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工事台帳をエクセルで管理する限界|案件が増えたときの詰まり

2026年9月30日 ・ Pinateca編集部

工事台帳をエクセルで作っていて、案件が20件を超えたあたりから手が回らなくなった。ファイルが人ごとに分かれ、どれが最新か分からない。原価を集計しようとすると、見積りの数字と実際に払った数字が同じ列に混ざっている。この詰まり方は、表計算の腕が足りないから起きているのではありません。

先に結論を書きます。工事台帳をエクセルで管理することは、法令の上では問題なく認められています。壊れるのは、ひとつの表に性質の違う数字を同居させたときと、同じ表を複数の人が同時に触ろうとしたときです。だから直す順番は、ファイルを新しい道具に丸ごと移すことではなく、混ざっているものを分けることから始まります。

この記事では、工事台帳と呼ばれているものが実は2種類あることを先に分けたうえで、エクセルに載せる項目、無料テンプレートを使うときに引っかかる点、エクセルのままでよい範囲、壊れ始めたときに出るサイン、期をまたぐ工事の書き方、そして外へ出すなら何から出すのかを順に扱います。

工事台帳が2種類あることを先に分ける

「工事台帳」という言葉は、現場では2つの別のものを指して使われています。ここを分けないまま1つのシートに詰め込むのが、エクセル運用が壊れる最初の原因です。

ひとつは、建設業法で備え付けが義務づけられている帳簿です。建設業法第40条の3に、営業所ごとに帳簿を備えて保存しなければならないと定められています。

建設業者は、国土交通省令で定めるところにより、その営業所ごとに、その営業に関する事項で国土交通省令で定めるものを記載した帳簿を備え、かつ、当該帳簿及びその営業に関する図書で国土交通省令で定めるものを保存しなければならない。 出典: laws.e-gov.go.jp

何を書くかは建設業法施行規則第26条に一覧で並んでいます。営業所の代表者の氏名とその者が代表者になった年月日、請け負った建設工事の名称と工事現場の所在地、注文者と請負契約を締結した年月日、注文者の商号や名称と住所、注文者が建設業者であるときはその許可番号、完成を確認する検査が完了した年月日、目的物を引き渡した年月日。下請に出しているなら、下請負人ごとに同じ内容と、支払った下請代金の額と支払った年月日と支払手段まで書きます。

もうひとつは、原価を工事ごとに集計するための台帳です。材料費、労務費、外注費、経費の4つに分けて、予算に対していくら使ったかを見るための表です。こちらは法令に定めがあるものではなく、社内の管理と、決算のときの完成工事原価の計算のために作ります。

この2つは、必要な粒度がまったく違います。法定の帳簿は契約と引き渡しの事実を残すもので、記録の頻度は工事の節目だけです。原価の台帳は請求書が届くたびに動きます。同じシートに両方を入れると、毎日動く列と年に数回しか動かない列が並び、どこを更新すべきかが分からなくなります。分けるだけで、更新の負担は目に見えて軽くなります。

保存期間も別に定められています。帳簿と添付書類は、目的物を引き渡したときから5年間です。発注者と締結した住宅を新築する建設工事に係るものは10年間です。完成図や打合せ記録といった図書は、引き渡しから10年間の保存が必要です。原価の台帳のほうは、法人税の帳簿書類として7年間の保存が求められる範囲に入ります。同じフォルダに入れていると、5年で捨てられるものと10年残すものが混ざるので、保存期間ごとにフォルダを分けておくほうが後で楽になります。

エクセルで作ってよいことは法令に書かれている

紙の帳簿でなければならない、という思い込みが残っている現場があります。実際には、電子で持つことが施行規則に明記されています。

第一項各号に掲げる事項が電子計算機に備えられたファイル又は電磁的記録媒体に記録され、必要に応じ当該営業所において電子計算機その他の機器を用いて明確に紙面又は出力装置の映像面に表示されるときは、当該記録をもつて法第四十条の三に規定する帳簿への記載に代えることができる。 出典: laws.e-gov.go.jp

