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会議の書記を任されて困るのは、聞くことと書くことを同時にやろうとして、どちらも中途半端になる点です。発言を追いかけて打ち込んでいるうちに議論が先へ進み、気づくと何が決まったのか分からなくなっている。この状態は、能力の問題ではなく段取りの問題です。
先に結論を書きます。書記の仕事は全部書くことではありません。決まったこと、やる人、いつまでか、の3つを取り逃さないことです。この3つに集中すると決めてしまえば、残りは聞き流しても構いません。そして、この3つを取るためには、会議が始まる前にやっておく準備があります。
もちろん、議事録を作成することは簡単ではありませんが、しっかりと準備をすれば決して難しいものではありません。 出典: kashikaigishitsu.net
この記事では、書記の役目の定義から始めて、会議前の準備、聞きながら書くための略記の型、聞き取れなかったときの対処、決定と意見の分け方、会議後10分の手順、そして使える道具の選び方までを順に扱います。
まず、役目を定義し直します。会議の発言をすべて文字にするのは、書記の仕事ではありません。それが必要なら録音して機械に任せるほうが正確です。人がその場でやるべきことは、機械では取れないものを取ることです。
機械では取れないものが3つあります。1つ目は、どの発言が決定でどの発言が意見だったかの区別です。会議では「たぶんそれでいきましょう」という曖昧な言い方で合意が成立します。この一言が決定なのか様子見なのかは、場の空気を含めて判断するしかありません。
2つ目は、誰が引き取ったかです。日本語の会議では主語が落ちます。「来週までに直しておきます」と誰かが言ったとき、その人が誰かは声で分かりますが、文字にしたときには落ちます。その場で名前を書き添えるのが、書記の仕事です。
3つ目は、言われなかったことです。議題に上がるはずだったのに触れられなかった項目、反応がなかった提案。これは録音しても残りません。空欄として残せるのは、その場にいる人だけです。
この3つに絞ると、書記の負荷は大きく下がります。発言の細部を追わなくてよいと決まれば、議論の流れを聞く余裕が生まれ、結果として決定の判断も正確になります。全部を書こうとするほど、肝心な部分を取り逃がします。
書記の出来は、会議が始まる前にほぼ決まります。やっておくべきことは3つです。
議題を先に枠にしておくことです。議題が事前に配られているなら、それを見出しとして並べた空の枠を作っておきます。会議が始まったら、その見出しの下に書き込むだけになります。議題が配られていない場合は、前回の記録から保留事項と次の行動を写しておくと、たいていそれが今回の議題になります。
参加者の名前を先に入れておくことです。出席予定者を並べておけば、発言者を書くときに1文字で済みます。名前をフルで打つ必要はなく、頭文字1つで足ります。あとで置き換えられます。
そして、前回の記録を開いておくことです。前回の保留事項と期限が目の前にあると、会議中に「それは前回も保留になっています」と気づけます。この気づきは、記録の精度だけでなく会議そのものの質を上げます。
この3つで、準備は5分程度です。それだけで、会議中に打つ文字の量が半分近く減ります。初めて書記を任されたときにいちばん効くのは、この5分です。
なお、社外の参加者がいる会議や、録音を併用する会議では、記録を取ることを冒頭で伝えておきます。あとから「そんなことは言っていない」という話になったときに、記録の位置づけが明確になります。
会議中は、文として整えないのが原則です。整えるのは会議のあとです。その場では次の型で打ちます。
発言者は頭文字1つ。時刻は必要なときだけ。そして、行の先頭に記号を付けます。
記号は3つで足ります。決定には二重丸、行動には矢印ではなく「T」のような一文字、保留には疑問符。何を使うかは自分で決めて構いませんが、3種類に限るのが重要です。5種類にすると、会議中に記号を選ぶことで思考が止まります。
書き方の例としては、次のような粒度になります。
| 記号 | 何を書くか | 書き方の例 |
|---|---|---|
| 決定 | 決まったこと | 決 画面の配色は現行のまま |
| 行動 | やる人と期限 | 行 佐 10/3 見積り再提出 |
| 保留 | 決まらなかったこと | 保 外部連携の範囲 次回 |
| 素材 | あとで確認する数字や名前 | 素 16万か160万か要確認 |
