコースには付きません。標準で足りない部分を外から補う設計になっているため、ライトコースでは補う道そのものが閉じます。

工程を帯で見たい、という要望がその典型です。公式のヘルプでは、標準の機能ではガントチャートの作成や表示はできず、カスタマイズやプラグインを適用することで表示できると案内されています。つまり、ライトコースのチームがこの要望を満たすには、まずコースを上げる稟議から始まります。

APIの上限も、コースで変わります。1アプリごとのリクエスト数はライトコースが1日1万、スタンダードコースが1日10万です。外部のシステムと自動で同期させる仕組みを入れたあとに動きが止まるなら、この上限を確かめてください。制限事項のページには、ドメインごとのAPIによる同時アクセス数が100までとも書かれています。

アプリ数の上限はライトコースで200個、スタンダードコースで1,000個、ポータルの追加枚数はスタンダードコースで3枚、ワイドコースで10枚で、ライトコースの欄には記載がありません。

コースを上げるときの費用も先に把握してください。提供元のライセンスの案内によると、年額契約の途中でコースを上げる場合、サービス期間の終了日までの残月数に、上位のコースとの月額の差額と契約ユーザー数を掛けた金額が必要です。20人のチームが半年を残してライトコースからスタンダードコースへ上げるなら、6か月に差額の800円と20人を掛けた96,000円をその時点で払う計算になります。そして年額契約では、期間の途中でコースを下げることはできず、下げられるのは更新時だけです。

組み方で直せること

ここからが本題です。使いにくさの大半は、設計を変えれば消えます。よく見かける4つを挙げます。

1つめ、項目が多すぎる。入力の画面を開いたときに、埋める欄が20個並んでいると、人は埋めません。基準はひとつで、あとで絞り込みたいものだけを独立した項目にすることです。月に一度も絞り込まない情報は、自由記述の欄にまとめて構いません。項目を減らすのは合意が要りますが、増やすより効果が出ます。

2つめ、自由入力が多すぎる。状態を表す欄が自由入力だと、「対応中」「対応中です」「進行中」が混ざります。混ざった時点で集計ができなくなり、「数字が合わない」という不満になります。集計したい項目は、選択肢から選ぶ形にしてください。すでに散っている場合は、値を揃えてから形式を変える作業が要ります。

3つめ、通知が多すぎる。全件の登録を全員に通知する設定にすると、2週間で誰も通知を見なくなります。そうなると、本当に見てほしい通知も届きません。自分が担当になったときと、自分が承認する番になったときの2つに絞るところから始めてください。公式の説明では、自分宛の通知やよく見る通知を分けたり、あとで読むフラグを立てたりできるとされています。

4つめ、権限を細かく分けすぎている。アクセス権はアプリ単位から特定のデータまで、組織単位からひとりのユーザー単位まで設定できます。細かく設定できるということは、細かくしすぎることもできるということです。「なぜこの人に見えないのか」を調べる時間が発生し始めたら、分けすぎています。分けざるをえないものだけを分けて、それ以外は開けておくほうが運用は軽くなります。

もうひとつ付け加えると、一覧が作られていないことも大きな要因です。公式の説明では、条件を絞った一覧を複数用意して、クリックひとつで切り替えられるとされています。とりまとめる立場の人がまず作るべきなのは「自分の担当で、期限が今週のもの」の一覧です。この1つがあるかどうかで、現場の負担感は変わります。使いにくいと言われたら、その人が毎日開く一覧が用意されているかを確かめてください。

契約の数え方が窮屈に感じるとき

金額そのものではなく、契約の数え方が使いにくさとして語られることがあります。ここも仕様なので、先に把握しておくと納得の仕方が変わります。

提供元のクラウドサービスのライセンスに関する案内には、契約ユーザー数や利用ユーザー数はログインする「人」を対象に数えると書かれています。同時接続数や、接続するパソコンの台数ではありません。そして、1つのユーザーアカウントを複数人で共有することはできないと明記されています。

