Smartsheetの代わりを探すとき|手放してよい機能を先に決める
Smartsheetの代わりを探し始めた人が最初にやりがちなのが、機能の一覧を作って丸と三角を付けていく作業です。この作業は時間がかかるわりに、結論が出ません。丸の数を数えると、たいてい元の道具のほうが多いからです。実際に判断を分けるのは、いま使っている機能のうち、どれを手放してよいかです。それを先に決めておけば、候補は数日で絞れます。ここでは2026年9月11日時点の公式の資料に書かれている内容をもとに、乗り換えを考える前に確かめておくことと、手放してよい機能の決め方を順に整理します。
代わりを探し始める理由は、3つのどれかに寄る
相談として出てくる理由は、だいたい3つに分かれます。どれに当てはまるかで、探すべき代わりの性格が変わります。
1つ目は、費用です。人が増えて席の数が増えた、あるいは必要な機能がアドオンとして別の請求になっている、という状態です。この場合、代わりを探すよりも先に、いま払っている内訳を分解したほうが早いことがあります。席の単価が高いのか、アドオンが重いのかで、対処が違うからです。
2つ目は、使われないことです。入れたものの、入力しているのがとりまとめる人だけになっている状態です。この場合、道具を替えても同じことが起きる可能性が高いです。替えるなら、入力の画面が担当者にとって分かりやすいかどうかを、機能より優先して見ることになります。
3つ目は、上限に当たったことです。案件をまたいだ一覧が作れない、外部のシステムとやり取りできない、社外に公開できない。こうした制約に当たって、区分を上げるか道具を替えるかの選択になっている状態です。この場合は、上げた場合の金額と、替えた場合の作業量を並べて比べることになります。
最初にどれなのかをはっきりさせてください。3つが混ざったまま探すと、候補を見ても良し悪しが判断できません。
いま何を使っているか、画面の名前で棚卸しする
次にやるのが棚卸しです。ここで大事なのは、機能の名前ではなく、実際に開いている画面の名前で数えることです。
やり方は単純です。過去1か月で自分が開いた画面を、順に書き出します。次に、担当者に同じことを聞きます。たいてい、とりまとめる人が10画面くらい挙げるのに対して、担当者は2つか3つしか挙げません。
この差が、そのまま判断の材料になります。担当者が2つしか使っていないなら、移す先が持つべき機能も2つです。残りの8つは、とりまとめる人が使っている集計や報告の仕組みなので、そこは移す先で作り直すか、別の方法で代替するかを考える対象になります。
棚卸しのついでに、使っていない機能も数えてください。半年間一度も開いていない画面は、比較の表に載せる理由がありません。一覧を作るとつい全部を載せてしまいますが、載せるほど判断が遅くなります。
席の数え方が独特で、比較の前提がそろわない
比較が難しくなる最大の理由が、人の数え方です。多くの道具は、使う人の数に単価を掛ければ費用が出ます。この道具は、席が4種類に分かれています。
公式ヘルプの席の説明には、メンバー、暫定メンバー、共同作業者、ゲストの4つが並んでいます。有料の席に数えられるのはメンバーだけです。共同作業者は無料で、共有されたものを見られ、コメント権限があればコメントと添付もできます。ゲストは社外の無料の席です。
つまり、20人が関わる案件でも、実際にセルを書き換えるのが6人なら、有料の席は6つで済みます。この数え方は、他の道具と単価を並べたときに比較を難しくします。相手の道具が「使う人全員に単価」だとすると、単価だけを見れば相手のほうが安く見えても、総額では逆転することがあります。
比べるときは、単価ではなく総額で並べてください。関わる人数、そのうち書き込む人数、社外の人数を出して、それぞれの道具の数え方に当てはめて総額を出す。この一手間で、比較の前提がそろいます。
もう1つ、暫定メンバーという席の存在も知っておく必要があります。有料の席を持たない人が条件に当たる操作をすると、その請求期間の終わりまで無料で全権限を持つ席が自動で割り当てられます。期間の終わりに自動で有料に引き上げる設定にしていると、席の不足分が次の請求に足されます。既定は無料の席への降格です。費用が読みづらいと感じている場合、この設定が原因のことがあります。
料金表に「新規のお客様限定」と書かれた区分がある
日本語の料金ページの機能比較表の下に、短い注記が置かれています。プロ プランは新規のお客様限定です、という一文です。
これは、いま別の区分で契約している場合、費用を抑えるためにプロへ下げるという選択肢が無い可能性を示しています。上げることはいつでもできると料金ページのよくある質問に書かれていますが、下げる方向については読み取れる記述が見当たりませんでした。公開資料では確認できませんでしたので、下げられるかどうかは契約の窓口に確かめてください。
