Miroの代わりを探すとき|手放してよい機能を先に決める
Miroの代わりを探し始めたとき、いちばん危ないのは「同じことが全部できる別の道具」を探すことです。そういう道具は存在しないか、あっても同じくらいの値段になります。代わりを見つける近道は、いま自分たちが実際に使っている機能を数えて、手放してよいものを先に決めることです。この記事では、公式の料金ページで確かめられる内容を並べたうえで、どの用途なら置き換えられて、どの用途なら置き換えにくいのかを切り分けます。
代わりを探し始める理由は、ほぼ3種類に収まる
とりまとめをしている人が別の道具を検討し始めるきっかけは、いくつかの型に分かれます。理由が違えば、選ぶべき代わりも変わります。
1つ目は、人数が増えて費用が読めなくなったときです。1人あたりの課金なので、関わる人が増えるほど素直に増えます。とくに、月に数回しか開かない人の分まで払っている状態に気づくと、見直しの動機になります。
2つ目は、使う人が偏っているときです。自由に置けるキャンバスは、慣れている人にとっては速い道具ですが、慣れていない人には「どこに何を書けばいいのか分からない」場所になります。結果として、一部の人だけが書き、他の人は見るだけになります。進行を預かる立場からすると、これはいちばん困る状態です。書いてある内容が実態を反映しているかどうかを、書いた人以外が判断できません。
3つ目は、進行の記録として使いにくいときです。会議のたびに付箋が増え、決まったことがキャンバスのどこかに埋まっていく。次の週に開いたとき、前回どこまで進んだのかを追うのに時間がかかる。この状態が続くと、ボードは会議の場ではあっても、進行の台帳にはなりません。
4つ目として、社外との共有のしかたに困っているケースもあります。取引先に見せるために、そのつど画像に書き出して送っている、あるいは閲覧用のリンクを作ってから中身を確認している。こうした手当てを毎回しているなら、それは道具の使い方ではなく、社外との共有の設計が足りていない状態です。誰に、どの範囲を、どの期間見せるのかを先に決めてから道具を選ぶと、候補が絞りやすくなります。
自分たちがどの理由で探しているのかを最初に言語化してください。1つ目なら、料金体系が違う道具を探すのが正解です。2つ目なら、入力の自由度が低く、書く場所が決まっている道具のほうが合います。3つ目なら、状態と期限を持てる道具に移す話になります。3つとも別の答えになるので、理由を混ぜたまま比較を始めると決まりません。
無料でどこまで残るのか、有料でいくらかかるのか
判断の土台として、現在の料金を押さえておきます。以下は公式の料金ページで2026年9月11日時点に確認できた内容です。表示は米ドルで、年払いを選んだ場合の1人あたりの月額です。公式ページには年間請求なら月払いより20%お得と案内されています。税の扱いはページ上で確認できなかったため、契約時に確かめてください。プランと金額は改定されるので、最新の内容は必ず公式ページで見てください。
| プラン | 月額(1人あたり・年払い) | 編集できるボード | 主な区切り |
|---|---|---|---|
| Free | $0 | 3件 | 非公開ボード不可、高解像度の書き出し不可 |
| Starter | $8 | 無制限 | ビジター編集、スペース、タイマーと投票 |
| Business | $20 | 無制限 | 無制限のゲスト、データテーブル、プランナー、依存関係 |
| Enterprise | 要問い合わせ | 無制限 | 30名から、地域別のデータ保管、SCIM |
無料プランの区切り方には注意が要ります。ボードそのものは無制限に作れますが、編集できる状態で残るのは最新の3件だけです。
ボードを無制限に作成・共有できます。最新の 3 件のみ、編集可能なまま残ります。 出典: miro.com
つまり、4件目を作った時点で1件目が読めるだけの状態になります。過去の内容が消えるわけではありませんが、直せなくなります。無料で使い続けているチームが「なぜか古いボードが編集できない」と感じるのは、この仕様です。あわせて、無料では非公開のボードが作れず、書き出しは低解像度に限られ、ビジターは閲覧だけになります。
Starterは8ドルで、ここから非公開のボードが無制限になり、ログイン不要のビジターが編集できるようになります。ファシリテーションのためのタイマーと投票、高解像度での書き出し、手動でのボードのバックアップもこの段からです。
