Miroからデータを移す|持ち出せるものと、手で作り直す部分
Miroから別の道具へ移すと決めたあと、最初に直面するのが「どこまで持ち出せるのか」という問題です。画面で見えているものと、書き出したファイルに入っているものは同じではありません。この記事では、書き出しの形式ごとに何が含まれて何が落ちるのかを公式のヘルプで確かめた内容で整理し、手で作り直すことになる部分と、その作業量の見積もり方までをまとめます。移す前にここを把握しておくと、作業の途中で立ち往生することがなくなります。
移す前に、何が入っているかを数える
書き出しの方法を調べる前に、いま何が入っているのかを確認してください。この順番を逆にすると、使わないデータのために手間をかけることになります。
数えるのは3つです。1つ目は、移す対象のボードの枚数。2つ目は、そのボードに置かれている要素の種類。3つ目は、それぞれのボードが最後に更新された日です。
3つ目がいちばん重要です。最終更新日が古いボードは、内容が正しいかどうかに関わらず、移した先でも開かれません。多くのチームでは、直近90日に更新されているボードは全体の2割程度です。この2割だけを丁寧に移し、残りは書き出したファイルとして保管しておくのが、作業量と実用性のバランスが取れます。
要素の種類も数えておいてください。付箋、テキスト、図形、線、カード、画像、埋め込み、テーブル、タイムラインといった区分で構いません。あとで説明するとおり、書き出しの形式によって運べる種類が違います。自分たちのボードが何でできているかが分かっていないと、どの形式を選ぶべきか判断できません。
もう1つ、忘れやすいのがコメントです。付箋に貼り付けられたコメントの中に、決定の経緯が書かれていることがあります。コメントは通常の書き出しには含まれないため、必要なら別途取る必要があります。移す前に、コメントを読み返して重要なものを本文に転記しておくと、あとで困りません。
数える作業そのものは、管理画面のボード一覧を最終更新日で並べ替えれば大半が片付きます。件数が多い場合は、一覧を画面ごと記録しておくと、あとで移した対象と移さなかった対象を照合できます。移行が終わったあとに「あのボードはどうなった」と聞かれることは必ずあるので、最初に作った一覧は捨てずに残しておいてください。
最後に、ボードの所有者を確認してください。あとで触れるとおり、バックアップの書き出しには所有者としての権限が要ります。退職した人が所有者のまま残っているボードがあると、その時点で作業が止まります。管理者に依頼して所有権を移しておいてください。
書き出しの形式は3つあり、それぞれ中身が違う
公式のヘルプによれば、ボードから取り出す方法は大きく3つに分かれます。画像として書き出す方法、表計算用のCSVとして書き出す方法、そしてバックアップファイルとして保存する方法です。この3つは、目的がまったく違います。
画像としての書き出しは、JPG、PDF、SVGのいずれかを選べます。フレームを作っておくと、フレームごとに1ページのPDFになります。ここで注意が必要なのは品質の区切りです。無料プランでは小さいサイズでの書き出しのみに対応していて、透かしの入らない高解像度での書き出しは含まれていません。また、小さいファイルサイズを選んだPDFには埋め込みリンクが入らず、リンクが押せる状態で残るのはベクター品質で書き出した場合だけです。アップロードした写真などのビットマップ画像は取り込み時に圧縮される一方、Miroの中で作った図形やテキスト、リンクは品質が保たれると案内されています。
CSVでの書き出しは、すべてのプランで使えます。ブラウザはChrome、Safari、Firefoxと、デスクトップアプリが対象です。Opera、古いEdge、タブレット、スマートフォンでは使えないと明記されています。
バックアップファイルは、拡張子が.rtbの専用形式です。こちらは無料プランには含まれておらず、Starter、Business、Enterprise、Educationの各プランで使えます。
書き出しが使えない場面もいくつか明記されています。開発者向けのチームではボードの書き出しに対応しておらず、スマートフォンからも書き出せません。CSVについては、対応しているブラウザが限られているうえ、タブレットとスマートフォンでは使えません。作業を始めてから環境が合わないと気づくと段取りが狂うので、書き出しを担当する人のパソコンとブラウザを先に確認しておいてください。
この3つのどれを選ぶかは、移した先で何をしたいかで決まります。記録として残すだけならPDFで足ります。別の道具で項目として扱いたいならCSVです。同じMiroの中で別のチームに渡すだけならバックアップファイルが最短です。
