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業務分担表の作り方を調べている時点で、困りごとはもう起きています。誰がどこまでやるのかが曖昧で、同じ作業を2人がやっていたり、逆に誰も手を付けていない作業が期限の直前に見つかったりする。その状態を表1枚で片付けたい、という動機で検索されることが多い言葉です。
先に結論を書きます。業務分担表でつまずくのは、表の見た目やテンプレートの選び方ではありません。つまずくのは、作業を書き出す粒度と、作ったあとに誰がどのタイミングで直すのかを決めていないことです。粒度が粗いと引き継ぎに使えず、細かすぎると更新が追いつかなくなって放置されます。この記事では、載せる項目の決め方、5つの手順、見やすくするコツ、雑務の扱い、そして表が2週間で死ぬ理由までを順に整理します。エクセルで作れる範囲と、そこから先の道具に載せ替える境目も示します。
業務分担表とは、チームの中にある作業を書き出して、それぞれの担当者と期限、関わり方を1枚にまとめた表のことです。担当業務一覧表、役割分担表、分掌表といった呼び方もありますが、目的は同じです。誰が何をどこまで持っているのかを、口頭の記憶の外に出すことです。
この表が急に必要になる場面は、だいたい4つに絞られます。1つ目は人が抜けるとき。退職、異動、産休や育休、長期の休みが決まった瞬間に、その人が何をやっていたのかを誰も説明できないことに気づきます。2つ目は人が入るとき。新しく入った人に「これをやってください」と渡せる単位が用意されていないと、教育が先輩ごとの口伝えになります。3つ目は業務量の偏りが表面化したとき。特定の人が毎日遅くまで残っているのに、その理由を数字で説明できない状態です。4つ目は外部に委託するとき。切り出せる単位が決まっていないと、見積りも依頼もできません。
背景にあるのは、1人が持つ作業の種類が増え続けていることです。以前は1つの職種が1つの仕事を担っていたのに、いまは同じ人が問い合わせ対応と資料作成と進行管理を掛け持ちしています。掛け持ちが増えると、本人の頭の中にしか作業の一覧が存在しなくなります。その状態で休みが1日入ると、止まる作業が出ます。
もう1つ、リモートや時差のある働き方が広がったことで、隣の席の様子から手の空き具合を推測する方法が使えなくなりました。以前は表がなくても回っていたチームが、急に分担表を必要とするようになったのは、ここが変わったからです。表を作る目的は管理を厚くすることではなく、見えなくなった手元の状況を、見える形に置き直すことだと考えると設計しやすくなります。
手間をかけて表を作る前に、何が変わるのかを押さえておきます。効果が具体的に言えないと、チームに記入を頼む段で協力が得られません。
1つ目は、抜けと重複が消えることです。誰も持っていない作業と、2人が同じ作業をしている状態は、口頭のやりとりでは見つかりません。全部を1枚に並べた瞬間に、担当者の欄が空いている行と、同じ内容が2行に分かれている箇所が目に入ります。この2つを潰すだけで、期限直前の慌ただしさが目に見えて減ります。
2つ目は、引き継ぎの時間が短くなることです。引き継ぎが長引く原因は、引き継ぐ相手が何を知らないのかを、引き継ぐ側も分かっていないことにあります。行の一覧があれば、上から順に説明できて、説明が終わった行に印を付けられます。口頭の引き継ぎでは必ず漏れる細かい作業が、表の下のほうに残っているので拾えます。
3つ目は、負荷の偏りを数字で話せるようになることです。「忙しい」という言葉は主観として扱われますが、月あたりの合計時間は材料になります。減らすのか、渡すのか、やめるのかを、感情ではなく行の上で議論できるようになります。
4つ目は、休みを取りやすくなることです。代わりに対応できる人の列があれば、休む前の申し送りが1行で済みます。逆にこの列が空いている行は、休みを取れない理由そのものなので、埋める順番が決まります。
5つ目は、新しく入った人の立ち上がりが早くなることです。渡せる単位が用意されていれば、最初の1週間で持てる範囲を明示できます。教える側も、何をどの順で教えるかを毎回考え直す必要がなくなります。
この5つに共通しているのは、表そのものが仕事を減らすわけではないという点です。減らす判断をするための材料が揃う、というのが正確な言い方です。材料を揃えたあとで何もしなければ、表は増えた作業のままで終わります。