費用を理由に代わりを探している場合、ここは確認の優先順位が高い項目です。下げられるなら、道具を替えずに済む可能性があります。下げられないなら、替えるか払い続けるかの二択になります。
提供の状況を、料金以外の4つの点で確かめる
代わりを探すときは、いまの道具の状況も、候補の道具の状況も、同じ4つの点で確かめます。終了していないか。新規の受付が止まっていないか。運営の体制が変わっていないか。料金の仕組みが改定されていないか。この4つは、料金ページを眺めるだけでは分かりません。
終了については、2026年9月11日時点でサービス自体が終わるという案内は見当たりませんでした。
新規の受付については、前の項目で挙げた注記があります。止まっているのではなく、特定の区分が新規だけに開かれているという形です。
運営の体制については、公開された発表があります。2024年9月24日付で、BlackstoneとVista Equity Partnersが運用するファンドによる買収の確定契約について、株式1株あたり56.50ドルの現金、総額およそ84億ドルという条件が発表されています。上場企業だったものが、投資会社の持ち物になるという変化です。あわせて、2026年9月8日付で日本法人の代表に関する発表も出ています。
買収そのものは良し悪しの話ではありません。ただ、持ち主が変わると料金の設計が見直されることがあります。数年単位で使う前提なら、知っておいて損はない事実です。
料金の仕組みの改定については、公式ヘルプにまとまった資料があります。
As your plan transitions to the Smartsheet user model, certain plans and features have been renamed, re-packaged, or - in some cases - enhanced across our Smartsheet product offerings. 出典: help.smartsheet.com
この資料の表には、旧来の区分と、その後継にあたる区分が並べられています。Basic、Individual、Team Plan、Company Wideといった呼び名が、ビジネスに統合されたことが書かれています。Pro SupportはPremium Supportに置き換わり、単体で提供されていたSmartsheet Universityは提供されなくなってStandard Supportに含まれる形になりました。
つまり、数年前の資料を見ながら比較しようとすると、そもそも区分の名前が存在しないことがあります。社内に残っている古い稟議の資料をそのまま使わないでください。
手放してよいものを決める順番
ここからが本題です。棚卸しした画面を、次の順番で分けていきます。
・毎日開いていて、担当者も開いているもの。これは絶対に要る ・毎週開いていて、とりまとめる人だけが開いているもの。作り直す前提で移す ・月に1度しか開かないもの。手作業で代替できないか検討する ・半年間開いていないもの。手放す
この4つに分けると、たいてい上の2つで全体の8割が説明できます。代わりの候補は、上の2つを満たすかどうかだけで選べばよいことになります。
ここで迷いやすいのが、3つ目です。月に1度の集計や、年度末の報告のために使っている仕組みは、無くなると困る気がします。ただ、年に12回しか使わない作業のために道具の選択を縛ると、毎日の使い勝手を落とすことになります。12回分を手作業でやるとして何時間かかるかを計算して、それが許せる範囲なら手放してよい、という判断ができます。
上限に当たって探し始めた場合、当たった上限を数字で特定する
3つ目の理由、つまり上限に当たって探し始めた場合は、どの上限に当たったのかを数字で特定しておくと、候補の絞り込みが一気に早くなります。日本語の料金ページの機能比較表には、区分ごとの上限が数字で載っています。
いちばん下のプロで見ると、メンバーが最大10人、レポートあたりのシート数が1、ダッシュボードあたりのウィジェット数が10個、自動化トリガーが月250件、ファイルの記憶域が20GB、添付1件あたりの最大サイズが30MBです。ビジネスに上がると、レポートとダッシュボードと自動化は無制限になり、記憶域は1TB、添付は250MBになります。
機能そのものが置かれていないものもあります。API呼び出し、ゲスト、シートやレポートやダッシュボードの公開、アクティビティログ、ベースライン、タイムラインビュー、業務量の追跡は、いずれもプロに丸が無く、ビジネス以上です。
