OpenProjectで進捗をどう見せるか|報告のために作り直さない組み方
進捗の管理でいちばん時間を食うのは、入力でも集計でもありません。報告のために別の資料を作り直す作業です。道具の中には数字が入っているのに、上に出す形が合わないので、毎週誰かが表計算に貼り直している。この状態になっているチームは珍しくありません。
この道具で進捗を扱うとき、最初に押さえるべきは、進捗を表す数字が1つではなく3つあり、それらが互いに連動しているという点です。連動の規則を知らずに入力すると、入れたはずの値が勝手に書き換わったように見えます。その驚きが、入力をやめる理由になります。
もう1つ、環境全体で管理者が選ぶ設定が1つあり、その選び方によって現場の入力の仕方が根本から変わります。この設定を決めないまま使い始めると、後から変更したときに過去の数字の意味が変わってしまいます。順に確かめていきます。
進捗を表す数字は3つある
公式の説明では、進捗に関わる項目の名前が途中で変わったことが明記されています。バージョン13.2で、従来の「Progress」が「% Complete」に、「Estimated time」が「Work」に、「Remaining time」が「Remaining work」に変わりました。古い名前でも検索すれば見つかる、という但し書きも付いています。
日本語の画面では、それぞれ進捗率にあたる割合、見込みの作業量、残りの作業量として表示されます。社内の資料が古い名前で書かれている場合、画面との対応が取れずに混乱するので、名前の対応表を1枚作っておくと早いです。
この3つは独立した入力欄ではありません。どれか2つに値が入ると、残りの1つが自動で計算されます。公式の説明には、値は1つか3つのどちらかになり、2つだけになることはない、と書かれています。ここが最初のつまずきどころです。
計算の式も明記されています。割合は、作業量から残りを引いたものを作業量で割ったものです。作業量が50時間で残りが30時間なら、割合は40パーセントになる、という例が公式に載っています。
作業量と残りの単位は、時間だけにするか、日と時間の組み合わせにするかを管理者が選びます。既定では8時間を1日として扱う設定になっており、これも管理者が変えられます。入力の形は柔軟で、2時間30分を表すのに「2.5」「2.5h」「2h 30m」のいずれでも受け付けると説明されています。
環境全体で選ぶ2つのモード
進捗の報告の仕方には2つのやり方があり、どちらを使うかは環境全体で管理者が決めます。プロジェクトごとに変えられる設定ではありません。
Work-based progress reporting enables you to automatically derive progress based on the values you enter for Work and Remaining work. You can also manually enter a value for % Complete. 出典: openproject.org
1つ目は作業量にもとづく方式です。見込みの作業量と残りの作業量を入れると、割合が自動で出ます。割合だけを手で入れることもできます。
2つ目は状態にもとづく方式です。状態ごとに固定の割合をあらかじめ決めておき、状態が変われば割合も変わるという作りです。この方式では、入れた作業量から残りが自動で導かれます。
どちらを選ぶかは、チームが時間を数えているかどうかで決まります。見込みの時間を最初に置く文化があるなら作業量の方式が向きます。時間を数える習慣が無く、状態を動かすことしかしないなら状態の方式が向きます。
後者を選ぶと、現場の入力は「状態を動かす」だけになります。入力の手数が1つしかないので、更新が止まりにくい。そのかわり、割合は状態の粗さでしか動きません。着手中がずっと50パーセントのまま2週間止まる、という見え方になります。
前者を選ぶと、残りの時間を更新するたびに割合が動くので、数字は細かく動きます。そのかわり、残りの時間を更新しない人が1人でも居ると、その人の担当分だけ割合が止まります。細かさと続けやすさの交換です。
決めるときの目安は、報告を受け取る側が何を知りたいかです。「終わったか終わっていないか」で足りるなら状態の方式で十分です。「あと何人日かかるか」を聞かれるなら作業量の方式が要ります。聞かれてもいない精度を目指すと、入力する人の負担だけが増えます。
値が勝手に変わるように見える場面の正体