CSVに落ちるもの、落ちないもの
別の道具へ項目として移すなら、実質的にCSV一択です。ここが移行の成否を分けるので、中身を正確に押さえてください。
公式のヘルプによれば、ボード上のテキストが対象になります。付箋、テーブル、カード、テキストボックス、図形に書かれた文字です。書き出すと、内容が1つの列に並んだCSVファイルができます。並ぶ順番は、テキスト、カードの説明またはURL、付箋やカードのタグ、という順です。
ここから分かるのは、位置の情報が落ちるということです。ボードの上でどこに置かれていたか、どの付箋がどの付箋の近くにあったか、という情報はCSVには入りません。線で結んだ関係も同様です。フレームによるグループ分けも、CSVの上では区別できません。
つまり、置き場所そのものに意味があるボードは、CSVでは移せません。左から右に時間が流れる図、上下で優先度を表した並べ方、色で分類したかたまり。こうした情報は、書き出した瞬間にただのテキストの列になります。
逆に、もともと一覧として扱っていた内容なら、CSVでほぼそのまま運べます。作業の名前が付箋に書かれていて、担当者の名前がタグになっているなら、テキストとタグの2つが取れるので、移した先で担当を割り当て直す作業がかなり楽になります。
実務としては、書き出したCSVを表計算ソフトで開いて、列を整えてから移すのが現実的です。担当、期限、状態といった列を手で足し、内容を見ながら埋めていきます。付箋が100枚程度なら、この作業は1時間から2時間で終わります。この一手間をかけると、移した先の板が最初から使える状態になります。
なお、書き出しそのものを禁止する設定があります。ボードの所有者や共同所有者が、ボードの内容設定で共同編集者の書き出しを制限できると案内されています。書き出しのメニューが出てこない場合は、プランの問題ではなくこの設定が原因の可能性があります。
バックアップファイルは、同じ道具の中でしか戻せない
.rtb形式のバックアップは、名前から受ける印象と実際の用途が違います。これは別の道具へ移すための形式ではなく、同じ道具の中で複製したり、別のチームに渡したりするための形式です。
公式のヘルプによれば、バックアップを保存できるのはボードの所有者、共同所有者、そしてEnterpriseプランでコンテンツ管理の権限を持つ管理者です。保存したファイルを読み込んで復元する操作は、有料チームに属していれば誰でも行えます。復元すると新しいボードが作られ、タイトルに復元を示す語が付きます。
容量にも制限があります。
Please note both board backup downloads and uploads are limited. For downloads, there is a limit of 1GB. 出典: help.miro.com
書き出しも読み込みも1GBまでで、これを超えるボードはボードを分割するか、バックアップではなくボードの履歴を使うよう案内されています。読み込み側で1GBを超えるファイルを扱いたい場合は、サポートへの依頼が必要になります。
移行の観点でまとめると、バックアップファイルは保険としては有効ですが、移行の手段にはなりません。別の道具はこの形式を読めません。ただし、移行の直前に全ボードのバックアップを取っておくこと自体には価値があります。契約を止めたあとで「あの図をもう一度見たい」となったときに、復元できる相手が同じ道具しかないという点は理解したうえで、それでも取っておいてください。
あわせて注意したいのが、プランを落としたときの挙動です。公式のヘルプには、有料プランから無料プランに落とすと、直近に作った3件のボードだけが編集できる状態で残り、それ以外は閲覧のみになると書かれています。非公開のボードは無料プランでは扱えないため、施錠された状態になります。有料プランで作った独自のテンプレートも使えなくなります。書き出しを済ませる前にプランを落とすと、必要なファイルを取り出せなくなる恐れがあります。順番を間違えないでください。
Enterpriseの一括書き出しという別の道
Enterpriseプランを契約している場合、管理画面から複数のボードをまとめて書き出す仕組みがあります。もともとは法務や監査のために用意されたもので、通常の移行とは別の経路です。
公式のヘルプによれば、書き出しの形式はSVG、PDF、HTMLから選べます。既定はSVGです。結果はZIPファイルとして受け取り、その中にはボードの内容に加えて、コメントの記録を収めたJSONファイル、ボードを閲覧または編集した利用者の一覧を収めたJSONファイル、該当する場合はTalkTrackのウェブカメラ映像、そしてボードのメタデータのJSONが含まれると記載されています。大きなボードをPDFで書き出すと、複数のPDFファイルに分割されます。
