Linearからデータを移す|持ち出せるものと、手で作り直す部分
Linearからデータを移すと決めたとき、最初に確かめるべきなのは移行先の機能ではなく、いまの場所から何を持ち出せるかです。持ち出せる項目と持ち出せない項目がわかれば、手で作り直す作業量が見積もれます。この記事では、公式のドキュメントに記載されている書き出しの仕組みを項目単位で整理し、そのうえで移行をどの順番で進めるかを並べます。作業を始めてから気づくと止まる箇所も、先に示します。
移す前に決めるのは、機能ではなく「どこまで持っていくか」
移行の作業量は、道具の性能ではなく、こちら側の決め方で決まります。過去の全データを持っていく方針と、進行中のものだけを持っていく方針では、作業量が10倍ほど変わります。
公式のドキュメントにも、この考え方に触れた記述があります。移行元と移行先の向きは逆ですが、判断の仕方は同じです。
If there is data that is no longer relevant to your organization’s day to day work, consider whether it needs to be in Linear at all (perhaps a CSV of exported data from long-resolved issues is sufficient). 出典: linear.app
日常の業務にもう関係しないデータは、書き出したCSVを保管しておくだけで足りる場合がある、という趣旨です。
実際、過去に完了した課題を開く頻度は、多くのチームで月に1回あるかどうかです。それを新しい場所に入れ直す作業に3日かけるのは、費用対効果が合いません。移行の方針は、次の3段階で決めるのが現実的です。
・進行中のものは、新しい場所に入れる ・完了して3か月以内のものは、必要に応じて入れる ・それより古いものは、CSVを保管場所に置くだけにする
この3段階を先に決めてから作業を始めると、途中で迷いません。
ワークスペース全体のCSV書き出しで出てくる項目
公式のドキュメントによると、ワークスペースの管理者は、設定画面の管理セクションにある取り込みと書き出しの項目から、課題のデータをCSV形式で書き出せます。非公開のチームを含めるかどうかを切り替える設定も用意されています。この操作は監査ログに記録されるとも記載されています。
書き出されるCSVに含まれる項目は、次のとおりです。
・識別子、チーム、タイトル、説明、状態、見積もり、優先度 ・プロジェクトの識別子、プロジェクト名、作成者、担当者、ラベル ・サイクルの番号、サイクル名、サイクルの開始日、サイクルの終了日 ・作成日時、更新日時、着手日時、仕分け日時、完了日時、取り消し日時、アーカイブ日時 ・期日、親課題、イニシアチブ ・プロジェクトのマイルストーンの識別子、マイルストーン名、SLAの状態
合計で29項目です。進行管理に必要な情報は、おおむね揃っていると見てよい内容になっています。特に親課題の情報が含まれているので、階層の構造を再現する手がかりは残ります。
移行の観点で重要なのは、状態と担当者とラベルが持ち出せることです。この3つがあれば、移行先で「誰の何が、いまどの段階か」を再現できます。逆に、この3つを再現できない移行先を選ぶと、手で入力し直すことになります。
書き出しの権限と、12時間で切れるリンク
作業を始めてから止まる原因として多いのが、権限です。
公式のドキュメントには、ワークスペースのデータを書き出せるのは管理者であり、Enterpriseプランでは所有者に限られると記載されています。つまり、移行の作業を任された人が管理者でない場合、その時点で作業が進みません。
作業に取りかかる前に、誰が書き出しを実行するのかを決めておく必要があります。退職や異動が重なる時期に移行を始めると、権限を持つ人が不在になり、予定が崩れます。
もう1つ、書き出したファイルの受け取り方にも制限があります。
Once the export is ready, we’ll email you a download link. The link expires after 12 hours. 出典: linear.app
準備ができるとメールでリンクが届き、そのリンクは12時間で切れる、という説明です。
これは実務上の注意点になります。金曜の夕方に書き出しを実行して、そのまま週末に入ると、月曜にはリンクが使えません。もう一度実行すれば済む話ですが、作業の予定が1日ずれます。書き出しは、その日のうちにファイルを保管場所に置けるタイミングで実行してください。
一覧画面からの書き出しには、件数の上限がある
全体の書き出しとは別に、個別の一覧画面からもCSVを書き出せます。こちらは件数に上限があります。