これが窮屈に感じられるのは、たまにしか使わない人がいる場合です。月に2回だけ数字を見る役員も、週に1度だけ入力するパートの方も、ログインするなら1人分です。共有のアカウントを現場に1つ置いて回す、という運用は認められていません。

コースの選び方にも縛りがあります。案内には、契約のコースはサービスごとにひとつだけ指定するもので、利用する人ごとに別々のコースを割り当てる形は取れないと書かれています。つまり「拡張機能を使う3人だけ上の段、残りは下の段」という混ぜ方が作れません。ひとりが必要とした機能のために、全員分の単価が上がる構造です。社外から招く人の契約コースも、本体のコースに合わせる形になると書かれています。

最小の契約人数も効いてきます。公式の料金ページによると、ライトコースとスタンダードコースの最小ユーザー数は10ユーザーです。5人のチームでも10人分を払います。少人数ほど、1人あたりの実質負担は重くなります。

人数を減らすときのタイミングにも制約があります。月額契約なら、新規発注月とユーザー数を追加した月を除いて任意のタイミングで手続きでき、変更を発注した日の翌月1日から適用されます。年額契約の場合、サービス期間の途中でできるのは追加だけで、減らせるのは契約の更新時だけです。人の出入りが読めないうちに年額へ移すと、この制約が窮屈さとして返ってきます。

入力してくれない、という不満の扱い方

とりまとめる立場の人が抱える不満の中で、いちばん重いのがこれです。作った。配った。説明した。それでも入力されない。

この状態を道具のせいにしても解決しません。原因はたいてい3つのどれかです。

1つめ、入力する人に見返りが無い。入れた本人が、入れたことで楽になる実感がなければ続きません。対策は、入力した人が使える一覧を1つ作ることです。「自分の担当で、期限が今週のもの」の一覧があれば、自分の仕事の整理に使えます。集計するためだけに入れさせる設計は、必ず止まります。

2つめ、入力の場所まで遠い。ログインして、スペースを開いて、アプリを選んで、新規作成を押す。この4手が毎回発生すると、面倒になります。よく使うアプリをポータルに置く、通知から直接開けるようにする、といった導線の短縮が効きます。公式は、ポータルにお知らせやよく利用するアプリをまとめて掲載でき、業務の出発点として活用できると説明しています。

3つめ、入力しなくても困らない。これが最も根深い原因です。入力されていない記録を誰も参照していないなら、入れなくても業務は回ります。対策は、その記録を見る場を作ることです。毎週の打ち合わせで、その一覧を画面に出して進める。出していない記録は「無い」ものとして扱う。この運用を数回続けると、入力は始まります。

3つのどれに当てはまるかは、入力していない人に直接聞けば分かります。「使いにくいですか」と聞くと「はい」で終わるので、「先週の分を入れなかったのはなぜですか」と具体的に聞いてください。返ってくる答えが、上の3つのどれかに対応します。

運用の約束を決めていないだけのこと

3つめの分類です。道具の問題として語られがちですが、実際には決めごとが無いだけ、というものがあります。

「情報が古い」という不満は、その代表です。記録を更新する頻度を決めていなければ、更新されません。週に1回、どのタイミングで誰が更新するのかを決めて、その直後に見る会議を置く。それだけで、一覧に出る数字は実態に近づきます。更新を促す通知を増やすより、見る場を作るほうが効きます。

「どこに入れればいいか分からない」という不満は、名前の問題です。項目やアプリの名前が、作った人の言葉になっていることがよくあります。現場が普段使っている言葉に直してください。「案件ステータス」より「いまどこまで進んだか」のほうが、迷いは減ります。

「アプリが増えすぎて分からない」という不満は、畳むルールが無いことから来ます。終わった案件のスペースやアプリをいつ閉じるのかを決めていないと、増え続けます。「終わった案件は翌月末に閉じる」のような一文を決めて、実際に閉じる担当を決めてください。

「作った人しか直せない」という不満は、担当が決まっていないことです。アプリごとに面倒を見る人を名前で1人決めてください。担当が空席のアプリは、半年で誰も触らなくなります。

これらはどの道具に移っても同じように必要になります。移る前にここを直しておくと、移った先での立ち上がりが速くなります。直さずに移ると、新しい画面で同じ不満が出ます。