素材という4つ目の枠を用意しておくのが実務的です。金額や日付や人名は、聞き間違えると影響が大きく、その場で止めて確認するのがためらわれることもあります。あとで確認する、という印だけ残しておけば、会議のあとに拾えます。
助詞は落として構いません。「画面の配色については現行のままとすることで合意した」ではなく「配色 現行のまま 決」で足ります。整えるのは会議のあとで、そのときには5分もかかりません。
打つ速度が追いつかないときは、書く対象を減らします。議論の途中経過は書かず、結論だけを待つ。1つの議題で3行しか残らなくても、その3行が決定と担当と期限なら、記録としては成立しています。
聞き取れないこと、意味が分からないことは必ず起きます。ここで固まると、その後の議論もすべて取り逃します。
まず、飛ばします。分からなかった箇所には印だけ残して、次の発言に移ります。1つの発言に引っかかって止まるのが、いちばん損失が大きい対処です。
次に、会議の流れが切れたところで拾います。議題が次へ移るとき、あるいは誰かが資料を探しているときに、短く確認します。「先ほどの金額、16万でよろしいですか」という形で、答えが一言で済む聞き方にします。議論を止めない聞き方をすると、確認のハードルが下がります。
それでも拾えなかったものは、会議のあとに本人へ聞きます。会議が終わってから15分以内なら、相手も覚えています。1日経つと精度が落ちるので、当日中に済ませます。
専門用語が分からない場合は、聞こえたままの音で書いておきます。あとで検索すれば当たります。正しい表記が分からないまま推測で書くと、誤りが記録に固定されるので避けます。
書記が初めてであることを、冒頭で言っておくのも1つの手です。確認の頻度が多くなることを前提として共有できていれば、途中で止めても場が乱れません。隠して完璧を装うより、記録の精度が上がります。
記録の価値を決めるのは、この判断です。判断に使える目印が4つあります。
言い方です。「では、それで」「じゃあ一旦それで進めます」は決定に近く、「そういう考え方もありますね」「検討の余地はあります」は意見です。日本語の会議では明確な宣言が少ないので、この差を拾います。
反応の有無です。誰かが案を出して、他の参加者が黙っていた場合、それは合意ではありません。とくにオンライン会議では、聞いていなかっただけという可能性が高いです。反応がないまま次へ進んだ項目は、保留として残します。
決める権限がある人の発言かどうかです。その場で決められる立場の人が言った場合と、そうでない人が言った場合では、扱いが変わります。権限のある人が不在の会議で出た結論は、すべて保留として書くのが安全です。
そして、自分の判断に迷ったら保留にすることです。決定として書いた項目が実は決まっていなかった場合、あとで大きな食い違いになります。保留として書いた項目が実は決まっていた場合は、次回の冒頭で30秒で確認できます。迷ったら保留、と決めておけば、事故の方向が軽い側に寄ります。
会議の最後に、決定として拾った項目を読み上げるのが最も確実な方法です。3行から5行を読み上げて、その場で全員に確認を取る。1分もかかりません。書記が主導してこの1分を作れると、記録の精度は一気に上がります。
書記が発言することにためらいがある人は多いですが、確認してよい場面は決まっています。3つあります。
議題が次へ移るときです。ここで「いまの件、決定として残してよいですか」と聞きます。議論を止めていないので、誰の邪魔にもなりません。
期限が相対的な表現で出たときです。「来週まで」と言われたら、その場で「10月3日でよろしいですか」と聞きます。ここで確定させないと、あとで確認の手間が発生します。書記が聞かなければ、誰も聞きません。
担当が決まっていないときです。「やっておきます」という発言に主語がない場合、あるいは「誰かやってくれますか」で終わった場合、その場で名前を確認します。記録に名前が入らない行動は、実行されません。
逆に、会議中に確認しないほうがよいのは、議論の内容そのものへの質問です。理解できていない論点を止めて聞くと、会議の進行に影響します。そこは記録を空欄にして、あとで個別に聞きます。
会議の最後に決定を読み上げる時間を取ることも、書記から提案してよいことです。進行役が意識していないなら、終了5分前に「決まったことを確認させてください」と入れます。この習慣がつくと、会議のあとの手直しが減ります。
会議が終わったら、その場で10分使います。時間を空けると、記憶が薄れて所要時間が倍になります。