Members can export up to 250 issues at a time while Admins (Owners, on Enterprise plans) can export views with up to 2,000 issues. 出典: linear.app
一般のメンバーは一度に250件まで、管理者は2,000件まで、という上限です。同じドキュメントには、ゲストは課題を書き出せないという記載もあります。
この上限があるため、件数の多いチームでは、一覧画面からの書き出しを繰り返す方法は現実的ではありません。10,000件の課題がある場合、管理者でも5回に分ける必要があり、分け方を間違えると重複や漏れが出ます。
件数が多い場合は、全体の書き出しを使って1つのCSVを取り、そのあとで表計算ソフトの側で絞り込むほうが確実です。全体の書き出しに件数の上限の記載は見当たりません。
一覧画面からの書き出しが向いているのは、特定のプロジェクトだけを先に移したい場合や、移行の対象を選ぶために中身を確認したい場合です。用途を分けて使うと作業が整理されます。
プロジェクトとイニシアチブは、別の書き出しになる
課題とは別に、プロジェクトとイニシアチブの一覧もCSVで書き出せます。含まれる項目は課題とは異なります。
プロジェクトのCSVには、名称、概要、状態、マイルストーン、作成者、責任者、メンバー、作成日時、着手日時、目標日、完了日時、取り消し日時、チーム、イニシアチブが含まれます。
イニシアチブのCSVには、名称、説明、詳細、状態、作成者、所有者、目標日、作成日時、着手日時、完了日時、プロジェクト、チーム、健全性、最新の更新、最新の更新日が含まれます。
いずれも、一般のメンバーは一度に200件まで書き出せると記載されています。
注意が必要なのは、プロジェクトの画面にいるときに課題の一覧から書き出そうとすると、プロジェクトではなく課題が書き出されるという点です。公式のドキュメントにもその旨の注記があります。プロジェクトそのものを書き出したい場合は、課題の画面ではない場所から操作する必要があります。
移行先でプロジェクトの階層を再現したい場合、この2つのCSVと課題のCSVを突き合わせる作業が発生します。課題のCSVにプロジェクトの識別子が入っているので、その識別子を鍵にして紐づけ直す形になります。手作業でやるなら、表計算ソフトの参照関数で対応できる範囲です。
書き出せないものを、先に把握しておく
移行の見積もりで効いてくるのは、むしろ書き出せないもののほうです。公式のドキュメントで確認できる範囲では、次の3つが該当します。
1つ目は、チームそのものです。
No, there isn’t a CSV export for teams. If you need to move teams between workspaces, you can import them from one Linear workspace to another. 出典: linear.app
チームのCSV書き出しは無く、別のワークスペースに移す場合は取り込み機能を使う、という説明です。他の道具に移す場合、チームの構成は手で作り直すことになります。ただしチームの数は多くても10個前後なので、作業量としては大きくありません。
2つ目は、添付ファイルの実体です。公式のドキュメントには、CSVの書き出しに添付ファイルは含まれず、課題の説明の中に添付へのリンクが現れる場合がある、と記載されています。設計書や画像を課題に貼り付けて運用していた場合、それらは別途保存する作業が必要です。契約を止めた後はリンクが開けなくなる可能性があるため、この作業は契約が生きているうちに済ませてください。
3つ目は、コメントです。書き出される項目の一覧に、コメントは含まれていません。議論の経緯を残したい場合、別の手段が必要になります。
このうち、移行で最も影響が大きいのは3つ目です。課題の説明には結論しか書かず、なぜそう決めたのかがコメントに残っている運用をしていた場合、移行によって判断の経緯が失われます。重要な議論だけを選んで、説明欄に転記しておくという対処が現実的です。
経緯を残したい場合に使える手段
コメントを含めて持ち出したい場合、CSV以外の経路があります。
公式のドキュメントによると、課題やドキュメントをMarkdown形式で複製する操作が用意されています。この操作では、タイトル、説明、コメント、顧客からの要望を含む内容が構造化された形で取得できると説明されています。一覧やボードの上で複数の課題を選んでから同じ操作を行うと、まとめて取得することもできます。