表の形を考える前に、列を決めます。列が決まっていない状態でテンプレートを探すと、他社の業務に合わせて作られた列を埋める作業になり、自分のチームに要らない列まで抱え込みます。
最低限として要る列は6つです。作業の名前、担当者、関わり方(主担当か副担当か承認者か)、発生する頻度、1回あたりのおおよその所要時間、そして期限または締め日です。この6つが揃っていれば、引き継ぎと負荷の把握の両方に使えます。
余裕があれば足したい列が4つあります。前提になる作業(これが終わらないと始められないもの)、使う道具やファイルの場所、判断の基準(どこまでは自分で決めてよいか)、そして代わりに対応できる人です。とくに最後の列は、休みの調整のときに効きます。名前が1人しか入っていない行は、その人が休むと止まる行です。表にしておくと、どこから手当てするかが一目で決まります。
所要時間の列は、正確さよりも桁を合わせることを優先します。15分の作業と半日の作業が同じ1行に並んでいると、行数で仕事量を測ってしまいます。5分単位で厳密に測る必要はなく、15分、1時間、半日、1日の4段階で分けるだけでも、偏りの見え方が変わります。頻度の列も同じ考え方で、毎日、週1回、月1回、不定期の4段階にしておけば充分です。頻度と所要時間を掛けると月あたりの負荷が出るので、この2列は必ずセットで置きます。
逆に、最初から入れないほうがよい列もあります。進捗率と評価に関わる列です。進捗率は作業ごとの更新が必要になり、更新の手間が急に増えます。評価に関わる列を入れると、表が査定の資料に見えて、記入が防衛的になります。分担表は分担を決める表であって、成績を付ける表ではない、という位置づけを最初に共有しておくほうが、あとの運用が楽になります。
手順は5つです。順番を入れ替えると手戻りが出るので、この並びで進めます。
ステップ1は、作業の棚卸しです。チーム全員に、1週間で自分がやったことを思い出して書き出してもらいます。ここで大事なのは、最初から分類しないことです。分類しながら書き出すと、既存の分類に収まらない作業が落ちます。付箋でも表計算でも構わないので、まず全部出します。目安として、5人のチームなら100件前後の作業が出てきます。100件を下回った場合は、思い出せていない作業が残っています。
ステップ2は、粒度をそろえる作業です。ここが表の質を決めます。「請求書の発行」と「請求書のPDFを保存する」が同じ階層に並んでいると使えません。判断の基準は1つに絞ります。他の人に引き継ぐときに、その1行を渡せば作業が完結するかどうかです。完結しないなら分けます。分けた結果が5分で終わる単位になるなら、まとめ直します。
ステップ3は、担当者と関わり方の割り当てです。主担当は必ず1人にします。2人以上を主担当にすると、両方が「相手がやっている」と思う状態が生まれます。副担当と承認者は複数でも構いません。この割り当てを表に落とすとき、主担当と承認者が同じ人になっている行が出てきます。その行は、後で問題になる可能性が高い行なので、印を付けておきます。
ステップ4は、負荷の確認です。頻度と所要時間から、1人あたりの月の合計時間を出します。ここで、所定の労働時間を超える人が出るのが普通です。超えた分は、減らすか、渡すか、やめるかの3つしかありません。表を作る意味は、この3択を具体的な行の上で議論できるようにすることです。
ステップ5は、見直しの約束を決めることです。いつ、誰が、何を見て直すのかを、表の外側ではなく表と同じ場所に書きます。月に1回、朝会の枠を15分だけ使って、変わった行だけを直す、という粒度で充分です。この約束を決めずに配った表は、ほぼ確実に放置されます。
作った表が読まれるかどうかは、情報量ではなく視線の動きで決まります。実務で効くコツを5つ挙げます。
1つ目は、1画面に収める範囲を決めることです。横にスクロールしないと担当者の列が見えない表は、開いた瞬間に読むのをやめられます。列が多いときは、先頭の数列を固定して、作業の名前と担当者が常に見える状態にします。
2つ目は、色の使い方を2種類までに絞ることです。担当者ごとに色を付けると、5人を超えたところで色の見分けがつかなくなります。色を使うのは、期限が迫っている行と、担当が決まっていない行の2つに限定します。それ以外は白のままにしておくと、色が付いている行が本当に目に入ります。
3つ目は、並び順を頻度で決めることです。作業の名前のあいうえお順に並べた表は、探すときには便利ですが、日々の確認には向きません。毎日やる作業を上に、不定期を下に置くと、上から順に見るだけで今日の確認が終わります。