当たった上限がこの一覧の中にあるなら、区分を上げれば解決します。代わりを探す前に、上げた場合の年額を出してみてください。逆に、当たった上限がビジネスでも解決しないもの、たとえばポートフォリオやワークインサイトのようにエンタープライズ以上に置かれているものなら、金額が見えない区分の話になるので、代わりを探す理由として成立します。
手放しにくいのは、表計算の作法と数式
この道具の性格として、表計算に近い操作ができることが挙げられます。セルに数式を書き、列単位で数式を適用し、シートをまたいで値を参照する。この作法に慣れている人ほど、乗り換えの抵抗が強くなります。
移す先が板の形をした道具の場合、この作法は基本的に持ち込めません。行と列で自由に計算する発想が無いからです。代わりに、状態や担当者や期日といった決まった項目で絞り込む形になります。
どちらが良いという話ではありません。計算が要る仕事なら表計算に近い道具が合いますし、状態を追う仕事なら板の形が合います。判断の材料は、いま書いている数式が何をしているかです。
数式が集計のためのものなら、移す先の集計の仕組みで置き換えられることが多いです。数式が入力の補助のためのもの、たとえば選んだ項目によって次の値を自動で埋めるようなものなら、置き換えが難しいことがあります。棚卸しのときに、数式の本数と用途を数えておいてください。
なお、公式ヘルプには、前後関係を有効にしているシートでは開始日、終了日、期間、進捗率、先行作業の5つの列に数式を書けないと明記されています。工程表を運用しているシートでは、そもそもこれらの列に数式は使われていないはずです。移す対象として数えるのは、それ以外の列に書かれた数式だけで足ります。
前後関係の作りが、道具によってまるで違う
工程表を使っている場合、いちばん形が変わるのがここです。
この道具では、先行作業の列に行番号を打つことで関係を作ります。行番号を使う方式なので、並べ替えの影響を受けます。既定の関係は終了から開始で、遅延の欄で待ち時間や重なりを表現します。期間は2wや3.5dやe3dといった書き方ができます。
移す先の道具が、同じ考え方で前後関係を持つとは限りません。線をドラッグして繋ぐ方式のものもあれば、前後関係という概念を持たないものもあります。持たない道具に移す場合、日付を手で管理することになり、1つの遅れが他に波及したときに全部を手で直すことになります。
ここは試用の段階で必ず確かめてください。確かめ方は簡単で、作業を5つ並べて前後関係を作り、いちばん前の作業の終了日を3日後ろに動かします。後ろの4つがどう動くかを見れば、その道具が前後関係をどう扱うかが分かります。動かないなら、日付は手作業になります。
代わりの候補は、3つの型に分かれる
候補は、性格で3つに分けられます。分けてから比べると、判断が早くなります。
1つ目が、表計算の形を残した道具です。行と列で扱い、数式が書けます。移行の抵抗はいちばん小さく、いま書いている数式の多くをそのまま持ち込める可能性があります。一方で、担当者が入力しやすいかという点では、元の道具と同じ課題が残ります。
2つ目が、板の形をした道具です。カードを列に並べて動かす形で、状態の管理が直感的です。担当者の入力が続きやすい反面、細かい計算は苦手です。工程表を併せ持つものと、持たないものがあります。
3つ目が、工程表に特化した道具です。線を引くことに強く、前後関係やクリティカルパスの扱いが丁寧です。ただし工程表以外の用途、たとえば問い合わせの管理や申請の受付には向きません。
いま使っている用途が複数にまたがっているなら、1つの道具で全部を置き換えようとせずに、用途ごとに分ける判断もあります。分けると画面が増えますが、それぞれが使いやすくなるので、結果として入力が続くことがあります。
替えないほうがよい場合
代わりを探している人に対して、替えないほうがよい場面も挙げておきます。
まず、いまの困りごとが区分の制約であって、上げれば解決する場合です。案件をまたいだ一覧が作れない、社外に公開できない、といった制約は、区分を上げれば開きます。上げた場合の年間の差額と、移行にかかる工数を金額に直したものを並べてみてください。移行のほうが高いなら、上げるのが合理的です。
次に、社内に使い慣れた人がいる場合です。数式を組める人、自動化を組める人がいるなら、その人の慣れは資産です。道具を替えると、その資産が一度ゼロに戻ります。
そして、走っている案件が多い時期です。並走の期間に混乱が起きると、案件そのものに影響します。切り替えるなら、案件の切れ目を狙うのが定石です。