個別の課題をPDFとして残す方法もあります。課題を開いた状態で印刷の画面を開き、PDFとして保存する形です。このとき、課題上の各操作の時刻表示が相対的な表現から絶対的な表示に切り替わると記載されています。検収や監査で正確な時刻が必要な場合に使える性質です。
どちらも1件ずつ、あるいは選択した範囲ごとの操作になるため、1,000件を対象にするような使い方には向きません。重要な20件から30件を選んで残す、という使い方が現実的です。
まとまった量を機械的に取り出す経路
件数が多く、コメントや履歴も含めて取り出したい場合は、CSV以外の経路を検討することになります。
公式のドキュメントには、データの連携手段として、データ統合の基盤や表計算サービスとの連携が挙げられています。表計算サービスとの連携については、公開されているチームの課題、プロジェクト、イニシアチブに対応すると記載されています。非公開のチームは対象外という点は、移行の設計に影響します。
もう1つの経路がAPIです。同じドキュメントには、課題やプロジェクトなどのデータをAPIから取得できること、およびWebhookでデータを扱えることが記載されています。
APIを使う判断をする場合、確かめるべきは実装できる人が社内にいるかどうかです。移行のためだけに外部に依頼すると、作業が終わった後に誰も内容を把握していない状態になります。件数が5,000件を超えていて、かつコメントを含めて残す必要がある場合にだけ、この経路を検討する価値があります。
それ以外の場合は、CSVで課題の本体を移し、重要な経緯だけを手で拾うほうが、結果的に早く終わります。
手で作り直すことになる部分を見積もる
ここまでの内容から、手作業が発生する箇所を数え上げます。
・チームの構成。10個前後なら30分 ・メンバーの招待と権限の割り当て。40人で1時間ほど。移行先の招待の仕組みによります ・状態の名前の対応付け。移行元の状態と移行先の状態を突き合わせる作業で、1時間 ・添付ファイルの保存。件数によりますが、100件あれば半日は見ておく必要があります ・重要な議論の転記。残す件数を決めてから作業します
なお、メンバーの一覧については、設定画面の管理セクションからCSVで書き出せると記載されています。メールアドレスの一覧が手に入るので、招待の作業はその一覧を使って進められます。この書き出しも、管理者またはEnterpriseプランでは所有者の権限が必要です。
全体として、40人規模のチームで進行中の課題だけを移す場合、2日から3日の作業量が目安になります。過去の完了分まで入れ直す方針にすると、ここに件数に比例した作業が上乗せされます。
状態の名前を、どう対応付けるか
CSVを流し込む作業で最も時間を取られるのが、状態の対応付けです。ここを雑にやると、移行後に「どれが終わっているのか分からない」という状態になります。
移行元の状態は、仕分け前、未着手、着手中、レビュー中、完了、取り消し、といった段階に分かれています。CSVには状態の名前がそのまま入るので、移行先の選択肢と名前を合わせる必要があります。
合わせ方には2通りあります。移行先に同じ名前の選択肢を作る方法と、移行先の既存の選択肢に寄せる方法です。前者は忠実ですが、選択肢が増えて入力する人が迷う原因になります。後者は分かりやすい代わりに、細かい区別が失われます。
推奨は後者です。移行を機に選択肢を4つか5つに整理してしまうほうが、移行後の運用は続きます。未着手、作業中、確認待ち、完了、という4段階を基本にして、業務の性質に応じて1つ足す形が扱いやすい構成になります。
対応付けの表は、表計算ソフトで作ってください。左に移行元の状態、右に移行先の状態を並べた2列の表です。この表を先に作っておけば、置換の作業は数分で終わります。表を作らずに1件ずつ判断すると、同じ状態を違う名前に振り分けてしまい、後から数が合わなくなります。
担当者の対応付けも同じ要領です。CSVに入っているのは移行元での表示名なので、移行先のアカウントと突き合わせる表を作ります。同姓の人がいる組織では、メールアドレスを鍵にして照合するほうが安全です。メンバーの一覧はCSVで書き出せるので、その一覧を使えます。
顧客からの要望を扱っている場合
問い合わせや要望を課題に紐づけて運用している場合、この部分の扱いを別に考える必要があります。
公式のドキュメントによると、顧客からの要望は課題、プロジェクト、顧客のいずれかに紐づいたものをCSVで書き出せます。要望が存在する場合にのみ、その操作が選べるとされています。
移行で問題になるのは、紐づけの構造です。1つの課題に複数の要望が紐づいている場合、移行先に同じ構造が無いと、どこかに寄せることになります。多くの場合、課題の説明欄に要望の内容を追記する形か、コメントとして残す形のどちらかになります。