条文が求めているのは2つだけです。記録されていること、そして必要に応じてその営業所で画面か紙に明確に表示できること。エクセルのファイルは、この条件を満たします。添付書類についても、スキャナで読み取る方法その他これに類する方法で記録されていれば、それをもって添付書類に代えることができると定められています。

ここから読み取れる実務上の要点は、置き場所です。「当該営業所において表示できる」という条件があるので、担当者の個人のパソコンの中だけにファイルがある状態は、条文の求める形から外れます。営業所で誰でも開ける場所に置くか、共有の保存場所に置いて営業所から開ける状態にしておく必要があります。担当者が休んだ日に開けないファイルは、条文の要件を満たしていないと見られる余地があります。

もうひとつの要点は、書き換えの記録です。施行規則第27条には、記載事項に変更があったときは変更があった年月日を付記して変更後の事項を記載しなければならないと書かれています。エクセルで上書きしてしまうと、いつ何を変えたかが残りません。行を上書きせず、変更の行を足していく作りにしておくと、この要件を自然に満たせます。

なお、税務調査や経営事項審査でどこまで求められるかは、税務署や許可行政庁の判断に関わります。自社の工事がどう扱われるかは、所管の窓口や顧問の税理士に確認してください。ここで押さえておきたいのは、エクセルという道具の側に法令上の問題はない、という一点です。

エクセルの工事台帳に載せる項目

項目を最初から欲張ると、埋まらない列が並んで表が死にます。載せる順番を決めます。

まず工事を1行で識別する情報です。工事番号、工事名、工事現場の所在地、注文者の名称、契約日、着工日、完成予定日、引渡日。工事番号は後から振り直すと集計がすべて崩れるので、最初に振り方を決めます。年度の2桁と連番の3桁で「26-001」のように振ると、期をまたいだときに区別しやすくなります。

次に金額です。請負金額、契約変更の金額と変更日、消費税の扱い。ここで必ず分けるのは、見積りの原価と実際の原価です。同じ「材料費」という列に、見積りのときの想定と、届いた請求書の合計を入れてはいけません。列を「材料費(予算)」と「材料費(実績)」の2本に分けます。労務費、外注費、経費も同じです。合計8列になりますが、この分け方をしないと、粗利がいくらなのかを誰も言えなくなります。

その次に進捗です。出来高の割合、または完成基準で認識するのかどうか。工事の期間が長い場合は、月ごとの出来高を別のシートに積み上げて、台帳の1行はその合計を参照する形にします。

最後に、法定の帳簿として必要な項目です。注文者が建設業者であるときの許可番号、完成を確認する検査が完了した年月日、下請に出した場合の下請負人ごとの契約日と支払日と支払手段。前の節で書いたとおり、これは別のシートに分けたほうが更新の頻度が揃います。

シートの構成は3枚が扱いやすい形です。1枚目に工事の一覧、2枚目に原価の明細(工事番号ごとに請求書1枚を1行で積む)、3枚目に法定の帳簿。1枚目の金額は2枚目からSUMIFで拾います。この形だと、請求書が届いたら2枚目に1行足すだけで一覧の数字が動きます。入力する場所が1箇所に決まっていることが、続く運用の条件です。

原価の明細シートを1枚で回す作り方

台帳の一覧だけを作って、原価を工事ごとの別ファイルに散らす形は、案件が増えると必ず行き詰まります。明細は1枚のシートに全部積むのが、後の集計を楽にする形です。

明細シートの1行は、請求書1枚か、支払1件に対応させます。列は、発生年月、工事番号、科目、取引先、内容、金額、税率、消費税額、支払予定日、支払済みかどうか。この10列で足ります。工事名の列は置きません。工事番号があれば一覧シートからVLOOKUPやXLOOKUPで引けるので、手で書くと表記のずれが生まれます。