重くなってきた、という不満の見方

「動きが遅い」という声も、使いにくさとして上がってきます。ここは件数の問題だと思われがちですが、たいていは別の要因です。

提供元の制限事項のページには、登録できるレコード数の上限値は設けていないと書かれています。そのうえで、1つのアプリに100万件を登録した状態で快適に使用できることを確認しているとも明記されています。つまり、通常の業務で件数が原因になることは考えにくい水準です。

同じページには、表示やデータ処理の速度は、絞り込み条件やフィールド数といった利用条件によって異なるという注意も添えられています。速度に効くのは、件数よりも作りのほうだということです。

実際に重くなる典型は3つあります。1つは、項目を増やしすぎた画面。フィールド数の上限は500個ですが、そこに近づかなくても、100を超えたあたりから開くのに待つようになります。2つめは、他のアプリを参照して一覧に表示している画面。参照のたびに引きに行くので、参照の数だけ待ち時間が増えます。3つめは、絞り込みの条件を積み上げた一覧です。

対策は、どれも同じ方向です。1つの画面に載せるものを減らすことです。項目を別のアプリに分ける、一覧に出す列を減らす、条件を単純にする。作り込むほど重くなるのは、自由に作れる道具に共通する性質なので、定期的に削る時間を取るしかありません。

半年に一度、使っていない項目と使っていない一覧を消す日を決めておくと、この問題は溜まりません。増やすのは日々起きるので、減らす日を決めておかないと、片方向にしか進みません。

替えるかどうかを判断する順番

切り分けが終わったら、判断に進みます。順番を間違えないでください。

まず、3つめの運用の約束を直します。ここは費用がかからず、数日で試せます。更新の頻度、見る場、畳むルール、担当。この4つを決めて2週間回してみて、それでも不満が残るかを見ます。

次に、2つめの組み方を直します。項目を減らす、選択肢の形に変える、通知を絞る、一覧を1つ作る。この4つで、体感はかなり変わります。作り直す手間はかかりますが、道具を替える手間よりはるかに軽く済みます。

そのうえで残ったものが、1つめの仕様に由来する不満です。ここまで来て初めて、替えるかどうかの検討に意味が出ます。残った不満を書き出して、候補の道具がそれを解決するのかを、公開されている仕様で確かめてください。

替える検討に入るなら、金額以外に4つを見てください。提供が打ち切られる予定はないか。新規の申し込みが閉じていないか。運営する会社が移っていないか。価格改定の予告が出ていないか。いま使っている側についても、同じ4つを当てます。

この4つで見ると、2026年9月の時点では、提供の打ち切りや新規申し込みの停止に関する発表は確認できません。提供元はサイボウズ株式会社のままで、価格改定の発表も見当たりませんでした。動いているのは問い合わせ窓口の条件です。2026年9月13日からAIによる窓口が正式に始まり、時間帯を問わず応答します。人が出る窓口の受付時間は平日に限られ、午前が10時から12時、午後が13時から17時30分です。窓口を使えるのはシステム管理者だとされています。同じ発表の中で、ライトコースの電話窓口が2026年9月の定期メンテナンスを区切りに閉じることも案内されています。上位の2つのコースでは電話が使えます。

困ったときに電話で聞けるかどうかは、社内に詳しい人がいないチームほど効きます。ライトコースを使っていて、詰まるたびに電話していたなら、この変更は実務に影響します。逆に、検索とチャットで解決できているなら影響はありません。

移るときに、必ず確かめておくこと

検討の結果として移る判断をするなら、移る前に確かめる項目があります。ここを飛ばすと、移った先で別の不満が生まれます。

・いま載っているアプリのうち、実際に使われているのは何個か。使われていないものは移さない ・作り込んだ部分は何か。プラグインや独自の画面に依存している部分は、移した先で同じ形にはなりません ・データをどう持ち出すか。書き出しの形式と、書き出したものが移せる形かを、先に試しておく ・社外の人が入っている場所はどこか。相手側の手間が発生するので、移行の時期を相談する必要がある ・契約をいつまでに解約するか。年額契約はサービス期間の途中で解約できず、終了日を迎えると自動的に解約されると案内されています