どちらを選ぶかは、移行後にその情報を誰が見るかで決めてください。開発する人が判断の材料として見るなら説明欄、記録として残すだけならコメントで足ります。
この整理には時間がかかります。要望が300件を超えている場合は、移行の対象を進行中のものに絞ることを検討してください。完了した課題に紐づいた要望を移し直す実益は、多くの場合ほとんどありません。
移行を進める順番
作業の順番を決めておくと、二重に入力する期間を短くできます。
まず、新しく発生する分だけを移行先に入れる運用に切り替えます。進行中の課題は、移行元に残したまま完了させます。この形なら、同じ情報を2か所に書く期間が発生しません。
新しく起きた分だけの運用を2週間続けたら、進行中のもののうち期限に余裕のあるものから順に移していきます。期限が目前に迫っているものは移さず、元の場所で完了させてください。移動の途中で状態が変わると、どちらが正しいのか判断できなくなります。
過去の完了分は最後に扱います。多くの場合、書き出したCSVを保管場所に置いておけば足ります。
この順番で進めると、全員が新しい場所を見る状態に切り替わるまでにおよそ1か月かかります。急いで1週間で全部を切り替えようとすると、進行中の案件の状態が2か所に分かれ、問い合わせが増えます。
切り替えの過程で、1つだけ全員に伝えるべきことがあります。いつからどちらを見るのか、という日付です。これが曖昧だと、人によって見ている場所が違う状態が続きます。「来週の月曜から新しい場所だけを見る」と日付で伝えると、その日を境に全員の動きが揃います。
伝えるときに操作方法の説明は要りません。必要なのは、どの画面を毎朝開くか、進捗を聞かれたらどこを見せるか、という2つだけです。この2つを決めて伝えれば、細かい操作は各自が触りながら覚えます。移行の説明に1時間の会議を設ける必要はなく、文章5行で足ります。
契約を止めるのは、確認が全部終わってから
最後に決めるのが、移行元の契約をいつ止めるかです。ここを急ぐと取り返しがつきません。
止める前に確認することは3つです。書き出したCSVが保管場所に置かれていて、開けること。添付ファイルの保存が終わっていること。進行中のものがすべて移っているか、元の場所で完了していること。
この3つが済んでいない状態で契約を止めると、データを取り出す手段が無くなります。書き出しのリンクが12時間で切れる仕組みである以上、止めた後に慌てて取りに行くことはできません。
余裕を見るなら、全員の移行が終わってから1か月は契約を残しておくのが安全です。過去のデータを参照する必要が出たときに戻れる状態を保っておくと、移行の判断そのものへの社内の抵抗も減ります。
移行の途中で起きやすい詰まり方
実際に手を動かし始めてから出てくる問題を、先に挙げておきます。
1つ目は、書き出したCSVの文字コードです。表計算ソフトで開いたときに日本語が崩れる場合、読み込みのときに文字コードを指定し直せば直ります。崩れたまま移行先に流し込むと、後から全件を直すことになるので、開いた時点で必ず確認してください。
2つ目は、説明欄の改行です。課題の説明には複数行のテキストが入っているため、CSVの1つのセルの中に改行が含まれます。この状態のファイルを扱いに慣れていないツールで開くと、行がずれます。列の数が想定と合わない場合は、まずここを疑ってください。
3つ目は、日付の形式です。書き出される日時は国際的な表記になっているため、移行先が別の形式を期待している場合は変換が必要です。表計算ソフトの関数で一括変換できる範囲ですが、6列ほどある日時の列すべてに同じ処理をかける必要があります。
4つ目は、担当者が退職している場合です。CSVには当時の担当者名が入っていますが、その人が移行先にいない場合、割り当て先がありません。移行の前に「退職者が担当のまま残っている課題」を抽出して、担当を付け替えるか対象から外すかを決めておくと、作業が止まりません。
これらはいずれも、作業を始めてから気づくと手戻りになります。最初の10件だけを試しに流し込んで、問題が無いことを確かめてから残りを進めるのが安全です。
移行先を選ぶときに確かめること
移行先の候補については、料金だけで決めないでください。サービスの終了、新規受付の停止、運営会社の変更、料金体系の改定という4点を、公式の情報で確かめる必要があります。移行の直後にこのいずれかが起きると、もう一度同じ作業をすることになります。
参考として、移行元についても同じ確認をしておくと、判断が対等になります。2026年9月時点でLinearの公式サイトを確認した範囲では、サービス終了の告知は見当たらず、料金ページから登録を始められる状態で新規の受付は継続しています。運営する会社が変わったことを示す記載は、公開されている資料の中には見当たりませんでした。料金体系は無料、Basic、Business、Enterpriseの4段階で、Enterpriseは年払いのみと表示されています。