Businessは20ドルで、ゲストが無制限に招けるようになり、データテーブル、プランナー、依存関係、操作できるプロトタイプが加わります。JiraやAsana、ClickUp、Azureとの双方向の同期、シングルサインオン(SSO)もこの段です。Enterpriseは金額が公開されておらず、公式ページには30名からという記載があります。データの保管地域としてEU、米国、オーストラリア、日本が選べると案内されています。
支払い方法にも条件があります。公式ページによれば、請求書払いは年払いのみで、Starterは10ライセンス以上、Businessは5ライセンス以上が必要です。しかも請求書払いはすべての国で使えるわけではなく、制度変更の前から請求書で払っていた既存の利用者に限られると書かれています。経理の都合で請求書払いが必須の会社では、ここが検討の前提条件になります。
2026年に入ってからのプランの組み替え
比較を始める前に、相手側で何が動いているかを確かめておくと判断を誤りません。見るべきは、料金の改定、新規受付の停止、提供終了、運営体制の変更の4点です。
料金とプランの組み替えについては、公式のヘルプセンターに記載があります。従来のBusinessプランは2026年6月29日をもって旧プラン扱いとなり、AIワークフローを含む現在のBusinessプランに置き換わりました。同じ時期に、それまで有料の追加オプションだったプロトタイプの機能がBusinessプランに含まれるようになり、無料のベータ提供だったEngageもBusinessプランの機能として取り込まれています。旧プランのまま契約している場合、機能の範囲と金額が新しいプランとは異なるので、自社の契約がどちらなのかを管理画面で確認してください。
機能の入れ替えも起きています。ワイヤーフレームのライブラリはプロトタイピングのライブラリに統合され、これまでに作ったものは動き続けるものの、一部の古い部品とデバイスの枠はツールバーから外れ、今後の更新も行われないと案内されています。
運営体制については、利用規約に記載があります。契約の相手方はRealtimeBoard Inc. dba Miroで、所在地はサンフランシスコと書かれています。発注内容によっては、そこで指定される関連会社が相手方になる場合もあると記載されています。国内の取引先としか契約できない社内規定がある場合、ここは事前に確認しておく項目です。提供終了や新規受付の停止については、公開資料では確認できませんでした。
教育機関と非営利団体、スタートアップ向けの枠についても記載があります。公式ページでは、認定された教育機関の学生と教職員は無料で使え、非営利団体は割引の対象、対象となるスタートアップにはクレジットが提供されると案内されています。自社がこれらに当てはまるなら、一般のプランと比べる前に条件を確認する価値があります。ただし教育向けの枠は、学生の場合2年間という期限があり、チームの人数にも上限が設けられています。
こうした変更は、どの製品でも定期的に起きます。乗り換え先を選ぶときも、価格表だけを見るのではなく、この4点を同じように確かめてください。比較の観点を揃えておきたい場合は比較の一覧に、主要なサービスとの違いを同じ形で整理してあります。
手放してよい機能を、数えてから決める
ここが本題です。代わりを探すときに、いま使っている機能を全部数え上げると、必ず「どれも必要」という結論になります。実際に使われているかどうかを、事実で確かめてください。
やり方は単純です。過去3か月に作られたボードを開いて、そこに置かれている要素の種類を数えます。付箋、図形、線、画像、埋め込み、テーブル、タイムラインといった区分で構いません。数えると、ほとんどのチームで結果は似た形になります。付箋と線と画像で全体の大半を占め、専門的な図形やプロトタイプ、AIの生成物はごく一部です。
もう1つ数えてほしいのが、ボードを開いた人の数です。作った人と、その後に開いた人が同じかどうか。作った人だけが開いているボードは、共同作業の場として機能していません。この種のボードは、個人のメモ帳を高い場所に置いているのと同じなので、代わりを探すときの要件からは外せます。
3つ目が、ボードを開く頻度です。週に1回以上開かれているボードは進行に使われています。作った週だけ開かれて以降は開かれていないボードは、会議の記録です。前者と後者では、必要な道具の性質がまったく違います。
この3つを数えると、手放してよい機能が見えてきます。実際に多いのは、ワークショップ用の高度な機能一式です。投票、タイマー、参加者のアンケート、2×2のマトリクスといった機能は、年に数回のイベントでは強力ですが、日々の進行には使いません。年に数回のために全員分の月額を払っているなら、その用途だけ切り出して考える余地があります。
逆に、手放しにくいのは自由に置ける広い面そのものです。決まった形のない議論を、決まった形のない置き方で残す。この体験は、構造の決まった道具では再現できません。ここを使っている頻度が高いなら、代わりを探すより併用を検討したほうが現実的です。