最後に、困っているのが道具ではなく運用である場合です。入力が続かない、報告が遅れる、といった問題の多くは、入れる欄が多すぎることや、誰も見ていないことが原因です。これは道具を替えても直りません。替える前に、欄を減らして週次で見る、を1か月やってみてください。それで直るなら、移行の費用は要りません。
社外の人の招き方が、候補を絞る条件になる
案件に社外の人が入るかどうかで、候補の絞り込み方が変わります。ここは費用にも運用にも直結するので、早い段階で確かめておく価値があります。
いまの道具では、社外の人の扱いが区分で分かれています。公式ヘルプによれば、ゲストは組織のドメインと一致しないメールアドレスを持つ人のための無料の席です。ただしこの席はビジネス以上にしか無く、プロでは社外の人も社内の人と同じ扱いになります。つまりプロで社外の人に編集してもらうと、有料の席を1つ使い、10人という上限にもその人が入ります。
候補の道具を見るときは、同じ点を確かめてください。確かめるのは3つです。社外の人を無料で招けるか。招いた人が編集できるか。招かずにURLで見せる方法があるか。
この3つのうち、3つ目が意外と効きます。招く手続きが要らないと、報告のたびの作業が消えます。相手の会社の情報システム部門の承認が要らないのも利点です。社外の人にアカウントを作ってもらう話は、相手の社内規程で止まることがあります。
もう1つ、社外の人から進捗を集める方法も見ておきます。いまの道具では、自動化の権限次第で、シートに共有していない相手にもメールアドレスさえあれば更新の依頼を送れると公式ヘルプに書かれています。相手はメールに答えるだけで済みます。この仕組みがある道具と無い道具では、委託先を巻き込む仕事の回り方がまったく変わります。
移す時期は、案件の切れ目に合わせる
替えると決めたあと、いつ替えるかで難易度が変わります。走っている案件が多い時期に切り替えると、並走の期間にどちらが正か分からなくなり、案件そのものに影響が出ます。
狙うのは案件の切れ目です。新しく始まる案件を新しい道具で立ち上げ、走っている案件は元の道具で最後まで走らせる。この形なら、並走はしますが「どちらに入れるか」で迷いません。案件ごとに使う道具が決まっているからです。
この方法の利点は、もう1つあります。新しい道具で1つの案件を最後まで回してみて、問題が出たら元に戻す判断ができることです。全部を一度に切り替えると、戻る選択肢が消えます。
期間の目安としては、1つの案件を通しで回すのに要る時間です。3か月の案件なら3か月かけて確かめる、ということになります。長いようですが、全部を一度に切り替えて失敗したときの手戻りに比べれば短いです。
注意が要るのは、元の道具の契約を止める時期です。走っている案件が終わるまでは止められないので、その間は両方の費用がかかります。この重複分を最初から見積もりに入れておいてください。入れずに出すと、後で費用の説明を求められます。
移す作業の重さは、機能ではなく作り直しの量で決まる
移行の見積もりで効くのは、データを運ぶ時間ではなく、作り直す時間です。
公式ヘルプによれば、バックアップにはレポート、ダッシュボード、数式、ワークフロー、シートをまたいだ参照、書式の情報、独自の設定が含まれません。運べるのはシートのデータと、コメントと、直接アップロードした添付です。
つまり、いま組んであるレポート、ダッシュボード、自動化、条件付き書式は、全部作り直しになります。移行の工数は、この4つが何本あるかでほぼ決まります。棚卸しのときに本数を数えておけば、見積もりの精度が上がります。
数えてみると、思ったより少ないことが多いです。ダッシュボードは2枚、自動化は5本、といった規模なら、作り直しは1日から2日で終わります。逆に自動化が50本ある現場なら、そこが移行の主戦場になります。
試す期間に、何を確かめるか
候補を絞ったら、試用で確かめます。眺めるだけで終わらせず、次の5つを実際にやってください。
・担当者に画面を渡して、説明なしで自分の作業を1つ更新してもらう ・作業を5つ並べて前後関係を作り、前の日付を動かして後ろがどう動くかを見る ・案件を2つ作って、両方を横断する一覧が作れるかを試す ・社外の人に見せる経路があるか、その相手に費用がかかるかを確かめる ・いま使っている集計のうち、いちばん複雑なものを1つ再現してみる
このうち1つ目がいちばん重要です。説明なしで更新できない道具は、替えても入力が続きません。
社内をどう通すか
替える判断が出たら、社内を通す段になります。ここで機能の比較表を出すと、たいてい「いまので足りているのでは」と返ってきます。
通りやすいのは、いま起きている手間を時間で示すことです。週に何時間を報告の作り直しに使っているか、遅れの発見が何日遅れているか。この2つを数えて、替えた後にどうなるかを並べます。