最初の3分で、記号を付けた行を並べ替えます。決定、行動、保留の3つの塊に分けます。会議中は時系列で打っているので、並べ替えるだけで報告の形に近づきます。
次の3分で、主語と期限を埋めます。頭文字で書いた発言者をフルネームに直し、相対的な期限を日付に直します。埋まらない項目があれば、その場で本人に聞きます。
続く2分で、素材の印を付けた箇所を確認します。金額、日付、人名。この3種類は誤ると影響が大きいので、資料や本人に当たって確定させます。
最後の2分で、置き場所に載せます。関係者が読める場所へ置き、必要なら通知します。この段階を省くと、記録は自分の手元にしか存在しないものになります。
その点、簡潔にまとめられた議事録があれば、1時間以上にもおよぶ会議であっても数分で要点を理解できるのです。 出典: rimo.app
配る記録は10行程度に収めます。会議の流れを書いた長い文書は、出ていない人には読まれません。決定と担当と期限を並べ、細かい経緯は必要なときに開ける場所に置いておく形が実用的です。
10分を確保するには、会議を50分で切る設計にしておく必要があります。60分の会議が終わった直後に次の予定が入っていれば、この10分は永久に確保されません。進行役と相談して、最初から会議の枠に組み込んでおきます。
手書きで足りる場面もありますが、道具を使うと負荷が変わります。型は3つです。
1つ目は、文字を打つ道具です。事前に枠を作っておける点が最大の利点で、議題を見出しとして並べた状態から始められます。複数人で同時に書き込める形式なら、書記が取り逃した箇所を他の参加者が補えます。オンライン会議では、この形が最も軽く回ります。
2つ目は、音声を文字にする道具です。会議の内容を自動で書き起こすので、聞き取れなかった箇所をあとから確認できます。書記の役目が「全部書く」から「決定を判断する」へ移るため、負荷は大きく下がります。ただし、書き起こしがそのまま議事録になるわけではなく、決定と担当と期限を抜き出す作業は残ります。
3つ目は、進行を管理する道具に直接書く形です。決まったことをその案件のカードにコメントとして残し、行動をカードの担当者と締切に反映させます。別の文書に書いてから写す手順が消えるため、会議後の10分がさらに短くなります。カードに何を載せられるかはできることのページに機能の一覧があるので、記録の項目をどこに割り当てるかを考える材料になります。
選ぶ基準は、書記の負荷ではなく、あとで読む人の探し方です。3か月後に決定を確認したいとき、人は「あの会議」ではなく「あの案件」を思い出します。案件から記録にたどり着く道がない構成だと、どれだけ丁寧に書いても記録は開かれません。
なお、社外の参加者を含む会議の記録では、誰に見せるかを分けられる構成かどうかも確認します。データの分け方や権限の考え方については安全性の考え方のページで整理されています。
つまずき方には型があります。5つ挙げておきます。
発言を全部追いかけることです。打つのに追われて議論が聞けず、結果として決定を判断できません。書くものを3つに絞ると、この問題は消えます。
会議中に文として整えることです。助詞を入れ、敬体に直しながら打つと速度が半分になります。その場では単語の羅列でよく、整えるのは会議のあとです。
聞き取れない箇所で止まることです。1つの発言に引っかかって、その後の議論を全部取り逃します。印を残して次へ進みます。
期限を相対表現のまま残すことです。「来週まで」を書いたままにすると、1か月後に意味を失います。その場で日付を確認するか、会議後10分のうちに埋めます。
そして、会議のあと時間を空けることです。翌日に書こうとすると、記憶が薄れて所要時間が倍になり、精度も落ちます。その場で10分使うほうが、結果として短く済みます。
この5つは、どれも技術ではなく段取りの問題です。2回か3回書記をやれば、型として身につきます。
書記を特定の人に固定しているチームは多いですが、回すことで効果が出ます。
1つ目は、記録が止まらなくなることです。固定していると、その人が休んだ週に記録が抜けます。抜けた週があると習慣が崩れ、そのまま記録を取らない文化に戻ります。
2つ目は、会議の進め方が改善されることです。書記をやると、議論が散っている会議、決める人がいない会議、期限を決めずに終わる会議の問題が、身をもって分かります。全員が一度は書記をやったチームでは、会議の進め方への注意が自然に働くようになります。
3つ目は、議事録の読み手が増えることです。自分が書いた記録は読み返します。全員が書く側を経験すると、記録を開く習慣が広がります。