4つ目は、空欄を残さないことです。担当者が決まっていない行を空欄にしておくと、空欄のまま定着します。決まっていないなら「未定」と書き、決める期限を隣の列に入れます。空欄と「未定」は見た目は似ていますが、後者は決める作業として残ります。
5つ目は、行数を増やしすぎないことです。1つのチームで200行を超えたら、分けるか、粒度を上げるかを検討する段です。人が読んで判断できる行数には限りがあります。網羅性を追って行数を増やすと、正確だが誰も開かない表になります。
分担表でいちばん漏れるのは、名前が付いていない作業です。電話の取り次ぎ、備品の補充、共有フォルダの整理、来客の対応、新しく入った人の質問に答えること。どれも数分で終わりますが、発生の回数が多く、特定の人に寄ります。
電話応対、清掃、備品管理、郵便物の仕分けなど、いわゆる「雑務」は誰でもできる業務として扱われがちですが、実際には特定のメンバーに負担が偏りやすい傾向があります。 善意やボランティア精神に頼った運用では、不公平感が生まれ、チームの士気低下につながる可能性があります。 雑務も業務分担表に明記し、担当者を明確にすることで、公平な負担分散と責任の明確化が実現します。 出典: kentem.jp
この種の作業を表に載せるとき、1件ずつ行にすると行数が爆発します。現実的なのは、まとめて1つの枠にして、当番制にすることです。「共有スペースと備品の面倒を見る」という1行を作り、週替わりで担当を回します。所要時間の欄には、週あたりの合計の目安を入れます。
もう1つ見えにくいのが、人の手を止める仕事です。質問に答える、相談に乗る、確認して返す。これらは本人の作業時間としては記録されませんが、確実に時間を使っています。とくに経験の長い人に集まります。表に載せるなら「相談と確認の対応」という行を作って、1日あたりの目安時間を入れます。この行を入れるだけで、なぜあの人の手が空かないのかが説明できるようになります。
見えない仕事を表に出すと、最初は「そんなものまで管理するのか」という反応が出ます。管理が目的ではなく、負荷の説明ができるようにするための記載だと伝えると通りやすくなります。表に載っていない仕事は、減らす議論の対象にもなりません。載せることが、減らす第一歩になります。
分担を決めるとき、公平に見せようとして時間だけで割ると、たいてい現実に合いません。同じ1時間の作業でも、経験のある人が15分で終わらせて、慣れていない人が2時間かかることがあります。時間で均等に割った表は、実際には偏った表です。
現実的なやり方は、3つの軸を分けて考えることです。1つ目は総量の軸で、月あたりの合計時間が所定の範囲に収まっているかを見ます。2つ目は種類の軸で、単純な繰り返しの作業と、判断を要する作業の比率を見ます。片方に寄っている人がいれば、比率を入れ替えます。3つ目は時間帯の軸で、締め日や月末に集中している人がいないかを見ます。合計は同じでも、集中している人のほうが辛くなります。
この3軸で見ると、均等ではないが納得できる配分に落ちます。均等と公平は違うことを、決める前に言葉にしておくと議論が早くなります。
もう1つの現実は、最初の配分が当たらないことです。見積りは外れます。
実際に業務分担を行った結果、工数の見積違いなどが発生する事もあるでしょう。PDCAを回すことで、見落としていた雑務の発見や、業務分担の再検討を行うこともでてくるかと思われます。最初から完璧を目指さないことが重要です。PDCAを回し改善を図っていきましょう。 出典: remoba.biz
外れる前提で作るなら、最初の表は7割の完成度で配ってよいことになります。完璧に作ってから配ろうとすると、配る前に月が変わります。7割で配って、1か月後に直す前提にしたほうが、結果として早く使える表になります。
なお、業務委託の相手を表に載せる場合は、指示の出し方に注意が要ります。時間や場所を細かく指定する形は、契約の性質の判断に関わる論点です。線引きの判断は所管の窓口や社会保険労務士に確認したうえで、表の書き方を決めてください。
業務分担表と呼ばれる表には、形が4種類あります。目的が違うので、1つの表で全部やろうとすると破綻します。
1つ目は一覧型です。作業を縦に並べて、担当者と期限を横に置く、いちばん素直な形です。引き継ぎと棚卸しに向きます。行数が増えても壊れないのが利点で、まず作るならこの形です。