費用については、単価の比較ではなく総額の比較にします。席の数え方が道具によって違うので、単価を並べると噛み合いません。関わる人数と書き込む人数を出して、それぞれの数え方に当てはめた総額を並べるのが公平です。
そして、移行の工数も金額に直して載せます。載せずに出すと、後から「思ったより時間がかかった」と言われます。作り直しが必要なものの本数を先に数えておけば、この数字は出せます。
判断を1枚にまとめる
ここまでの内容を、1枚の紙にまとめられます。会議に出すのはこの1枚で足ります。
・探し始めた理由は3つのどれか。費用か、使われないことか、上限か ・毎日開いている画面の数。とりまとめる人の分と、担当者の分を別に書く ・作り直しが必要なものの本数。レポート、ダッシュボード、自動化、条件付き書式の4項目 ・関わる人数、そのうち書き込む人数、社外の人数 ・いまの年額と、区分を上げた場合の年額と、候補に移した場合の年額 ・切り替えを狙う案件の切れ目の時期
この6項目が埋まっていれば、替えるか替えないかの議論は30分で終わります。埋まっていない状態で機能の比較表を出すと、議論は何回やっても終わりません。
埋めるのに要る時間は、半日から1日です。棚卸しと本数の数え上げが大半で、あとは料金ページを見て計算するだけです。この半日を惜しんで比較表の作成に数日を使う、という流れがいちばんよくある無駄です。
比較の資料から見える、区切り方の違い
最後に、候補を並べて見るときの視点です。見るのは機能の数ではなく、上の段に上がる理由が何かです。機能ごとに段を作る方式だと、ある機能が欲しくなるたびに段を上げる判断が要ります。人数が変わっていないのに費用が上がるので、説明が難しくなります。
候補の性格を1つずつ当たるなら、板の形をした代表はTrelloとの比較、担当と期日を軸に据えた代表はAsanaとの比較にまとまっています。文書と台帳を1か所に集める型はNotionとの比較、表計算の作法をいちばん残している型はmonday.comとの比較が近いです。国内の事業者が出しているものはBacklogとの比較とJootoとの比較にあり、3つの型をまたいで見るなら比較の一覧が入口になります。
区切り方には別の考え方もあります。機能ごとに段を作るのではなく、機能で絞らず、区切るのは人数とボードの数だけという方式です。この方式だと、上の段に上がる理由が「人が増えたから」だけになり、稟議の説明が人数の話で済みます。優劣の話ではなく、自分たちが上の段に上がる理由をどう説明したいかの違いです。移った先で何ができるかはできること、段の分け方は料金にまとまっています。運ぶ手順はTrelloからの移行、移した先でのデータの扱いは安全性の考え方に整理があります。残った疑問はよくある質問で拾えます。
Q1. Smartsheetから乗り換えるとき、いちばん時間がかかるのはどこですか?
データを運ぶ作業ではなく、作り直す作業です。公式ヘルプには、バックアップにレポート、ダッシュボード、数式、ワークフロー、シートをまたいだ参照、書式の情報、独自の設定が含まれないと明記されています。運べるのはシートのデータとコメントと直接アップロードした添付だけなので、移行の工数はレポートと自動化が何本あるかでほぼ決まります。先に本数を数えてください。
Q2. 費用が高いと感じたら、安いプランに下げられますか?
2026年9月11日時点の日本語の料金ページには、いちばん下のプロについて新規のお客様限定という注記が置かれています。上げることはいつでもできると書かれていますが、下げる方向については読み取れる記述が見当たりませんでした。公開資料では確認できませんでしたので、契約の窓口に確かめてください。下げられるなら、道具を替えずに済む可能性があります。
Q3. 運営会社が変わったと聞きましたが、使い続けて大丈夫ですか?
2024年9月24日付で、BlackstoneとVista Equity Partnersが運用するファンドによる買収の確定契約が発表されています。1株あたり56.50ドル、総額およそ84億ドルという条件でした。買収そのものは良し悪しの話ではありませんが、持ち主が変わると料金の設計が見直されることはあります。数年単位で使う前提なら、料金ページとお知らせを定期的に見ておくことをおすすめします。
Q4. 替えないほうがよいのは、どんな場合ですか?
困りごとが区分の制約で、上げれば解決する場合です。移行にかかる工数を金額に直して、区分を上げた場合の年間の差額と並べてみてください。移行のほうが高いなら、上げるほうが合理的です。また、入力が続かない、報告が遅れるといった問題は運用が原因のことが多く、道具を替えても直りません。入れる欄を減らして週次で見る、を先に1か月試してみてください。