制限もあります。書き出したボードが利用できる期間は14日で、期限を過ぎると取得できなくなります。同時に実行できる書き出しの処理はEnterpriseプランで1件までで、Enterprise Guardを契約している場合は最大5件まで同時に走らせられると案内されています。まとめてダウンロードする際、圧縮ファイルの合計が50GBを超えると自動的に分割されます。
同じ目的の仕組みとして、外部のシステムから呼び出せるAPIも用意されています。公式のヘルプによれば、こちらもEnterpriseプランの契約者が対象で、法務や監査、セキュリティの目的でボードのデータを取り出すために提供されているものです。返ってくるZIPファイルの中身は管理画面から書き出した場合と同じ構成で、処理の状態を問い合わせる仕組みも用意されています。
この経路の利点は、コメントと閲覧履歴が構造化された形で取れることです。通常の書き出しでは落ちるコメントを保全できるので、決定の経緯を残す目的には合っています。一方で、出てくるのは画像とJSONなので、別の道具に項目として取り込める形ではありません。記録の保全と、業務の移行は別の作業だと割り切ってください。
大きなボードは、先に割ってから扱う
移行でいちばん詰まるのが、1枚に何もかも詰め込んだ大きなボードです。書き出しの制限も、作業の手間も、ここに集中します。
公式のヘルプには、大きなボードをPDFに書き出すと処理が途中で乱れることがあり、書き出したPDFの一部の文字が欠けることがあると注意が書かれています。推奨されている対処は、大きなボードを複数のボードに分割して、それぞれを個別に書き出すことです。バックアップの容量制限も1GBなので、1枚が重いほど引っかかります。
割り方は、移した先での使い方に合わせてください。案件が複数入っているなら案件ごとに割ります。時期で区切れるなら、終わった時期の部分を別のボードに切り出します。割る作業は元の道具の中で行うほうが簡単です。要素を選んで新しいボードへ移す操作は、書き出したファイルを編集するよりはるかに速く終わります。
割ったあとは、それぞれのボードに名前を付け直してください。分割したボードの名前が「コピー」のままだと、書き出したファイルの名前も同じになり、どれがどれだか分からなくなります。ファイル名は書き出す前に決まるので、名前の整理は必ず書き出しの前に済ませます。
もう1つ、割るときに気をつけたいのがフレームです。画像やPDFとして書き出す場合、フレームが1ページの単位になります。フレームがまったく無いボードを書き出すと、全体が1枚の巨大な画像になり、印刷も閲覧もしづらくなります。逆にフレームが50個あれば50ページのPDFになります。書き出す前に、フレームの数と順番を確認してください。公式のヘルプによれば、PDFのページ順はフレームの並び順に従い、その順番はボードの一覧画面で並べ替えられます。
割る手間を惜しんで大きいまま進めると、書き出しが途中で失敗したり、ファイルが開けなかったりします。失敗すると原因の切り分けに時間がかかるので、最初から小さく割っておくほうが結局速く終わります。
移行の期間は、短く区切ったほうが混乱が少ない
移行の計画で迷いやすいのが期間です。長く取ったほうが安全に見えますが、実際は逆になります。
長く取ると、両方の場所に情報が入る期間が生まれます。片方にだけ書かれた更新が出た瞬間、どちらが正しいのか誰にも判断できなくなります。そして、この状態は自然には解消しません。とりまとめる人が毎回両方を見比べることになり、移行によって仕事が増えます。
現実的な区切り方は、準備と切り替えを分けることです。準備の期間に、書き出し、整理、取り込み、名前の統一を済ませます。ここは元の場所を通常どおり使い続けて構いません。準備が終わったら、切り替えの日を1日決めて、その日から新しい場所だけを見る、と宣言します。元の場所は読めるままにしておき、書き込みはしない、と決めてください。
準備の期間は、ボードの枚数で見積もります。移す対象が20枚程度なら、1週間で足ります。100枚を超えるなら、まず移す対象を絞り直すところから考えてください。100枚を丁寧に移す作業は、実務の片手間では終わりません。
切り替えの当日にやることも決めておきます。元の場所のボードのトップに移行済みである旨を書く、社内の案内に新しいURLを載せる、定例会の資料の参照先を差し替える。この3つを同じ日に済ませると、翌週から自然に新しい場所が使われます。