作業量の方式を選んだとき、現場から必ず出る質問があります。「入れた数字が変わっている」というものです。これは不具合ではなく、連動の規則です。公式の説明に、どの順で入れると何が計算されるかが細かく書かれています。
何も入っていない状態で割合だけを入れると、他の2つは空のままです。作業量だけを入れると、残りが作業量と同じ値になり、割合はゼロになります。残りだけを入れた場合も、作業量がその値に揃い、割合はゼロになります。
1つ入っている状態で2つ目を入れると、3つ目が計算されます。作業量が入っているところに割合を入れれば残りが出ますし、残りが入っているところに割合を入れれば作業量が出ます。
3つとも入っている状態では、作業量を増やすと同じ分だけ残りが増えます。全体が増えたのだから残りも増える、という考え方です。作業量を減らした場合は残りが同じだけ減り、残りの値より大きく減らすと残りがゼロになって割合が100パーセントになります。
できないことも明記されています。残りを作業量より大きい値にすることはできません。作業量が入っている状態で残りだけを消すこともできず、消したいなら作業量も一緒に消す必要があります。残りに値があるまま割合を100パーセントにすることもできません。
この規則を知らない人は、画面が勝手に動いたと感じます。とりまとめる立場の人は、使い始めの説明でこの3つの禁止事項だけでも伝えておいてください。それだけで問い合わせは減ります。
なお、作業量と残りを編集しようとすると、保存する前に割合がどう変わるかを見せる画面が出る作りになっています。値を変えたときに何が連動したかを説明する案内も出ると書かれています。初めて触る人には、この案内を読ませるのがいちばん早い教育になります。
実績の時間は、進捗の割合とは別の数字
もう1つ、混同されやすい項目があります。実際に付けた時間です。
公式の説明には、割合の計算は実績の時間とは無関係だと明記されています。実績の時間は、誰がいつ何時間働いたかを記録するもので、進捗の割合を動かしません。ここを混ぜて考えると、「時間を付けたのに進捗が動かない」という苦情になります。
分けて考える理由は、見たい相手が違うからです。進捗の割合を見たいのは、納期を気にしている人です。実績の時間を見たいのは、原価や請求を気にしている人です。同じ画面に両方を出すこともできますが、目的が違う数字だと分かって出さないと、会議で話が噛み合いません。
実績の時間と費用については、別の集計の画面が用意されています。見込みと実績の時間や費用を集計する報告の機能、労務費と単価の予算を置く機能は、いずれも無料で使える範囲に含まれると案内されています。ここまで使うかどうかは、請求の根拠として時間を出す必要があるかで決めてください。
進行のとりまとめだけが目的なら、実績の時間は最初は使わないという選択も現実的です。入力の項目を増やすほど、更新は止まります。まず割合か状態だけを回し、時間が必要になったときに足すほうが定着します。
見込みの作業量を、誰がいつ入れるか
作業量にもとづく方式を選んだ場合、最初に決めておく必要があるのは、見込みの作業量を誰が入れるかです。ここを決めずに始めると、欄が空のまま埋まらないか、とりまとめる人が全部を推測で埋めることになります。どちらの場合も、そこから計算される割合は意味を持ちません。
入れる人の候補は2つです。担当者本人か、計画を引いた人か。本人が入れる形は、数字の精度は上がりますが、担当が決まるまで空欄が続きます。計画を引いた人が先に入れる形は、着手前から全体の見込みが出せますが、実際に手を動かす人の感覚とはずれます。
実務で落ち着くのは、両方を使う形です。計画の段階では引いた人が仮の値を入れておき、担当が決まって着手する時点で本人が入れ直す。入れ直したことが分かるよう、コメントに一言残す約束にしておけば、後から見積もりの精度を振り返れます。
入れ直しの機会を1回に限るのも要点です。作業の途中で見込みを何度も書き換えると、残りの作業量が連動して動き、割合が上下します。上下する数字は報告に使えません。見込みは着手時に確定させ、以後は残りの作業量だけを更新する。この運用にすると、割合は単調に上がっていくので、下がったときだけ理由を聞けば済みます。
残りの作業量を更新するタイミングも決めておきます。毎日更新させる運用は続きません。週に1回、決まった曜日に、自分が持っている作業の残りだけを見直す。この形なら、担当者1人あたり5分で終わります。更新の曜日は、報告の前日ではなく2日前に置くと、数字を見て手を打つ余地が残ります。
状態にもとづく方式を選んでいる場合、この節の悩みはそもそも発生しません。入れる欄が無いからです。時間を数える必要がないチームがこちらを選ぶべき理由は、ここにもあります。