2つ目はマトリクス型です。縦に作業、横にメンバーを並べて、交わる場所に印を入れます。誰が何に関わっているかが一目で分かり、偏りの発見に向きます。メンバーが10人を超えると横が長くなるので、部署や案件ごとに分けます。
3つ目は関与の種類を書き分ける型です。実行する人、説明の責任を持つ人、相談される人、報告を受ける人を、それぞれの記号で書き分けます。承認の流れが長い組織で効きます。役割の記号を増やすほど運用が重くなるので、最初は実行と承認の2つだけで始めるのが現実的です。
4つ目は工程表と一体になった型です。分担と期間を同じ画面で見る形で、期限のある案件に向きます。ただし、作業の順番の依存を書き始めると更新の手間が増えます。日々の分担の確認と、案件の工程管理は目的が違うので、分けて持つほうが続きます。
選び方の基準は1つです。その表を毎週開く人が誰かを先に決めて、その人が知りたいことが最短で見える形を選びます。全員のための表を作ると、誰も開かない表になります。
作った表が使われなくなる原因は、ほぼ3つに集約されます。
1つ目は、更新する人が1人しかいないことです。表を作った人だけが直せる状態だと、その人の手が空いたときにしか更新されません。現場では、2週間で誰も更新しなくなると言われています。手当ては、担当者の列に自分の名前が入っている人が、自分の行だけを直せる状態を作ることです。全員が全部を直せる必要はありません。
2つ目は、更新の場所が作業の場所と離れていることです。作業はチャットや受信箱で動いているのに、分担表だけが別のファイルにあると、ファイルを開く動作が余分な手間になります。手間が1回増えるだけで、更新は止まります。手当ては、表を作業の流れの中に置くことです。
3つ目は、直しても誰も見ないことです。更新しても反応がなければ、更新は無駄な作業になります。手当ては、月1回の見直しの場で、変わった行を声に出して確認することです。変わったことが認識される場があれば、更新は続きます。
もう1つ、見落とされがちな注意点があります。ファイルを人数分コピーして配ると、その時点で表は分岐します。誰かが直した最新版がどれなのか分からなくなり、会議で違う版を見ながら議論することになります。共有する場所を1つに決めて、コピーを配らないことを最初に約束しておいてください。
更新が止まった表は、情報が古いだけでなく害になります。古い分担表を見て「この人が担当だ」と依頼した結果、担当が変わっていて止まる、ということが起きます。更新が続かないなら、行数を減らすか、更新の場所を移すかのどちらかを選ぶ段です。
検索すれば無料のテンプレートはいくらでも見つかります。ゼロから列を考える手間が省けるので、出発点として使う価値はあります。ただし、そのまま埋めようとすると3つの落とし穴があります。
1つ目は、列が多すぎることです。配布されているテンプレートは、どの業種でも使えるように列が足されています。優先度、進捗率、備考、関連部署といった列が最初から並んでいると、埋めなければいけない気がして手が止まります。使わない列は消してから配ってください。消す判断を各自に任せると、人によって埋め方が変わります。
2つ目は、想定している組織の形が違うことです。部長と課長と担当者という階層を前提にした分掌表を、5人のチームにそのまま当てると、承認の行が半分を占めます。逆に、少人数向けの簡素な表を数十人のチームに当てると、誰が最終的に決めるのかが書けません。自分のチームの人数と、決裁の段の数に合う形を選びます。
3つ目は、更新の前提が入っていないことです。テンプレートには列と行の形しかなく、いつ誰が直すのかは書かれていません。配る前に、見直しの日付と担当を表の先頭に書き足してください。この1行があるかどうかで、3か月後に生きているかどうかが変わります。
現実的な進め方は、テンプレートを1つ選んで列を減らし、実際の作業を20行だけ入れてみることです。20行入れた時点で、足りない列と要らない列が分かります。全部を埋めてから直すより、この試し方のほうが早く形が決まります。
最初の1枚は表計算ソフトで作るのが早いです。無料で使える範囲でも作れて、列の増減が自由で、印刷して配ることもできます。棚卸しの段階では、むしろ表計算のほうが向いています。
限界が来るのは、次の3つが同時に起きたときです。1つ目は、同時に開く人が増えたとき。共同編集に対応していても、同じ行を複数人が触ると上書きが起きます。2つ目は、履歴が必要になったとき。誰がいつ担当を変えたのかを追う必要が出ると、ファイルの更新日時だけでは足りません。3つ目は、作業の状態を毎日動かしたくなったとき。分担表が進捗管理を兼ね始めると、更新の回数が桁違いに増えます。