この5つのうち、2つめでつまずくチームが多くあります。作り込むほど、移るのが難しくなるからです。これは特定の道具の問題ではなく、自由に作り込める道具に共通する性質です。

だからこそ、最初の切り分けが効いてきます。運用の約束と組み方で直せる不満なら、移る必要はありません。移るのは、仕様として決まっていることが業務と噛み合わないと確かめられたときだけです。

「使いにくい」の正体を、道具の性質として見る

最後に、もう一段引いて見ます。自由に作り込める道具は、その自由の分だけ、決めごとと保守を要求します。項目を自由に作れるということは、項目を決める人が要るということです。権限を細かく設定できるということは、誰に何を見せるかを決める人が要るということです。

この負担を引き受けられるチームにとって、自由は強みになります。業務に合わせて形を変えられるからです。一方、進行を見るだけで手一杯のチームにとっては、決めごとそのものが負担になります。「使いにくい」という言葉の中には、この負担への疲れが混ざっていることがよくあります。

対になる考え方として、機能で絞らず、区切るのは人数とボードの数だけという区切り方があります。段を上げても使える機能が増えない代わりに、決めごとの総量が減ります。自由が小さいということは、設計で悩む余地も小さいということです。自社の業務にぴったり合わせたい要望が強いほど窮屈に感じ、決める人を置けない状況ほど噛み合います。優劣の話ではなく、設計を引き受ける人がいま社内にいるかどうかで答えが変わります。

次に読むとよいものを挙げます。段で機能を分けない場合に何がそのまま使えるのかはできることに、その区切り方の金額は料金にあります。ほかの道具と項目別に突き合わせたものが比較の一覧で、国産の道具との差はBacklogとの比較、板を並べる形との差はTrelloとの比較、文書を軸に置く形との差はNotionとの比較です。板を持ち込む手順はTrelloからの移行、預けたデータの扱いは安全性の考え方、細かい疑問はよくある質問にまとめてあります。

不満を仕分けるところから始めてください。紙に並べて3つに分けるだけで、次にやるべきことの大半は見えます。そのうえで、費用がかからないものから順に手を付ける。道具を替える判断は、それを全部やったあとで十分に間に合います。

Q1. 検索や絞り込みが思ったとおりにできないのは設定の問題ですか?

仕様として決まっている部分があります。提供元の制限事項のページには、ANDとORを組み合わせた条件での検索はできないと明記されています。また、文字列の1行フィールドやリンクフィールドを等しい条件で絞り込む場合、先頭の64文字だけが比較されます。設定では変えられないため、条件を分けて一覧を2つ作るか、判定用の項目を1つ足して絞る形に組み替えてください。

Q2. 集計の数字が合わないのですが、原因は何ですか?

絞り込みの癖が原因のことがあります。制限事項のページには、数値フィールドを「以下」の条件で絞り込むと値が空のレコードもヒットすると書かれています。日付や時刻を「以前」や「より前」で絞り込む場合も同じで、計算フィールドを「以下」で絞ると「#N/A!」のレコードもヒットします。まだ入力されていないレコードが数に混ざっていないかを確かめてください。

Q3. タブレットだけで運用できないのはなぜですか?

提供元の制限事項のページに、すべてのタッチデバイスでアプリの作成や設定の変更ができないこと、ドラッグアンドドロップの操作ができないことが挙げられています。入力や閲覧はできますが、直す作業はパソコンが前提です。現場がタブレットしか持たない場合は、直す担当と、その人が使うパソコンを先に決めておくと詰まりません。

Q4. 使いにくいので別の道具に替えるべきですか?

先に不満を3つに仕分けてください。仕様として決まっていること、組み方で直せること、運用の約束が無いだけのことです。費用がかからない3つめと2つめを直して2週間回し、それでも残った不満が仕様に由来するなら、そこで初めて替える検討に意味が出ます。仕分けずに移ると、同じ設計のまま移るので、新しい画面で同じ不満が出ます。

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