科目の列は、入力のときに選ぶ形にします。データの入力規則でリストを作り、材料費、労務費、外注費、経費の4つから選ばせます。自由入力にすると「外注費」と「外注」と「外注工事費」が混在して、集計が合わなくなります。集計が合わない原因の大半は、計算式ではなくこの表記のゆれです。

発生年月は、請求書の日付とは別に持ちます。月末に届いた請求書を翌月の原価として積んでしまうと、月ごとの粗利が実態とずれます。請求書の日付は取引先との照合に使う情報なので、必要なら列を足して両方持ちます。

行を積むだけの作りにすると、1年で数千行になります。それでも困りません。困るのは、シートを工事ごとに分けたときです。シートが40枚になると、集計の式が40本の参照になり、1枚増えるたびに式を直す作業が発生します。1枚に積む形なら、SUMIFSの条件を変えるだけで、どの切り口でも集計できます。

一覧シート側の金額は、すべてこの明細シートから拾います。手で入れる金額は、請負金額と契約変更の金額だけです。原価の列に手入力が残っていると、明細と一覧が食い違ったときにどちらが正しいのか分からなくなります。手入力のセルと式のセルは、塗りの色で見分けが付くようにしておきます。

予算の側は、明細とは別のシートに置きます。見積りの段階の数字なので、更新の頻度が違います。一覧シートでは「材料費(予算)」を予算シートから、「材料費(実績)」を明細シートから、それぞれ別の式で拾います。この分け方をしておくと、粗利の列が何を引き算した結果なのかを説明できます。

無料テンプレートを使うときに引っかかる点

工事台帳のエクセルテンプレートは、無料で配られているものが多数あります。使うこと自体は合理的です。ただし、そのまま使い始める前に確かめる点があります。

最初に税率です。古いテンプレートには、計算式の中に8%が固定で入っているものがあります。

消費税率は、近年10%まで引き上げられましたが、古いテンプレートを使用する場合、税率が8%のままになっている場合があります。使用する工事台帳テンプレートが、正しい税率で計算されているか確認しておくと良いでしょう。 出典: aippearcloud.com

数式の中に税率を直接書いてあるテンプレートは、見つけたら必ず直します。税率はシートの1箇所にセルとして置き、すべての計算式がそのセルを参照する形にします。こうしておけば、税率が変わったときに1箇所だけ直せば済みます。軽減税率が関わる取引がある場合は、行ごとに税率を選べる列を足します。

2つめは、原価の科目の分け方です。配られているテンプレートは、配り手の業種に合わせて科目が組まれています。リフォーム向けのテンプレートと土木向けのテンプレートでは、外注費の粒度が違います。自社の見積書の科目と台帳の科目が揃っていないと、見積りと実績を比べられません。テンプレートの科目を自社の見積書に合わせて書き換えるのが先です。

3つめは、シートの保護と数式の壊れやすさです。無料のテンプレートは、行を挿入すると集計の範囲から外れる作りのものが少なくありません。使い始める前に、10行ほど足してから合計が正しく動くかを確かめます。動かないなら、集計の範囲を列全体に広げるか、テーブルとして書式設定して範囲が自動で伸びるようにします。

4つめは、ダウンロードの条件です。登録が不要なものと、会社の情報を入力させるものがあります。入力した先から営業の連絡が来る前提で使うかどうかを決めておきます。

5つめは、配布元の更新が止まっていないかです。法令の要件は変わります。施行規則の記載事項も過去に追加されています。3年以上更新されていないテンプレートは、いま求められる項目が欠けている可能性があるので、施行規則第26条の一覧と突き合わせてから使います。

エクセルのままでよい範囲と、メリットの中身

エクセルをやめる話ばかりが目につきますが、続けたほうがよい範囲は実際にあります。

同時に動いている工事が5件以内で、台帳を触るのが1人か2人に収まっているなら、エクセルで足ります。この規模では、道具を増やすことで生まれる管理の手間のほうが大きくなります。月に数時間で回っているなら、乗り換える理由は弱いです。