この3つが揃ったら、ボード型のタスク管理に載せ替える段です。分担表の1行がカード1枚になり、担当者はカードの担当欄、頻度は繰り返しの設定、関わり方はラベルで表せます。画面ごとに見え方を切り替えられるので、一覧で見たい人と期間で見たい人が同じデータを別の形で見られます。どういう画面が用意されているかはできることで確認できます。カンバン、ガント、カレンダー、リストといった見せ方を、同じ1つのボードで切り替える構成になっています。
費用の面も先に確認しておくと、稟議で止まりません。料金のページでは、無料の範囲と有料に移る境目が、人数とボードの数で示されています。機能で絞らず、区切るのは人数とボードの数だけという区切り方なので、少人数で試す段階では機能の制限を気にせず、分担表がそのまま載るかどうかだけを確かめられます。
いま別の道具を使っている場合は、載せ替えの前に比べる材料を持っておくほうが安全です。比較の一覧には、よく使われている道具との違いが並んでいます。付箋を貼る形の運用から移るならTrelloとの比較、案件の工程と工数の管理まで含めたいならBacklogとの比較、文書とデータベースを兼ねた作り方から移るならNotionとの比較が対応します。既存のボードをそのまま持ってくる手順はTrelloからの移行にまとまっていて、自動で取り込める相手はTrelloに限られます。それ以外からの移行は、CSVでの書き出しと手作業の組み合わせになります。
道具を入れ替えるかどうかの判断は、機能の一覧を見比べても決まりません。判断の材料になるのは、いまの表の使われ方を示す3つの数字です。
1つ目は、直近1か月で表を更新した人の数です。1人なら、道具を変えても結果は変わりません。まず更新できる人を増やす設計に直すのが先です。3人以上が触っているなら、道具を変える効果が出ます。
2つ目は、担当者の欄が1人しか入っていない行の割合です。この割合が高いチームは、休みが入るたびに止まります。分担表の目的が引き継ぎなら、この数字が下がったかどうかで成果を測れます。表の見た目ではなく、この割合で評価すると議論がぶれません。
3つ目は、表を開かずに口頭で確認された回数です。数えるのは大変ですが、1週間だけ意識して数えると分かります。口頭の確認が多いのは、表が信用されていない証拠です。中身が古いか、探すのに時間がかかるかのどちらかです。
この3つのうち、道具の入れ替えで改善するのは1つ目と3つ目です。2つ目は運用の設計の問題なので、どの道具に載せても自動では直りません。順番としては、まず粒度と項目を決め直して、更新できる人を増やし、それでも場所の問題が残るときに載せ替える、という流れになります。判断に迷う点はよくある質問にも整理されていて、人数の数え方やボードの上限の扱いといった、稟議で聞かれる部分が先に確認できます。
最後に、業務分担表は完成させる書類ではなく、変わり続ける記録です。作った直後がいちばん正確で、そこから毎日ずれていきます。ずれを直す仕組みを表と一緒に作っておけば、引き継ぎのたびに作り直す必要はなくなります。1回で完璧な表を作ろうとせず、7割の表と月1回の見直しをセットで始めるのが、いちばん早い道です。
判断の基準は、その1行を他の人に渡せば作業が完結するかどうかです。完結しないなら分け、5分で終わる単位まで細かくなったらまとめ直します。目安として、5人のチームなら100件前後の行に落ち着きます。200行を超えたら粒度を上げるか、チームごとに分ける段です。
表計算ソフトがあれば無料で作れます。テンプレートは列の参考になりますが、他社の業務に合わせた列が混ざるので、先に自分のチームの列を6つ決めてから当てるほうが早いです。作業の名前、担当者、関わり方、頻度、所要時間、期限の6つが最低限です。
主担当は1人に絞ってください。2人以上を主担当にすると、双方が相手がやっていると考える状態が生まれます。副担当や承認者は複数で構いません。代わりに対応できる人の列を別に置けば、休みの調整にも使えます。
更新する人が1人だけになっていないか、更新の場所が日々の作業の場所と離れていないか、直しても確認される場がないかの3点を見てください。担当者が自分の行だけを直せる形にして、月1回15分の見直しの枠を決めるだけで、止まり方は大きく変わります。