4つ目は、新しく入った人の立ち上がりが速くなることです。書記をやると、案件の名前、関係者、判断の基準を短期間で把握できます。教える手間をかけずに、業務の地図が頭に入ります。
回す単位は、進行役と揃えるのが分かりやすいです。進行役と書記をセットで交代させると、負荷の偏りが起きません。どちらも初めての人が同時に担当するのは避けて、一方は経験者にします。
最後に、置き場所の話をします。書記の負荷は、書く技術よりも記録の行き先で決まります。
ファイルを作ってメールに添付する形は、確実に届きますが版が分かれます。修正が入るたびに新しいファイルが飛び、どれが最新か分からなくなります。半年後に探すとなると、メールの検索に頼ることになります。
チャットに貼る形は、その場では読まれますが、2週間後には流れて見つかりません。チャットは会話のための場所で、記録の保管には向きません。
案件と同じ場所に置く形は、記録がその案件のカードに残ります。決定をコメントとして残し、行動をカードの担当者と締切に反映させれば、書記の作業と進行の更新が1つになります。別の文書に書いてから写す手順が消えるため、会議後10分の作業が5分になります。会議の録画をカードに載せて、話した内容から検索できるようにする考え方を採っている料金プランもあり、料金のページでは、その機能がどの段階から使えるのかと、書き起こしだけを別の道具で買った場合との費用の比較が示されています。
道具によって、記録を置く前提はかなり違います。無料で使える人数や、工程表がどのプランから使えるかは各社で異なります。例えばAsanaとの比較のページでは、無料プランの人数の条件と、タイムラインやカスタムフィールドが使えるプランが並べて整理されているので、記録の置き場所を含めて検討するときの違いが分かります。候補を横並びで見たい場合は比較の一覧のページに主要なプロジェクト管理ツールの料金と機能がまとまっており、無料枠の細かい条件はよくある質問のページでも確認できます。
判断の基準は1つです。3か月後に、その会議に出ていなかった人が、案件名だけを頼りに決定へたどり着けるか。この問いに答えられる場所に置いておけば、書記の記録は繰り返し使われます。答えられない場所に置くと、どれだけ正確に書いても、その記録は書いた人しか開かないものになります。書記を任されたら、書き方の練習より先に、記録の行き先を確認しておくと負荷が下がります。
すべての会議を同じ構えで記録しようとすると、負荷が高いわりに使われない記録が積み上がります。会議の種類でやり方を変えます。
定例の進捗確認では、記録を最小にします。必要なのは、遅れているものと、その原因と、次に誰が動くかの3点です。毎週あるので、厚く書くと続きません。5行で終えて構いません。むしろ前回の行動が達成されたかどうかを1つずつ確認するほうに時間を使います。
仕様や方針を決める会議では、逆に厚く残します。何を選んだかだけでなく、何を選ばなかったか、その理由は何かまで書きます。3か月後に「なぜこの形にしたのか」と問われたとき、採用しなかった案とその理由が残っていないと、同じ議論をもう一度やることになります。この種の会議で書記に求められる役目は、いちばん重いところです。
取引先との打ち合わせでは、記録を2つに分けます。社内に残すものには相手の反応や検討の状況を書き、相手に送るものには確認した内容だけを書きます。1つの記録で兼ねると、社内の事情が社外に出る事故が起きます。
緊急対応の会議では、時刻を細かく残します。何時に誰が何を判断したかが、あとの検証で必要になります。この場合だけは、決定を先頭に置く原則よりも時刻の正確さが優先されます。判断の根拠になった情報も併せて書いておきます。
人数が多い会議では、発言者を追うのを早めに諦めます。10人を超える会議で全員の発言に名前を付けるのは現実的ではありません。決定と、それを引き取った人の名前だけに絞ります。
書記の記録は、その会議のために書くものだと思われがちですが、実際にいちばん使われるのは次回の冒頭です。この前提で書くと、記録の形が変わります。
保留事項は、次回の議題の候補になります。書いておけば、次回の進行役が議題を組む手間が消えます。保留のまま3週続いた項目があれば、それは会議の場では決められない議題なので、別の形で処理する必要があると分かります。
次の行動は、次回の確認項目になります。誰が何をいつまでにやるかが書かれていれば、次回の冒頭で1つずつ達成を確認できます。この確認があるかないかで、行動が実行される率が大きく変わります。書いたものが確認されない運用だと、次の週から誰も期限を守らなくなります。