ボードが増えすぎた状態から、どう抜け出すか
代わりを探す段階になっているチームの多くは、ボードの数がすでに手に負えない状態になっています。移す先を決める前に、ここを整理しておかないと、散らかったまま別の場所に引っ越すことになります。
最初にやるのは、直近90日に一度も開かれていないボードを一覧で出すことです。多くのチームでは、これが全体の半分以上を占めます。開かれていないボードは、内容の良し悪しに関わらず、進行には使われていません。この時点で削除する必要はなく、印を付けて別の場所にまとめるだけで十分です。
次に、残ったボードを3つに分けます。進行を追っているもの、会議の記録として残っているもの、個人が下書きに使っているものの3つです。分けてみると、進行を追っているボードは思ったより少ないはずです。多くの場合、全体の2割程度に収まります。この2割が、移す対象の候補になります。
3つ目に、進行を追っているボードの中身を見ます。付箋に書かれている内容を、担当、期限、状態の3つに分解できるかどうかを確かめてください。分解できるなら、板の形に移せます。分解できないもの、たとえば議論の経過そのものや、位置関係に意味がある図は、移すと情報が落ちます。
この作業には時間がかかります。ボードが100枚あるチームなら、半日は見ておいてください。ただし、この半日を惜しんで全部を機械的に移すと、移した先でもう一度同じ整理をすることになります。しかも、そのときには「新しい道具が使いにくい」という評価が社内に広がっています。
整理の途中で、どのボードを誰が持っているのかも確認しておいてください。退職した人が作ったボードが所有者不明のまま残っていると、書き出しや移行のときに詰まります。所有者の変更は、道具によって管理者の権限が必要になります。
置き換えやすい用途と、置き換えにくい用途
数えた結果をもとに、用途ごとに判断します。
置き換えやすいのは、次のような使い方です。
・案件ごとのタスクを並べて、誰が何をしているかを追っている ・週次で状態を更新して、止まっている項目を洗い出している ・期限の前後関係を線で見せている ・社外の関係者に進捗を共有している
これらはいずれも、形が決まっている情報です。カード、状態、担当、期限という4つの要素で表せるものは、板の形で並べる道具のほうが速く、入力する人の負担も小さくなります。自由なキャンバスにこれを置くと、置き方が人によって変わり、集計ができません。
置き換えにくいのは、次のような使い方です。
・発散の段階で、全員が同時に付箋を貼って、その場で並べ替える ・システムの構成図や業務の流れ図を、専門の図形を使って描く ・画面の試作を作って、触れる形で共有する ・遠隔のワークショップを、投票やタイマーを使って進行する
これらは、自由な面と豊富な部品があることが前提の使い方です。同じことを別の道具でやろうとすると、手間が増えるか、表現が落ちます。
判断に迷うのが、その中間にある使い方です。たとえば、案件の進行を追いながら、そのすぐ横に関係者の相関図や参考画像を置いている場合。情報としては別のものですが、同じ画面にあることに意味があります。この場合は、どちらを主にするかで決めてください。毎日見るのが進行のほうなら、進行を板に移して、参考資料はリンクで繋ぐ形にします。逆に、図そのものを毎日書き換えているなら、移す価値は小さくなります。
現実的な着地は、置き換えやすい用途だけを別の道具に移し、置き換えにくい用途は残す形です。全部を1つにまとめようとすると、どちらかが必ず不便になります。とくに、日々の進行を追う場所と、発散のための場所は、性質が逆なので分けたほうが両方うまくいきます。
併用するときの線の引き方
置き換えやすい用途だけを移すと決めた場合、どこで線を引くかが運用の成否を決めます。線が曖昧だと、同じ情報が両方に書かれ、どちらが正しいのか分からなくなります。
いちばん分かりやすい引き方は、時間軸で切る方法です。決める前の議論は広い面で行い、決まったあとの実行は板で追う。この線は誰にでも説明できます。会議の中で「これは決まったので板に移します」と宣言する習慣を作ると、線が自然に保たれます。逆に、決まっていないことを板に書くと、状態が「未着手」のまま何週間も残り、板全体の信頼が落ちます。
次に分かりやすいのが、粒度で切る方法です。案件全体の地図や、関係者の相関、業務の流れといった全体像は広い面に置き、個々の作業は板に置く。全体像は月に1回程度しか更新されないので、更新頻度の低いものと高いものを分けることにもなります。