報告の表を毎週作り直さないための、保存する一覧
ここからが本題です。報告のために資料を作り直す作業は、一覧の保存でほとんど消せます。
作業パッケージの一覧は、表示する列、絞り込みの条件、まとめる単位を自由に組み替えられます。組み替えた状態は名前を付けて保存でき、次からはその名前を選ぶだけで同じ形が出ます。毎週の報告で見たい形が決まっているなら、その形を保存しておけば、作る作業はゼロになります。
保存する一覧には公開と非公開の区別があります。公開にすれば他の人も同じ形を開けますが、他の人が編集して上書きすることもできます。報告の形を固定したいなら非公開にしておく、という注意が公式に書かれています。特に、書き出しの設定を一覧に紐づけて保存している場合、公開のままだと条件が変わっていることに気づけません。
一覧を保存するときの設計で効くのは、絞り込みを「誰が見るか」で切ることです。全体を1つの一覧で見せようとすると、見る人にとって関係のない行が混ざります。上に出す一覧、担当者が自分の分を見る一覧、遅れているものだけを集めた一覧。この3つを別々に保存しておくほうが、結局は早いです。
強調の表示も使えます。状態や優先度、終了日の値に応じて色を付ける機能が無料の範囲に含まれると案内されています。遅れているものを赤で出しておけば、報告のときに説明する手間が減ります。
書き出しについては、権限が必要です。公式には「Export work packages」の権限をロールに割り当てる必要があると書かれています。報告を担当する人が管理者でない場合、この権限が付いているかを先に確かめてください。書き出せる形式は表向けのXLSとCSV、紙面向けのPDFです。PDFには表の形、表紙と目次を含む報告書の形、ガントの形の3種類があります。
保存する一覧を、最初に作る3つに絞る
一覧を保存できると分かると、つい何種類も作りたくなります。ところが、種類が増えるほど「どれを開けばよいか」が分からなくなり、結局その場で絞り込み直すことになります。最初に作るのは3つだけにして、足りないと分かった時点で足すのが確実です。
1つ目は、上に出すための一覧です。列は、作業の名前、担当者、終了日、割合の4つで足ります。絞り込みは、閉じていないものだけ。まとめる単位は担当者ではなく、プロジェクトか親の作業にします。報告を受け取る側が知りたいのは、誰が何をしているかではなく、どの塊がどこまで進んでいるかだからです。並べ替えは終了日の早い順にしておくと、上から読むだけで危ないものが先に出てきます。
2つ目は、担当者が自分の分を見るための一覧です。列は作業の名前、状態、終了日の3つに絞ります。絞り込みは、担当が自分で、かつ閉じていないもの。ここに割合や作業量の列を入れると、開いた瞬間に埋めるべき欄が並んでいるように見えて、開くこと自体が億劫になります。担当者が見る画面は、やることの確認であって入力の催促ではない、という考え方で組んでください。
3つ目は、手当てが要るものだけを集めた一覧です。絞り込みは、終了日が今日より前で、かつ閉じていないもの。ここに出てくる本数が、その週に扱う議題そのものになります。色を付ける設定が使えるので、終了日の値に応じて色が変わるようにしておくと、会議で説明する手間が減ります。
この3つに名前を付けるときは、用途が分かる言葉にしてください。「一覧1」「新しいビュー」のような名前のまま放置すると、半年後には誰も開かなくなります。上に出す用のものは他の人が編集できない扱いにしておくと、条件が知らないうちに変わる事故を防げます。
作業を分ける単位を、報告の単位に合わせる
一覧を整えても報告が作りにくいままなら、原因は作業の分け方にあります。分ける単位と、報告で聞かれる単位がずれているときに起きます。
分け方には2つの失敗があります。細かすぎる場合と、粗すぎる場合です。細かすぎると、1つの報告項目に対して数十の行が対応することになり、まとめる作業がそのまま手作業として残ります。粗すぎると、1つの行が何週間も同じ状態のまま動かず、進んでいるのかどうかが誰にも分かりません。
目安になる基準は1つです。1つの作業は、担当者が1週間のうちに状態を動かせる大きさにする。2週間動かないものは、分けたほうがよい合図です。逆に、1日で終わるものが並んでいるなら、まとめて1つにしたほうが板が読めるようになります。
まとめる単位を決めるときは、報告の場で使われている言葉から逆算するのが早道です。「設計」「実装」「検証」という言葉で報告しているなら、その3つを親の作業として置き、その下に週単位で動く作業を並べます。親の名前が報告の項目とそのまま一致していれば、まとめる単位を指定して一覧を出すだけで、報告の形になります。