切り替えたあとの2週間は、とりまとめる人が意識して新しい場所を更新してください。最初の2週間で更新が途切れると、現場は「結局使われていない」と判断します。逆に、この期間を乗り切れば習慣になります。
誰が作業するかを先に決める
移行の作業は、地味で量が多く、途中で止まりやすい性質があります。担当を決めずに始めると、とりまとめる人が全部を抱え込むことになります。
作業は3つに分けられます。1つ目は、書き出しとファイルの保管です。これは権限を持つ人でなければできません。ボードの所有者か、管理者の協力が要ります。2つ目は、CSVを整えて列を埋める作業です。これは内容を知っている人であれば誰でもできます。3つ目は、移した先での配置と設定です。これは移した先の道具に慣れている人が向いています。
分けたうえで、2つ目を分散させるのが要点です。案件ごとに担当を割り当てて、自分の案件のCSVは自分で整えてもらいます。内容を知っている人が整えるので品質が上がり、同時に移した先の道具を触ることになるので、そのまま導入の練習になります。とりまとめる人が全部を整えると、この2つの効果が両方失われます。
作業を頼むときは、完成の形を先に見せてください。整え終わった状態のCSVを1つ作って見本として配ると、説明の手間が大きく減ります。列の名前、状態の書き方、日付の書き方を見本で示しておけば、集まってきたファイルの体裁が揃います。
期限は短く切ってください。3日程度で十分です。長く取ると後回しにされ、結局切り替えの直前に集中します。
外部の業者に頼めるかどうかを聞かれることもありますが、この作業は内容の判断が中心なので、外に出しても効果は限定的です。ファイルの書き出しと保管までは頼めますが、どの付箋が生きていてどれが死んでいるかは、案件を知っている人にしか判断できません。頼むなら、判断のいらない機械的な部分だけに絞ってください。
手で作り直すことになる部分と、その見積もり
ここまでを踏まえると、手で作り直すことになる部分がはっきりします。
・付箋や図形の位置関係。CSVには入らないため、意味のある配置は図として残すか、言葉で説明し直す ・線でつないだ関係。前後関係や依存関係として表現し直す必要がある ・色による分類。色の意味を先に一覧にして、移した先のラベルや状態に対応させる ・コメント。通常の書き出しには含まれない。重要なものは本文へ転記する ・添付ファイル。ボードに貼った資料は、別途保存し直す ・各要素の作成者と更新日時。誰がいつ書いたかは、移した先には引き継がれない
この一覧を見て「そんなに落ちるのか」と感じたなら、それは元のボードが図として多くの情報を持っていたということです。図として価値があるものは、無理に項目へ変換せず、画像として残して新しい場所からリンクで参照するのが現実的です。すべてを項目に置き換えようとすると、作業量が跳ね上がるうえ、出来上がったものが元より読みにくくなります。
作業量の見積もりは、付箋の枚数ではなく「意味のあるかたまりの数」で立ててください。200枚の付箋があっても、それが10個のかたまりに分かれているなら、作り直すのは10個です。かたまりごとに、移した先でどう表現するかを先に決めておけば、実作業は機械的に進みます。
順番としては、次のように進めるのが安全です。まず全ボードのバックアップと画像の書き出しを済ませます。次に、移す対象として選んだボードのCSVを書き出します。CSVを表計算ソフトで整えて、担当と期限と状態の列を埋めます。整えたものを移した先に取り込み、位置や関係の情報を補います。最後に、元のボードには移行済みである旨を書いて残しておきます。この最後の一手を飛ばすと、しばらくの間は両方に書き込む人が出ます。
取り込みの実際の手順や、自動で運べる範囲がどこまでかは、移す先の道具によって違います。どのデータが自動で運べるのかの具体例はTrelloからの移行にまとめてあります。自動で取り込める範囲は限られているのが普通なので、何が運べて何が運べないのかを先に確認しておいてください。
逆向きの取り込みが充実していることの意味
移行を調べていると気づくのが、外から取り込む仕組みは手厚く用意されている一方、外へ出す仕組みは限られている、という非対称です。
公式のヘルプには、Jamboard、FigJam、Lucidspark、Freehand、Conceptboard、Visio、Lucidchart、OmniGraffleといった他社のファイルやボードを取り込む手順がそれぞれ用意されています。図の一括取り込みの仕組みもあります。取り込みの側は、形式ごとに専用の経路が整えられています。
出す側は、先に述べたとおり画像、CSV、専用のバックアップ形式の3つだけです。この差は、どの製品でも大なり小なり存在します。責めるような話ではなく、道具を選ぶときに知っておくべき性質です。