やってはいけないのが、人で切る方法です。デザイナーは広い面、営業は板、という分け方をすると、案件の情報が職能ごとに割れます。とりまとめる立場から見ると、全体を見るために2つの場所を行き来し続けることになり、いちばん負担が大きい形です。
線を引いたら、両方に同じ案件名を使ってください。名前が揃っていれば、検索でも会話でも行き来できます。名前を揃えるだけで、連携の仕組みがなくても実務は回ります。案件の番号を先頭に付けておくと、並び順まで揃うので探す時間がさらに縮みます。逆に、自動で同期する仕組みを先に作ろうとすると、同期の設定と例外の管理に時間を取られ、肝心の運用が始まりません。
費用の面では、併用するときこそ人数の割り当てを見直す価値があります。広い面を実際に編集する人は、多くのチームで全体の3割程度です。残りの人は見るだけか、会議のときだけ触ります。全員に編集できる権限を配っている状態から、実際に編集する人だけに絞ると、費用は素直に下がります。誰が編集しているかは、直近90日の更新履歴を見れば判断できます。
試用の期間に何を確かめるか
候補が3つに絞れたら、実際に触って確かめます。試用でやりがちな失敗は、とりまとめる人が1人で全機能を試して「良さそう」と判断することです。これでは、いちばん重要な点が確かめられません。
確かめるべきは4つです。
1つ目は、説明なしで使えるかどうかです。道具にいちばん慣れていない人を1人選び、URLだけ渡して「自分の担当している作業を1つ登録して、終わったら終わりにしてください」と頼みます。5分以内にできるなら合格です。詰まったら、どこで詰まったかを記録してください。この記録が導入後の教育コストの見積もりになります。
2つ目は、更新が続くかどうかです。試用期間の全部を使って、実際の案件を1つ丸ごと乗せて回してください。架空のデータでは意味がありません。2週間回して、2週目にも更新されているかを見ます。1週目だけで止まるなら、本番でも同じことが起きます。
3つ目は、社外の人を呼んだときの体験です。実際に業務委託の相手か取引先を1人招いて、招待メールが届くところから見てもらってください。アカウントの作成が必要か、どこまで見えるか、こちらの他の案件が見えてしまわないか。ここは招いてみないと分かりません。
4つ目は、データを出せるかどうかです。試用の最後に、入れたデータを書き出してみてください。書き出せない道具は、次に移るときに必ず困ります。どの形式で、何が含まれて、何が落ちるのかを実際のファイルで確認しておくと、将来の判断が楽になります。
試用の期間は、機能の多さを確かめる時間ではありません。現場が使い続けるかどうかを確かめる時間です。機能の一覧は公式ページを読めば分かりますが、続くかどうかは実際に回してみないと分かりません。この順番を間違えると、機能表で勝った道具を選んで、誰も使わないという結末になります。
この4つを確かめたうえで、費用を年額に直して比べます。月額の差は小さく見えますが、人数を掛けて12か月分にすると差がはっきりします。社外の人の扱いによっては、同じ人数でも年間の金額が倍近く変わることがあります。
候補を絞るときに見る3つの軸
移す先を選ぶときは、軸を3つに固定してください。候補は3つまでに絞り、同じ軸で比べます。
1つ目は、入力する人が誰かという軸です。とりまとめる人が全員分を代行入力する形なら、道具を替えても負担は減りません。現場の人が自分で触れるかどうかが分かれ目です。触れるかどうかは、機能の多さではなく、開いた瞬間に何をすればいいか分かるかで決まります。試用のときは、いちばん道具に慣れていない人に何も説明せずに開いてもらってください。
2つ目は、社外の人を何人呼ぶかという軸です。業務委託の相手や取引先を呼ぶ場合、その人数が課金の対象になるかどうかで年間の費用が大きく変わります。ゲストの扱いは道具ごとにまったく違うので、必ず確認してください。無制限に呼べる道具もあれば、人数分の課金になる道具もあります。
3つ目は、料金の区切り方という軸です。機能ごとに細かく段を作って上のプランへ誘導する売り方もあれば、機能で絞らず、区切るのは人数とボードの数だけという売り方もあります。前者は小さく始められますが、必要な機能が上の段にあると一気に跳ね上がります。後者は最初から全部使えますが、人数の増え方で費用が決まります。自社がこれから人を増やすのかどうかで、有利な形は変わります。実際にどう区切っているかは料金に出してあります。
軸を決めたら、候補ごとに具体的な比較を見てください。カード型の板から入るならTrelloとの比較が、タスクの割り当てと期限の管理を重視するならAsanaとの比較が近い話をしています。表形式での管理に慣れているチームにはmonday.comとの比較が参考になります。実際に使える機能の一覧はできることにまとめてあります。