移行先の候補について確認するときは、もう1つ見るべき項目があります。取り込みの仕組みです。CSVから取り込めるのか、特定の道具からしか自動で取り込めないのかによって、作業量が変わります。自動で取り込める移行元が限られている道具では、CSVを手で整形してから流し込む作業が発生します。
移行先を比べる軸を、3つに絞る
候補を並べる段階では、見る軸を絞ると判断が速くなります。
1つ目は、作業の単位です。課題という単位のまま移すのか、案件や板という単位に組み替えるのか。組み替える場合、CSVの項目をそのまま流し込むことはできず、対応付けの設計が必要になります。板とカードで回す形に組み替えるとどうなるかはTrelloとの比較に整理してあります。案件と担当の割り当てを軸に置く形との違いはAsanaとの比較、国内の開発現場で使われている道具との対比はBacklogとの比較にまとめています。他の候補も含めて見たい場合は比較の一覧が早道です。
2つ目は、料金の決まり方です。プランの区切りが機能で引かれている場合、上のプランにある機能が1つ必要になった時点で、全員分の単価がまとめて上がります。区切りの引き方が機能で絞らず、区切るのは人数とボードの数だけであれば、その跳ね上がりは発生しません。実際の金額は使いたい機能の位置で変わるので、料金のページを各社の料金ページと並べて確かめてください。移行先で何ができるかはできることに一覧があります。
3つ目は、取り込みの手間です。移行の段取りの考え方はTrelloからの移行にまとめています。ここで正直に書いておくと、自動で取り込める移行元が1つに限られている場合、他の道具からはCSVを整形して手で流し込む形になります。この工数を見積もりに入れておいてください。社外の相手を含むデータを扱う場合の考え方は安全性の考え方、移行中に出やすい疑問はよくある質問に整理しています。
持ち出せるものと持ち出せないものを先に把握しておけば、移行は見積もりの立つ作業になります。手を動かす前に、この記事の項目を1つずつ確かめてください。
最後に、移行そのものを機会として使う考え方を書いておきます。移行元の課題を全部そのまま持っていくと、そこに溜まっていた不要な情報も一緒に移ります。2年前から止まったままの課題、担当者が退職して誰も引き継いでいない案件、決着したのに閉じられていないもの。こうしたものを移すと、新しい場所も同じ状態になります。
移行の作業を進めるときに、対象を選ぶ工程が必ず入ります。その工程で、止まっているものを一度閉じる判断をしておくと、新しい場所は必要なものだけから始まります。500件あった課題が120件に減ることも珍しくありません。移す件数が減れば、作業量もそのぶん軽くなります。
選ぶ基準は簡単で、直近3か月で一度も更新されていない進行中の課題は、いったん閉じてよいと考えて構いません。本当に必要なものは、閉じた後に誰かが言ってきます。言われなければ、それは不要だったということです。
Q1. LinearからCSVでどこまで書き出せますか?
公式のドキュメントによると、ワークスペース全体の書き出しでは、識別子、チーム、タイトル、説明、状態、見積もり、優先度、プロジェクト、作成者、担当者、ラベル、サイクル、各種の日時、期日、親課題、イニシアチブ、マイルストーン、SLAの状態など29項目が出力されます。状態と担当者とラベルが持ち出せるため、進行の再現に必要な情報はおおむね揃います。
Q2. 書き出しは誰でも実行できますか?
できません。公式のドキュメントには、ワークスペース全体の書き出しは管理者が実行でき、Enterpriseプランでは所有者に限られると記載されています。一覧画面からの書き出しは一般のメンバーが一度に250件まで、管理者は2,000件までで、ゲストは書き出せません。作業を始める前に、誰が実行するかを決めておく必要があります。
Q3. 書き出せないものは何ですか?
公式のドキュメントで確認できる範囲では3つあります。チームそのもののCSV書き出しは用意されていません。CSVには添付ファイルの実体が含まれず、説明欄にリンクが現れる場合があるとされています。コメントも出力項目の一覧に含まれていません。経緯を残したい場合は、Markdownでの複製やPDFでの保存を併用してください。
Q4. 書き出したファイルはいつまでダウンロードできますか?
公式のドキュメントには、書き出しの準備ができるとメールでリンクが届き、そのリンクは12時間で切れると記載されています。金曜の夕方に実行して週末をまたぐと使えなくなるため、その日のうちに保管場所へ置ける時間帯に実行してください。切れた場合は、もう一度実行すれば新しいリンクが発行されます。