エクセルの強みは3つあります。ひとつめは、列を足すのが速いことです。新しい科目が必要になったとき、列を1本挿入して終わります。専用のシステムでは、項目の追加が設定の変更やベンダーへの依頼になることがあります。自社の仕事の形が固まっていない時期には、この速さが効きます。

ふたつめは、費用です。既に契約しているオフィスの範囲で使えるので、追加の月額がかかりません。専用のシステムは、公開されている金額でも1人あたり月数千円から、工事に特化したものは見積り制で金額が公開されていないことが多いです。台帳のためだけに年間で数十万円を出すかどうかは、詰まっている時間の量で決めます。

みっつめは、誰でも読めることです。税務調査や経営事項審査で求められたとき、その場で印刷して渡せます。専用のシステムだと、出力の形が決まっていて、求められた形に合わせられないことがあります。

デメリットは、この強みの裏返しです。列を足すのが速いということは、人によって違う列を足せるということです。同時に触れないということは、更新を待つ時間が生まれるということです。誰でも読めるということは、誰でも書き換えられるということでもあります。どれも規模が小さいうちは問題になりません。問題になるのは、次の節のサインが出てからです。

複数の人で1つの台帳を触るための決め方

エクセルの工事台帳が壊れる直接の引き金は、たいてい人数です。1人なら何年でも回りますが、3人が同じファイルを触り始めると1ヶ月で崩れます。道具を変える前に、触り方を決めるだけで延命できます。

まず、入力する人を1人に絞ります。請求書が届いたら経理の担当者が明細シートに積む、工事の情報は工務の担当者が一覧シートに入れる、というように、シートごとに書ける人を1人決めます。他の人は読むだけにします。読むだけの人が増えることは問題になりません。書ける人が増えることが問題です。

次に、締めの時刻を決めます。「なるべく早く」は守られません。請求書が届いた週の金曜までに明細へ積む、工事の情報は契約した日の当日に入れる。誰がいつ見るのかまで決めると守られ方が変わります。月曜の朝に全員で一覧を見る場を作っておくと、入っていない行が見えるので、締めが自然に守られます。

置き場所は、営業所から開ける共有の場所に1つだけにします。個人のパソコンに置いた版を配る形は、その瞬間から版が分かれます。共有の保存場所に置いたうえで、ファイル名に日付を入れないことを決めます。日付を入れた時点で、古い版を残す運用が始まります。

同時に開きたい場面が出てきたら、そこが分岐点です。エクセルには共同編集の仕組みがありますが、大量の式と条件付き書式が入ったファイルでは動きが重くなり、結局は「いま開いている人」を口頭で確認する運用に戻ります。同時に見たいのが原価そのものなのか、工事の進み方なのかを切り分けてください。進み方であれば、そこだけを外に出すほうが早く済みます。この記事の最後の節で、どこから出すかを扱います。

変更の履歴も決めておきます。施行規則第27条は、記載事項に変更があったときは変更があった年月日を付記して変更後の事項を記載しなければならないと定めています。金額を上書きするのではなく、変更の行を足していく形にしておくと、この要件を満たしながら経緯も残ります。契約変更が入ったときに、いつ何がいくら増えたのかを説明できるかどうかは、後から効いてきます。

エクセル運用が壊れ始めたときに出るサイン

壊れ方には順番があります。次のどれかが起きているなら、道具の作りが規模に合っていません。

第一のサインは、ファイル名に日付や名前が付き始めることです。「工事台帳_最新_0919_田中修正.xlsx」のようなファイルが並び出したら、同時に触れないことが実害になっている段階です。この状態では、集計した数字が誰の手元の版から出たものか分からなくなります。