社内に説明するときに効く材料
決めたあと、社内の納得を得る段階でつまずくことがあります。とくに、いまの道具を気に入っている人がいる場合、費用の話だけでは反発を招きます。説明の順番を工夫してください。
効果があるのは、数えた事実をそのまま出すことです。直近90日で開かれていないボードが何枚あるか、実際に編集している人が何人いるか、進行を追っているボードが全体の何割か。これらは意見ではなく数字なので、議論が感情に流れません。「使いにくい」「重い」といった印象で話し始めると、必ず反対の印象が出てきて平行線になります。
次に、何を残すのかを先に言ってください。全部を取り上げられると受け取られた瞬間に、話は進まなくなります。発散のための場は残す、年に数回のワークショップはこれまで通り行う、と最初に明言したうえで、日々の進行だけを別の場所に移すという説明にすると、抵抗は大きく下がります。
3つ目に、誰の手間が減るのかを具体的に言います。とりまとめる人の手間が減るだけでは、現場の人には動機がありません。現場の人にとって何が楽になるのかを、実際の作業で示してください。たとえば、週次の報告のために別途集計していた作業がなくなる、といった具体の話です。
費用の説明は最後で構いません。しかも、削減額よりも「何に払っているか」を整理して見せるほうが納得されます。月に数回しか開かない人の分まで払っていた、という事実は、金額の大小に関わらず理解されやすい説明です。
導入を決めたあとは、切り替えの日を1日に固定してください。移行期間を長く取ると、両方に情報が入る期間が生まれ、どちらが正しいのか分からなくなります。1週間の準備期間を取って、ある日から新しい場所だけを見る、という切り方が結局いちばん混乱が少なくなります。
移す前に決めておくと、あとで揉めない3つのこと
最後に、実際に動かす前の準備です。ここを飛ばすと、移した後に必ず揉めます。
1つ目は、いまのボードをどうするかです。全部を移そうとしないでください。動いている案件だけを移し、終わった案件は元の場所に読める形で残すのが安全です。ただし無料プランに落とすと編集できるボードが最新の3件だけになるため、契約を落とす予定があるなら、必要なものは先に書き出しておく必要があります。何が持ち出せて何が持ち出せないのかは事前に確認してください。取り込みの手順や、自動で運べる範囲についてはTrelloからの移行に実例として書いてあります。
2つ目は、案件の呼び名を揃えることです。移した先で名前が変わると、どれが同じ案件なのか分からなくなります。作業に入る前に案件の一覧を作り、呼び名を1つに決めてから手を付けてください。
3つ目は、預けたデータの扱いについて社内の合意を取ることです。どの国のどの事業者にデータが置かれるのか、退会したときに何が返ってくるのかは、契約前に確認しておく項目です。考え方の整理は安全性の考え方にまとめてあります。組織としての情報の扱いを見直すときは、情報処理推進機構が公開している中小企業向けの資料も判断材料になります。導入前によく聞かれる点はよくある質問に集めてあります。
Q1. Miroの無料プランでは、いくつまでボードを使えますか?
公式の料金ページでは、ボードは無制限に作成・共有できるものの、編集できる状態で残るのは最新の3件だけと案内されています。4件目を作ると古いものから編集できなくなります。あわせて無料では非公開のボードが作れず、書き出しは低解像度に限られ、ビジターは閲覧のみです。2026年9月11日時点の内容です。
Q2. 代わりを探すとき、最初に何をすればいいですか?
過去3か月に作ったボードを開いて、実際に使っている要素の種類、開いた人の数、開く頻度の3つを数えてください。数えると、ワークショップ向けの高度な機能はほとんど使われていないことが多く、逆に自由に置ける面そのものは手放しにくいと分かります。数えてから要件を書くと、候補が自然に絞れます。
Q3. 有料プランはいくらですか?
2026年9月11日時点の公式料金ページでは、年払いの場合でStarterが1人あたり月8ドル、Businessが月20ドルです。年間請求は月払いより20%安いと案内されています。Enterpriseは金額が公開されておらず、30名からという記載があります。金額は米ドル表示で、税の扱いはページ上では確認できませんでした。
Q4. 全部を1つの道具にまとめたほうがよいですか?
日々の進行を追う場所と、自由に発散する場所は性質が逆です。前者はカード、状態、担当、期限という決まった形で表せるため板の形が向いていますが、後者は形が決まっていないことが価値になります。1つにまとめると必ずどちらかが不便になるので、置き換えやすい用途だけを移す形が現実的です。