実務への示唆は2つあります。1つ目は、入れるときより出すときのほうが時間がかかると見積もっておくことです。取り込みの手軽さを基準に移行の期間を見積もると、必ず足りなくなります。
2つ目は、いま新しい道具を選ぶときにも、出せるかどうかを確かめておくことです。入る道は営業の都合で整備されますが、出る道はそうではありません。試用の最後に、入れたデータを実際に書き出してみてください。どの形式で出て、何が含まれて、何が落ちるのか。この確認を1回しておくと、数年後の判断が楽になります。
取り込みについても、一律ではない点に注意してください。たとえばJamboardの取り込みは、公式のヘルプによれば一方向で、取り込んだあとにMiro側で加えた変更は元には戻りません。取り込める利用者のライセンス種別にも条件があり、一度に選べる枚数にも上限があります。取り込みの仕組みがあるからといって、無条件に全部が運べるわけではないという点は、どの製品でも共通です。
移した先で崩れないようにするための準備
移行そのものより難しいのが、移したあとに使われ続けることです。データが揃っていても、使い方が決まっていなければ2週間で止まります。
先に決めておきたいのは3つです。1つ目は、案件の呼び名です。移す前に一覧を作り、名前を確定させてから動かしてください。移行の作業中に名前を変えると、どれが同じものなのか追えなくなります。
2つ目は、状態の種類です。未着手、進行中、確認待ち、完了、といった区分をいくつ用意するかを先に決めます。多くても5種類までに収めてください。種類が増えるほど、入力する人が迷います。
3つ目は、誰が入力するかです。とりまとめる人が全員分を代行入力する形にすると、移した先でも同じ負担が続きます。現場の人が自分で動かせる粒度まで作業を分けてください。移した直後は、とりまとめる人が代わりに入力してしまいがちです。ここで代行を始めると、以後ずっと代行が続きます。最初の1週間だけは、多少の抜けを許してでも本人に入力させてください。
移す先を選ぶ段階なら、料金の区切り方も見ておいてください。機能ごとに細かく段を作る売り方もあれば、機能で絞らず、区切るのは人数とボードの数だけという売り方もあります。移行の直後は人数が読みにくいので、人数が増えたときに何が閉じるのかを事前に把握しておくと安心です。実際の金額の出し方は料金に、対応している機能の一覧はできることに載せてあります。ほかのサービスとの違いを同じ形で比べたい場合は比較の一覧を、カード型の板からの移行を考えているならTrelloとの比較を見てください。課題の管理を中心に据えるならBacklogとの比較が近い話をしています。
預けたデータの扱いについては、移す前に社内の合意を取っておいてください。どこに保管され、退会したときに何が返ってくるのかは、契約前に確認すべき項目です。考え方の整理は安全性の考え方に、導入前によく聞かれる点はよくある質問にまとめてあります。社内の情報管理の基準を整えるときは、情報処理推進機構が公開している資料も参考になります。
Q1. Miroのボードを他のツールにそのまま移せますか?
そのまま移せる形式はありません。項目として移すならCSVでの書き出しが実質的な唯一の手段で、付箋やカード、図形に書かれたテキストが1つの列に並んだ形で出てきます。位置関係、線でつないだ関係、色による分類、コメントは含まれません。これらは移した先で手で作り直すことになります。
Q2. バックアップファイルは移行に使えますか?
.rtb形式のバックアップは、同じMiroの中で復元するための形式です。他の道具はこの形式を読めません。書き出しも読み込みも1GBまでという制限があり、保存できるのはボードの所有者と共同所有者に限られます。移行の保険としては有効ですが、移行の手段にはなりません。
Q3. 無料プランでも書き出しはできますか?
CSVでの書き出しはすべてのプランで使えます。画像としての書き出しも可能ですが、無料プランでは小さいサイズに限られ、透かしの入らない高解像度での書き出しは含まれていません。バックアップファイルの保存は無料プランには含まれず、Starter以上が必要です。2026年9月11日時点の公式ヘルプの内容です。
Q4. 有料プランを解約する前に何をすればいいですか?
書き出しを先に済ませてください。有料プランから無料プランに落とすと、直近に作った3件のボードだけが編集できる状態で残り、それ以外は閲覧のみになります。非公開のボードは施錠され、有料プランで作った独自のテンプレートも使えなくなります。バックアップの保存には有料プランが必要なので、順番を間違えると取り出せなくなります。