ここで気をつけたいのは、報告のために階層を深くしすぎないことです。階層が4段を超えると、担当者は自分の作業がどこにぶら下がっているかを説明できなくなります。説明できない構造は維持されません。3段までに収める前提で、報告の項目のほうを整理し直すほうが、結果として早く落ち着きます。
書き出す形を、渡す相手ごとに決めておく
書き出せる形が複数あると、毎回どれにするか迷います。相手ごとに対応を決めておけば、迷う時間がゼロになります。
表向けの形は、受け取った側が並べ替えたり絞り込んだりする前提のときに選びます。経理や原価を見る部署へ渡す場合がこれにあたります。紙面向けの形のうち、表そのものを出すものは、印刷して会議に配る用途に向きます。表紙と目次が付く報告書の形は、社外や役員に出す文書として体裁が要るときに選びます。工程を横に見せる形は、日程の説明が主題のときに使います。
決め方の目安は、相手がそのファイルを開いた後に何をするかです。数字をいじるなら表向き、読むだけなら紙面向き、日程を確認するなら工程の形。この3択で分けると、ほぼ外しません。
同じ相手に毎回同じ形を渡すなら、その形が出るように一覧の設定を保存しておきます。書き出しの権限が必要になるので、報告を担当する人が管理者ではない場合、その人のロールに権限が付いているかを事前に確かめてください。報告日の当日に権限が無いことに気づくと、管理者が席にいなければそこで止まります。
複数のプロジェクトを1枚で見る
進行をとりまとめる立場なら、1つのプロジェクトの中だけでなく、いくつかのプロジェクトを横に並べて見たい場面があります。
プロジェクトの一覧の画面が用意されており、動いているプロジェクトを並べて表示できます。列や絞り込みを組み替えられる点は作業パッケージの一覧と同じです。一覧をガントの形で表示することもでき、プロジェクトの期間を横に並べて見られます。
プロジェクトの数に上限が無いことも明記されています。公式のページには、無料で使える版でも有料の版でも、プロジェクトの数は制限しないと書かれています。案件ごとにプロジェクトを切る運用をしても、数で止まることはありません。
ただし、数が増えると一覧は読めなくなります。上限が無いことと、運用として増やしてよいことは別です。プロジェクトを増やす基準を先に決めておかないと、半年後に一覧を開いた人が目的のものを探せなくなります。
プロジェクトの一覧も書き出せます。XLS、CSV、PDFの3つが案内されています。役員向けの資料をこの一覧から作っているなら、書き出しの設定を保存しておけば毎回の手間が消えます。
一覧を他の人と共有する方法は2つあり、扱いが違います。環境の全員に見せる共有は使えますが、特定の個人やグループを指定して共有する機能は上位のプランで使える追加機能として案内されています。誰に見せるかを細かく分けたいなら、この差は契約に効きます。
複数のプロジェクトをまたいで作業パッケージを集める画面もあります。プロジェクトの枠を越えて、担当者や期日で絞った一覧を作れます。とりまとめの立場では、こちらのほうが使う頻度は高いはずです。
先週と比べてどう変わったかを出す
報告で必ず聞かれるのが、前回からの差です。この道具には、ある時点との差を見せる機能があります。
ただし、無料で使える範囲では昨日との比較までです。任意の日付や期間との比較は、上位のプランで使える追加機能として案内されています。公式の機能一覧にも、昨日との比較は無料の範囲に含まれ、完全な機能は有料版の一部だと明記されています。
週次で報告しているチームにとって、この差は実務に効きます。先週の月曜と今日を比べたいのに、昨日との比較しかできないと、差分の説明は手作業になります。ここが必要なら、有料のプランを検討する理由になります。
必要でないなら、代わりの手はあります。毎週決まった曜日に一覧を書き出して保管しておけば、前の週のファイルと見比べることで差は出せます。手間はかかりますが、契約を上げるほどではない場面も多いです。
期日が迫っているものや過ぎているものを知らせる機能も、上位のプランの追加機能として案内されています。無料の範囲では、期日で絞った一覧を保存しておき、決まった曜日に開く運用で代えることになります。人に気づかせる仕組みを道具に持たせるか、運用の習慣で持つか。ここは費用と手間の交換です。
担当者ごとの週単位の計画を1枚で見る画面や、複数のプログラムとプロジェクトを俯瞰する画面も、上位のプランの追加機能として案内されています。とりまとめの立場で欲しくなる画面がこのあたりに集まっているので、どこまでを無料の範囲でやるかは、使い始める前に線を引いておくほうが良いです。