第二のサインは、見積りの数字と実績の数字が同じ列に入っていることです。まだ請求書が来ていない分を見積りの金額で埋め、来たら上書きする運用をしていると、いま画面に出ている原価が予想なのか事実なのかを誰も区別できません。空欄なら誰も信じませんが、埋まっている数字は信じられてしまいます。

第三のサインは、原価の締めが月末から遅れ続けることです。請求書が届いてから台帳に入るまでに2週間かかっているなら、月末の時点で見ている粗利は2週間前のものです。判断に使えない数字を作るために時間を使っていることになります。

第四のサインは、工程表と台帳の工事名が一致していないことです。工程表では「A邸新築」、台帳では「26-014 A様邸」のように呼び名が違うと、遅れている工事の原価がどこにあるのかを人が探します。案件が20件を超えると、この探す時間が積み上がります。

第五のサインは、店舗や部署ごとに台帳が分かれていて、全社の数字を出すのに手作業のコピーが要ることです。月に1回、誰かが数時間かけて貼り合わせているなら、その作業は毎月続きます。

このうち2つ以上が出ているなら、テンプレートを直すのではなく、入力の場所を分ける設計から考え直す段階です。逆に1つだけなら、そこを直すほうが早く済みます。第二のサインだけなら列を分ければ終わりますし、第四のサインだけなら工事番号を工程表にも振れば終わります。

期をまたぐ工事をどう表現するか

エクセルの工事台帳で最も間違いが出やすいのが、決算をまたぐ工事です。

問題は、1行に1つの工事を書く形と、1年で区切って締める形が噛み合わないことです。3月決算の会社で、1月に着工して7月に完成する工事があると、3月末の時点で原価は発生しているのに売上は立っていません。ここを台帳の上でどう表現するかを決めておかないと、期末に数字が合わなくなります。

実務で使われている形は2つです。ひとつは、台帳の1行を工事の全期間のままにして、期末の時点の累計原価を別の列で持つ形です。「前期末までの累計原価」「当期の発生原価」「当期末までの累計原価」の3列を置きます。この形だと、工事1件の全体像が1行で見え続けます。

もうひとつは、原価の明細シートの側に発生年月の列を必ず持たせて、台帳の一覧は期間を指定して集計する形です。SUMIFSで工事番号と年月の範囲を条件にします。この形のほうが柔軟ですが、集計の式が複雑になるので、式を触れる人が1人しかいない状態になりやすいです。

どちらを選ぶにしても、決めておくことは同じです。原価がいつ発生したものかを、行ごとに残すこと。請求書の日付ではなく、その原価がどの月の工事に対するものかを入れます。ここを請求書の日付だけで持つと、月末に届いた請求書が翌月の原価になり、月ごとの粗利が実態とずれます。

工事進行基準で売上を認識している場合は、出来高の根拠も残します。出来高の割合を誰がいつ判定したかを別のシートに積んでおくと、監査や税務の確認で説明できます。この判断の基準は会計の話なので、自社の決算でどう扱うかは顧問の税理士に確認してください。台帳の側でやるべきことは、後から説明できる材料を残しておくことだけです。

工事番号の振り方も、人数が増えたときに効いてきます。担当者ごとに番号の付け方が違うと、明細シートの工事番号と一覧シートの工事番号が一致せず、集計から漏れた行が出ます。番号は工務の担当者だけが振る、振ったら一覧シートに行を作るまでを1つの作業にする。ここを決めておけば、後から番号の付け替えという最も面倒な作業を避けられます。

外へ出すなら、工程と原価の突き合わせから出す

エクセルをやめる話になると、台帳ごと専用のシステムへ移す前提で語られがちです。実際に効くのは、全部を移すことではなく、いちばん時間を食っているところだけを外に出すことです。