未確定のまま終わった数字や名前も、次回に持ち込む材料になります。素材として印を付けておいた項目のうち、会議後に確認できなかったものは、次回の冒頭で聞きます。
この3つのために、記録の末尾に「次回に持ち込むこと」という欄を1つ作っておくのが実務的です。保留、未達の行動、未確定の項目を、そこへまとめます。次回の書記はこの欄だけを見れば準備が済みます。
書記を回している場合、この欄が引き継ぎになります。前回の担当が何を残したかが1か所に集まっていれば、初めて書記をやる人でも会議前の準備が5分で終わります。
道具が使えない場面もあります。客先で紙だけを渡された、電源が確保できない、パソコンを開くのが場の空気に合わない。こうしたときに効く工夫が4つあります。
紙を縦に2つに分けることです。左側に議論の流れ、右側に決定と行動だけを書きます。あとから右側だけを読めば記録として成立します。1枚の紙に混ぜて書くと、会議のあとに探す手間が出ます。
行の先頭を空けておくことです。あとから記号を付け足すために2文字分空けます。会議中は記号を選ぶ余裕がないこともあるので、あとで印を付けられる余白を残しておきます。
ページの端に時刻を入れることです。5分ごとに時刻を書いておくと、あとで録音と突き合わせるときに該当箇所へ早く飛べます。録音を併用しているなら、この一手間が効きます。
そして、会議の直後に写すことです。手書きの記録は、その日のうちに文字にしておきます。1日経つと自分の字が読めなくなり、略記の意味も思い出せなくなります。会議室を出る前に、その場で写してしまうのが確実です。
紙のほうが速いという人は少なくありません。打つのが苦手な場合、無理に道具を使うより紙で取って会議後に写すほうが、記録の質は高くなります。
オンライン会議は、書記にとって有利な点と不利な点が両方あります。違いを踏まえておくと段取りが変わります。
有利なのは、発言者が画面に表示されることです。誰が話しているかを目で確認できるため、名前の取り違えが減ります。参加者一覧をそのまま名簿として使えるので、事前の準備も軽くなります。
もう1つ有利なのは、会議中に記録を画面で共有できることです。書いている記録をそのまま映しておくと、参加者がその場で誤りを指摘してくれます。決定の文言を画面に出しながら「この表現でよろしいですか」と確認すれば、会議のあとの手直しがほぼ消えます。オンライン会議でいちばん効く工夫がこれです。
不利なのは、反応が読みにくいことです。対面なら頷きや表情で合意が分かりますが、画面では黙っているだけの人と、聞いていない人の区別が付きません。反応がないまま次へ進んだ項目は、保留として扱うほうが安全です。
もう1つ不利なのは、発言が重なりやすいことです。通信の遅れがあるため、相槌と発言が衝突します。重なった箇所は聞き取れないので、印を残して次へ進みます。
そして、会議が終わると全員が即座に退出します。対面なら終わったあとに廊下で確認できますが、オンラインでは不可能です。確認したいことは会議が終わる前に聞いておく必要があり、この点でオンラインのほうが書記の判断は前倒しになります。終了5分前に決定を読み上げる時間を取るのが、いちばん確実な手当てです。
必要ありません。書記が取るべきものは、決まったこと、やる人、いつまでかの3つです。発言の細部が必要なら録音して機械に任せるほうが正確です。全部を書こうとすると打つことに追われて議論が聞けず、肝心の決定を判断できなくなります。書く対象を3つに絞ると、記録の精度は上がります。
その場で止まらず、印だけ残して次へ進みます。議題が切り替わるタイミングで「先ほどの金額は16万でよろしいですか」のように、一言で答えられる形で確認します。拾えなかったものは会議終了から15分以内に本人へ聞いてください。1日経つと相手の記憶も曖昧になり、精度が落ちます。
迷ったら保留として書いてください。決定として書いた項目が実は決まっていなかった場合は大きな食い違いになりますが、保留として書いた項目が実は決まっていた場合は、次回の冒頭で30秒で確認できます。会議の最後に決定として拾った3行から5行を読み上げて確認を取ると、この迷いはその場で解消できます。
回したほうが結果はよくなります。固定するとその人が休んだ週に記録が止まり、抜けた週があると習慣が崩れます。全員が一度書く側を経験すると、会議の進め方への注意が働き、記録を読む人も増えます。進行役と書記をセットで交代させ、どちらも初めての人が同時に担当しない形にすると負荷が偏りません。