報告の資料を作り直している場合、どこから直すか
いま毎週の報告を手作業で作っているなら、直す順番は次のとおりです。
・まず、報告に載せている項目を数える。実際に使われている項目だけを残す ・残った項目を列に持つ一覧を作り、保存する ・その一覧を書き出したものが報告になるか確かめる。ならない場合、足りないのは何かを1つだけ特定する ・足りないものが「前回との差」なら、書き出しを保管して比べる運用に切り替える ・足りないものが「複数のプロジェクトの横並び」なら、プロジェクトの一覧のほうを整える
この順で進めると、たいていは3つ目で止まります。止まる理由の多くは、報告の資料に、道具の中に入っていない情報が混ざっているからです。会議で口頭で聞いた話、別のファイルにある数字、担当者の所感。これらは道具の中に入っていないので、書き出しからは出てきません。
ここで選択肢は2つです。その情報も道具の中に入れるか、報告からその情報を外すか。入れると決めたなら、入力する人と入力する場所を決めます。外すと決めたなら、報告を受け取る側にそう伝えます。どちらも選ばず放置すると、来週も同じ手作業が発生します。
現場でよく聞くのは、報告のために付け加えていた所感の欄が、実は誰にも読まれていなかったという話です。項目を数える作業には、こういう発見が付いてきます。
進捗が見えなくなる本当の原因は、道具の外にある
最後に、道具の設定ではどうにもならない部分を書いておきます。
進捗の表が嘘になるのは、機能が足りないからではありません。入力する人が減るからです。入力が減る理由は決まっていて、入力の手数が多いこと、入力しても誰も見ていないこと、入力しないことに不利益が無いことの3つです。
この3つのうち、道具の設定で減らせるのは1つ目だけです。必須の項目を減らし、状態を動かすだけで進捗が動く設定を選べば、手数は減らせます。2つ目と3つ目は運用の設計であり、とりまとめる立場の人が決めることです。
その前提に立つと、道具に求める条件は変わります。多機能であることより、入力の手数が少ないこと。プランごとにできることが変わらないこと。この2つのほうが、定着には効きます。機能で絞らず、区切るのは人数とボードの数だけという形なら、「この機能は上のプランです」という説明を現場にする必要がなくなります。扱える範囲はできることに、人数の区切りは料金にまとまっています。
いま使っている道具との距離を測るなら、板の形で回してきたチームはTrelloとの比較、タスクの割り当てを中心に回してきたチームはAsanaとの比較が近い題材です。情報を1か所に集める運用をしているならNotionとの比較も判断材料になります。ほかの道具との比べ方は比較の一覧に並べてあります。
道具を替える前に一度だけ試してほしいのは、報告の項目を半分に減らすことです。減らしても誰も困らなかったなら、問題は道具ではなく報告の設計です。減らしたら困ったなら、その困った項目こそが、次に道具へ求める条件になります。判断に迷う点はよくある質問にも並んでいます。
Q1. 進捗率を手で入れたいのですが、勝手に計算されてしまいます。止められますか?
作業量と残りの作業量のどちらにも値が入っていなければ、割合は手で編集できる独立した項目として振る舞うと公式に説明されています。作業量を入れると連動が始まるので、手入力で運用したいなら時間の項目を空のまま使ってください。連動の規則は公式の進捗管理のページに一覧で載っています。
Q2. 進捗の報告の仕方を、プロジェクトごとに変えられますか?
できません。作業量にもとづく方式と状態にもとづく方式のどちらを使うかは、管理者が環境全体で選ぶ設定だと明記されています。途中で切り替えると過去の数字の意味が変わるので、使い始める前にどちらで運用するかを決めておくことをおすすめします。
Q3. 先週と今週の差を出したいのですが、無料の範囲でできますか?
昨日との比較までが無料で使える範囲で、任意の日付や期間との比較は上位のプランの追加機能として案内されています。週次で差を出したい場合は、毎週決まった曜日に一覧をXLSやCSVで書き出して保管し、前週のファイルと見比べる運用で代えられます。
Q4. 実績の時間を付けると進捗率は上がりますか?
上がりません。公式の説明では、割合の計算は実績として記録した時間とは無関係だと明記されています。進捗の割合は見込みの作業量と残りの作業量から計算され、実績の時間は原価や請求のための別の記録です。会議で混同しないよう、目的を分けて扱ってください。