時間を食っているところは、たいてい原価そのものではなく、工程と原価の突き合わせです。遅れている工事がどれかを工程表で見て、その工事の原価を台帳で探し、残りの予算を計算する。この行き来が、案件の数だけ発生します。工程表と台帳で工事の呼び名が違うと、さらに探す時間が乗ります。

だから外に出す順番は、原価の集計ではなく、工事の一覧と進み方です。工事番号と工事名と担当者と期日を1つの板に載せて、そこを全員が見る場所にします。原価はエクセルに残したままでよく、板のカードから台帳の該当箇所に辿れるようにするだけで、探す時間は消えます。カンバンと工程表とカレンダーが同じデータを別の見え方で出す作りになっているかどうかは、できることのような機能のページで確かめられます。1つの入力が3つの見え方に反映されるのか、それぞれ別に入力が要るのかで、続くかどうかが分かれます。

道具を選ぶときに先に見るのは、機能ではなく人数の数え方です。台帳を見るのは経理と現場の両方なので、閲覧だけの人を人数に数える作りだと、月額が想定の倍になります。何が有料の線引きになっているかは料金のような料金ページに書かれているので、機能の一覧より先にそこを読みます。他のサービスと並べて考えるなら比較の一覧から入ると、同じ軸で並んだ状態で読めます。

既にカードの形でタスクを管理しているなら、そこから移せるかも論点になります。自動で取り込める範囲と手作業になる範囲を正直に書いているかはTrelloからの移行のような移行のページで確かめます。すべて自動で移せると書いてあるページは、後から手作業が出てきます。判断に迷う点はよくある質問のようなFAQのページに書かれていることが多いので、料金ページと合わせて読んでおくと論点が絞れます。

最後に、外へ出す範囲を決めるときの目安を1つ。法令が求めている帳簿は、エクセルのままで要件を満たせます。だから移す対象は法定の帳簿ではありません。移すのは、複数の人が同時に見たい情報だけです。工事の一覧、進み方、誰が担当か。この3つが1箇所にあれば、探す時間は消えます。原価の集計と法定の帳簿は、営業所で開ける場所にエクセルで置いておけば足ります。全部を一度に移そうとして止まるより、この分け方で始めたほうが早く楽になります。

Q1. 工事台帳をエクセルで管理しても法令上問題ありませんか?

建設業法施行規則第26条第6項に、帳簿の記載事項が電子計算機のファイルに記録され、必要に応じてその営業所で紙面や画面に明確に表示できるときは、その記録をもって帳簿への記載に代えられると定められています。エクセルで作ること自体は認められています。ただし担当者の個人のパソコンの中だけにある状態は、営業所で表示できるという条件から外れるため、共有の場所に置いてください。

Q2. 工事台帳の保存期間は何年ですか?

建設業法施行規則第28条により、帳簿と添付書類は工事の目的物を引き渡したときから5年間です。発注者と締結した住宅を新築する建設工事に係るものは10年間です。完成図や打合せ記録といった図書は引き渡しから10年間の保存が必要です。法人税の帳簿書類としての保存期間とは別に定められているので、保存期間ごとにフォルダを分けておくと管理しやすくなります。

Q3. 無料の工事台帳テンプレートを使うときに気をつけることは何ですか?

まず計算式の中に消費税率が固定で書かれていないかを確かめます。古いテンプレートは8%のまま止まっていることがあります。次に原価の科目が自社の見積書と揃っているかを見ます。揃っていないと見積りと実績を比べられません。最後に行を10行ほど足して合計が正しく動くかを試してから使い始めてください。

Q4. エクセルから専用のシステムに移すべき目安はありますか?

ファイル名に日付や担当者名が付き始めた、見積りの金額と実績の金額が同じ列に入っている、原価の締めが月末から2週間遅れている、工程表と台帳で工事の呼び名が違う、店舗ごとの台帳を手作業で貼り合わせている。このうち2つ以上が同時に起きているなら、入力の場所を分ける設計から考え直す段階です。1つだけならその箇所を直すほうが早く済みます。

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